カップ焼きそばを研究する

 

 

 まぁ、自分の為とは言え、カップ麺のデータベースその物は、ネット上に沢山ありますし、ウチより遙かに充実したサイトも、多々あります。ウチのHPはラーメン自作派を標榜しておりますし、そもそもHPのタイトルが「自作ラーメン研究所」です。
 と言う訳で、ただ既製品を羅列して終わるのではなく、ウチらしい切り口で、少しは研究して行きたいと思います。

 

・カップ焼きぞはのお湯目安について
 カップ焼きそばですが、すべて油揚げ麺(スナック麺)と言う点では、共通しています。過去に例がない訳ではありませんが、現行の商品でノンフライ麺はありません。ノンフライ麺のカップ焼きぞはに向くのか、不向きなのかは、とりあえず置いておきます。
 最初にテーマに据えたいのは、「お湯目安」について、です。インスタントの麺類に共通しているのは、すべてお湯で戻すと言う調理過程です。これはノンフライ麺であっても変わりません。ただ、改めてデータベース化してみたところ、意外とお湯目安の量に各製品で差がある事に、気がつきました。 

 そこで手始めに最もデータ数が多い麺90gの製品で比較してみます。

ペヤング ソースやきそば 480 マルカ食品
マルちゃん 焼きそば名人 ソース焼きそば 560 東洋水産
マルちゃん 昔ながらの関西風お好みソース焼きそば 530 東洋水産
SEVEN PREMUM ソース焼きそば 560 東洋水産
サッポロ一番 オタフクお好みソース味焼きそば 510 サンヨー食品
サッポロ一番 縁日の焼きそば東味 510 サンヨー食品
サッポロ一番 旅麺 浅草 東京 ソース焼きそば 510 サンヨー食品
日清焼きそば 510 日清食品
日清ソース焼きそば 510 日清食品
日清ソース焼きそばからしマヨネーズ付 510 日清食品
くらしモア ソース焼きそば 490 日清食品
評判屋 ソース焼きそば 550 明星食品
麺処 一徹 ソース焼きそば 550 明星食品
なつかし屋 ソース焼きそば 540 明星食品
VALUE PLUS ソース焼きそば 550 明星食品
Star select ソース焼きそば 550 明星食品
ぐんまちゃんやきそば 520 大黒食品工業
カインズ ソース焼きそば 520 不明

 麺90gで使用するお湯目安が最も少ないのは、「ペヤング ソースやきそば」の480ml、逆に最も多いのは「マルちゃん 焼きそば名人 ソース焼きそば」「SEVEN PREMUM ソース焼きそば」の560mlになりますから、差は70mlになります。こうして見てみますと各製品と言うよりかは、各メーカー毎の差と言った感じがします。
 日清食品は全体的に少な目の傾向が強く、逆に東洋水産は多めの傾向に、それぞれあるように思えます。また、麺100gなので上表に載っていませんが、日清の看板商品である「U.F.O.」が最も少なく、460mlです

 確かに「U.F.O.」や「ペヤング ソースやきそば」は、見た目でも容器の容積は小さいように思えます。各メーカー毎では差があっても、メーカー内では差があまり無いのも、同じ容器を使っているから、と仮説を立ててみます。

 同じメーカーで同じ容器を使っているなら、麺の量とお湯目安は関係無いのか、と思って見てみますと、「StyleONE ソース焼きそば」は、他のサンヨー食品の製品と同じく、510mlとなっています。同じく「ぐんまちゃんやきそば」と麺110gの「マイフレンドビック ソースやきそば」、どちらもお湯目安は同じです。
 明星食品が供給している「トップバリュ ソースやきそば」は、「なつかし屋 ソース焼きそば」と同じものの、他の明星食品が550mlなのに対して、10ml少ない540mlですが、そう大きな差とは言えません。

 また、容器が小さいから必要とされるお湯の量が少ないと思われる「U.F.O.」ですが、大盛りサイズの方は他の製品と同じく角形です。レギュラーサイズは麺100g、大盛りは130gですから、麺の質量は1.3倍です。お湯目安が麺を戻す水分に由来するのであれば、必要なお湯目安も1.3倍でも600ml程度の筈ですが、表示されている量は700mlと、同社の「DEKAYAKIソース焼きそば」と同じです。

 やはりお湯目安は、麺の量や質よりかも、容器の大きさに関係している。と、考えるのが妥当です。

 

 ついでなので、少し麺と容器についても触れておきます。大して量が多い訳でもないのに、「ペヤング ソースやきそば」のパッケージにはBigと書かれています。これについてはまるか食品のHPにも説明されていますが、自分も小学生の頃に気になって内容を見てみたところ、麺90gというのは、袋麺では普通の水準であり、Bigでも、何でもない、ただの普通盛。むしろ、カップヌードルなどのカップが、袋麺に比べて量が少ない、と言う事に気づきました。
 「プロジェクトX」でカップヌードルを扱った時にも、容器の中で自然に麺が解れる為に量を減らした、と開発秘話を伝えていました。

 後に出た大盛りカップ麺の先駆けとなったスーパーカップにしても、別に大盛りでも、1.5倍でも、ありません。袋麺なら普通の麺90gです。まぁ、麺60gのカップ麺もありますから、1.5倍も嘘ではないのですが、具材と手間を考えなら価格的に袋麺の方が、いいじゃん! とは思いました。
 ちなみに「インスタントラーメン ナビ(一般社団法人 日本即席食品工業協会)」では、1食345kcalとして、カップ麺のカロリーの低さを強調していますが、騙されてはいけません! 単に量が少ないだけです! 

 その件は本題ではないので、ここまでにします。

 

 前述のように、麺が湯で戻るにつれて自然に解れるように、カップヌードルの中味は、下の方がスカスカになっています。カップ焼きそばの場合は、後でソースを混ぜる時に、作り手が結果的に麺を解すので、ラーメンほどには麺の解れを気にする必要は無いと思います。
 容器が四角なのは良いとしても、厚み(容器の高さ)は必要ないでしょう。メーカー側にしても、容器の体積が小さければ原価は下がりますし、輸送のコストも減ります。店側にしても同じ面積に、より多くの商品が並べられますから、デメリットは、何一つ思いつきません。

 それに記憶が正しければ「U.F.O.」は、新発売の時から、あのサイズだったと思います。40年前の技術水準でも、あの容量で麺を戻せる訳です。仮に当時の日清食品の技術がズバ抜けていたとしても、今なら、他のメーカーにも出来る筈です。
 むしろ、「U.F.O.」のレギュラーサイズ以外は、他社と同じく無駄に大きい容器を、日清食品が使用しているのは、何故?

 例えば北海道限定や東北地方限定など、寒冷地を前提にしているのなら、冬場の寒い時期でも湯の温度低下を減らす目的で多くの湯を入れる、と言うのなら、まだ分かります。でも、「U.F.O.」はその地域でも同じ容器ですし、「やきそば弁当」にしても、特別な容器ではありません。

 

 もっともらしい理由を考えるとしてら、同じ容器を統一して使う事によるメリット、くらいしかありません。その理由にしても、今は亡き「デカ王 2.0」などは、専用の容器で、他の日清食品の製品には使われておらず、必ずしも整合性のある理由とは思えません。(余談ですが、縦積みに2つと言うのは、インパクトがありましたね!)

 

 表面積に関しては、置いた時の宣伝効果もありますから、安易に減らせないでしょうが、あそこまでの厚みは不要だと思います。エコの観点からも、無駄に大きい容器は、改善した方が良いかと思います。

 

 

 

・即製麺と水の関係
 さて、インスタント・ラーメンの場合、麺に含まれる水分を無くす事によって、長期保存を可能にしています。ですから調理過程で水分を足す事によって、麺を本来の状態に戻します。おそらく経験のある方も多いでしょうが、お湯に比べて浸透し難いだけであって、水でも、乾燥麺は、戻ります。これは油揚げ麺だけではなく、素麺やそばも、同じです。茹で時間の長いスパゲティですら、時間は掛りますが、戻ります。

 油で揚げることで麺の水分量は2〜3%になります。上記の麺90gでしたら質量の2〜3%が水分で、残りは小麦粉や塩など、他の材料になります。正確には小麦粉の成分で最も多いのは炭水化物ですが、その次に14〜14.5%程度、水分も含まれています。
 ですから油揚げ麺は、麺の製造過程で加えられた水だけではなく、小麦粉が本来持っていた水分まで奪っています。

 もっとも麺に含まれる塩分など、他の要素の正確な含有率も分かりませんし、厳密に成分を検証する訳でもありませんから、ここは大まかなに乾燥状態の90gを、そのまま小麦粉量の数字として、扱う事にします。

 前述のサンプルで言うのであれば、一般的な中華麺の加水率35%で考えますと、90g+31.5g(90×0.35)で、生麺時は約122gになります。これが元の麺が加水率40%でしたら126gです。

 加水率とは、麺に使用する小麦粉に対して、どの程度の水を加えたか、と言う比率の事です。中華麺は、そば・うどんに比べて加水率が低く、35%が平均的な数値で、40%くらいで多加水麺、逆に少ない低加水麺もあります。
 加水率が高い麺(多加水麺)でしたら、麺が元々水分を多く持っていますから、スープ(焼きぞはならソース)を吸い難いのですが、反面、時間が経ってものび難い、同じ重さならカロリーが低い、単価が安いと言った特徴があります。
 加水率が低い麺(低加水麺)は、その反対になります。スープをなど味をよく吸い込みますが、のび易く、同じ重さなら小麦粉の比率が高い訳ですから、カロリーも、単価も、高くなります。

 先の数値で言うのであれば、加水率35%と加水率40%では、水の量は差は摂氏4度(比重1.0)なら、4g=4ccになります。お湯なら必要な質量が同じなら、体積は増します。もっとも熱膨張による体積の変化は、ほとんど誤差の範囲で気にする数値ではないでしょう。つまり4cc程度の差しか、生まれない訳ですから、まったく気にする量ではありません。

 但し、この数値は油揚げ麺を、生麺の状態に戻したと仮定しての数値であって、生中華麺をそのまま食べる人は居ませんし、そもそもインスタント麺は乾燥状態から、一気に仕上り状態になる訳で、途中に生麺と言う状態が入るのはメーカーの工場だけです。

 これだけ書いておいて難ですが、これは油揚げ麺→生麺のプロセスであって、もう一つ次の段階、生麺→食べられる状態(仕上り量)を経なければなりません。

 

 「実験刑事トトリ」でしたら、そろそろ「先輩! 実験しましょう!!」と出る頃合いです。カップ麺の実験ですから、この年になればコストを気にする事はありませんが、実験が終わったあとで自分が食べる胃袋の方が、心配です。ですから、1回の実験で、なるべく多くの事柄を検証するべく、計画的に行いです。 

 右の容器は、愛用している方も多いかと思いますが、100均で販売されている、袋麺を電子レンジで調理する為の、ドンブリです。規定量のお湯、又は水を入れて、チンするだけで、そのまま食べられるという優れものです。
 もっとも袋麺の時はドンブリに移さず、鍋から直接食べますから、洗い物の数は変わりません。上記容器で調理すると油汚れがきつくて、むしろ洗い物の手間は掛りますが、その辺りは今回の論点ではありませんので、置いておきます。

 今回の実験で検証したい点としましては、
・袋麺の焼きそばを、焼かずに調理できるか?
・その場合、味は、どうなのか?
・油揚げ麺の仕上が量における質量の変化、この3点です。

 

 この実験に選ぶアイテムと言えば、これ、一択でしょう。

 自分が子供の頃からある製品で、「ペヤング ソースやきそば」発売以前、焼きそばと言えば、これでした。この黄色のパッケージこそ、記憶ある最古の焼きそばです。

 一般的に袋麺の場合、お湯(水)の量は500mlですが、右の製品は「200mlの〜」と書かれています。麺類における標準的な1人前の汁(スープ)の量は300mlなので、単純に考えればラーメンなら500ml中、200mlを乾燥した麺が吸い込み、残り300mlがスープになると推測できます。また、焼きそばにはスープがありませんから、麺が200ml吸い込めば、調理終了時に水分がなくって、ちょうど良いと言う計算だと思います。

 しかし、鍋の場合でしたら、火にかけて調理している間に、蒸発する分も、いくらかあります。実際、カレールーの説明書きにも、蓋を開けて調理する場合と、蓋をして調理する場合とで、入れる水の量は違います。(メーカーによって、後者の記載は無い場合があります)
 カレーに比べれば、即席麺の調理時間は短いので、考慮する必要が無いのでしょうか?

 ラーメンでしたら味が濃い分には、薄めれば良いので、そう困りません。しかし、焼きそばですと、味が濃いからと言ってお湯で希釈は出来ませんし、調理時の水分が多く残ると今度は味が薄くなります。また、あまり水分を飛ばし過ぎると、フライパンに焦げつきます。
 この辺りが、袋麺タイプの焼きそばが、伸び悩んだ一因だと思います…。

 今回の実験結果が良ければ、湯切りの手間はあるものの、電子レンジで調理すれば、少なくても焦げつくと言う点は、確実にクリアーされます。

 では、調理容器に入れる水分は? と言う点を考えます。上容器のラーメンの指定量は、袋と同じく500mlです。余談ですが、鍋で作った場合に比べて味が薄いと感じ事がありませんか? やはり蓋をして電子レンジで調理するので、蒸発する水分が少なく、結果として水分が多く残っている為だと考えています。

 [参考写真]を見て頂ければ分かりますが、0表示を押し忘れたので計量の数字には容器の重さ87gが入っていますが、左が500ml、右は200mlで、それぞれ見易いように水位の所に線を引いてあります。
 調理しながら箸で解すと言う過程があるなら規定量の200mlを選びますが、今回はお湯を入れて電子レンジでチンするだけなので、流石に水分が行き渡るか不安になります。カップ麺でも湯切りの手間がありますから、ここは500mlを入れて、後で不要な分を捨てると言う、手堅い方法で行く事にしました。

 先ず、調理前の状態ですが、袋には麺90gと記載されていますが、実際には96gありました。念の為に2回計量しましたし、ソースとふりかけとの合計量も計りましたが、間違いなく麺は96gです。
 袋麺に乾燥材は入っていません。おそらく工場で完全な乾燥状態の時は90gでも、保存期間の間に湿気を吸って、その水分が6gだったのでは? よくストレートで食べてみると、ポリポリと香ばしい麺もあれば、湿気ていて今一つな麺もあります。

 そうでないとすれば、東洋水産のサービスと思い、ありがたく受け取っておきます。

 これを電子レンジで3分間調理した後で、湯切りすると、333gになりました。上の単純な計算による予想仕上り量は、96g+200g=296gですから、約12%の増です。

 予想より多く水を吸い込んだのは、この容器は出力600wを基準にして、加熱時間3分としていますが(お湯使用)、使用した電子レンジは700wと出力が高く、その分加熱時間を減らす必要がありました。
 500wなら+30秒と書かれていますので、700wなら2分30秒くらいが、正しい設定だったと思います。尚、この袋麺の作り方には「水分がなくなるまで〜」としかなく、何分という時間の指定はありません。

 

 ソースを混ぜて完成しますと、左写真のようになります。カップ焼きそばに比べて、ふりかけの量は多めですが、勿論、具はありません。

 電子レンジでの調理時間の設定を誤ったので、やや麺が柔らかいのは、自分のミスですから仕方ありません。味は、本来は焼いて作る焼きそばを、焼かずに作った訳ですし、それを前提としてカップ焼きぞはでもない訳ですから、同じ尺度で見るのは些か可哀相な気もします…。

 実験結果としましては、

・袋麺の焼きそばを、焼かずに調理できるか? → 出来る、出来ないで言えば、出来る
・その場合、味は、どうなのか? → ソースが焦げた独特の香ばしさには欠けるが、普通
・油揚げ麺の仕上が量における質量の変化 → 仮説は概ね正しかったが、結論は保留

 と言ったところです。

 そう言う訳で質量の変化については、追試の必要があります。追試用に準備したのは「マルちゃん ハイラーメン」、同じく東洋水産の製品です。

 

  

 さて、この製品も袋には麺77gと記載されていますが、実際には85gありました。ただ、指定されているお湯の量は500mlではなく、450mlでした。今更ながら麺90g、お湯500mlの製品で、追加試験をすべきでした。 結果は下の写真の通りです。

 

 85g→186gと、約100gの増加です。こちらは鍋で茹でたので、どうしても自分好みに、ちょっと固めにしたのもあり、予想よりかも少ない吸い込み量でした。

 麺類がのびるのは水分を吸い続けるからで、極端な話し口に入れて食べる瞬間まで、麺は、のび続けます。長時間放置しておくと、麺がのびて、汁が無くなる事があります。先にも書きましたが、標準的な一人前の汁の量は300ccですから、麺1玉にはそれだけの水分を吸い尽くせるキャパがある、とも言えます。
 とは言え、メーカー側が望む標準的な戻し状態、仕上り量もありますから、先の仮説通り麺90gなら、200cc程度の水を吸い込んで、290g前後になると考えるのが、妥当でしょう。
 また、スープに浸かり続けているラーメンに比べて、湯切りによって吸い込み可能な水分を著しく制限してしまうカップ焼きそばは、よりメーカーが望む状態で提供されるアイテムとも言えます。

 

 それでは、これまでの実験と仮説について、検算してみようと思います。

 

 乾燥状態で90gの麺が、加水率を一般的な中華麺の数値である35%に設定すると、油で揚げる前の状態は120g程度と推定しました。市販されている生麺の1玉としては、標準的な量ですが、これを茹でると何gになるか?
 過去に計測したデータですと、生麺状態の約1.5倍の重さでしたが、実際は麺の状態、茹で時間などによって、かなりの幅が出てきます。自分が実測した1.5倍と言う数値も、麺を茹でた時の質量変化としては低い数値で、一般的には1.5〜2倍くらいと言われています。
 そうなると120gの麺でしたら、180〜240g程度が、仕上り量となります。

 実験の結果で言えば、「ハイラーメン」は固めどころかベストな状態に近く、「焼きそば」は明らかにのび過ぎです。

 上の検算で行くと、予想される仕上り量は最大で240gですから、水の吸い込み量も最大で150gです。それにスープ分として300ccを加えると、本来必要とされるお湯は、せいぜい450ccもあれば十分ですが、だいたい指定されている量は500ccです。

 前にも出た疑問ですが、調理中に鍋から50cc程度も、蒸発するのでしょうか?

 

 まぁ、当然ながら、実験ですよ。「実験刑事トトリ」なら、安永が、「都鳥君、実験するんでしょ?」と言うところです。

 袋麺を作る時に使う片手鍋で試したところ、3分はおろか、2分ちょっとで、50ccのお湯は蒸発しました。おそらく3分でしたら75cc程度は蒸発すると考えられます。鍋で調理した場合に比べて、電子レンジを使うと味が薄いのも、やはり納得です。

 そうなると実験の「焼きそば」でしたら、水の吸い込み量は200ccではなく、蒸発分を75cc程度と見積もって、125ccなのが正しいと考えられます。つまりメーカーが本来想定した仕上り量は、215g前後となります。これなら乾燥状態で90gの麺は、生麺時の推定質量は120gで、想定される仕上り量は180〜240g、この範囲にも合致します。 

 

 最後に、もう一回、実験をしてみます。最近のカップ焼きそばはターボ湯切りタイプが主流で、プラ蓋はめっきり減った為に、麺だけを取り出して計量し難くなりました。それに加えて具材を小袋に分けていない製品もあり、サンプルとして扱った「一平ちゃん」は、この両方に該当するので、適切な選択とは言い難いのですが、一つの目安として考えます。

 公称されている麺重量は100gですが、上の実験から記載されている質量と実際の数値には開きがあり、今回も麺や容器の分を引いて具材の重さを求めると、17gになってしまいました。麺が湿気を吸って重たくなる分には、最終的に水分を吸ってもらう訳ですから、そう問題は無いのですが、具材の重さが正確に分からないのは、ちょっと都合が良くありません。

 さて、「一平ちゃん」ですが、麺と具を込みにして、湯戻ししますと、内容物の推定重量は245gと出ました。先の「ハイラーメン」の水準で見ますと、だいたい220g前後が予想される麺の質量です。キャベツの量は分かりませんが、見た目からして10gくらい、多めに見積もっても15g程度でしょう。すると230gくらいが、予想された完成時の量となります。
 多少の誤差はありますが、極端に違う数値ではありません。
 

 とりあえず、ここまでについては、スッキリしました。

  

 

 

・蒸し麺について、考える
 上の検証において使った数値は、主に中華麺です。勿論、焼きそばの麺も、広義では中華麺ですが、ここではラーメン用と言う意味で、取って下さい。今までラーメンについて研究はしてきましたが、焼きそば、或いは焼きそば用の蒸し麺については、まったく触れてきませんでした。 

 焼きそばと言えば、生麺を茹でて使う店もありますが、やはり蒸し麺を使うのが一般的です。それに特にカップと注釈を付けない限り、焼きそばと言われて想像するのは、蒸し麺(チルド麺)だと思います。

 

 蒸し麺、チルド(冷蔵)の焼きそばと言うと、3食セットのタイプが定番で、メーカー希望小売価格などガン無視、スーパーでの実売価格は150円前後、特売で100円なのも珍しくありません。また、PBなら、日常的に3食入りが100円で売られていますし、1袋単位の販売の物でも、安い製品でしたら30円台で買えます。
 長期保存と言う点では劣りますが、作る手間が袋麺とほぼ同じでありながら、本物に仕上がる訳ですから、焼きそばの主流になるのも頷けます。と言うより、焼きそばに関して言えば、袋麺に、勝ち目は無いですね…。

 さて、誰でも知っている3食タイプですが、麺1玉150gが標準的な量で、これにソースが付く、と言う製品構成になっています。一方、1食(1玉)ずつ販売されているタイプは170gと、少し量が多くなっています。1玉タイプの製品はソースが付属されていないので、純粋に麺の数字だけを追える意味でも、サンプルにし易いです。

 今回は、東洋水産とシマダヤを製品をサンプルとして挙げますが、どちらもチルド麺ではお馴染みのメーカーで、誰でも知っていると思います。

 前述の通り1玉(1袋)170gですが、295kcal(シマダヤ)と、276kcal(東洋水産)で、カロリーに違いがあります。質量が同じで、カロリーが違うと言う事は、中味が違うと思われます。19kcalというと、小麦粉なら5g程度の差になります。

 

 まぁ、そう大きな差でもありませんが、一応、考えてみる事にします。

 そこで気になったのが、脂質です。チルド麺の特徴として、麺がくっつき難いように油を絡めてあり、表示されている脂質量は5gと3.2gです。中華麺にとって必須の材料ではありませんが、市販されている中華麺(ラーメン用)にも、脂質は含まれています。東洋水産、シマダヤ、どちらの中華麺(ラーメン用)にも1g程度は含まてれいますので、その分は差し引いて考えます。
 総カロリー量から、コーティングに使用されていると思われる脂質分4gと2.2gを引くと、シマダヤ259kcal、東洋水産256kcalと、ほぼ同じになります。

 こうして見てみますと、脂質を除いた要素ではシマダヤと東洋水産の差は少なく、表示カロリーの違いは、主に脂質に起因しているのではないか? そこで計算してみますと、カロリー差は19kcalで、これは脂質なら2g強になりますが、表示されている脂質量の差は1.8gです。違いの大部分は脂質だけど、他にもちょっとした違いが、何処かにある、と考えられます。

 

 シマダヤと東洋水産の製品でカロリーが違うのは、主なに脂質に起因しているのは分かったとして、それを引いた259kcal(シマダヤ)を、質量(170g)で割りますと、何と麺1gあたり約1.5kcalという、とんでもない低カロリー麺になってしまいます。
 だいたい中華麺でしたら1gあたりの平均は2.6kcalですから、単純に170gでしたら442kcal前後が、計算上で出てくる数字です。ただ、これは生麺の水準ですから、蒸し麺でしたら、茹でた時ほどではありませんが、蒸す過程で水分を吸込みますから、その分を割引いて考えるべきでしょう。

 茹でた時の質量増加の下の水準、×1.5倍で計算しますと、蒸す前の状態は113gで、カロリー量は298kcalとなります。

 

 298kcalという数字ですが、製品表示の数字には近いですが、コーティグ分の油を引いた数値とは、かなり差があります。そうなるとコーティング分として脂質を引いたのは間違いだったと言う事になります。料理のレシピなどでも、麺類などのくっつき防止の打粉は、分量外として記載しています。

 どうやら表示されている脂質は、すべて麺の中に入っており、コーティングの油は、別。

 と、結論づけたいのですが、一応、別の角度から検算してみます。

 サンプルに挙げたの製品は、どちらも含まれている炭水化物量も表示されておりますので(シマダヤ55g)、炭水化物=小麦粉と考え、55g×3.7kcalですから、203.5kcalになります。成分表示にはタンパク質とも書かれていますから(おそらく保存料として使用されている、しらこたん白)、その分を30.4kcalと仮定して、足しても208kcal。これに脂質5gは麺の中に含まれるという結論になりましたので、9kcal×5g、45kcalも加えます。これで278.9kcalで、結構いいところまでは行ってますが、295kcalには届いていません。
 また、マルちゃんの方でも計算してみましたが、やはり似た感じで、少し数字が合いません。

 そこで、もう一度、検証し直してみます。表示されているのは炭水化物量であって、小麦粉とは書かれていません。小麦粉は1gで3.7kcalですが、炭水化物では4kcalになりますから、+16.5kcalされて、295.4kcal。表示カロリーの295kcalと、ほぼ同じです。

 それにしても蒸し麺の材料には脂質が多く含まれている、と言う事を知っていれば、そんなに悩まずに済んだのですが、…仕方ないですね。

 

 蒸す前と後の変化についても、別の角度から、検証と検算をしてみます。

 炭水化物量が55gですから、そこから逆算して使用されている小麦粉量は60.5gと割り出せます。一般的な中華麺の加水率35%で計算してみますと、生麺の状態で90g弱だったと言う事になります。これを茹でた場合なら135g〜180gになりますが、先の仮説では、蒸し麺は×1.5倍で計算していましたから、135gと言う事になります。

 そうなると製品に表示されている170gとは、数字に大きな違いがあります。

 また、冒頭で、蒸す前の状態が110g程度と仮定しましたが、加水率35%でこの重さの麺を作る為には、必要な小麦粉量は82gになります。この点も、成分表示から逆算した推定小麦粉量とは、異なります。

 やはり、中華麺と蒸し麺とでは、違いがあるようです。

 

 そこで少し計算のベースに使う数値を変えて、うどんを類推適用してみます。

 うどんの場合、加水率45%程度と高く、概ね小麦粉量の3倍弱が、食べる時の状態になります。そうすると60.5gの小麦粉からは、食べる時点での仕上り量は169.4g程度の計算になります。サンプルと使用しているシマダヤの麺が170gですから、ほぼ近い数値と言えます。
 乾麺から生麺状態への変換でしたら中華麺ベースの数値でも合っていましたが、乾麺(小麦粉量)から食べる状態の仕上り量の計算は、うどんを適用した方が、実際の数字に近いと思います。

 

 そこで、もう一度シマダヤの製品を、うどんベースで計算してみますと、小麦粉60.5gで加水率45%の麺を作ると仮定しますと、生麺時が約100g、仕上り量から出た倍率は、×1.7倍となります。 

 

 東洋水産の製品でも、計算してみます。炭水化物53.4g、小麦粉量に直すと、約59g。59g×3.6kcal→212.4kcal、タンパク質8.5g×4kcal→34kcal、脂質3.2g×9kcal→28.8kcal、これを全て足すと275.2kcalになります。成分表示は276kcalですから、ここまでの計算は合っています。

 しかし、東洋水産の蒸し麺は、シマダヤより、炭水化物(小麦粉)が少ないので、うどん水準で仕上り量を計算しますと165gになります。

 結局は生麺を作る時か、蒸す時かで、水分が時加わるタイミングが違うだけで、最終的には170gになる為には、その分だけ水が足される必要があります。仮の数値として、小麦粉量59gで加水率45%の麺を作りますと、生麺時は約95g。蒸し上がり後の170gから逆算しますと、×1.79倍となります。

  

 先の検証で、麺類はかなり水分を吸込むので、内容は多少違っても、質量を170gに揃えるのは、簡単な事です。
 また、3食セットの1食150gの製品も、ソースに含まていれる炭水化物を差し引いた推定値になりますが、基本的な数値の比率などに、大きな違いはありませんでした。 

 まぁ、良くも悪くも水増しで、見た目の重さは、どうにでもなると言えます。表示されている重さこそありますが、材料に使用されている小麦粉量は、中華麺よりかも少ないのですから、蒸し麺が安いのも、何となく分かります。

 

  

・では、カップ焼きそばは、どうなのか?
 油揚げ麺、蒸し麺についての検証が終わりましたので、いよいよカップ焼きそばについてになります。

 ここで検証してみたいのは、カップ焼きそばの麺は、普通の中華麺を油で揚げたものなのか、蒸し麺を油で揚げたものなのか、と言う点です。

 材料の配合も違いますが、蒸すと言う過程によって、特有の弾力が生まれると言われています。他にも生麺(ラーメン用)と蒸し麺(焼きそば用)の違いはありますが、今回は蒸し麺その物ではなく、カップ焼きそば用に油で揚げた麺が対象なので、これ以上は違いについては触れません。

 

 先に結論っぽい感じになりますが、そもそもインスタント食品は、すべて蒸し麺です。生麺をいきなり油で揚げ麺る訳ではなく、蒸して加熱してからになります。ですから、蒸し麺か、どうかで言えば、蒸し麺です。
 そこで今回探る主なポイントは、蒸すと言う工程ではなく、蒸し麺として作られているか、と言う材料の比率になります。

 さて、手掛かりは、成分表示しかありませんので、そこを見て行きます。「ペヤング ソースやきそば」は、麺90g、炭水化物64.9gと表示されています。前述のように、これは全体の数字なので、すべてが麺と言う訳ではありません。ソースが付属しないソース焼きそばはありませんから、今回は、麺単独の数値を探る必要があります。
 同じように脂質も27.6gですから、麺を揚げた油、ソースに含まれる油も、すべて込みの数値だと考えるのが、妥当です。

 「ペヤング ソースやきそば」は麺90gですから、これまで出てきた数値からすれば、だいたい仕上り量は195〜200g程度だと推測できます。炭水化物の量から、ソースなどに含まれると予想される分を引いて、推定小麦量からの仕上り量も、だいたい似た数字になりました。

 今までの検証で求めてきた数式は、概ね適用できると考えられます。

 

 そこで、この麺は、蒸し麺なのか? と言う点です。

 そこで先ず着目したのが、脂質です。蒸し麺を検証した時、通常の中華麺よりかも、蒸し麺には多く脂質が含まれています。他と比べても「ペヤング ソースやきそば」は脂質が高いので、蒸し麺(用の比率でつくられた)と推測できます。

 そこで他の製品は、どうなのか?と、見てみます。

 分かっている数値と言う点では、ソースや具材を込みにした、全体としてのカロリー量は明示されています。カップ焼きそばの麺には強力粉、かん水、塩、水以外の材料も含まれていて、醤油など調味料の配合されている比率は分かりません。それでも質量が同じなら、炭水化物も、タンパク質も、カロリー量は大きく違いませんし、今回は麺の中に含まれる脂質がポイントなので、その辺りは考慮から外しても問題なさそうです。

 総カロリー量から、ソースなど他の要素を省けば、麺のカロリー量、或いは近似値は出せそうなのですが…。

 まず具材ですが、キャベツも野菜ですから、カロリーはあります。多そうな製品と少なそうな製品、勿論、正確な質量を計測した訳ではなく、見た目での感じからですが、おそらく差があったとして3〜4kcal程度だと思います。
 次に肉ですが、加工されていて、何処の部位を使ったのか、豚と鶏の両方を使ったとして比率はなど、謎が多すぎます。もっとも入っている量が少ないだけに、おそらく10kcal前後、多く見積もっても20kcal程度だろうと思います。

 次はソースになりますが、液体と粉末で質量は違っても、最終的なカロリーに違いはありません。家庭にある普通に市販されているソースですら、メーカー毎に質量で表記しているところと、体積で表記しているところがあり、比較を難しくしています。更に、カップ焼きそばに付属されているソースの場合、普通のソースには入っていない油も、多く含まれています。もっとも全ての製品にソースは入っていますから、後は製品毎に差がどの程度あるか、と言う方が問題になります。カップ焼きそば1食に使う分を25gと仮定して、単純にソースの質の差だけで、6kcal前後の差は出ます。また、同じ質量だとしても油が多く含まていれば、それだけカロリーは高くなります。

 他にもふりかけ、あおさや紅生姜はともかくとして、ゴマの有無だけで1kcal程度、揚げ玉の差になりますと10kcal程度は出そうです。

 あまり細かな差異に拘っても仕方ありませんので、ここは大まかな数字が出せれば良いので、キャベツは5kcal、肉は入っている製品が少ないので10kcal〜20kcalの範囲で考慮するとして、ソースは油分込みで一律46kcalと設定、ふりかけはアオサのみは0kcal、紅生姜入りは1kcal、ゴマ入りは更に1kcalを足した数値を、使用してみます。
 また、マヨネーズが付属されている場合ですが、平均的な製品で1袋7g、少ない物ですと5gと差は2g程度ですが、マヨネーズのカロリーが高いので2gでも14kcalの差が出ます。カップ焼きそばの場合は、からしマヨネーズになりますが、キューピーのHPを見たところ、からしマヨネーズと普通のマヨネーズとでは、大匙1(15g)で5kcalほど、からしマヨネーズの方が高く、カップ焼きそばに添付されている7gでも、2kcalほどの差が出ます。

 

 サンプルとして幾つかの数値を出してみましたのが、下の表の「推定熱量」です。この数字ですが、先にも書きましたように、ソースは一律同じで扱うなど、かなり乱暴に出したものです。この数値を麺の量で割ったのが、「単位g」です。

 

 データベースとなる数値が、一種類だけですと、偏った結果が出そうなので、もう一つ数値を出してみました。

 そこで成分表示から脂質、タンパク質、そしてソースに含まれると予想される炭水化物など、麺の炭水化物以外に、カロリーになりそうな要素を、極力引いてみました。そのカロリー量を、小麦粉の量に換算したのが、「小麦量」の数値です。
 また、小麦粉量から予想される仕上り量と、元の乾麺の質量から予想される仕上り量を、それぞれ出したのが、「予想量」です。

 ただ、この中で炭水化物量が多い「U.F.O.」だけは、ちょっと変な数字になっています。
 あくまで推測ですが、前パン屋で働いていた事があり、揚物を挟んだ調理パン(惣菜パン)を担当していました。この時に使用していたソースですが、市販の業務用をベースに、パンに絡み易いように、粘度を高める為に大量の砂糖を加えて作っていました。「U.F.O.」の濃厚なソースも、粘度を出す為に、相当量の糖類が使われており、それが炭水化物量の多さになっているのでは? と考えました。
 単に砂糖だけではなく、ソースに果物が多く入っていれば、その糖類も炭水化物ですから、当然その場合も数値は高くなります。

 最後に、成分表示されている脂質が、「脂質」。このカップ焼きそば全体の脂質から、麺を揚げた分と推定される分、ソースに含まれる分、マヨ付の製品はその分も引いて、それを麺の量で割った数値が、「含有率」です。
 揚げ油分として見積もって引く数値は、少なくてもと思われる値です。油揚げ麺の場合、約14%が、脂質と言われています(麺の材料として練り込まれている分を、含む)。質量が違えば嵩も変わりますし、質量が同じでも太麺と細麺とでは表面積が違いますから、残留する揚げ油の量も違ってくると思います。
 あくまで傾向を判断する為に、簡単な目安として数値を出した、と思って下さい。

商品名 推定麺熱量 単位g 小麦量 予想量 脂質 含有率
ペヤング ソースやきそば 480 5.3 62g 197/174 27.6g 17%
U.F.O. 489 4.9 81g 219/227 29.9g 18%
カインズ ソース焼きそば 416 4.6 69g 197/193 16.8g 5%
マイフレンドビック ソースやきそば 514 4.7 73g 240/204 23.6g 10%
マルちゃん 焼きそば名人 ソース焼きそば 442 4.9 65g 197/182 20.3g 9%
マルちゃん ごつ盛り ソース焼きそば 684 5.2 95g 285/266 39.2g 17%
DEKAYAKI ソース焼きそば 617 4.7 94g 285/263 29.4g 10%

 先にも書きましたが、かなり大雑把に出した数値ですので、一応、確度について簡単に見てみます。

 一般的な中華麺1玉130g、加水率はうどん水準で45%で計算してみますと、この麺を油で揚げて水分を飛ばすと、89gとカップ麺の量に近い数字になります。
 乾燥状態89gの内訳を、小麦粉82g、脂質4g、塩・添加物を3gに割り振りますと、だいたい331kcalになります。
 更にインスタントと同じように油で揚げますと、その分カロリーが更に上がり、予想されるカロリーは420kcal〜510kcalとなります。麺90g製品は、だいたいこの範囲に収まっていますから、そんなに的外れな数字でもないように思えます。

 何れにしましても、厳密な分析ではなく、これらの数値から、何かしらの傾向が分かれば、と思い出したものです。

 蒸し麺の特徴を、麺に含まれる脂質から判断するのであれば、「ペヤング ソースやきそば」「U.F.O.」「マルちゃん ごつ盛りソース焼きそば」、この3種類は、麺に対する脂質が高いので、蒸し麺の配合比率で作られた麺と考えられます。

 一方、極端に数値が低い「カインズ ソース焼きそば」は、麺の材料に植物性油脂とは書かれていますが、おそらくは揚げ油だろうと思われます。また、麺に練り込まれていたとしても、中華麺程度の量で、蒸し麺の量ではないと考えられます。カロリーの高い脂質が少ないのですから、総カロリー量の低さも、納得です。
 また、推定熱量をベースに出した小麦粉量と、乾麺状態から推測される仕上り量との間に、もっとも数値の差が少ないのも、この製品でした。つまり材料がシンプルかつ比率も標準的なので、試算で求めた数値にもブレが少ないとも言えます。

 

 では、含有率10%程度の製品は、どうなのでしょうか?

 蒸し麺を検証した時のデータを元にすれば、普通の中華麺でも1gは脂質が含まれていて、蒸し麺は東洋水産の製品で3.2gですから、差は2.2gです。これを麺の重さ90gの比率にすると、違いは2%程度となります。
 油で揚げた麺の中から、たった2g程度の差を、見極めるには? 

 もう少しサンプルが欲しいので、更に数を増やしてみました。

商品名 ラード 脂質 含有率
マルちゃん やきそば弁当 28.4g 16%
一平ちゃん × 28.0g 11%
評判屋 ソース焼きそば × 19.2g 8%
金ちゃん 焼きそば × 18.6g 7%
日清 焼きそば × 18.6g 7%
一徹 × 18.6g 7%
浅草 東京 ソース焼きそば × 19.5g 8%
スーパーカップ 大盛り イカ焼きそば × 23.5g 8%
マルちゃん 昔ながらのソース焼きそば 25.0g 13%
マルちゃん 富士宮やきそば 34.3g 18%
TOPVALU ソースやきそば × 21.5g 9.5%

 「掟上今日子の備忘録」でしたら、この辺りで、「はいっ、僭越ながら」と、定番のセリフが出なければならない頃合いです。

 上の表で最初に気づくのは、麺の原材料にラードが入っている製品は、軒並み含有率が高くなっています。そもそも蒸し麺にしないのであれば、高いラードを使う必要はありません。わざわざ原価を上げてまで使うのですから、それには意味がある筈です。
 しかし「U.F.O.」は脂質含有率は高いですが、麺の原材料にラードは含まれておりませんので、絶対と言える基準ではありません。また逆のケースでは「マルちゃん 焼きそば名人 ソース焼きそば」は、脂質の含有率は微妙なラインの9%ですが、原材料表示を見ますと、ラードが含まれています。

 一方、PBなど低価格帯の商品は、押並べて脂質が低くなっています。低価格帯ではありませんが、「スーパーカップ 大盛り イカ焼きそば」は、麺130gのわりに脂質の量が低く、含有率も8%となっています。同じブランドの「スーパーカップ 鶏がら醤油(麺90g)」と比較しますと、単純に表示されている脂質量に質量差の比率をかけた数字ですが、焼きそばの方が低くなっていました。麺の量が多いのでカロリーの数値は高いですが、g単位で見ますと、隠れた低カロリーアイテムだと言えます。

 

 もっとも麺だけが、原価の全ての要素ではありませんし、高いから脂質が多い、安いから少ないとも言えません。

 こうして見ますと、むしろ製品の単価云々よりかも、メーカー毎の差である事に気づきました。「やき弁」をはじめ、OEM供給しているPBも含めて、東洋水産の製品は、すべて麺にラードが含まれています。同じく「ペヤング」のまるか食品も、廉価版の「ペヨング」であっても、麺にラードを使用しています。他に、ヤマダイもOEM供給も含めて、すべての製品が、そうでした。
 逆に、日清食品、明星食品、サンヨー食品、徳島製粉、エースコックなどは、すべての製品にラードが含まれていません。

 ですから単にコスト面だけを理由に、安い製品の麺にはラードが含まれていない、或いは脂質が少ない、と決めつけるのは、早計です。そう言った食感や味、健康志向で脂質を減らす為に、麺に脂質を入れない、入れても量を減らす、と言うのも考えられます。他にも、イスラム教信者を考慮しての輸出を考えたら、同じ脂質でも、ラードよりかは、植物性の方が適しています。

 また、脂質以外の材料を麺に練り込む事で、工夫を凝らして、味の向上を計っている製品も、少なくありません。それに脂質は、中華麺の必須条件ではありません。別に入っていないから、量が少ないから、ダメと言う事はありません。個人的に麺の評価が高かった製品でも、含有率が低い物もありました。

 ただ、会社単位で見ますと、全製品横並びに、ラードを入れているメーカーは全製品入れている、入れてないメーカーは全製品に入れていない、という傾向が分かります。しかし、脂質の含む量に関しては、メーカーが同じでも、前述のようにバラバラです。 

 

 今回、蒸し麺のサンプルとして出したのはシマダヤと東洋水産の2社でしたが、他に何社かの製品も調べてみましたが、確かに焼きそば用の蒸し麺とラーメン用の中華麺とでは、麺に含まれている脂質の量は、すべて蒸し麺の方が高かったです。勿論、日本中のすべての製品がとは言えませんが、蒸し麺の方が脂質が含まれる率が高い、と言うのは間違いではないと思います。

 しかし、工程において蒸すと言う点では共通してしまう油揚げ麺では、麺に含まれる2g〜4g程度の脂質の差が、どう影響するのか明確な結論は出させませんでした。食べる側としては、麺の原材料の配合比率なんか、どうでもいい、味が良ければ、いいじゃん! と言ってしまえば、それが結論になります。

 

 一応、結論っぽい事を出すのであれば、数値を取った中では最も低い「カインズ ソース焼きそば」の5%をベースにするか、低い数値が多く並ぶ7〜8%をベースになるかで異なりますが、先に書きましたように麺90gで違ってくる数字は2%程度です。
 「カインズ ソース焼きそば」を、普通の中華麺だと仮定したら、それ以外は、ほぼすべて。7〜8%を普通の中華麺とするなら、9〜10%が、蒸し麺と推定する目安の数値になります。

 麺が、焼きそばのすべての要素ではありませんが、「ペヤング 」「U.F.O.」「一平ちゃん」「やきそば弁当」など、支持が厚い製品は、だいたい脂質が10%以上ですから、味について一定の影響があるとは考えられます。
 上で数値を載せていませんが、最近シェアを伸ばしている「JANJAN」は、麺の量の少なさを考慮しても、脂質は、かなり低いです。これも女性向けの要素の一つかも知れませんが、脂質が低くても支持を集める商品もある、と言えます。

 結局、食品は、最終的に嗜好の問題になりますから、絶対にと言う事はなく、ある程度の傾向までは分かっても、必ず例外が存在して、これが!という真理には、たどり着けないですね。だからこそ、面白くもありますが…。 

 

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上のコンテンツは、「インスタントラーメン 怪しい伝説」に、統合、再録しました。

 

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