EPISODE GUIDE
ULTRA WORLD
第18話中編
by しぃさぁ

どうすれば信頼を得られるかと問うザラブ星人に対し、
今我々を苦しめている霧を消してくれれば信用する、と持ちかけたムラマツキャップ。
ザラブ星人は早速殺人霧を消すために市街へと輸送された。

ゆっくりと車を降り、人気のない歩道に静かに立つザラブ星人。
万一に備え、科特隊が周りを取り囲む。
だがザラブ星人はそんなことはお構いなしで、足音も立てず静かに路上に立つ。



じっと霧を見つめるザラブ星人。
そっと両腕を目の高さまで上げ静止させる。
そして次には力を込めて目の高さまで上げた両腕を大きく開いて見せた。
するとどうだろう。今まで立ち込めていた殺人霧が見る見るうちに上空に立ち昇り、
地上から消えていったのである。

霧はどんどん地上を離れ、はるか上空へと登っていく。
呆然とあたりを見回す科特隊メンバー。
いくらの時もかけぬうち、地上は正常な空気のみが張り詰めていた。



上空へと登っていった霧は、
ハヤタ隊員が調査中の土星探索ロケットらしきものを包み込んでいた。
霧はすっかりとロケットを包み込み、ロケットはそのまま宇宙空間へと姿を消した。

いきなり現れた霧に包まれ姿を消した。偶然の出来事なのだろうか。
ハヤタ隊員は無線を握った。
「ハヤタより本部へ。霧のためロケットを見失った。燃料が足りないのでひとまず帰還する」
まさかその霧が先ほどまで地上で猛威を振るったあの殺人霧だったとは
さすがのハヤタ隊員も想像できなかった。



約束どおり霧を晴らしたことでムラマツキャップの信頼を得たザラブ星人は、
科学特捜隊の客として一室を与えられた。
イデ隊員の案内で客間へと案内されるザラブ星人。
「宇宙の長旅でお疲れでしょう。どうぞごゆっくりお休みください」
しかしイデ隊員がザラブ星人の方を向いた瞬間、
ザラブ星人がイデ隊員の頭の上に左手を振りかざした。



その手の先からイデ隊員の頭部に向けて、なにやら強い超音波が発信された。
「うわあ!!」
思わず悲鳴をあげるイデ隊員。
だがイデ隊員は倒れこんだわけではなく、
「はい、おっしゃるとおりにいたします」
そう答えると、うつろになった目でザラブ星人の前に立ち尽くすのだったのだ。

翌日、ムラマツキャップはハヤタ、イデ、フジの3隊員を伴い、
宇宙局の秘密会議に出席していた。
議題はもちろん、ザラブ星人の処遇についてだった。



「以上のようなわけで、昨夜から、科学特捜隊で保護しています」
報告を済ませたムラマツキャップに上層部から質問が浴びせられる。
「大丈夫かね、君」
「我々より進んだ文明を持った宇宙人であるというのは確かかね?」

それらの質問に答えたのは、ムラマツキャップ派のモリタ博士だった。
「昔から、文明の進んだ種族の方が、行動範囲も広いものです
 我々はまだ、土星にも行き着きませんが、彼は他の銀河系からやってきたんです
 当然、それだけの進んだ科学を持っているものと思われます」
雄弁なモリタ博士の回答に、一時の納得を見せる上層部のメンバーであった。

そのころ本部ではアラシ隊員ひとり居残りで、コンピューターを前に緊急に備えていた。
計器をいじり、周波数を合わせて情報がないかを確認している。
そんなアラシ隊員の前に、フジ隊員がコーヒーを片手に入室してきた。
「コーヒーをどうぞ」

「うん・・・おや?君は宇宙局の会議に行ってたんじゃないのかい?」
そういいながらもたいして気に留めず、
笑顔でカップを受け取り一息に飲み干すアラシ隊員。
コーヒーカップはすぐに空となり、アラシ隊員は満足顔である。
そしてゆっくりと目をつぶり、前のめりにイスから崩れ落ちたのであった。



不敵に笑うフジ隊員。その姿はやがてザラブ星人の姿へと変わっていった。
ザラブ星人には変身能力があったのだ。
邪魔なアラシ隊員は睡眠薬のおかげで昏睡状態に陥った。
ザラブ星人は悠然とコンピューターの前に座り、受信機のスイッチをONにした。

スピーカーからは宇宙局で開催されている秘密会議の音声が聞こえてきた。
いわゆる盗聴である。しかしどこから傍受しているのだろう。
ザラブ星人に傍受されていることなど全く知らない宇宙局では、
ザラブ星人に対しての方針を宇宙局長官が結論づけたところだった。

「そんな重要な生物だとすると、悪い者にさらわれたり、利用されたりすると一大事だ。
 早速、ボディガードをつけて守らなければ」
最後方で会議の成り行きを見守るハヤタ隊員だったが、
ふと横を見たとき、小さな異変に気がついた。
「イデ、無線のアンテナをしまっとけ」
イデ隊員の胸の通信機のアンテナが立っている。通信中になっているのだ。
ハヤタ隊員にたしなめられ、そっとアンテナをしまうイデ隊員。
しかしその目はうつろで生気がない。



会議は進行する。
「ムラマツ君。ザラブ星人が日本にいることを出来るだけ隠しておきたい。
 世界中で彼を欲しがることだろう」
「ハッ」
「しかし彼がもし進んだ知識を持っているとすれば、
 地球全体の進歩に役立てるべきではないでしょうか」
タカ派とハト派の意見がぶつかる中、ハヤタ隊員はイデ隊員に不信感を抱いていた。
ハヤタ隊員はもはや会議などを見ず、イデ隊員に注意を注ぐ。

するとイデ隊員は、今しまったばかりの通信機のアンテナを、
ハヤタ隊員が見ている前で、また伸ばしたのだ。
通信中。これは明らかにおかしい。
ハヤタ隊員はイデ隊員の通信機を胸からむしり取った。



「イデ!これは秘密会議なんだ。間違って伝われば世界が騒ぎ出す。
 それが分かっていながらおかしいぞ今日のお前は」
ハヤタ隊員に強く叱られても、うつろな目をしてただ立ちつくすイデ隊員。

会議終了後、ムラマツキャップ、イデ隊員、そしてハヤタ隊員の向かった先は、
防衛軍専属病院脳神経外科だった。
ハヤタ隊員の報告を重く見たムラマツキャップが、
イデ隊員の検査をする事を決断したためだった。

そして脳波を調査した担当医師の口から驚くべき言葉が飛び出した。
「何者かに催眠術をかけられていますね。
 電気ショックをやる以外に早く治す方法はありません」
しかしムラマツキャップは、さもあらんかなという表情で医師に返答する。
「それでは、よろしくお願いします」



それはハヤタ隊員から報告を受けた時から、ムラマツキャップの予測にあったことだった。
イデ隊員をコントロールしたのは誰なのか、ムラマツキャップにはそれすら予測が立っていた。
ただ、当たって欲しくない。
当たったとすれば、それはとても恐ろしいことだ。

隊員たちに悟られまいと、必至に動揺を押さえ込もうとするムラマツキャップの顔は、
冷静なハヤタ隊員さえも気付かないほど小さく、苦痛にゆがんだ。

イデ隊員を専属医師に任せ、ムラマツキャップたちは一旦本部へ戻ることにした。
本部に到着し一息つこうとすると、そこではアラシ隊員が言い争いをしている真っ最中だった。
「しかしねえ、キャップが帰ってこないと我々の一存では引き渡せないんですよ」
「いや、しかし会議の時では我々の方で引き取ってもいいと結論が出たんだ」
相手は宇宙局局員だった。

どうやらムラマツキャップの留守を狙い、ザラブ星人を引き取りに来た模様だ。
しかし両者の話の内容を聞くなりムラマツキャップはすぐさまアラシ隊員の前に飛び出し、
宇宙局局員と対峙し、異を唱えた。
「それは話が違う!私は反対したはずだ。
 理由は、宇宙局のような科学の中心グループのいるところに彼を送って、
 学者グループの身に万一のことがあったらという心配。
 第二に、彼はこの電子頭脳を使わなければ我々と話が出来ない」



しかし宇宙局も簡単には引き下がらない。
「宇宙局にも電子頭脳はありますよ」
「しかし、宇宙語を地球語に翻訳できる装置がついた電子頭脳はこれだけだ」
言い争いは平行線。両者がにらみ合った。

ムラマツキャップの背後のドアが音もなく開き、ザラブ星人が入室してきた。
と同時に本部内の電子コンピューターがいきなりショートし始めた。
「どうした!」
大きな音と火花を散らすコンピューター。驚いて逃げる宇宙局員。
ショートした回路を正常に戻そうと、あわててコンピューター操作に取り掛かるハヤタ隊員。
フジ隊員と二人、懸命に操作するがどうにもならない。

「切れ!電源を切るんだ!」
二人の背後からムラマツキャップが叫ぶ。
ハヤタ隊員がメインスイッチをオフにすると、やっとコンピューターの火花は収まった。
「私は宇宙局へ行く」
ザラブ星人がつぶやくように宇宙局員に話しかけた。

コンピューターの電源を切ったはずなのに、話しかけてきた。
ムラマツキャップは驚愕の表情でザラブ星人に問いかけた。
「電子頭脳がなくても話すことができるのか?」
「私は、携帯用電子頭脳を作った。
 小型だが、あれより出力の大きい原子発電機がついている」
見ればザラブ星人の手には、小さな箱型のコンピューターらしきものがある。
唖然とする隊員たち。



ムラマツキャップも唖然とし、ただザラブ星人の顔を見つめるしかなかった。
ザラブ星人がコンピューターショートの謎を説明する。
「君たちのラジオを送電線の下へ持っていくと、聞こえなくなったり雑音が入る。
 それと同じ現象が起こったのだ」
それだけ言うとザラブ星人は宇宙局員の方を向き言い放った。
「行こう、宇宙局へ」

いきなり常識をはるかに超える機械を見せ付けられ、説明されても理解できない。
隊員たちはなすすべなく、部屋から出て行くザラブ星人と宇宙局員をただ見守る事しか出来ずにいる。
ザラブ星人の背を見つめ、ムラマツキャップがうめいた。
「恐るべきヤツだ。あの力がいい方にむいてくれればいいんだが」

「ちょっと気になるなあ・・・キャップ、私に彼を調べさせてください」
ムラマツキャップに志願するハヤタ隊員。
どの道今は策がない。ムラマツキャップは真相究明をハヤタ隊員に託すことにした。

本部の外ではアラシ隊員とイデ隊員が張り込み。
そしてビートル格納庫ではハヤタ隊員がスタンバイしている。
ザラブ星人の行動を探るべく、フォーメーションを組んで待機する科特隊。

「まだ何事も起こらない」
アラシ隊員の声がスピーカーから聞こえる。
「あ、現れた!」
イデ隊員の声に、ハヤタ隊員は操縦桿を握り締める。
「空へ飛び上がったぞ」
アラシ隊員の通信が合図となった。
「了解。出動する」
ハヤタ隊員はビートルの機体を闇夜に浮かべた。
追跡開始だ。



ザラブ星人はものすごいスピードで空を飛び、宇宙空間へと向かっていく。
ハヤタ機もこれを追従。逃がしてはならない。
やがてザラブ星人を追ってビートルは宇宙空間へ。
そして、宇宙空間でハヤタ隊員が見たものは、
あの、毒霧にまぎれて姿を消した、土星探索ロケットだった。

ザラブ星人はビートルに気付く様子もなく、
何のためらいもなくロケット内部に入っていったのであった。
ハヤタ隊員はビートルのエンジンを止め、宇宙服を着込み、
宇宙遊泳でロケットに近づいていった。

ロケット船体に張り付き、小窓から中の様子をうかがうと、
船内では、行方不明だった乗組員達がザラブ星人に催眠術をかけられ、
何がしかを命令され、ふらふらと立ち上がっていた。
「これがあいつの正体なんだ。ほっとけばやがて地球もこうなる」



これだけ見れば十分だった。
やはりザラブ星人は、地球と和平を、などとは考えていないのだ。
ハヤタ隊員はすぐさまロケットを離れ、ビートルに帰還。
地球へ戻るため、エンジンを点火した。

ところが・・・
ビートルのエンジンが急に停止してしまった。
燃料切れ?計器を見やるハヤタ隊員。
再びエンジン点火しようとレバーを握り締めたハヤタ隊員の手を、
後ろからいきなり何者かがつかんだ。

驚いて振り向くハヤタ隊員。
ザラブ星人だ。
いつの間にかザラブ星人がビートルに乗り込んでいたのだ。
「ハヤタ君。好奇心は身を滅ぼす。君は多くのことを知りすぎたようだ」
ザラブ星人は、ハヤタ隊員が追跡していたことを知りながら、
わざと知らぬふりをしていたのだった。



「現れたな!ザラブ星人!!
 君は土星ロケット乗組員と同じように、この地球を支配する気だな!」
勇猛果敢なハヤタ隊員は、臆することなくザラブ星人に問い質した
「そのとおりだ。私の狙った星はみな互いに戦い滅んでいった」
「えっ!?どうしてそんなひどいことを!」

「私はそうするために生まれてきた。そうすることが私の仕事なのだ。
 ただ地球には科学特捜隊とウルトラマンがいる。
 このふたつをなくしてしまわないと、私の思うとおり、地球を支配できない!」
落ち着き払い、ハヤタ隊員の横に腰掛けて、
動揺することすらなくザラブ星人は真相を話して聞かせる。

「そうはさせんぞ!キャップ、キャップ!」
ハヤタ隊員はいきり立ち、本部に連絡を取ろうと無線を握り締める。・・・が・・
「無線は使えないよ」
ザラブ星人はあざ笑う。全てザラブ星人の思惑通りに事が進んでいる。
「くそー!」
「君は私のものだ、ウルトラマン」
「ええっ!?」
ハヤタ隊員の顔色が変わった。

「眠ってもらおうか、ウルトラマン」
言うが早いかザラブ星人はハヤタ隊員の頭の上に手をかざした。
強力な超音波がハヤタ隊員を襲う。
そしてなんの抵抗も出来ないままに、ハヤタ隊員は気を失い倒れ込む。



倒れるハヤタ隊員の体をしっかり受け止め、
ザラブ星人は今度はビートルの計器に向かい超音波を発した。
計器は狂い、ビートルは地上に向けて落下し始める。
そしてザラブ星人は気を失ったハヤタ隊員を小脇に抱えると、
ビートル機内からテレポーテーションで姿を消したのである。

(後編に続く)

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