EPISODE GUIDE
ULTRA WOLD

第17話前編
by しぃさぁ

とある研究所の一室。
何がしかに没頭する男が一人。
机の上にはこぶし大の青い鉱物が置かれ、男はコンピューターがはじき出すデータに見入っている。



彼の名はイエスタディ。世界的に有名な探険家だ。

しかし・・・
「わ!うわ〜!!助けて〜!!!」
彼がよそ見をした隙に、なんと鉱物が形を変化させ、二本のアンテナのような角を出したのだ。
途端、部屋中がグルグルと回転を始め、やがてイエスタディの姿が部屋から消えた・・・



「あ!?イエスタディさん?」
部屋の異変が収まった時、ドアを開けて入ってきた一人の美女。
イエスタディの姿がないことに気付くが、もちろんどこへ行ったかなど知る由もない。



バローン砂漠から帰った世界的探検家イエスタディ氏が
突然姿を消してから一週間経った。
事件を持ち込まれた科特隊は、早速パリ本部にイエスタディ氏の旅行について調査を依頼した。

パリ本部から連絡が入った。
「キャップ、パリ本部からの通信です」
フジ隊員がデータを手渡す。
「なにか新事実は発見されましたか?」
「先月バローン砂漠で大流砂が起こったっていうのよ」
データを覗き込むイデ隊員に、フジ隊員が調査内容を伝える。

「イエスタディ氏はその時、変わった隕石を持ち帰ったそうだ」
フジ隊員から受け取ったメモをハヤタ隊員に渡すムラマツキャップ。
「しかし彼から何の発表もありませんでしたよ」
受け取ったメモに目を通しながら、ハヤタ隊員は疑問を投げかけた。



「じゃああまり変わった隕石なんで、出し惜しみをしてたんじゃないのかなあ」
アラシ隊員の推測にイデ隊員が反応した。
「するとイエスタディ氏を消したのは・・・」

途中で口をつぐむイデ隊員。アラシ隊員はイデ隊員に近寄る。
「隕石を狙ったやつの仕業だという事になる」
「そう、そして隕石のことを知っているのは」
「彼の一番身近にいた人間だ」
「うん」
二人は他のメンバーなど差し置いて勝手に推理を進めていく。

そして・・・
事情聴取に来たところは・・・イエスタディ氏の研究所。
出迎えるのは、先ほどのあの美人であった。
「アラシ隊員!違うよ!絶対この人犯人じゃないよ!!」



彼女を目にしたイデ隊員はアラシ隊員の袖を引っ張って内緒話。
「オレもそう思う」
二人とも、さっきまでの推理はそんなものか!?
「どうぞ」
そんなことはおかまいなしに、出迎えの女性は二人を中へ招き入れた。

研究所の応接室で会す3人。
「私、イエスタディの秘書をしておりますフジイヨウコです」
「初めまして、イデと申します。あの〜実はですね・・・」
フジイ女史の前でしどろもどろのイデ隊員。
見かねたアラシ隊員が早速に質問をぶつけた。
「いや、あの、早速ですが、イエスタディさんはバローン砂漠から、変わった隕石を持ってこられたそうですね」
「はあ・・・」
「それを見せていただきたいんですけども」
隕石、とは?先ほどイエスタディ氏が何かしらを実験していた、あの鉱物のことか?
確かにあれは怪しい鉱物だ。
「実は、イエスタディと一緒に、隕石もなくなってしまったんです」
「ええ?」
フジイ女史の言葉に驚愕の二人。

室内の空間を捻じ曲げ、高速で回転させてイエスタディ氏の姿を消したあの鉱物=隕石が、
彼と共に姿を消したとは・・・
思わず顔を見合わせるアラシ隊員とイデ隊員であった。

その時、屋敷全体が地震のように激しく揺れだした。
「オワ!」
「おい!表へ出るんだ!」
いつものごとく、ただ驚くばかりのイデ隊員。
アラシ隊員の冷静な判断で、フジイ女史を守りながら3人は外へ出る。
「フジイさんこっちへ早く!」
かろうじて屋敷の外へ出た時、揺れは収まった。

「とまったらしいな」
そう言うとアラシ隊員はここではじめて警戒を解いた。しかし・・・
「あ!あそこだ!」
いきなりイデ隊員が叫び、中庭に向かって同時に走り始めた。
意味も分からずあわてて後を追うアラシ隊員とフジイ女史。

中庭には一人の男が芝生の上に仰向けになって倒れていた。
「イエスタディ」
「イエスタディさん!」
そう、倒れていたのは、先刻姿を消したイエスタディその人。
イデ、アラシの両隊員はイエスタディの両脇を支え、上半身を起こす。



「どこへ行ってたんですか」
アラシ隊員が尋ねるが、目を覚ましたイエスタディ氏は開口一番・・・
「ミスターフクイ!アブナイ!」
な、何!?
「イエスタディ、ミスターフクイがどうしたんですか?」
イデ隊員もイエスタディ氏の言葉が理解できないようだった。

彼の体をゆすって意識をはっきりさせようと試みる。
その後ろで今度はフジイ女史が叫び声を上げた。
あわてて振り返るアラシ、イデ両隊員。
するとイエスタディ氏のすぐ背後から、例のあの隕石が空高く舞い上がっていったではないか!
アゼンとして空飛ぶ隕石を見つめる4人。



「書斎にいたイエスタディさんが、どうしてこんなところに現れたんだろう?」
アラシ隊員にはさっぱりそれがわからない。
イデ隊員がフジイ女史にイエスタディ氏の言葉の意味を聞く。
「お嬢さん、ミスターフクイが危ないって言ってますけれども?」
「彼の親友ですわ。あ!もうひとつの隕石はフクイさんに!」
もうひとつあの物騒な隕石があるのか!?
それはまずい!
「うん、イデ、ここは頼むぞ!」
アラシ隊員はイデ隊員にその場を任せ、自分は早速フクイ氏のもとへと急行したのだった。



「これが、イエスタディ氏から分けていただいた隕石ですけれども」
早速フクイ氏から隕石を見せてもらったアラシ隊員。
イエスタディ氏が所持していた隕石は青だったが、フクイ氏所持の隕石は赤だった。
「ほう・・・これはめずらしい。大変な値打ち物ですね。
 これじゃ狙うやつが出てくるのも無理ないな」
アラシ隊員の自説はフクイ氏を恐怖に陥れるには十分だった。

「じゃあ、イエスタディさんはやはり・・・?」
「ええ。隕石を狙ったやつに襲われたんですよ。きっとそうですよ」
「すると・・・今度は私が・・・」
さすがに不安を隠せないフクイ氏である。
「そこでひとつ、ご相談なんですが、この隕石を我々特捜隊にお預け願えないでしょうか
 いろいろ調査をしてみたいし・・もちろん、保管しておくためですが」
「結構でございます。よろしくお願いします」
自分が襲われるかもしれない恐怖に身をよじるフクイ氏は、
アラシ隊員の申し出にすばやく了承した。

「じゃあ、お預かりいたします」
頭をひとつ下げ、大事そうに隕石を抱えて立ち去ろうとするアラシ隊員。
その腕にすがりつくようにフクイ氏が口を開いた。
「あ、あの・・・私も、保管していただけないでしょうか・・・?」
「はあ?」
何のことだとあっけに取られるアラシ隊員に、フクイ氏は不安の目を向けた。
「いや、心配で・・・」
なるほど、フクイ氏は、アラシ隊員の推理を信じ込み、
自分も襲われるのでは、と思い込んでいたのだった。
「分かりました。保管しましょう」
アラシ隊員は快諾。かくして赤の隕石とフジイ氏は、共に科特隊に保管されることになった。



時同じ頃、一般道を走る1台の車。
軽いカーブを曲がりきったところで、運転手はこぶし大の石ころを発見し、急停止した。
運転手が車から降り、障害物をどかしに来たのだが・・・
「先生、なんでしょう?」
あまりに変わった青い色をした石ころを見て、不思議に思い、車中の上役に手渡した。
「先生、隕石じゃないでしょうか?」
「変わってるね。よし、調べてみよう」
隕石?しかも青い色!?それって、まさか・・・



そんなことは知るはずのないこの二人。隕石をしまうとさっさと車を走らせ研究所へ。
研究所の一室で、さっそく拾った隕石の分析を始めた先生=カワグチ博士。
「おい、ヨシザワ君!」
分析の結果を見るなり、大声で助手のフジサワ氏を呼び出した。
博士のその顔はなぜか青ざめている。
だが、その隙に・・・



あの隕石がまたも動き出し、怪光を発したかと思うと、2本のアンテナを伸ばしたのだ。
とたんに部屋全体がゆがみだし、カワグチ博士の体は自由ままならなくなってしまった。
「わ!、うわ!!」
必死にもがき、助けを呼ぶカワグチ博士。
しかしその声は声にならず、体は自由を奪われ、完全に異次元に取り込まれてしまったのだった。



カワグチ博士の声を聞きつけ、駆けつけたフジサワ氏。
急いで研究室のドアを開けるが、次の瞬間・・・
彼はその状況に愕然となった。
なんと、研究室のドアの向こうには、そこにあるはずの研究室の風景ではなく、
あきらかに異次元・・そう、まるで月面のような風景があったのだ。

時空のねじれ。
四次元の世界だ。

フジサワ氏はからがらにその場を脱出。すぐさま科特隊に緊急通報を入れた。

「はい、科特隊本部。え?カワグチ研究所ですね?了解!」
通報を受け取ったフジ隊員はすぐさま振り向きムラマツキャップに急を伝えた。
「キャップ、カワグチ熱線研究所に異変が起こっているそうです」
「よし、ハヤタ来い!」
即座に行動を開始するムラマツキャップ。

しかし、ここに納得しないもの約2名。
「あ、キャップ、ボクたちは?」
アラシ隊員とイデ隊員だ。
「二人はその隕石を保管室にしまい。厳重に監視するんだ」



出動したいと渋る二人に、キャップは厳命を下した。
「いやあの、キャップ!」
それでも未練を見せる二人をそのままに、
ムラマツキャップとハヤタ隊員は現場へ急行してしまった。

置き去りにされたアラシ、イデの両隊員は渋々と、
本部に持ち帰った不気味な隕石を保管室にしまいに行った。

一人残ったフジ隊員はコンピューター相手に大忙し。
そのフジ隊員の肩を軽く叩く小さな手。
「ホシノ君!」
気付けばいつのまにかホシノ少年が後ろに立っていたのだ。
「大事件が起こってるんだね。話はみんな聞いちゃったんだ」
前回の活躍ですっかり味をしめたホシノ少年。今回も活躍してやろうと意気揚々。



そんな彼の意気込みを見抜いたフジ隊員が釘をさす。
「でも、おとなしくしてたほうがいいわ。今回は子供の手には負えない事件なのよ」
「そんなにバカにしないでよ!」
「あ、どこいくの?」
「ボクだって遊んでるわけにはいかないよ」
「ホシノ君!」
見事に鼻をへし折られ、悔しさをあらわにしながら外へと飛び出すホシノ少年。
一体どこへ?

カワグチ研究所に到着したムラマツキャップとハヤタ隊員は、
早速フジサワ氏に案内され、例の奇怪なドアへと向かった。
「信じられないことですが・・・実験室へのこのドアを開けると・・」
フジサワ氏がそっとドアを開けると・・・
「ああっ!?」
なんということだ!?そこには元通り、きちんと研究室があるではないか!
今度は当たり前の現象におどろくフジサワ氏。
あっけにとられるムラマツキャップとハヤタ隊員。

しかし、これこそが例の隕石の仕掛けた罠だった。
隕石は、3人が室内に完全に入ったのを確認したかのように再び姿を現し、
またしても怪光を浴びせ、室内を異次元に陥れたのだった。

「うわ〜〜〜!!!!」
恐怖におののき逃げ出すフジサワ氏。
今入ってきたばかりの「例のドア」を開け、部屋の外に出ると・・・

そこはなんと・・・

場外!!!



いつの間にやらドアの向こうは研究所の中庭とつながってしまっていたのだ。
いきなり急斜面に放り出されてしまったフジサワ氏はコロコロと坂を転げ落ちていく。

一方室内では、危険な隕石をハヤタ隊員がいち早く捕獲。
ムラマツキャップが無線で本部と交信するところだった。
「こちらムラマツ。科特隊応答せよ。科特隊応答せよ!」
無線が通じない!?
隕石を小脇に抱えたハヤタ隊員が駆け寄ってきた。
「キャップ、無駄です。ここは四次元の世界になってしまったんですよ」
「くそ〜」
「そうか!イエスタディ氏も四次元の世界に閉じ込められていたんだ」
ハヤタ隊員はここではじめて全ての謎を理解した。
この隕石は物体や空間を四次元の世界にに送り込むことが出来るのだ!

「キャップ、応答せよ!ハヤタさん!!」
本部からはフジ隊員が必死に呼びかける。



しかし当然のことながら応答はない。
「キャップ、キャップ!ダメだ・・・」
イデ隊員がレシーバーを取り、呼びかけてみるが、それでもなんの応答もない。
「イデ、行ってみよう」
アラシ隊員が緊急出動を持ちかけた。
イデ隊員はレシーバーをフジ隊員の手に戻すと、
アラシ隊員と共にカワグチ研究所へと向かった。

異次元に取り込まれてしまった研究所では、ハヤタ隊員が隕石を研究所の外へ放り投げようとしていた。
「待てハヤタ!」
あわててハヤタ隊員の腕をつかみ制止するムラマツキャップだが、
「キャップ、こいつをここから外へ出すことです」
それ以外にこの状況を打開する策はないと知っているかのように、
ハヤタ隊員はムラマツキャップの制止を振り切り、隕石を外へと放り投げた。

「お〜い!誰か!?誰か来てくれ〜!」
突然部屋の奥から大きな声がした。カワグチ博士だ。
二人は研究室へ駆けつける。
室内ではカワグチ博士がいまだにもがいている。
しかし部屋の中は正常。やはり隕石を外に捨てたのが功を奏したのか?
「カワグチさん、どうしたんですか!?」
ムラマツキャップの言葉でやっと自分の体の自由が利くことに気付いたカワグチ博士であった。

研究所に到着したアラシ隊員とイデ隊員は偶然、さっきハヤタ隊員が外に投げ捨てた隕石を発見した。
「こいつ、人騒がせなやつだな」
イデ隊員が拾い上げ、憎々しげに睨みつける。
ちょうどそこへムラマツキャップたちがカワグチ博士を保護して研究所から出てきた。
キャップの姿を視界に入れたアラシ隊員はすぐさま走り寄る。



「ああ、キャップ!なんだ、無事だったんですか」
「そんな残念そうな顔するな」
さすがのムラマツキャップも少々お疲れ気味のようだ。
「さあ、代わりましょう」
アラシ隊員にカワグチ博士を任せ、ムラマツキャップは隕石を抱えるイデ隊員の元に歩み寄る。
「これで物騒な隕石がふたつそろったわけだ」
「うん・・なにか分かるかもしれん。帰って調べよう」
イデ隊員から隕石を受け取るムラマツキャップ。
ひとまずは落ち着いた。科特隊はカワグチ博士を伴い、本部へ帰還した。



本部から飛び出したホシノ少年は、イエスタディ氏のところに聞き込みに来ていた。
さすがは未来の科特隊を夢見るスーパー少年。目のつけどころが違う。

突然の訪問にも関わらず、イエスタディ氏はホシノ少年に隕石の謎を語り始めた。
「あの隕石は二つある。けれども、合わせるとひとつになります」
「おもちゃみたいですね」
だがイエスタディ氏は顔を引き締めてホシノ少年をたしなめるように言った。
「おもちゃなんてとんでもない!ひとつになると恐ろしい。私はそう思います」
「ひとつにすると、どうして恐ろしいことが起こるんですか?」
それはイエスタディ氏にもまだ分かっていないようだ。
イエスタディ氏はそこで考え込み、口をつぐんでしまった。



時同じく、科特隊本部でも隕石の謎を話し合っていた。
「どうしてこれが恐ろしい事件を起こしたのかしら?」
「きっと、ふたつに分かれていたからだろう」
「じゃあ、これでひとつにまとまったし、万事、めでたしめでたしっていうところですね」
事もあろうか本部では、イエスタディ氏と正反対の結論が出てしまった。



「しかし、今後のこともありますので、早く処置していただいた方が」
「はい。イエスタディも異存ないと思います」
「とりあえずバリアケースに保管しておいて、処理の方法を慎重に考えましょう」
カワグチ博士とフジイ女史にも要望され、ひとまずその場をまとめるムラマツキャップ。

キャップの言葉で全員が、バリアケースの隕石をそのままにその場から立ち去った。
しかし、人の気配がなくなったことを察知したふたつの隕石は
ケースの中でそっと音も立てずに融合しようと動き出したのである。

後編に続く

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