EPISODE GUIDE
ULTRA WORLD

第21話前編
by しぃさぁ

ここはオオム市ほど近いオオム山。
この美しい自然の中で恐ろしい事件が起ころうとは、誰も予想していなかった。

高原で大量の鳥の死骸を発見したのは一人の少年だった。
「あ!でけえ鳥だなあ」
少年は足元に落ちている死んだ鳥を拾い上げた。
そして辺りを見回しすと、その足元、そして少年の周は鳥の死骸だらけだ。

「どうしたんだろう」
こんな光景には、この少年でなくとも驚くだろう。
とにかく無数の鳥が死んでいる
「あ、ここにも」
その光景に異常を感じた少年はすぐさま警察に駆け込んだ。

「じゃあ君が拾った時は、もう死んでたんだね?ウソじゃないね」
「はい」
警察で問いただされても、少年はきちんと返事をする。
その証言に自信があるからだ。
しかし警察はこの異常な通報を素直には受け止められないようで、
少年の顔を猜疑の目で見つめるのだった。
「不思議だねえ。こんなにたくさんの鳥が一時に死んでるなんて」

所長が疑問を口にすると、もう一人の刑事が割って入ってきた。
「ええ・・・あの、殺生石という毒ガスを吐く石があって、鳥や獣が死ぬという話は聞きますが」
「それは君、現在も煙を吐いている活火山の話だろう」
「ええ」
「オオム山はもう何千年か前に活動を停止した、死火山なんだからな」



所長の言葉に押され、もう一人の刑事は少年の顔を見た。
「焼き鳥にでもしようと思って、網を張ったんじゃないだろうね」
「そんなあ・・・」
正直に通報したのに疑いまでかけられ、渋い顔で所長を見る少年だった。

時同じく、都心からオオム山にハイキングに来た4人の女性がいた。
空気のきれいなオオム山の噂を聞き、ここまでやってきたのである。

「ねえ、もうこの辺でお昼にしない?」
「ダメよ。ちゃんと頂上まで行かなきゃ。噴火口見るんでしょ」
「じゃあ、あんたたち行ってらっしゃいよ。私達ここで休んでるから」
「意気地なしね」
「すぐ帰ってくるからあんたたちそこで待ってらっしゃいよ」
ここでパーティは2組に分かれ、残された2人は早速シートを敷いてお弁当の準備。
山頂を目指した2人は十数分後にオオム山の噴火口を見ることができた。

「はいりんご」
渡されたりんごを手に噴火口を覗き込む一人の女性。
「へえ、割と広いんじゃない」
「これじゃあ自殺も出来ないな」
物騒なことをいいながら、更に奥を覗き込む。

「水があるわ」
確かに火口の奥に水面が見えた。結構な面積だ。
「雨水でもたまったのかしら」
しかし2人はそれを大して不思議とは思わず、火口を後に、残った2人の元へと引き返した。

「あ、帰ってきたわ」
「どうだった?何かいいことあった?」
「なんてことないわね。水溜りと同じ」
「さあ食べましょ。私達は何のために山に登るか。そこにお弁当があるからよ」
そんな会話を楽しみながら4人の女性達はお弁当にありついた。



「あら、霧が出てきたのかしら」
いつの間にか4人を白い霧、というより煙が取り巻いていた。
「どこかで焚き火でもしてるんじゃない」
最初は楽観視していたが、煙はだんだん濃くなってくる。
「なんだか辺ね。嫌な臭いしない?」

その匂いに気付いたと同時だった。
異様な鳴き声とともに火口から巨大な化物が姿を現し、女性達を睨みつけたのである。



突然の出来事に驚き、悲鳴をあげ、
お弁当もそのままに一目散にふもとへと駆け出す4人の女性達であった。

奇怪な事件は、直ちに科特隊本部に報告された。
しかし通報を受けた科特隊はイマイチ腰が重い。
「キャップ、あまり気乗りのしない事件ですねえ」
オオム山の地図を見ながら、アラシ隊員がしかめっ面でムラマツキャップの顔を見た。

「鳥の死骸だとか、霧の中の目玉だとか、おとぎ話じみてませんか」
イデ隊員もそれに同調する。
フジ隊員が反論した。
「でも、その他にも不思議な現象が起こってるそうよ。
 川に魚の死体が浮いたり、木や岩の色が一晩で変わったり」
「だからおとぎ話だって言うんですよ。大の大人の出て行くような事件じゃありません」
真剣に話すフジ隊員をからかうかのようにイデ隊員は笑った。

隊員たちの会話を黙って聞いていたムラマツキャップが
これまた重そうに口を開いた。
「しかし、報告が来ている以上、行ってみないわけにはいくまい」
ムラマツキャップもやはり大事ではないと判断しているようだが、
立場上調査はしないといけない。

「そりゃあ女子供の仕事ですよ」
きっぱりと言い放ち、あくまで面倒がるアラシ隊員。
だが、その言葉尻をフジ隊員が捕えた。
「じゃあキャップ、私が行きます」



「え!?君一人でかい?」
驚くアラシ隊員に、してやったりのフジ隊員。
「だって今、女子供の仕事だって言ったでしょ」
「う・・・い、いや・・・それはねえ・・・」
しどろもどろのアラシ隊員。
その姿に回りから笑いが飛び出した。

「アラシの負けだ。じゃあここのところはひとつフジ隊員に頼むか」
笑顔のままでムラマツキャップがフジ隊員に指示を出した。
「大丈夫ですかキャップ。フジ君一人で」
常に冷静なハヤタ隊員が進言するが、
「う〜ん・・まあ、危険はないと思う。しかし、十分に気をつけていくように」
「はい」
ムラマツキャップに促され、ヘルメットを小脇に敬礼するフジ隊員。
ハヤタ、アラシ、イデ各隊員はあわてて敬礼を返すのだった。



数分後、青空の真ん中をさっそうと飛ぶ小型ビートル。
「本部ですか?ビートルは快調。天気も快晴で、まもなくオオム山山頂に到着です。
 現在まで異常なし!」
久々の現場調査にフジ隊員はご機嫌だ。

ところが・・・
「ちぇ、お姉ちゃんずいぶん張り切ってるんだな」
そう、またしてもちゃっかり乗り込んできたホシノ少年である。
「まあホシノ君、またやったのね。
 ダメじゃないの。いくら隊員になったからって無断で乗り込んだりして」
「って他の人だったら怒るんだけど、
 お姉ちゃんだったら優しいから、きっと連れてってくれると思ったんだ」
「ゴマをすってもダメ。第一お姉ちゃんとはなによ。ちゃんとフジ隊員と呼びなさい」
どうもフジ隊員はこのホシノ少年にだけはムキになる。



「はい、わかりました、フジ隊員」
ここで放り出されてはたまらない。
ホシノ少年は素直にフジ隊員の言う事を聞く。
「乗ってきた以上仕方がない。帰ってキャップに叱られたくなかったら、
 ずっと私の言うとおりにするのよ」
「はい・・・威張ってらあ」
この二人、息が合ってるのか、はたまた本当に仲が悪いのか・・
そんな二人を乗せた小型ビートルは快調に現場に向かって飛んでいくのだった。

「あんた方かね、化学特捜隊の人というのは」
現場に到着してすぐだった。
一人のタキシードを着た男性にフジ隊員とホシノ少年は呼び止められた。

「ええ、そうよ」
けげんそうに応えるフジ隊員だったが、そのフジ隊員よりも男性は顔をしかめた。
「困るねえ!こんな大げさなことをしてもらっちゃ」
「困るって、あなたどなたですか」
「ここのレストハウスの支配人ですがね。ま、こちらへどうぞ」



というわけで近くのレストハウスに案内された二人は、
そこで支配人から詳しい事情を聞いた。。
「まあ、そんなわけで、いろいろ変な噂が立って、私ども業者は頭を痛めてます。
 いやその上に、今度は科特隊までが調査に来たとあっては、
 ますますこのオオム山に観光客が寄り付かなくなってしまいます。
 私達は本当に上がったりですよ」
「なるほど」
眉をひそめ、考え込むフジ隊員。

ホシノ少年が事件のあらましを支配人に尋ねる。
「でも、ハイキングの人たちが、怪物の目玉を見たって言うんでしょ」
「ああ、まあ、霧の間から、お天道様でも見たんでしょう。
 全く人騒がせな女の子ですよ」



その時、3人の足元が微妙に揺れた。
「あ、地震だ」
最初に気付いたのはホシノ少年。
しかしそれほど大きな地震ではないようだ。

すかさずフジ隊員が支配人に尋ねる。
「この辺は、地震は多いんですか」
「いやあ、それほどの事はありませんが、もっとも、最近少し多いようですがね」
「オオム市には確か地震研究所がありましたわね」

フジ隊員とホシノ少年は早速地震研究所を訪ね、現地の地震情報の説明を受けた。
「じゃあ、今日あったような地震はこの辺では珍しくないんですね」
「ええ。ただ奇妙なのは、ここ1ヶ月くらい微妙な振動がミクログラフに記録され続けています。
 もちろん、人体には感じないかすかな揺れですが」
「そのグラフを見せてください」
どんな小さなことも見逃さないフジ隊員、
疑問は全て質問し、解消しようとしている。

二人の前に地震測定グラフが用意された。
「この曲線の特徴はなんですか」
「かすかだけれども、力強いことですね。生命力に似たエネルギーが感じられます」

一通りの調査を終え、フジ隊員はビートルから本部に連絡を取った。
「とうわけで、確かに何かの異変らしい兆候は現れてるんですけど」
「よし分かった。報告を総合的に検討してから計画を立てよう。
 フジ隊員はホシノ君と直ちに帰還せよ」
ムラマツキャップの指示に従いビートルを発進させようと準備する二人。

その時だった。
オオム山山頂がいきなり光ったかと思うと、
火口からは大量の煙が噴出し、あっという間にビートルを包み込んでしまった。
煙はビートル機内にも侵入し、二人は激しく咳き込んだ。



「ホシノ君、早くドアを閉めて」
どうやら先刻ハイキングに来た女性パーティから通報があった、あの煙と同じもののようだ。
フジ隊員とホシノ少年は、煙の毒で気を失った。
しかし本部との通信が生きていた。
「フジ隊員、フジ隊員!ホシノ君!!」
異常を察知したムラマツキャップが叫ぶ。
「どうした!何が起こったのだ!?」
キャップの叫び声がビートル機内に響くが、応答など出来るわけもない。
事ここに至り、ムラマツキャップは今回の事件の大きさを把握した。



「オオム山に異変が起こったに違いない。直ちに出動する!」
科特隊基地からジェットビートルが、オオム山を目指して飛び立った。
「あの二人、無事でいてくれるといいが・・・」
「女と子供だからなあ。心配だよぼくは・・・」
初動で軽々しい発言をしてしまったアラシ隊員とイデ隊員は、
心配そうに二人の身を案じた。

「キャップ、オオム山の上空ですが霧で視界がゼロです」
操縦桿を握るハヤタ隊員の報告と同時に、
ムラマツキャップのネクタイについていた反応装置が赤く点滅した。
「どうやらこの霧が怪しいぞ」
あたりの霧を睨みつけるムラマツキャップの顔がこわばった。



「キャップ、危険表示のメーターがどんどん上がってます」
どんどん悪化するオオム山周辺の環境に、
ハヤタ隊員も少々焦り始めた。
「猛烈な毒ガスだ。アラシ、防毒マスクの用意」
アラシ隊員に指示を出してすぐ、ムラマツキャップは地上を見渡した。

「小型ビートルは見えるか?」
しかしあたりは霧=毒ガスで視界ゼロなのだ。
地上にいると思われる小型ビートルが発見できるとは思えない。
「ダメです。霧に遮られて見えません」
やはり地上を見渡すハヤタ隊員の返事が、ムラマツキャップを決断させた。
「よし、着陸」
地上に降りる。
危険は大きいが、それ以外に小型ビートルを探す術はない。

ハヤタ隊員は噴火口近くにビートルを着陸させた。
険しい崖を伝い歩き火口を目指す、恐れを知らぬ4人の猛者。
フジ隊員とホシノ少年を救出すべく、危険をかえりみずに火口へと進んだ。



しかし火口に二人の姿はなく、大量の毒ガスが噴出されるのみだった。
「静かですねえ、キャップ」
アラシ隊員がつぶやくように問いかけた。
「う〜ん・・急に火山活動を開始したとも思えんが・・・」
ムラマツキャップも首をひねる。

だが異変はすぐにムラマツキャップと科特隊員たちの前に現れた。
一瞬火口が激しく光ったかと思うと、その中から四足の大きな怪獣が姿を現したのだ。

「あ、チキショウ、コイツの仕業だったのか」
アラシ隊員が真っ先にスーパーガンで応戦する。
それにつづいて他のメンバーもスーパーガンを握り締め、
怪獣=ケムラーを狙撃する。



しかしスーパーガン程度ではケムラーには歯が立たない。
それどころかケムラーは、更に大量の毒ガスを吐き出し、
もはや防備の手薄な今の科特隊の手に負える状況ではなくなった。



「ダメだ!防毒マスクだけでは防ぎきれん!一旦ビートルへ戻る!!」
いち早く状況を察したムラマツキャップの退却命令。

恐ろしいほどの毒ガスを身にまとった怪獣ケムラー。
事件の初動で甘い見積もりを下していた科特隊は
一気に窮地に立たされたのであった。

(後編につづく)

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