EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD
第15話後編
by しぃさぁ

あくる日、子供達は遠足の日でもないのに珍しく早起きだった。
もちろん、ガヴァドンの活躍を願って早朝より土管置き場に結集だ。
見事なくらい、土管置き場の隙間を縫って走る子供たち。



そしてガヴァドンは・・・
子供たちの期待通りに、朝日と共に例の宇宙線を浴び見事復活したである。
「わーい、ヤッター、ばんざーい!!」
大喜びの子供たち。

だがそこへ出てきたのはまたまたあの土管オヤジ!
「こいつら〜!今日は逃がさんぞ!!」
叫ぶが早いか子供たちの間に飛び込んでいく。
今日という今日は許さんぞ!という固い決意で登場か!?



「きさまら、いったいうちの土管を・・・あれ!?」
落書きがない・・・
面食らう土管オヤジ。喜ぶ子供たち。
「おじさん、どったの?」
そう囃しながら、呆然と土管を見つめるオヤジの周りで笑う子供たちだった。

太陽がどんよりと重く、ガヴァドンのおかげで街から人の姿は消え、交通も途絶え、
ただ通り過ぎるのは風だけだった。
東京はガヴァドンの一人舞台となった。

ガヴァドンは寝ているだけだった。しかし体が大きいといびきもまたものすごい。
ガヴァドンのいびきでビルの中までも震えた。

科学特捜隊の考えたとおり、こちらが黙っている限りガヴァドンはただ眠り続ける。



すやすやと眠り続けた。

「怪獣ガヴァドンはただ寝ているだけで、
 わが国の経済生活をめちゃめちゃに打ち壊すということが判明した。
 よって、我が科学特捜隊は明日、多少の犠牲には目をつぶり、
 ガヴァドンと最後の決戦を挑むことにする」

ついにムラマツキャップが断を下した。
何が何でもガヴァドンを退治する。ムラマツキャップの顔には決意の程が見て取れる。
「キャップ名案があります」
イデ隊員の発言。みんなの視線がイデ隊員に集まった。

「なんだ?」
ムラマツキャップはいぶかしげにイデ隊員の方を見た。

「ガヴァドンは元々ムシバの書いた絵が3次元の物体に変わるんでしょ」
「分かってるわよそんなことは」
やはりガヴァドンにイラついているフジ隊員が八つ当たりのごとく口を挟むが、
なぜか冷静なイデ隊員。フジ隊員を軽くいなして話を続ける。

「黙って聞きなさい。しかも太陽光線が出なければ普通の絵にかえるんです。
 キャップ、今は夜です。ガヴァドンは単なる絵です」
「わかった。今のうちに行ってその絵を消してしまおうってわけね」
「ご名答」
イデ隊員の作戦を理解し、笑顔になるフジ隊員。



なるほど、それはいい作戦だ。誰も被害は受けないし、お金もかからない。
イデ隊員。そりゃ名案だ!

しかし、待ったがかかった。アラシ隊員が不機嫌な顔でツカツカとやってくる。
「バカもん!科学特捜隊が落書きを消しに行けるか!」
いい作戦だと思うのだが・・

ムラマツキャップもこの案を一蹴する。
「つまらん事を考えないで、全員明日の作戦に備えて十分に休みを取ってくれ。
 我々は明日、あの怪獣と正々堂々と戦うんだ。いいな」
科特隊には科特隊のプライドとやり方があるようだ。
いい作戦だと思ったのだが・・・



所変わってこちらはまたしても例の土管置き場。
夜だというのに子供たちが、土管の中に納まったガヴァドンの前に結集している。

「怪獣ガヴァドンよ、おれ達はお前にちょっぴりがっかりしている。
 お前はなぜ寝てばかりいるのか、
 怪獣といえばおれたちはもうちょっとかっこいいものだと信じている。
 子供は夜家を出てはいけないとパパもママも言う。
 それをこうして無理して助け合ってるんだから、もう少しお前もがんばってほしい。以上!」

「ムシバ、お前からやってくれよ」
「ウン!おい、ガヴァドンよ、オレは命の恩人だぞ。
 命の恩人が頼んでるんだからがんばれよ、な!」
「頼むぞ!」
「お前はいいやつだぞ、がんばれよ」

子供たちには子供たちの悩みがあるようだ。
寝てばかりいるガヴァドンにストレスを感じ、立派な怪獣になるよう励ましにきたらしい。



こぞって土管の落書きとして収まっているガヴァドンをなで、
エールを送る子供たち。
だがだが・・・

土管の後ろからいきなり多量の水が飛んできて、子供たちの頭に降りかかった。
「ザマミロ〜!」
またしても土管オヤジだ。
子供たちがここに来ることを予測して、水の入ったバケツ片手に張り込んでいた模様。
この勝負、今宵は見事、オヤジの勝ち!あわてて逃げ散る子供たちだった。

翌朝、怪獣ガヴァドンは当たり前のように甦った。
いつものように昼寝の場所を求め、さまようガヴァドン。

やがて広々した川原を発見したガヴァドン。どうやらそこが気に入ったようだ。
今日のお昼寝の場所はこの川原に決定。
さっそく前足であたりのゴミや誇りを払うと、
ゴロリと腹ばいになり、大いびきで夢の世界へ。



しかし今日はちょっとばかり様子が違った。
ガヴァドンが寝込んだのを見計らい、防衛軍の戦車部隊がガヴァドンを取り囲み始めたのだ。
防衛軍はガヴァドンが寝込むのを待ち、
いっせいに攻撃を開始しようと待ち構えていたのだった。

砲門の照準をガヴァドンに合わせる戦車部隊。
そして、ついに一斉射撃が始まった。
次々とガヴァドンを襲う砲弾。



さすがのガヴァドンもこれでは呑気に寝てはいられない。
あわてて跳ね起き、昼寝の邪魔をする戦車部隊を撃退しようと接近していく。

だが防衛軍もそれは予想のうちで、
接近してきたガヴァドンに、今度はナパーム戦車が応戦した。
ナパーム戦車の火炎をまともに浴びるガヴァドン。



たまらず後退したところへ、再び戦車部隊の砲撃に見舞われる。
これはたまらん。
ついに昼寝をあきらめ、逃げ出すガヴァドンであった。
科特隊は対岸に逃げるガヴァドンを追いかける。

「あ!撃つのは止めて」
しかし追跡の途中だった。
フジ隊員が何かに気付き、スパイダーを構えるアラシ隊員を制止した。

「どうして?」
「あれを見て!」
フジ隊員が指差すところ。そこには川の浅瀬で両手を振り、
ガヴァドンへの攻撃を反対する子供たちの姿があったのだ。
「どけ、どくんだ!」
ムラマツキャップが川原を走り、子供たちの制止に赴く。

「タダシ、サスケ、ムシバ、そこをどけ!どくんだ!」
ハヤタ隊員も川に入り、子供たちを救助しようと必死だった。



ガヴァドンはすぐそこまで来ている。急がなければ子供たちが危ない。
しかし浅瀬とは言え、川は急流だった。
子供たちに意識が集中していたハヤタ隊員は、うっかり流れに足をとられてしまった。
「危ない!ハヤタ!!」
イデ隊員が救援に走るが川の流れに敵う筈もなく、
急流に飲み込まれ、押し流させていくハヤタ隊員。



だがハヤタ隊員は急流の中で、ポケットからベータカプセルを取り出し、
無我夢中で天に突き上げた。



次の瞬間、そこには大きなウルトラマンの勇姿がそびえていたのだった。



ウルトラマンはすぐにガヴァドン撃退に向かうべく、大空へと舞い上がった。
科特隊に救助され、川から上がった子供たちは、
すぐにウルトラマンの姿に気がついた。

「あ、ウルトラマンだ!」
ウルトラマンの登場に沸く子供たち・・・!違う。今回はちょっと違う。
「帰れ!」
「殺すな!」
「やめろ!」
みな口々にガヴァドンと戦うウルトラマンを非難している。



「おい、待て、みんな、しっかり捕まえてるんだ!」
暴れる子供たちを押さえつけるのに苦労しているムラマツキャップと科特隊。
そんな中でもウルトラマントガヴァドンの戦いは続行している。



力は圧倒的にウルトラマンが上だ。ガヴァドン程度では相手にならない。
しかしガヴァドンのバックには子供たちがいる。
子供たちの夢がガヴァドンの背中にある。

ウルトラマンがガヴァドンを投げつけ、叩きつけるたび、
子供たちから上がる大きな悲鳴と非難の声。
その声がウルトラマンの耳に突き刺ささった。



怪獣であるガヴァドンは退治しなければならない。
しかしガヴァドンを子供たちの目の前で殺せない。
子供の心にキズを負わせてはいけない。

優しいウルトラマンは一計を案じた。
両手でガヴァドンを大きく持ち上げると、
優しいその目で子供たちをしっかりと見つめ、そのままガヴァドンを大空の彼方に持ち去ったのであった。



ウルトラマンとガヴァドンの姿が青い空に消えると、
かきむしるような子供たちの声も消えた。

「いっちまった・・・」
ムシバ少年が下を向き、悲しげにつぶやいた。
自分たちの夢がたった今無くなり、意気消沈し、涙ぐむ子供たち。
子供たちは、ウルトラマンとガヴァドンが消えていった青空をいつまでも眺めていた。



その夜、ガヴァドンとの最後の場所になった、想いでの川原に子供たちは集まっていた。
みな何も言わず、ただ、ガヴァドンが消えた空を見つめ、目に涙を浮かべていた。

その時だった。
「泣くな子供たち」
天上からウルトラマンの声が響いてきたのだ。
驚く子供たち。みないっせいに立ち上がって空を見上げる。



「毎年7月7日の七夕の夜、きっとガヴァドンに会えるようにしよう。この星空の中に」
やがて子供たちの見つめる星空には、ウルトラマンの顔と
怪獣ガヴァドンの姿が映し出された。



「ガヴァドンは星になったのかしら、お星様に・・・」
「七夕の夜、雨が降ったら、どうなるんだよう・・・」
空に映ったガヴァドンの目から、一筋の流れ星が流れていった・・・



平和は戻った。
科特隊は念のため公園で落書きをする子供たちのところへパトロールに出かけた。
このたくさんの落書きに、いつまた特殊放射線を含む宇宙線が当たらないとも限らない。
だがしかし自分の好きなものを絵に描く自由は子供たちのものである。
ムラマツ隊長は、この絵を見ながら心が真っ暗になったのであった。

あとがき
さて今回はガヴァドンが活躍(?)してくれました。
宇宙線をあびて落書きが怪獣になるという、
なんともユニークなお話です。

更には戦おうともせず、ただただ寝るだけの怪獣。どうも憎めません。

7月7日に会えるという設定ですので当然七夕をイメージしたのでしょうね。
狙ったわけではないのですが、くしくもUPがこの時期とかさなり、少々びっくりしました。

これはウルトラワールドもただものではない!?(笑)

ところで、この年代の方なら当然ご存知と思いますが、
今回のガヴァドンに、あの「仮面の忍者赤影」でおなじみ、
「だいじょ〜ぶ!」の青影こと金子吉延さんが登場していたの、おわかりでした?
どうやらムシバ少年役だったらしいのですが、だいぶやせてますよね。
これ、本当かなあ・・・?



さすがは名子役、いろんなところに顔出してます。

というわけで、子供の夢(悪戯?)はここに潰えますが、
ウルトラワールドはまだまだ続きます。
次回は、永遠のライバル再び!



ご期待ください。
今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。

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