| EPISODE GUIDE ULTRA WOLD 第16話前編 by しぃさぁ |
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| 人類最初の金星探検を目指して宇宙ロケット「オオトリ」の発射準備が進められている。 宇宙飛行士として乗り込むのはロケットの発明士、 宇宙開発研究所のモウリ博士、彼自身である。 一方、科学特捜隊は万一の事故に備えて救助体制を取っていた。 科特隊基地の格納庫から姿を現し、オオトリを追うべくスタンバイする小型ビートル。 コックピットに座るのは、そう、我らがハヤタ隊員だ。 ![]() ![]() 本部ではムラマツキャップ以下隊員たちがモニターでオオトリの発射準備を見守っている。 「ハヤタ君、まもなく秒読みが開始されるようだ」 ムラマツキャップがモニターを見ながらビートルのハヤタ隊員に秒読み開始を伝えた。 「OK。イデ君、自動追跡装置のリモコンテスト願います」 ハヤタ隊員の乗るビートルにはオオトリ追跡用自動追跡装置が装備されていた。 この追跡装置はいつものごとくメカニックのプロ、イデ隊員の発明のようだ。 「テストOK!操縦はこれに任せて眠っているんですね」 自分の開発したメカに絶対の自信を持つイデ隊員は今回も自身満々のようだが、 「お手柔らかに頼む。墜落はごめんだぜ」 ハヤタ隊員の辛口のコメントに、 「ああ〜!?」 思わずしかめっ面になる。 二人の会話を聞いていたムラマツキャップは笑いながらイデ隊員を見ていた。 キャップのこの余裕は、やはりイデ隊員のメカの腕を信頼してのことなのだろう。 「キャップ、発射1分前」 フジ隊員の呼びかけに、ムラマツキャップもオオトリの発射を見届けるべく席につく。 ![]() オオトリの発射時刻が刻々と迫る。 発射台の回りにはたくさんのメディアがカメラを構え、オオトリ打ち上げを今か今かと待ち構えていた。 科特隊が救助体制を取っている理由は、 オオトリの第2段ロケットの発火装置に疑問があるという噂があったからだ。 いよいよ秒読みが始まる。 「9,8,7,6,5,」 秒読みと共にハヤタ機もいよいよ発射準備。カタパルトが上昇する。 本部内が緊張に包まれた。 「4,3,2,1・・・0!」 オオトリが点火した。機体が垂直上昇する。 同時にハヤタ機もオオトリを追いかけるべく、ものすごい勢いでカタパルトを飛び出した。 それら2機のスピードたるや、尋常ではない。 ![]() ![]() 「ひゃ〜!ものすごいスピードだ! これじゃとてもビートルじゃ追いつかん」 メカニックのプロのイデ隊員もただただ驚くばかりだ。 ![]() 「2段ロケット点火2秒前!」 フジ隊員の声が本部内に凛として響く。 その声で本部の緊張はピークに達した。 オオトリ最大の問題点2段ロケット。ここさえうまく行ってくれればあとはなんら問題はないのだ。 「いよいよ2段ロケットか。神様!」 食い入るようにモニターに見入り、こぶしを握るアラシ隊員。 オオトリ船内のモウリ博士も緊張の一瞬。2段目が切り離された。 「うん!よし、成功だ!」 ムラマツキャップが勢いよく立ち上がる。 「ちくしょうバンザイだ!」 アラシ隊員にも笑顔がはじけた。 「救助体制解除。ハヤタを地球に戻してやれ」 即座に解除命令を出すムラマツキャップ。 心配事がなくなり、その顔は充実感が現れている。 ![]() 「いやー、無理した無理した!何しろ最高マッハ6も出しましたからね」 自分のことのように緊張していたイデ隊員がハヤタ隊員をねぎらえば、 「ハヤタのヤツ、ビートルの中で目を回してるんじゃないのかな」 アラシ隊員のひとことで本部内は笑いに包まれた。 ハヤタ隊員も無事帰還し、本部ではコーヒータイム。 オオトリ打ち上げ成功、救助体制解除にメンバー全員充実した笑顔だ。 しかし、なぜか涙を流して悔しがる者1名。 「ハヤタさん!」 「おいおい、どうしたホシノ君?」 「ボク・・・」 そう、ホシノ少年だ。どういうわけだか大粒の涙でハヤタ隊員に何事かを訴えようとしている。 ![]() 「いかんいかん!けんかに負けて泣くような男の子では、立派な科学特捜隊員にはなれんぞ! いいか、大体ケンカというものはだなあ」 ホシノ少年のことが大のお気に入りのアラシ隊員はホシノ少年がケンカに負けたと思い込み、 ケンカの極意を伝授しようと勇み寄ってきたのだが、 「違うんだ、ボクは、ボクは・・・」 彼はケンカをしたわけでも、負けたわけでもないようだ。 ではなぜ・・・? 「ボクは、ボクはじゃあ分からんねえ・・・」 アラシ隊員も周りにいるみんなも、ホシノ少年の涙の理由が分からず困惑気味だった。 しかしハヤタ隊員だけは彼の涙の理由を理解していた。 ハヤタ隊員は笑顔でその訳をみんなに話して伝える。 「ホシノ君はねえ、イワモト博士のフェニックス号がオオトリに負けたんで悔しいんだ」 そっと立ち上がりホシノ少年の肩を叩くハヤタ隊員。 「そうだな」 「ウン・・・・・」 元気なくうなだれるホシノ少年。 未来の科特隊員を目指すホシノ少年にとって、 イワモト博士は、言ってみれば神のような存在だった。 彼の中でイワモト博士は常に1番の存在だったのだ。 溢れる涙を拭おうともせず、ホシノ少年はただ立ちすくみ、悔しさをあらわにしていた。 時同じ頃、イワモト博士は自身の研究所で オオトリ打ち上げに関するマスコミのインタビューを受けていた。 「イワモト先生、ひとことで、どうぞ」 「立派です、負けました」 潔く負けを認めるイワモト博士。しかしその顔に悔しさなどは微塵もない。 「しかしフェニックスとオオトリじゃあ、性能が全く同じと言われてましたが」 「先生、なぜ計画を延期したんですか?」 次々に飛ぶ質問にイワモト博士は嫌な顔ひとつせず丁寧に答える。 「ハイドロジェネートロケットのテスト回数が不足なので、もう少し時間が欲しかったんです」 「それはオオトリのロケットエンジンについても同じじゃありませんか?」 「ええ・・・しかし・・考え方の違いです」 小さく笑みさえ浮かべ、胸を張って答えるイワモト博士であった。 ![]() 「成功率99%のロケットに自分で乗り込んで宇宙へ飛び出したモウリ博士と、 たとえ競争に負けたと言われても、100%完全なロケットを作り出すまで じっと我慢しているイワモト博士。 科学者として、果たしてどっちが、勇気のある、正しい生き方だろうね。 よく考えてみようじゃないか」 事の顛末を知ったムラマツキャップは、ホシノ少年に自らの考えを述べた。 まさにイワモト博士の信念を代弁するようなムラマツキャップの重みある言葉。 ムラマツキャップはそっとホシノ少年にコーヒーカップを手渡した。 大好きなムラマツキャップの言葉に力強くうなずき、カップを受け取るホシノ少年。 その顔にもう涙はない。 ムラマツキャップから受け取ったコーヒーカップに勇気をもらい、いつもの強い男の子に戻っていた。 ![]() そのころ、オオトリは無事軌道に乗って金星への飛行を続けていた。 3段ロケットも無事に切り離し、宇宙の景観をゆっくりと楽しむモウリ博士。 「えー、こちらオオトリ。現在高度は15万メートル。 船外温度はー45度。それに引き換え船内は16度。 重力調節も正常。快適です」 ![]() その姿は全て科特隊本部のモニターに映し出されていた。 科特隊メンバーは皆、モニターに映るモウリ博士に釘づけだ。 「わあ〜、すごいなあ」 イデ隊員がモニターに向かって叫ぶ。 イデ隊員はモウリ博士の食する宇宙食に興奮していたのだ。 ![]() さもおいしそうに宇宙食を口に運ぶモウリ博士。 そのしぐさを真似しながら、イデ隊員はいつものごとくおおはしゃぎ。 横にいるホシノ少年もイデ隊員のしぐさにつられて笑顔を見せる。 本部内は和やかムードだ。 だが異変は突然起こった。 モニターが急にゆがみ始めたかと思うと、やがて強いノイズでモウリ博士の顔が見えなくなった。 「フジ君、なにか電波は入っているか?」 すぐさま異変を感じ取ったハヤタ隊員がフジ隊員に異変の確認を求める。 「ええ、おかしな通信が!」 フジ隊員も異変に気付いていたようだ。すぐに不振な電波をキャッチしていた。 「おかしな通信?」 「初めてよ、こんなの」 どうやら不明の電波が流れ、オオトリとの交信を妨害しているようだった。 「暗号かなあ?」 ハヤタ隊員も原因を調べようとフジ隊員と並び計器に向かう。 「124875回路だ!」 イデ隊員が叫んだ。何かに思い当たるフシがあるようだ。 先ほどのおふざけの顔はもうそこにはなく、 完全にプロとしての顔をしたイデ隊員がフジ隊員に指示を出す。 「フジ君、ただちにボクの作ったパンスペースインタープリンターにつないでくれたまえ」 「ぱんすぺ・・・なんだいそりゃ!?」 聞いたこともない機材。アラシ隊員が尋ねるが、イデ隊員はそれを制止した。 「今は非常の場合です。仮にそう・・・全宇宙語の翻訳装置とでも申し上げておきましょう とにかく効き目早い、膳は急げです。124875回路へセットしてください」 言うが早いかイデ隊員はフジ隊員の横に並び、パンスペースインタープリンターを操作し始めた。 「124875回路ね。セット終了」 いよいよイデ隊員のパンスペースインタープリンターが謎の通信を分析だ。 「ようし、鬼が出るか蛇が出るか、それ!」 イデ隊員がスイッチを入れる。 みんなの視線がモニターに集まる。謎の通信の発信源は一体・・・ 「バルタン星人!?」 あまりに意外な分析結果に一同は愕然とした。 モニターに映し出された謎の通信の発信者は、 そう、確かに絶滅したはずのバルタン星人だったのだ。 ![]() 「バルタン星人はウルトラマンに、宇宙船ごとやっつけられたはずだが・・・」 「確かに全滅したんだ」 途方に暮れるアラシ隊員とショックを隠しきれないハヤタ隊員。 さすがの二人もモニターを見つめることしか出来ない。 だがそんな二人にかまうことなく、モニターからはバルタン星人のメッセージが流れ聞こえてきた。 「ワレワレハ ウルトラマンノタメニ ウチュウセンヲバクハサレ ソノウエ コウハバリアヲハリメグラスヒマモナク スペシウムコウセンヲアビセラレタタメニ ホトンドゼンメツシテシマッタ」 淡々とメッセージを送り込むバルタン星人。 「生き残ったやつかいたのか」 ハヤタ隊員の額には汗すら浮かんで見える。 「光波バリアってなんだ?」 そう聞くアラシ隊員の顔も心なし青ざめている。 「あらゆる光波熱戦を跳ね返す幕だ。 彼らはそんなものまで作れる生物なのか」 ハヤタ隊員はバルタン星人の科学力の高さに畏怖していた。 バルタン星人はメッセージを続ける。 「ソシテワレワレハ ヨウヤク ワレラバルタンノスメルホシ Rワクセイニタドリツクコトガデキタ ダガワレワレハ アクマデチキュウヲアキラメナイケツイダ ワレワレハ ゼンジンルイニチョウセンスル」 モニター前でただ呆然とする科特隊メンバー。 バルタン星人がモニターから消えても、誰も動く者はいなかった。 金星に向かい順調に軌道を進むオオトリ。 その船内、もはや金星探索の成功を確信したのか、モウリ博士は上機嫌だった。 「しかし地球がこんなに美しい星だとは考えても見なかった」 眼下にきらめく地球を眺め、笑顔で見送るモウリ博士。 ![]() だが次の瞬間、モウリ博士の視界に異常な光が飛び込んできた。 「お!あれは!!」 見れば前方から、未確認飛行物体が青い怪光を発しながらオオトリ目指して向かってくるではないか。 「同じ軌道に乗ってる!衝突するぞ!衝突する!!」 モウリ博士の顔が恐怖に引きつる。 しかし衝突は間一髪防ぐことが出来た。すれ違いざま、青い怪光を放つ物体は去っていく。 九死に一生を得たモウリ博士。 いや、そうではない。青い物体はオオトリとすれ違ったかと思うと まるで生き物のようにUターンし、オオトリの船尾にドッキングしたのだ。 一体何者の仕業か? 船尾の噴射口をふさがれオオトリは航行困難に陥ってしまった。 この異変はすぐさま宇宙開発基地から科学特捜隊に伝えられた。 「キャップ、宇宙開発基地から、オオトリがSOSを発信したそうです!」 連絡を受けたハヤタ隊員は引きつった顔でムラマツキャップに報告する。 「フジ君、オオトリの追跡を続けろ!どんな微弱な電波も逃がすな!」 きつく命令を下すムラマツキャップ。 事、急を要す。 本部内はオオトリの緊急事態に騒然となった。 「ちくしょう!バルタンめ、オオトリに手を出しやがったな」 アラシ隊員が叫ぶ。 そう、アラシ隊員の予想通り、これはバルタン星人の仕業だったのである。 だが一体何のために・・・ 「あ!オオトリから発信してます」 フジ隊員がオオトリからのSOS信号をキャッチした。 「いや、別にたいしたことないんだが、ちょっと驚いた。 どこかの国のだろうが、衛星船を上げっぱなしにしとって、 同じ軌道にあったものだから、ドッキングしてしもうた。 しかし、現在は正常な軌道に修正しつつあるから、心配ない」 バルタン星人のことなど知る由もないモウリ博士は 危機を脱したと判断し、多少落ち着いたようであった。 船内をくまなくチェックし、異常がないことを確かめると、 オオトリを正常軌道に戻すよう修正した。 しかし次の瞬間、モウリ博士の目が燃料計に釘付けになる。 「おお!?燃料!?」 モウリ博士は我が目を疑った。燃料系の針が見る見る減り ついにはほとんどの燃料がなくなってしまったのだ。 これではオオトリは金星に向けて航行することはできない。 いやそれどころか地球に帰ることも出来なくなってしまったのだ。 オオトリは宇宙の漂流者となってしまった。 「しかしですねえイワモト博士。このフェニックス以外にですよ、 オオトリがえんこした27万メートル上空まで救助にいけるものは、他にないじゃありませんか」 オオトリ救助に向け、ムラマツキャップとアラシ隊員はイワモト博士の研究室を訪れていた。 目的は、そう、フェニックス号だ。 「確かにフェニックスなら、27万メートルはおろか、金星にだって行くことが出来る自信がある。 しかしねアラシ君。ムラマツ隊長が考えるように、 もしオオトリ号の異変がバルタン星人によって引き起こされたものだとしたら、 あの私のフェニックスでは戦いようがないだろう」 言うがもっともだ。アラシ隊員も返す言葉がない。 確かにフェニックス号にはなんの兵器も装備されていない。 フェニックス号は宇宙探査ロケットであり、戦闘機ではないのだ。 バルタン星人にしてみれば飛んで火にいる夏の虫だ。 しかし、イワモト博士には何がしかの策があるようだった。 「そこでだ・・・」 歯切れ悪そうにイワモト博士が口を開く。 「何か功作がありますか?」 大きな期待をイワモト博士に向けるムラマツキャップ。 だがイワモト博士は慎重だった。 「かなりな冒険だが・・・」 イワモト博士はまたしても口をつぐむ。 ![]() 「我々にはオオトリを救助する義務があります。 少々の冒険や危険は覚悟の上ですよ」 科特隊の危険を考慮し、作戦を言い渋るイワモト博士にムラマツキャップが詰め寄った。 ムラマツキャップの熱意に、イワモト博士は自らの心に断を下す。 「ビートルだ。ビートルにこのロケットエンジンを装備するんだ」 「なんですって?」 イワモト博士の計画はかなり突飛なものであった。 大気圏内戦闘機のジェットビートルで宇宙を飛ぶと言うのだ。 だがイワモト博士の明晰な頭脳の中にはすでに計算が立っていた。 「ビートルを設計したのはこの私だ。 ビートルの性能に関しては誰よりも自信を持っている。 ムラマツ君、ボクを信じてもらいましょうか」 もう後には引けない。ムラマツキャップの目をみつめるイワモト博士。 「信じましょう」 ムラマツキャップは即答だ。イワモト博士を信じずして誰を信じればよいのか。 かくして科特隊は未知なる宇宙へオオトリ救助に向かうこととなったのである。 ![]() オオトリ船内では、モウリ博士が想像を絶する窮地に陥っていた。 「バルタン星人!」 そう、船内に浸入してきたバルタン星人に襲われていたのだ。 バルタン星人の念動力で重力を操られ、体が宙に浮き、身動きもままならないモウリ博士。 モウリ博士の頭の中にバルタン星人の声が響いてきた。 「う!テレパシーか」 思わず頭を押さえるモウリ博士。 「なに?お前が重力バランスを思うとおりに操れると言うのか」 宙に浮くモウリ博士の前で、バルタン星人は静かに立ったまま、テレパシーを送る。 ![]() 突然バルタン星人が重力コントロールを解除した。 とたん、宙を浮いていたモウリ博士の体は激しく床にたたきつけられる。 バルタン星人は次なる作戦に移る。 「なに?私に乗り移るって?そんなことしてどうするんだ!」 座り込み、後ずさりするモウリ博士にゆっくりと近づくバルタン星人。 「やめてくれ!やめてくれ!!やめてくれー!!!」 モウリ博士の悲鳴がオオトリ船内に響く。 ![]() しかしそんな抵抗も空しく、 モウリ博士の影はバルタン星人の影にゆっくりとに吸収され、 やがてオオトリ船内はひっそりと静まり返った。 (後編につづく) |