EPISODE GUIDE
ULTRA WORLD
第18話後編
by しぃさぁ

ザラブ星人の超音波でメカニズムを狂わされたビートルが、
闇夜を切り裂き地上に落下、市街地に墜落した。

「キャップ、ビートルが墜落しました」
「なに?!」
ムラマツキャップが蒼白な顔で立ち上がった。
ハヤタ隊員がそんな事故に見舞われることなど考えてもみなかっただけに、
ムラマツキャップのショックは計り知れなかった。

「救助に行けアラシ」
「はい!」
ムラマツキャップの即座の命令。苦汁の顔で本部を飛び出すアラシ隊員。
だがこの時ハヤタ隊員がザラブ星人にさらわれたことなど、
知る由もないムラマツキャップと科特隊である。
途方に暮れるフジ隊員とホシノ少年を前に深刻な面持ちのムラマツキャップは、
脱力感に襲われ、そのまま力なくイスに座った。

電話が鳴る。
自然に体が反応するムラマツキャップ。
だがその電話の内容は、ムラマツキャップを更なる悪夢に誘い込んだのだ。
「はい?ウルトラマンが現れた?街を破壊してる!?そんなバカな」
茫然自失のムラマツキャップは受話器を手に立ちすくんだ。



ちょうどその時、電気ショックにより催眠を解かれ
退院したイデ隊員が本部に戻ってきた。
「ウルトラマンが現れたって?事件ですか?キャップ」
電話の内容を把握しきれていないイデ隊員にフジ隊員がかみついた。
「イデ隊員、本当に治ったの?まだおかしいんじゃない?大変なのよ、今」
「先生がもう帰ってもいいって言ったんだ・・・」
そんなフジ隊員とイデ隊員の会話も耳に入らないほどムラマツキャップはショックを受けていた。
この時こっそり本部から抜け出したホシノ少年のことなど誰も気付かない。

宇宙局では緊急会議の真っ最中だった。
もちろん議題はウルトラマンだ。

情報部より最新の情報がもたらされた。
「ウルトラマンが消えました」
「消えた?」
こちらのメンバーもあまりに以外な出来事に対応が出来ないでいる。
そこへ姿を現したのは、なんとあのザラブ星人だった。
「みなさん、ウルトラマンが暴れてるそうですね」



手には小型電子頭脳を持ち、ざわつく幹部たちに平然と語りかける。
「いつも怪獣が現れれば真っ先に出動する科学特捜隊が出動しないのはなぜでしょうか?
 ウルトラマンこそ地球制服を狙う宇宙人ではないでしょうか?
 そして科学特捜隊もウルトラマンを応援しているのではないか?」

これに対し真っ向から反論したのはモリタ博士だ。
モリタ博士は立ち上がり、ザラブ星人を睨みつけた。
「そんなバカな!私は彼らの親友だ!
 科学特捜隊は地球の正義と平和を守る、我等のヒーローなんだ
 そんなことをするわけがない」
モリタ博士の怒鳴り声が会議室に響く。
それでもザラブ星人は動じることはない。
むしろその反論があることを予期していたかのように高笑いをすると、
モリタ博士と閣僚たちに冷静に言葉を返した。

「今度ウルトラマンが現れたら、科学特捜隊に出動命令を出してみることですな
 そうすればわかります」
それだけ言い切るとザラブ星人はメンバーに背を向け隣室へと消えた。

隣室には、そこにはなんと、特殊合金ベルトで体を縛られたハヤタ隊員がいるではないか。
ザラブ星人はしゃがみこみ、ハヤタ隊員に言葉を向ける。
「ウルトラマン、君がウルトラマンになるにはベータカプセルがいるはず」
そういうとザラブ星人はハヤタ隊員の胸ポケットをまさぐり始める。



しかし、ベータカプセルはそこにはなかった。
ザラブ星人の口調が変わった。
「どこへ隠した?」
わずかな動揺を見せ、ベータカプセルを探すザラブ星人。
しかし目当てのものは見つからない。

「ない!君はベータカプセルを持っていない。どこへやったのだ!」
合金ベルトが体に食い込み、もがき苦しむハヤタ隊員。
その姿に薄笑いを浮かべるザラブ星人。
「暴れれば暴れるほどそのベルトは強く締まり、ついには君の体を切ってしまうんだよ。
 とにかく、君は今ウルトラマンになれない事だけはわかった。
 もう君に用はない。地球は私がいただく」

ザラブ星人にとっては、ベータカプセルがあろうがなかろうが、
ウルトラマンさえ出てこなければそれでいいのである。
咄嗟に作戦を変更し、身動きできないハヤタ隊員をそのままにザラブ星人は姿を消す。
ザラブ星人の気配がなくなり半身起き上がるハヤタ隊員だが、
相変わらず特殊合金ベルトが体の自由を奪う。
このままでは追跡などとても無理だ。
ハヤタ隊員はなんとかベルトを切断しようと必至にもがいた。

だがこの時強い味方が現れた。
どこでどう居場所を突き止めたのか、ハヤタ隊員の背後の窓から、
先ほどそっと本部を抜け出したホシノ少年が、
屋上から垂らしたロープを伝って侵入してきたのだ。



「あ、ハヤタさん」
「おお!ホシノ君!!」
突然のホシノ少年の登場にハヤタ隊員に笑顔が戻る。
ホシノ少年が窓から勢いよく室内に飛び込み、早速現状を報告した。
「ハヤタさん、ウルトラマンが悪いことをしているんだ。どうしよう」
「ウルトラマンが!?」
ハヤタ隊員が驚き体をよじった時、特殊ベルトが更なる強さで体を締めつける。

「早くこれを切るんだ!」
苦痛に耐え、うめくようにホシノ少年に命じるハヤタ隊員。
ホシノ少年は早速、持ってきた道具をかばんから出して床に並べる。
ペンチ、かなづち、ドラーバー、ベータカプセル・・・
ベータカプセル!



「ホシノ君、君はこれを・・・」
「ああ、ハヤタさんが忘れたてったから持ってきてあげたんだよ」
ホシノ少年の機転で再びハヤタ隊員の元に戻ったベータカプセル。
「そうだったのか、ありがとう」

早速ペンチでベルトを切ろうと意気込むホシノ少年。
だが切れない。
ザラブ星人の作った特殊合金だ。そう簡単に切れるものではない。
「早く切るんだ」
ハヤタ隊員もホシノ少年も焦りだけが先行する。

その頃夜の市街地では、再びウルトラマンが姿を現した。
ハヤタ隊員たちのいる宇宙局から程近い所で、手当たり次第に町を破壊し始める。
すぐさま科特隊に通報が入った。
「ウルトラマンがまた現れた?宇宙局のそば!?わかりました」




ムラマツキャップの応答に、隊員たちは即座に集合する。
「キャップ、どうするんですか」
「キャップ」
熟考するムラマツキャップは隊員たちの言葉に意を決し、ついに苦汁の決断を下した。
「たとえウルトラマンでも、この地球上で暴力を振るう者とは戦わなければならん」
隊員たちを前に自らの考えを示すムラマツキャップ。
ウルトラマン対科学特捜隊。ありえない、あってはならない戦闘が今ここに始まろうとしていた。



「まだかホシノ君」
一刻の猶予もないとせかすハヤタ隊員。
しかしホシノ少年は特殊ベルト切断に手こずるばかりである。
「ダメだよ、どうしても切れないよ」
焦りばかりが先に立ち、涙ながらにペンチを握るホシノ少年。
その間にもウルトラマンは手当たり次第に町を破壊し、
出動した防衛軍をも蹴散らさんとしている。

しかし、切れない。
こんな一大事に役に立たない。
焦りと悔しさで大粒の涙がホシノ少年の頬を伝う。
その涙がベルトに落ちる。一粒、そして二粒・・・
するとホシノ少年の涙はベルトに染み込み、なんと特殊合金を溶かしたのだった。



切れた!
ハヤタ隊員が自由に動ける。
ハヤタ隊員は早速立ち上がり、ホシノ少年に非難を促した。
「ホシノ君、ここにいては危ない。早く逃げろ!」
「でもハヤタさん」
「ホシノ君、いい子だから言う事を聞くんだ。
 君の事を心配していてはボクは戦えない」
「わかりました。ハヤタさん、がんばってね」
ハヤタ隊員の言う事をきっちりと聞き分け、その手にベータカプセルを手渡すと、
ホシノ少年は先ほど部屋に侵入してきたロープを伝い、地上に降りようと試みた。

しかし、ホシノ少年がロープをつかんだちょうどその時、
町を破壊しながら進んできたウルトラマンが宇宙局の前に立っていた。
ウルトラマンはロープにつかまり宙吊りになっているホシノ少年を発見してしまったのだ。
そして窓から地上に降りようとロープにしがみついているホシノ少年を、
ロープごとつまみ上げたのだった。



ウルトラマンにつまみあげられ、地上数十メートルの高さで必至にロープにしがみつくホシノ少年。
「ウルトラマン!やめて〜!ウルトラマン!!」
地上では科特隊と防衛軍が見守るがどうすることも出来ない。
ホシノ少年の運命はウルトラマンの気持ちひとつだった。
手にしたロープにしがみつくホシノ少年をただ黙って見つめるウルトラマン。

その時、宇宙局の一室からまばゆいばかりの閃光があたりを包んだ。
ハヤタ隊員がベータカプセルと高々と突き上げたのだ。



本物のウルトラマンの登場だ!
砂塵の中から現れたウルトラマンはいつの間にか
ウルトラマン=ニセウルトラマンの真正面に立っていた。
そしてホシノ少年を救出すべく、ニセウルトラマンの腕をがっちりと掴んだのだった。
そしてウルトラマンは、いとも簡単にニセウルトラマンからホシノ少年を奪回すると、
そっと優しく地上に降ろしたのである。



地上では、ホシノ少年を可愛がっているアラシ隊員が救助に赴いた。
「さあ、ホシノ君」
ホシノ少年の体をがっちり抱え、安全圏に連れて行くアラシ隊員。
そしてこの時、科特隊にはもう全てが分かっていたのだった。
町を破壊したのは偽者のウルトラマンで、そいつの正体が誰なのかと言うことも。



ウルトラマン同士の戦いは続く。だがニセウルトラマンは分が悪い。
本物のウルトラマンにボディブローを打たれ、
脳天にウルトラチョップを喰らうと、そこでもう戦意喪失。
あわてて逃げようと空へ飛び上がる。

その飛び上がった瞬間、体が伸びきった瞬間が命取りだった。
ウルトラマンは、ニセウルトラマンのすきだらけのボディに
超至近距離からスペシウム光線を叩き込む。



その衝撃で頭から地上に落下したニセウルトラマンはもがき苦しむのみだ。
そして・・・
その姿はいつしかザラブ星人の姿へと変わっていったのだった。
「やっぱりヤツの仕業だったのか」
ホシノ少年を背に隠し、アラシ隊員が怒り心頭でスパイダーを握り締めれば、
「思ったとおりだ」
ムラマツキャップの怒りも沸点に達し、紅潮した顔でザラブ星人を睨みつけた。



なんとか立ち上がったザラブ星人はウルトラマンに対し、最後の抵抗を試みる。
ウルトラマンの頭に手を掲げると、超音波ショックを与えウルトラマンを苦しめようとした。
ウルトラマンに一瞬の隙が出来た。ザラブ星人はその隙に空へと舞い上がった。

やはり逃げるしかない。
ウルトラマンにはかなわないと知ったザラブ星人は、宇宙空間に逃亡を開始した。
もちろんそれを見逃すウルトラマンではない。
一目散に逃亡しようとするザラブ星人をしかと見据えると、自らも空へと舞い上がる。
そのスピード、速い早い!

すぐさま空中でザラブ星人と組み合うウルトラマン。
激しくもみ合い、殴りあい、そして組み合ったまま地上に落下してくる。
双方一歩も譲らぬ激しい空中戦だ。
しかしこのままでは地面に叩きつけられてしまう。危ない、ウルトラマン!

だがウルトラマンは冷静だった。
落下寸前にザラブ星人を下にして地面に叩きつけ、大きな衝撃を与えたのである。
さすがのザラブ星人もここまでだった。
もはや立ち上がる力なく、倒れこんだまま、ウルトラチョップをまともに受けグロッキー。

そして、ウルトラマンは立ち上がってザラブ星人と間合いを取った。
スペシウム光線だ。



もはや身動きの取れないザラブ星人はまともにこれを受け炎上。
ウルトラマンの大勝利だ!



全てが終わり平和が戻った。満足そうにウルトラマンが夜空へ飛び上がった。
「やっぱりウルトラマンは、正義の味方だったんだ」
最後までウルトラマンを信じきったホシノ少年が笑顔で叫ぶ。
空の彼方に飛んでいくウルトラマンの姿をいつまでも見つめていたホシノ少年と科特隊であった。

あとがき
今回はウルトラワールド史上初の3部作となりまして、
管理者である私も全くの想定外の展開となってしまいました。

当初はいつもどおり前後編で行く予定だったのですが、
骨組みが完成した時点ですでにものすごく長いものになってしまっていたため、
急きょ3部作に変更となってしまいました。
なんでこんなになったんだろ???

ということで、今回はザラブ星人が活躍してくれました。
ウルトラマンでは、バルタン星人に次いで二人目の「宇宙人」の登場です。
科学力と知識に優れ、ムラマツキャップやモリタ博士を震撼させました。

ですが今回はいくつかの疑問が残りました。
夢を壊すような疑問ですが、ちょっと書いてみたいと思います。

@
「ザラブ星人は一人しかいないのか?」
第8銀河系にあるザラブ星から来たと本文にはありますが、
だったらもっとたくさんのザラブ星人がいたことでしょう。
なぜ一人でやってきたのか。
こんなのが100人もくれば、地球制圧などたやすいことだったのに(笑)

A
「侵略する手段を間違えていないか?」
超音波、催眠術、変身能力。
これだけの能力を持ち合わせているザラブ星人ならば、
もっと他に侵略の手段があったでしょう。
たとえば某国大統領になりすますとか・・・
いくらでも手はあると思うのですが(笑)

B
「なぜ日本に来たのか?」
なにもこんな小さな国をわざわざ選んで来ることもなかったと思います。
もっと大国、国名は控えますが、に行けば、
それなりに戦争や内乱を起こしやすかったと思うのですが。
それに乗じて・・・ということも十分可能ですし(笑)

C
「宇宙人は知識や能力は優れているが、体力はない」
これはバルタン星人にもいえますが、ケンカとなると滅法弱い。
いとも簡単にウルトラマンにやっつけられてしまいます。
日ごろ光線技や超能力に磨きをかけても、
体力づくりは行っていないようですね。
体を鍛えないともやしっ子になっちゃいますよ、ザラブさん(笑)

つまらないことをすみませんでした<m(__)m>

それにしても今回は友情、というか、絆がテーマだったようですね。
特に印象に残った場面は、ホシノ少年の涙でベルトが切れたところ。

口先ばかりで地球人を丸め込もうとしたザラブ星人と、
心からハヤタ隊員を思い、一生懸命ベルトを切ろうとがんばったホシノ少年。
このふたつがとても対照的で、あのホシノ少年の涙のシーンは、
脚本を書いた金城哲夫氏の思いが見て取れるような気がいたしました。
とてもいい作品ではなかったでしょうか。

長くなってしまいました。

さて次回は、
古代超文明の悪夢再び・・・
青い悪魔と赤い悪魔が大暴れです。



今回も長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
ちなみにみなさん、背景が変わったの、お分かりになりました?

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