EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD
第16話後編
by しぃさぁ

科特隊のビートルは、大気圏外でも十分活動できるように
水爆の原理を応用したハイドロジェネートロケットエンジンが装備され、
いよいよオオトリの救助に出発することになった。
格納庫ではビートルの尾翼にハイドロジェネートロケットエンジンの装着が行われている。



装着が行われている間、本部ではイデ隊員が最新兵器を披露していた。
「こんなこともあろうかと、2丁作っておきました」
黒いアタッシュケースを開け、中から取り出したものは、
「マルス133」
イデ隊員考案製作、最新最強の光線銃だ。



理論的にはウルトラマンのスペシウム光線と同等の力があるという。
「かなりな威力を発揮するはずです」
思わず息を飲み覗き込むハヤタ、アラシの両隊員。
銃のセットを完了し、二人の顔を見てにんまりと笑うイデ隊員である。

そのころオオトリではモウリ博士と宇宙開発基地との交信の真っ最中であった。
「モウリさんモウリさん、こちら宇宙開発基地。科特隊が救助に向かいます。
 モウリさん聞こえますか?聞こえますかモウリさん」
「それはありがたいくれぐれもよろしくお伝えください。
 そろそろ燃料がゼロになりそうだ」
「がんばってください、もう少しの辛抱です」

通信を切ったモウリ博士はニヤリと笑った。
「いよいよ来たか」
そう、モウリ博士の肉体は、すでにバルタン星人に支配されていたのだ。

モウリ博士が右手を前に差し出すと、その手のひらには縮小化したバルタン星人が現れた。
「さあ、宇宙船のみんなを指揮して地球へ出発だ!」
バルタンがオオトリを襲った目的はここにあった。
オオトリを救助に来る科特隊の留守を狙って、
別の一隊が地球を占領しようというのである。
が、バルタンの狙いはもうひとつ・・・・・

「ウルトラマンが一人だということさ。
 だから同時に2箇所で戦闘を開始すれば手も足も出まい。
 ウルトラマンなど恐れることはない。
 スペシウム光線を撃ってきたら今度はスペルゲン反射光の餌食にしてやれ!」
スペルゲン反射光?それはいかなるものなのか・・・
バルタン星人は策を弄しているだけではなく、
ウルトラマンとの戦いに関しても自信があるようだ。
「行け!」
モウリ博士の命令とともに、オオトリの船尾からバルタンの宇宙船が離れ地球へ向かって進撃を開始した。

オオトリ船内の状況、バルタン星人の企みなど全く知る由もない科特隊は、
ムラマツキャップ、ハヤタ、アラシの3人を乗せた、
ロケットエンジン装着が完了したばかりのジェットビートルで
今まさに宇宙へ飛び立とうとしているところだった。



「科特隊宇宙へ出撃だ。発進!」
ムラマツキャップの号令と共に青空に向かい鮮やかに飛び立つジェットビートル。
成層圏間近、ハイドロジェネートロケットエンジンが点火され、その加速力が一気に増す。
「キャップ、ロケットの調子が素晴らしいじゃないですか」
ハヤタ隊員が驚きの声を上げる。
「うん、予想以上だな」
ムラマツキャップの予想を上回る加速力。さすがはイワモト博士の力作だ。
ビートルは一気に大気圏を突破し、宇宙へと躍り出た。



だが科特隊主力メンバーを乗せたビートルと入れ違いに、
地球にはオオトリから発進したバルタン星人の宇宙船が到達していた。
もちろん侵入者に気付かぬ科特隊と防衛軍ではない。
早速追跡が行われた。追いかけるのはイデ隊員である。

「来たなバルタン!逃げられるものか。こっちは自動追跡装置で追ってるんだ」
イデ隊員にはバルタン星人の襲来が分かっていたようだった。
これまたご自慢の自動追跡装置を積んだ小型ビートルで
執拗にバルタン星人の宇宙船を追いかける。
しかし相手は百戦錬磨のバルタン星人。そう簡単には仕留められない。
宇宙船から無数に現れたかと思うとあっという間にイデ機を取り囲んだ。

「助けて神様!」
いきなりの反撃に戸惑い叫ぶイデ隊員。
本部モニターで状況を監視していたフジ隊員が通信を送る。
「イデ隊員!イデ隊員!!大丈夫?」
だがイデ隊員はそれどころではない。
現状を苦戦と判断したフジ隊員は即座にムラマツキャップに急を知らせた。
「キャップ、キャップ!バルタン星人が現れました。
 イデ隊員が苦戦しています!」
「何!?」
「しまった!バルタンにウラを掻かれた!」
ムラマツキャップもハヤタ隊員も、この時点ではじめてバルタン星人の策に気付いたのである。
しかしすでに時遅し。



「どうします?直ちに地球に引き返しますか?」
アラシ隊員が進言したその時、ハヤタ隊員が前方に浮遊するオオトリを発見した。
「キャップ、オオトリが!」
ビートルの進行方向には、確かに浮遊するオオトリの機影が確認できる。
「フジ君、オオトリを発見した。モウリ博士を救助したら全速力で地球へ戻る」
ムラマツキャップは断を下した。

まずはモウリ博士の救助が先だ。迅速に救助し、一刻も早く地球に戻らねば。
さすがのムラマツキャップもバルタン襲撃に気をとられ、あせりが生じていた。
これが致命傷となった。
「救助カプセル発射用意!」
ビートルの3人はなんの疑いも持たず、オオトリのモウリ博士救出に乗り出したのであった。

地上で苦戦するイデ隊員は、多数のバルタン星人に囲まれ、ここで逆に開き直った。
「こうなりゃ死んだも同然だい。破れかぶれで一丁やってやるか!」
横においてあったご自慢の最新兵器を取り出すと、しっかりと銃座に固定し、
前を飛ぶバルタン星人に狙いを定めたのである。
「マルス133の威力を見よ!」



ついにマルス133がベールを脱いだ。
撃たれたバルタン星人はひとたまりもなく地上へ落下していく。
「あ、当たった!」
気をよくしたイデ隊員。こうなれば調子に乗ってガンガン行くしかない。

大空に大きく旋回し、ビートルを取り囲むバルタン星人と一定距離を作ると、
次々とマルス133で叩き落していく。
その威力たるや、相当なものである。
バルタン星人は一時退却を決め、再び宇宙船に逃げ込み、光波バリアを張り巡らせた。
「くっそ〜!光波バリアだな!」
さすがのマルス133も光波バリアには敵わない。
あと少しのところで。イデ隊員は歯軋りして悔しがった。

ビートルのメンバーはオオトリから無事モウリ博士を救出し、地球への帰還準備を整えていた。
「キャップ、出発します」
ハヤタ隊員が操縦桿を握る。地球に戻ってバルタン星人との戦いだ。
だがビートルが発進した直後、アラシ隊員がモウリ博士の異常に気付いた。
「どうしたんですか?気分でも悪いんですか?」
モウリ博士は何も答えない。
不振に顔をしかめるアラシ隊員。するとモウリ博士はいきなり高笑いをはじめた。



その高笑いと同時にビートルの機体が大きく揺れた。
そう、モウリ博士に乗り移ったバルタン星人が、
重力バランスをコントロールしビートルを航行不能にしたのだ。
「キャップ、操縦桿が利きません」
機内にモウリ博士の高笑いが響く。
コントロールを失ったビートルはそのまま目の前にある小惑星に飲み込まれていったのだった。

なんとか機体をコントロールし小惑星に不時着したビートルだったが、
ムラマツキャップ以下乗組員の受けた衝撃は大きく、不時着と同時に気を失っていた。
最初に気付いたのはハヤタ隊員だった。
「アラシ、大丈夫か?」



その声でムラマツキャップも起き上がる。
後部に乗っていたアラシ隊員はハヤタ隊員に体を揺さぶられ、
意識朦朧としながらも起き上がり周りを見回してハヤタ隊員に尋ねる。
「ここはどこだ。地球か?」
ハヤタ隊員にもそれは分からない。

「博士はどうした?」
ムラマツキャップがモウリ博士の姿がないことに気付いた。
ハヤタ隊員があたりを見回す。
するとなんと、機外前方の岩陰に、モウリ博士が座り込み手を振っているではないか。
「あ、キャップ、あそこです」
あわてて指差すハヤタ隊員。

「ああ、やっぱり地球だったんだ」
モウリ博士が外で元気に手を振っている姿を見たアラシ隊員は
ここが地球であると思い込み、何の調査もせずにビートルから外へ飛び出した。
「おい!」
ハヤタ隊員が制止するが、アラシ隊員は一目散にモウリ博士に駆け寄った。

「モウリさん、モウリさん!」
何の疑いも持たずモウリ博士に近づくアラシ隊員。
しかしモウリ博士は突然立ち上がったかと思うと
両手を前に差し伸ばし再び重力バランスをコントロールし始めたのだ。
激しい重力の波に押しつぶされ、身動きが取れなくなるアラシ隊員。
倒れこむアラシ隊員をそのままに、モウリ博士は岩陰に走りこんだ。
するとそこからは巨大化したバルタン星人が現れ、
次にはビートルを破壊するため再び重力をコントロールし始めたのだった。



ビートルにはハヤタ隊員が残っていた。重力バランスを操られ、吹き飛ばされる寸前のビートル。
その機内でハヤタ隊員は胸ポケットからベータカプセルを取り出し、高々と突き上げたのだった。
ウルトラマンの登場だ。



ウルトラマンは早速戦闘態勢に入った。
バルタン星人の弱点は知っている。
ウルトラマンは空中からいきなりスペシウム光線を放った。



だがバルタン星人の胸部が観音開きになると、
スペシウム光線を胸で受け、はじき返してしまったのだ。
これがスペルゲン反射光だ。はじき返された衝撃でウルトラマンは地上に落下してしまった。
倒れこむウルトラマンに対し、どうだ、と言わんばかりに高笑いをするバルタン星人。



またしても重力バランスを狂わせ、ウルトラマンを苦しめる。
巻き起こる砂嵐。押し寄せる重力の波。
視界もままならず立っていることすら苦しいウルトラマン。
ついに重力に負け、ウルトラマンがしゃがみこんだ。あぶない!

バルタン星人はここぞとばかりにとどめを刺そうと向かってきた。
その時一瞬、重力コントロールが切れた。
その隙をウルトラマンは逃さなかった。片ひざで立ち上がり、
向かってくるバルタン星人めがけて右腕からリング状の光を放ったのだ。
スペシウムエネルギーをリング状にして放つウルトラマンの必殺技、八つ裂き光輪だ。
八つ裂き光輪は見事バルタン星人の体を真っ二つに切り裂いた。
名もない小惑星でのバルタン星人との死闘はウルトラマンの勝利に終わった。



しかしまだ問題は片付いていない。
戦況を見守っていたムラマツキャップはビートルに戻り無線で本部に連絡を入れた。
「こちらは、ウルトラマンが現れてバルタンを倒したんだが、ビートルが役に立たなくなったんだ」



そのころ地球では、バルタン星人が本格的に暴れだしていた。
無数のバルタン星人があたりの施設設備を手当たり次第に破壊しまくる。
もはやイデ隊員一人ではどうしようもない。
ビートルは航行不能でムラマツキャップたちは戻れない。。
頼みのウルトラマンも遠く離れた小惑星にいる。もはや打つ手はない。
このままバルタン星人に侵略を許してしまうのか。

遠い小惑星でバルタン星人を倒したウルトラマンはその場に仁王立ちになった。
なにか力を集中させているようだ。どうするというのだ。
するとウルトラマンの実体が頭から消えていき、地球にその姿を現したではないか!
なんとウルトラマンは27万メートル離れた小惑星から一瞬で地球までテレポートしたのである。



テレポーテーション。ウルトラマンは瞬間的に他の場所へ自分を移しかえる事が出来るのである。
しかしこれを使う事は、彼自身の生命を著しく縮めることになるのだ。

いきなり現れたウルトラマンにバルタン星人は結集。巨大化して戦闘態勢を取った。
再び対峙する両雄。
バルタン星人は瞬間移動でウルトラマンの横に移動、かく乱する作戦に出た。
ウルトラマンは八つ裂き光輪で反撃するが、
バルタン星人の張る光波バリアにはじき返されてしまった。
どうするウルトラマン。



だがウルトラマンはバルタン星人の前に仁王立ちになると、
その両目から特殊光線が放たれ、バルタン星人の光波バリアを消滅させたのだ。
ウルトラ眼光。ウルトラマンの必殺光線だ。



光波バリアを消されたバルタン星人は怒りにまかせて突っ込んでくる。
これを軽々と蹴り返し、間合いを保つウルトラマン。
再び八つ裂き光輪だ。
光波バリアのないバルタン星人はまともに受け、真っ二つに切り裂かれる。
ふたつに裂かれたバルタン星人の体にとどめのスペシウム光線を浴びせるウルトラマン。
勝敗はここに決した。



小惑星では、気を失っているハヤタ隊員がアラシ隊員に介抱されていた。
「まるでコイツ、魂が抜けちまったみたいだな」
「だが大丈夫生きてる。心臓の音だけはするからな」
生命の安全を確認したムラマツキャップが、ゆっくりとハヤタ隊員をビートル機内に寝かせた。

「どっちみちビートルがこうなんたんじゃ、我々だって地球へは戻れないんだし」
そう言うアラシ隊員と顔を見合わせるムラマツキャップ。
今は何も考えが浮かばない。

途方に暮れるムラマツキャップの耳に、遠くからかすかなエンジン音が聞こえてきた。
反射的に外を見るムラマツキャップ。
「おい!あれを見ろ!」
ムラマツキャップの指差す方、はるか上空に白い機影が光って見えた。
イワモト博士のフェニックス号だ!
イワモト博士は科学者としての信念を曲げ、
盟友ムラマツキャップと隊員たちの救出に赴いたのである。



フェニックスにはイワモト博士とフジ隊員、そして科特隊服を身にまとったホシノ少年がいるではないか!
遠い宇宙の小さな小惑星で再会したイワモト博士とムラマツキャップは、
笑顔で力強く握手を交わした。



やがてイワモト博士と科特隊を乗せたフェニックス号は、
地球に帰還するため小惑星を後にした。
白い機影が青い空にいつまでも光り輝いていたのだった。

あとがき

今回は第2話で登場したバルタン星人がまたまた活躍してくれました。
ウルトラマンの永遠のライバルというだけあって
さすがにいろんな策を弄してくれましたが、肉弾戦になると意外と弱いんですね。
あっけなくやられてしまいました(笑)

それと今回はとにかく新兵器や新技が登場しました。
ハイドロジェネートロケットエンジン
マルス133
自動追跡装置
八つ裂き光輪
ウルトラ眼光
テレポーテーション
とまあ大出血サービスです。
あまりに数多い新商品の登場で、紹介するにも一苦労でした(笑)
そういった意味では豪華版だったのかもしれません。

しかし一連の激戦ですっかり忘れていましたが、
モウリ博士はいったいどうなったのでしょう?
小惑星に置いてきちゃったのかな?
全く最後まで謎の博士でした。
どなたかモウリ博士のその後をご存知の方がいらしたらご一報ください。

ということで
次回第17話は、とんでもなくひねくれたこんなやつが活躍してくれます。
ぜひお付き合いください。



今回も長文にお付き合いいただきありがとうございました。

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