砂漠を一人の僧形の男が歩いている。
日差しのきつい日中よりは、夜のほうが砂漠を横断するのには
向いている。
しかし、その男はこの闇夜を灯りひとつ持ってはいない。
その上、それを苦にする様子も無い。
生来の盲(めしい)。そして、その上で訓練を施された者のようであった。
水のにおい、人のざわめき、家畜の鳴き声、
月光は街の気配を感じ取った。
辛い砂漠を歩いて、街に入るのだ、
嬉しい事であるはずなのに
飛燕を頼む…
その荷の重さが月光の足取りを重くした。