続 カップ焼きそばを研究する 

   

   

 ウチのHPはラーメン自作派を標榜しておりますが、日本が世界に誇る保存食品であるインスタントラーメン。その一種であるカップ焼きそばを含めて、研究するのは決して本道から外れた事でもないし、「自作ラーメン」にフィードバック出来る事もあると思っています。 

 と言う訳で、今回も、少しはウチらしい切り口で行けたら、と思います。 

   

   

 ・カップ焼きそばのニッチを突く  

 色々なメーカーが、様々な製品を出しているだけに、空位なんてないんじゃあないか? と思うかも知れませんが、そんな事はありません。 「カップ焼きそばデータベース」 にあります「麺の量ランキング」を見て下さい、現在販売されている2倍盛は「でっかいやきそば弁当」(東洋水産)と「ペヤング超大盛りソースやきそば」(まるか食品)だけです。前者は、北海道限定、後者は限定ではないものの流通の関係で東日本が中心です。 

 つまり、西日本の2倍盛市場は、完全な空白地帯です。 

 しかし、過去に日清食品も「デカ王2.0」と言う、過去最大の麺量を誇る2倍盛商品を販売しており、ほぼ敵が存在しない西日本の市場は、放っておいても獲得できた筈でしたが、結果は販売休止による撤退です。 
 何故、独占できる筈だった西日本の2倍盛市場を取れず、それどころか撤退に追い込まれたのか? 負けたのには、それなりの理由がある筈ですから、それを考えてみようと思います。 

   

 何故、「デカ王2.0」は、敗れたのか? 
 先ず、挙げたいのが、名前です。別にネーミングセンスが悪いと言う訳ではなく、「でっかいやきそば弁当」や「ペヤング超大盛りソースやきそば」は、それぞれネームバリューのある先行商品があり、それの2倍盛と言う由緒正しい家柄ですが、「デカ王2.0」には、それがありません。 
 名前からして2倍盛なのは分かりますが、何の2倍盛なのか、まったく説明がありません。  

 「でっかいやきそば弁当」は北海道限定なので事象等が分かりませんから、「ペヤング超大盛りソースやきそば」で話しを進めます。「デカ王2.0」が出た当時ですが、「ペヤング・ソースやきそば」は、だいたい店頭価格は125円〜135円でした。特売で1個100円や100均の店頭に並ぶ事もありましたが、そう多い回数ではなかったですから、平均して1個130円で買っていた事になります。ですから「ペヤング超大盛りソースやきそば」が2倍盛なら、単純に言って260円より安ければ、お得と思えます。 
 「ペヤング超大盛りソースやきそば」は、コンビニで定価買いをしたとしても260円よりかは安いですし、スーパーの店頭なら180円程度ですから、「ペヤング・ソースやきそば」を2個買うよりかは、安いです。 

 その点、「デカ王2.0」ですが、すべてを調べて訳でもなく、また正確に記憶している訳でもありませんが、発売当時コンビニでしか見なかった気がします。基本定価販売のコンビニですから、購入価格は200円くらいだった筈です。 
 そうなると1回目は新発売の珍しさもあって買いますが、2回目からは、100均で1個100円の製品を2個買っても同じだし、そちらの方が得じゃん! と考えるようになります。牛丼の特盛よりかも、並盛2つの方が得なのと、同じです。 

 そう、2倍盛のライバルは、同じ2倍盛だけではなく、並盛2つ、2個食いも、また敵なのです! 

 どんなに美味しいものでも、続けて同じ味を食べれば、飽きがきます。その点で言うのであれば1個100円×2個ならば、1個はソース味、1個は塩味と、味を変える事も出来ます。また、お湯だけは沸かしておいて、1個だけ作って食べて、足りなければ追加でもう1個作る、と言った柔軟性もあります。 
 消費者にとっての利便性で言えば、1個100円×2個の方が、圧倒的に有利です。それを覆せるのは、ネームバリューとお得感です。 

 確かに「デカ王2.0」も、自社製品が相手ならば、1個90g×2個=180gなのに対して、205gと言う量の優位は持っていますが、100均の店頭に並んでいる製品の全てが麺90gではありませんし、中にはからしマヨと言う飛道具を隠し持っている製品もいます。 

 買う側としては、単にコスパだけを求めるなら1個100円×2個ですが、「ペヤング超大盛りソースやきそば」を買う時は、「ペヤング・ソースやきそば」を思いっ切り食べたいからです。ですから、何でも良いのではなく、「ペヤング・ソースやきそば」の2倍でないと、ダメなんです。 

 ですが「デカ王2.0」には、それがありません。仮に「日清ソース焼きそば」の2倍にしても、それなら「日清ソース焼きそば」を2個買った方が、得です。もし、「日清焼きそば U.F.O.2.0」だったら、話しは違っていたでしょう。 
 圧倒的なまでのネームバリューですから、2倍盛が受ける恩恵も、計り知れません。ブランド・イメージにそぐわないから使わなかったのか、理由は分かりませんが、「U.F.O.」と「日清焼きそば」の2大ブランドを温存した故に、ネームバリューを「デカ王2.0」に持たせる事が出来なかったのは、事実だと思います。 

   

 次に挙げたいのは、「デカ王2.0」その物の中味です。 

 麺206gと、麺100gまでに対してなら、量に関しては優位性を持っています。しかし、麺以外の要素は、どうでしょうか? 当時の記憶ですが、具はキャベツのみで、並盛よりかは多いですが、2倍盛にしては寂しい気がしました。その辺りは、ペヤングを基準にして見ている所もあったと思いますので、100円ラインの商品を標準で考えるなら、普通だったかも知れません。 

 ただ、やっぱり、それじゃあダメなんです。それだと結局は1個100円×2個の方が、いいじゃん! と言う事になります。「ペヤング超大盛りソースやきそば」が、本当に「ペヤング・ソースやきそば」2個分かと言えば、そんな事はありません。ただ、露骨に廉価版とは消費者に感じさせず、あくまで「ペヤング・ソースやきそば」2個分と錯覚させる範囲での、間引きです。 
 完全とは行かないまでも、正規品2個分だと消費者が思うから、お得感がある訳で、廉価版2個分に、お得感はありません。 

 結局、麺の量だけが多い、廉価版2倍盛の商品。それが「デカ王2.0」に対する認識だったと思います。 

 先行する「ペヤング超大盛りソースやきそば」「でっかいやきそば弁当」に対して、麺25g(5g)の優位性を持たせた、そのコンセプトは良かったと思いますが、武器がそれだけでは互角の戦いは、挑めませんでした…。
 過去に、大盛の標準的な130gに対して、10gの優位性を持たせた「極盛」(日清食品)も、やはり敗退しました。 消費者がインスタントラーメンを買う時に、いちいち内容量のグラムを見ているかと言えば、多分、見ていないと思います。せっかくの武器も、気付いてもらえなければ、意味がありません。 
 むしろ、小袋など、もっと分かり易いアイテムの方が、消費者にアピール出来たかと思います。リニューアル版は、その事に気づいたのか、麺は200gになった代りに、からしマヨが付属されました。 

 とは言え、結局は、100円ラインの商品でもからしマヨを添付した商品はありますから、1個100円×2個に対して優位性が保てません。1個100円×2個に対して、容器は1個で済む訳ですし、ソース、具、ふりかけにしても完全に2倍ではない訳ですから、その浮いた分のコストを、内容に向けなかったのか? 

 その辺りにも、敗因があったのでは? と思います。 

  

 結果を見てから分析、解説するのであれば、誰にでも、出来ます。とは言え、過去から学ばないのも、愚の骨頂です。では、ここからは、どうすればニッチを突けるか? です。 代替となる案を出してこそ、初めて建設的な意見と言えます。
 そこで「川模廠附属ラーメン研究所」が提唱する、「2倍盛カップ焼きそば」です。 

   

 「川模廠附属ラーメン研究所」が提唱する「2倍盛カップ焼きそば」とは? 

 先ず、麺の量です。2倍盛と言う以上は、レギューサイズの倍、90gを標準とするなら180gになりますが、敢えて2倍に拘る必要もないと思います。実際、「ペヤング」にしても、「やき弁」にしても、何処にも2倍とは書いてありません。例えば1玉が75g〜80g程度であっても、容器の中に2個入っていれば、消費者は勝手に2倍盛と判断してくれます。   

 と言うのも、自分の場合は「ペヤング超大盛りソースやきそば」になりますが、食べ切れない量ではないけれど、調子が悪い時などリタイアした事もありました。その意味では調子のバロメーターでもありますが、そういう個人的な情報は置いておくとして、食べ切れないと勿体ないと言う感じがします。 
 つまり、2個買うよりかは、と言うお得感があるのに、食べ切れないと、勿体ないという気持ちになり、ちょっとくらい割安でも結局は…、と思うようになります。かと言って、簡単に食べ切れる量では、満足感がありません。 

 「俺は、2個分を、食べ切ったぞ!」、と言う達成感が必要です。「ラーメン二郎」が、その代表かも知れませんが、達成が困難な事を成し遂げたと思わせる、その優越感にも似た感覚です。 
 それは単なる大盛りでは味わえない感覚ですし、時間差で作ってダメな時には止めると言う逃げ道がある2個食いにもない、一度作ったからには、きっちり食べ切らないと無駄になる、言わば背水の陣で挑む2倍盛でのみ、得られる特別な感覚です。 
 自宅で、一人で食べているのだから、誰に対して誇る訳でもありませんが、「ふっ、漢を見せたぜ…」と空になった容器を前に、達成感に酔う幸せは、2倍盛でしか味わえません。 

 ですから、なるべく買った人が食べ切れる量でありながらも、簡単には達成できない量という、二律背反を達成しなければなりません。その点で言えば、レギュラーサイズの麺が少ない「JANJANソース焼きそば」が、理想だと思います。85g×2→170gと、「ペヤング超大盛りソースやきそば」より、10g少なくて済みます。それにベースのレギュラーサイズのネームバリューもそれなりにありますから、「JANJANソース焼きそば・漢盛(仮)」なんて感じで! 
 勿論、2倍と言う数字に拘らなければ、どの焼きそばでも、OKです。ただ、前述のような条件をクリアするとなると180g以下、170g前後が理想と言えます。 

 確かにボリュームを求める人に対して、量が多いのは美点となりますが、それだけでは戦えないのは、過去が証明しています。現に、今でしたら100円で麺130gの商品が出ています、これに対して優位性を持たせるとなると、260g以上が必要となります。 
 そりゃあ、260gを食べ切ったら、漢だとは思います。が、何人が達成できるのか? って話しにもなります。大盛サイズのカップ焼きそばを2個食いしたいとは、普通は思いませんよ…。 

  

まぁ、昔放送されていた「クイズダービー」の最終問題みたく、「せーの、ドン! 更に、倍!!」、といったノリで、大盛の更に倍と言うのも、面白いとは思います。

 ただ、それだけの量を求める人、食べ切る人となると、かなり間口は狭くなるでしょう。

 或いは、1個だけ買って、家族で分け合うケースも、考えられます。

 実際、筆者も「ラーメン二郎・小滝橋通り店」で、1杯をシェアして食べている親子連れを見ました。

 こうなると既存製品の売上にまで、ブレーキをかけてしまいます。 話題作りとして、期間限定で投入するのは面白いでしょうが、容器は新規開発が必要ですから、コストに見合うリターンがあるかは、かなり微妙な気がします。 

(左写真は、「日清焼きそば 大盛1.5倍」、麺134g×2を使用した、現状考えられる最高量の2倍盛を、「ペヤング ソースやきそば 超大盛」の容器に入れたものです。容器の重さを除いて、約700gの大ボリューム。普通に130gの大盛カップ焼きそばを2個買った方が、コスト的には安くつきますが、最大量を実現する為には、上記の商品が必須でした。勿論、食べ切りました)

    

 次は、ソースです。今回のテーマであるニッチを突く、と言うのであれば、ターゲットは西日本です。蕎麦うどんですと、販売エリアの東と西で、味を変えている商品がある事で知られていますが、焼きそばでは、現在はサンヨー食品の「縁日の焼きそば」、当HPの推定では「トップバリュ・ソースやきそば」、この2種類だけです。以前は「U.F.O.」も、東と西で違う味を出していましたが、今は西で統一されているようです。 

 ただ、テーマを考えるなら、東は捨てて、西日本に絞った味です。東日本は、主に醤油文化圏だけに、「ペヤング」「やき弁」のような、アッサリ系が好まれるのかも知れません。一方、ソース文化のメッカである西日本は、スパイシーな感じが好まれると言いますから、基本的な方向性は決まりです。 

 そこで西日本に絞って、他にない要素を、もう一つ。ソース文化のレベルの高い関西では、自宅に2種類以上のソースが常備されており、用途に応じて使い分けているそうです。そして2倍盛には、1つの容器に、2玉の麺が入っています。 
  そう、Wソースですよ! しかも、ただのWソースではありません、流動性が高く辛口のウスターソース、濃厚甘口なドロソース、液体と液体のWソースです。片方ずつに各ソース使い、2つの味で食べる。そして、途中からは混ぜて、味変して、合わせたWソース味で食べる。 

 発想その物は「ペヤング ハーフ&ハーフ」と同じですが、両方ともソース味でありながらも、違うところが、ミソです。単に量が多いだけの大盛ではなく、ちゃんとソースにも拘っています、というアピールにもなります。 
 ただ、このWソースを最大限に活かす為には、まるか食品と同じように、麺2玉を横に並べる必要があり、日清食品や東洋水産のような縦では、真価を発揮できません。     

 また、知名度や認知度で不明な点が多いですが、全国には数多くの地ソースが存在します。現在、ソースを大きくアピールしている製品は、地元大黒屋の串かつソース使用と銘打った「大阪なにわの焼きそば」(ヤマダイ)、オタフクソース株式会社と共同開発したカップ焼そば用のオリジナルソースがセールスポイントの「サッポロ一番 オタフクお好みソース味焼そば」(サンヨー食品)  、この2つだけですが、過去には「オリバーどろソース焼きそば」(エースコック)もありました。   

 筆者くらいの年齢の静岡県民でしたら、小さい頃に、よくコーミソースのTVCMを観た記憶があると思います。CMその物は覚えていなくても、CMソングくらいは、耳に残っている筈です。 
 コーミソースは、中京地区だけ知名度が高い、典型的なローカルなソースメーカーです。裏を返せば、その地盤での支持が厚いと言う事ですから、その地区の人達の舌に合った、好みの味とも言えます。つまりリサーチして新規に開発しなくても、的確に嗜好に合った味は、既に用意されている訳です。 

 調味料としての普通のソースを、そのままカップ焼きそばに、とは行かないでしょうが、ベースが決まっている分だけ開発も早いと思います。  

 例えば「東海地方限定・コーミソース使用」と言って売出せば、ただ普通のソースを2種類入れて売るより、地元の支持は大きい筈です。加えて「焼きたてジャパン」に登場したおかげで、名前だけは知っているけど、実物のコーミソースは見た事がない、と言う人も多くいます。先ずは、東海地方で限定販売して、耳目と羨望を集めさせておいてから、全国で販売すると言う手もあります。 

 東海地方には、より強力な販売網と支持を得ている、カゴメもあります。ただ、カゴメは、関東地方でも購入可能で、今一つ地元っぽさとプレミア感に欠けます。あと、コーミソースより、更にマイナーな太陽ソース、トリイソースもありますが、流石に、ここまでくると…、と言う感じもします。 

 上では、東海地方とコーミソースを例に出しましたが、九州地方に地盤を持つ金蝶ソースなど、色々な地ソースはありますから、販売エリア毎に組合せを変えても、面白いかと思います。 

 具については、コストの許す範囲で充実させる、としか言えません。ただ、ふりかけについては、ここでも一つ奇策を提案します。2倍盛=2個分と消費者は考えます、勿論、実際に具やふりかけは、2倍入っていませんが、ここは、敢えて本当にふりかけを2つ添付します。 
 但し、片方は、あおさと紅生姜、という普通のふりかけ。もう片方は、味変用としてカレー風味、胡椒、一味唐辛子など、複数種類用意して、ランダムに添付します。味変用のふりかけは、何がついてくるか? その要素で複数回の購入を促しつつ、シークレットを混入する事で、話題を作りと消費者のドキドキ感を煽ります。 
 これが麺、ソース、具といった主要素でしたら、消費者は怒りますが、ふりかけはオマケという認識が強いですから、遊びが許されると思います。今までに、ふりかけ全5種+シークレット、と書かれたカップ焼きそばは、なかったと思いますから、業界初です! あと、ふりかけは量が少ないので、成分表示で内容物をサーチし難いのも、ポイントです。 

 最後に価格ですが、ここは100円×2個に対抗する為にも、定価は190円以下は必須で、出来れば180円程度が理想です。 

 そして、マヨは、付けない。コストを下げる為にも、マヨは削り、その分内容を充実させます。 
 カップ焼きそばの場合ですと、お湯を捨てると過程がある為に、外で作って食べる事は、かなり少ないです。勿論、ゼロとは言いません、コンビニでお湯を入れて、側溝にお湯を捨てて、道端で食べている人も居ますが、それは限りなく少数派です。 
 普通は、中食と言うか、買って帰り、自宅で作り、食べます。ですから、マヨに拘る人なら、自宅に好みのマヨが常備されているでしょうから、敢えてマヨを添付する必要は無いと思います。 

 どうしても小袋を付けたいのであれば、定番のからしマヨではなく、新境地としてドレッシング(イタリアン・ドレッシング)を、提唱します。そもそもマヨネーズは、卵、酢、サラダオイルの3つから成り立っています。つまり、油と酢が入っているドレッシングなら、似た効果を得つつも、コストは下がりますし、目新しさもあります。 
 また、「リンガーハット」でも、味変アイテムとして、ドレッシングはありますので、強ち見当違いな選択ではありませんし、むしろ実績があります。 

   

   

 と、これが、「川模廠附属ラーメン研究所」が提唱する、2倍盛です。名前も、どうせ購入者の大部分は男性ですから、ここも食べ切った時の達成感を煽る意味でも、「男盛」や「漢盛」など、男性向け製品である事を強くアピールします。(※おとこざかり、ではありません、おとこもり、です) 
 更に、ラーメン二郎を連想するように、「焼きそば四郎」とか、そんな感じで、食べ切った事が誇れる事を、さり気なくアピールします。 

 で、これを読んで、本気で商品企画を考えて下さるメーカーさん、お願いですから、販売エリアに静岡県を含めて下さい! 大事な事ですから、2回言います。販売エリアに静岡県を、必ず含めて下さい!! 

   

   

   

 ・カップ焼きそば、もう一つのニッチを突く  

 前項では「2倍盛」というニッチを突きましたが、まだカップ焼きそば界には、現状で空位になっている所があります。最近、認知度が上がってきた東南アジア風のテイストは除きます、そもそもソース焼きそばが前提ですし、それについては後ほど触れます。 

 味でもなく、サイズでも、ない。では、何処にニッチがあるのか?  「カップ焼きそばを研究する」 の冒頭で少し書きましたが、現行で販売されている製品は、すべて油揚げ麺(スナツク麺)です。 
 過去においては、ノンフライ麺、LL麺の製品もありましたが、現在は販売されていません。では、何故、ノンフライ麺やLL麺は、支持を得られないのでしょう? 

   

 ノンフライ麺についての考察 
  ノンフライ麺と言えば、かつてはカネボウ(ベルフーズ)の十八番で、今ではそれを引き継いでテーブルマークの製品が、思いつきます。また、高級即席麺の嚆矢とも言える「中華三昧」は、今でも明星食品の看板ブランドの一つです。他にも、長年停滞気味だった袋麺界に激震をもたらした「正麺」(東洋水産)、LL麺から転向した「ラ王」シリーズ(日清食品)、ニュータッチの高級路線ブランド「凄麺」(ヤマダイ)など、各メーカーのフラッグモデルとも言うべき、ハイエンドの製品は、ノンフライ麺が主流です。 

 では、ノンフライ麺が高いのか? と言えば、そうでもありません。 

 前述のテーブルマークの製品は100均で良く見掛けます。トップバリュ・ベストプライス(イオンPB)のノンフライ・カップ麺も、OEM供給しているのは、テーブルマークで、こちらは62円と言う低価格、流通も全国で売られています。 

 また、過去において販売されていた「本中華 醤」(ハウス食品)なども、特に販売価格が高かった訳ではありません。 

 ノンフライ麺の特徴として、麺を油で揚げてないので、より本物っぽい感じに仕上がりますから、本物嗜好が求められるトップクラスの高級製品に、多く用いられているのだと思います。逆に言えば、インスタント麺特有のチープさがなく、それが好きな人にとっては、ノンフライ麺は魅力のない製法です。 

 実は、これは、結構、重要な要素だと思います。 

 単にラーメンが食べたのではなく、専門店で食べるラーメンでもない、カップラーメンを食べたい、そう思う人も居ます。実際、コンビニ世代が増えるにつれて、刑務所に服役する囚人が希望する食事の人気第一位は、カップラーメンなそうです。 ラーメンではなく、カップラーメンです。 
   最早、カップラーメンは、ラーメンの長期保続と調理を容易にした代替品ではなく、一つの独立したジャンルと言えます。そしてカップ焼きそばも、単に焼きそばをインスタイト化した食品ではなく、独立したジャンルと考える事が出来ます。 

 カップ焼きそばのスタンダードになっている油揚げ麺、カップラーメンも同じですが、特有の食感があり、それが好まれている最大の要因だと思います。本物の麺が持つ食感ではなく、油揚げ麺特有の食感が好まれる、と言えます。 

 また、麺を油で揚げた事によるコク、これも好まれる理由の一つです。焼きそばは、蒸し麺がくっつかないように使われている油、炒める時の油など、意外と油っぽさがありますから、油揚げ麺の方がノンフライ麺よりかもリアリティーがあるのかも知れません。 
 その点、ノンフライ麺で、油っぽさを出そうとしますと、どうしても和えるソースに混ぜる必要があります。しかし、度が過ぎると油でソースが弾かれて、味その物が薄くなりそうです。 

    

 油揚げ麺特有の食感や風味は、製法に起因するものですし、それが特徴ですから、それをノンフライ麺に求めても、無い物ねだりなだけです。ですから、ノンフライ麺は、ノンフライ麺の良さ、長所を活かせば良い訳です。 

 ノンフライ麺の特徴と言えば、油で揚げていない分だけ低カロリーと言うのもありますが、やはり本物っぽさだと思います。確かに、本物っぽさは特徴ですが、それ故に弱点とも言えます。 

 油揚げ麺の長所は、油揚げ麺しか持っておらず、他の製法には真似ができない、オンリーワンです。しかし、ノンフライ麺が本物っぽいのに対して、オリジナルとなる生麺は当然ですが、チルド製品、LL麺も、すべて本物その物です。 

 そして、もう一つ。ノンフライ麺の敵としまして、冷凍食品もあると思います。 

 生麺は、あくまで麺料理を作る材料の一つですから、除外します。チルド製品やLL麺は、製品によって違いはありますが、主流は麺とスープが基本構成で、具材は作る人が足して下さい、と言った感じの商品が多いですから、比較対象やライバルは、袋麺だと思います。 

 それに対して、冷食は、具材も込みになって、チンすれば完成形になりますから、お湯を入れれば完成するカップタイプのライバルと言えるでしょう。 

 ひと昔前であれば、高額で普及率も低かった電子レンジも、今でしたら単機能なローエンドの製品であれば、1万円で買えます。電子レンジとコンビニの急速な普及で、一時期は隆盛をだった弁当屋チェーンも、今では数を大幅に減らしました。 
 そしてコンビニには、たいてい冷凍食品の販売コーナーがあります。しかもコンビニだけあって1人向けの1食サイズの製品が充実しており、買っておいて自宅の冷凍庫に保存するだけではなく、帰りがけに購入してするという選択肢もあります。 

 勿論、今でも高級志向を中心にノンフライ麺の製品は、それなりの数が出ておりますから、電子レンジとコンビニの普及による冷凍食品の拡大が、そのままノンフライ・カップ焼きそばを絶滅に追い込んだ原因とは言えません。 

 ただ、理由の100%ではないにしろ、数%には、なっていると思います。油揚げ麺のようなオンリーワンな魅力を持たず、特徴をオリジナルに依存しているノンフライ麺は、より忠実にオリジナルをコピーした、再現度で上回る冷食は、かなり部の悪い相手と言えます。 
   特殊な例ですから、あまり一般的とは言えませんが、自分の友人で、どうせ料理はしないし、風呂は銭湯を使うからと言って、アパートにガスを引きませんでした。つまり電気と水道だけですから、まぁ、電気ポットでお湯は使えますが、それなら電子レンジの方が手軽です。 

 かつては湯煎して温めるのが主流だったレトルトカレーが、ここ数年で電子レンジ対応の製品が大幅に増えたのも、やはり普及率とニーズに対応しての事だと思います。 

   

 確かに冷食相手には分の悪い戦いではありますが、販売されているコーナーが違いますから、ここは相手を油揚げ麺に絞って見てみます。ノンフライ麺は、カップ焼きそばには、向かないのでしょうか? 

 過去、ノンフライ麺を得意とするテーブルマーク(当時はカネボウ)が、ノンフライ麺のカップ焼きそばを出しましたが、定着する事が出来ずに、現在は販売されてません。 

 ただ、ラーメンを見ても分かりますが、ノンフライ麺ならではの食感、コシの強さは、捨て難いものがあります。 

 特に、富士宮焼きそば特有のコシの強さを再現するには、油揚げ麺よりかも、ノンフライの方が適してるのでは? とは誰でも思うところですが、これも以前にとかち麺工房より販売されていました。 
 再現度は高かったんですが、値段も高かったです。「コレを買うなら、スーパーに行ってマルモ食品の蒸し麺を買って、家で作りますよ!」と言う感じでした。 

 富士宮焼きそばの麺のコシの強さを再現するには、ノンフライの方が適しているとは思いますが、それは特殊な用途なので、置いておきます。ただ、富士宮焼きそばが全国的に評価された訳ですから、コシの強い麺による焼きそばがダメではない、いけると分かった訳ですから、ノンフライ麺による焼きそばにも、活路はあると思います。 

 と、推論だけでは話しになりませんので、実験しましょう! 

 実験は、ノンフライ麺は、本当に焼きそばに適さないのか? です。

 調達したノンフライ麺は、左写真にあります「トップバリュベストプライス・しゅうゆラーメン」です。OEM供給しているのは、ノンフライ麺の老舗であるカネボから引き継いだ、テーブルマークです。  

 「マルちゃん正麺」や「ラ王」と言う袋麺を使うという選択肢もありましたが、最新の技術でラーメンに特化したノンフライ麺よりかも、オーソドックスなタイプの方が、より実験のテーマに沿うと思ったからです。

 あと、1個62円(税込)と言う低価格も、採用の決め手です。 

 

 

左の写真が、2個分を湯戻しして、湯切りした時のものです。確かに、見た目は、茹でた中華麺その物で、再現度と言う点では、ノンフライ麺が優れているのが、良く分かります。
 今回使用しました「トップバリュベストプライス・しゅうゆラーメン」の麺は60gですから、2個使用しても、大盛カップ焼きそば1個に、量は及びません。麺60gは、カップ麺として見ましても、量は少ない部類に入るとはいえ、大盛カップ焼きそばは気付かないうちに、2個食いをしていた訳ですね…。 

 そして、カップ焼きそばを想定して、別の空き容器で、これにソースを混ぜた訳ですが…。 

 

   

 結果は、惨憺たるものでした。

 写真は完成時で、具も入っていて分り難いですが、麺がひと塊になって、団子状態です。

 カップ焼きそばの場合、湯切りした後にソースを混ぜる工程だけは、絶対に外せません。

 しかし、湯切りした直後から、猛烈な勢いで麺がくっつき出します。 

油で揚げた麺ならば、湯切りした後でも多少は麺に油分が残っていますが、それでも麺はくっつき易いのに、油で揚げていないノンフライ麺は、その比ではありません。 

 ソースをよく混ぜようとすれば、するほど、麺は団子状態になっていき、事態は悪化の一途をたどります。 

 この辺りは、自分のミスで、湯切りした麺がくっつき易いのは、容易に想像できた訳ですから、それを見越して油を馴染ませるなど、方法はあった筈です。 

 食べる時に、流動性の高いウスターソースで水分を補ってやると、多少は改善されました。 

 

 前述のように、明らかな自分のミスは置いておいて、ノンフライ麺その物については、焼きそばに不向きとは思えませんでした。 
  ラーメン用の麺を転用したので、焼きそばにしてはかなりの細麺ですが、それでも太さ以上にコシの強さがあり、食感などは良好です。 

 一方で、欠点も見えてきました。焼きそばの麺と言えば、中太以上の太麺が主流です。今回使用しましたラーメン用の中細麺などでも、ノンフライ麺の湯戻し時間は4分です。「マルちゃん正麺」や「ラ王」のカップタイプは、湯戻し時間は5分です。 

 しかも、電気ポットのお湯などを使用すると、温度低下が原因なのか、今一つ戻りが悪い時があります。 

   

 それが焼きそば用の中太以上の麺になると、おそらく湯戻し時間は5分以上で、7分でもおかしくありません。温度低下を防ぐ為に容器の厚みも必要でしょうし、お湯目安も普通よりかも多くなるでしょう。 

 実験の結果としては、予定していなかったと言いますか、当初の検証目的とは違った結論が得られました。 

 ノンフライ麺の味や特徴が焼きそばに向かないのではなく、湯戻しの方に原因があったように思えます。 

 焼きそばらしい中太以上の麺になると、カップタイプでは戻せないのではないのでしょうか? 袋麺、特にラーメンであれば、ガスコンロから熱は供給され続けますから、後は時間の長さで解決されます。 
 しかし、カップ麺ですと、ヤカンがコンロから外されて時点、電気ポットからお湯が出た時点で、お湯は冷め始め、そして湯戻し時間の間も下がり続けます。 

 勿論、温度が下がっても、時間が掛かるだけで、麺は戻ります。しかし、食べるのは湯切りした後ですから、更に温度は下がって、美味しいと感じるかは別問題です。 

   

 もし、ノンフライ麺のカップ焼きそばが、ニッチを突けるとしたら、3分程度で油揚げ麺並みに戻る画期的な新技術が開発されたら、になるのでしょうか? 

   

 しかし、たら、れば、で語るのでしたら、何でも出来ます。ここは、既存の技術でも実現可能な、現実的な話しで行きます。 

 ライバルの相方を手を借りる、と言う手があると思います。つまりお湯を入れた上で、電子レンジに入れるのです。まぁ、お湯でなくても、電子レンジを使う訳ですから、水でもOKですが、そうすれば従来では湯戻し不可能だった太さのノンフライ麺でも、十分に戻せると思います。 
 ノンフライ麺ですから、当然、麺に材料として練り込まれている分を除けば、油はありせんから、容器の耐熱温度の上限を超える事はない筈です。(まぁ、限りなく沸点に近い温度ですから、湯切りの時は、かなり危ないかも知れませんが…) 

 単に、これは駄目と批判するだけではなく、ちゃんと建設的な代替案を提示するのが、ウチのHPの良いところです。 

 レンジのアシストを受けられるのなら、より本物の志向で再現度の高い製品の可能性も出てきます。そうなると冷食とも互角に近い戦いを挑めますし、油揚げ麺相手にも一方的な敗北を喫する事はないでしょう。 
 ただ、調理の手間は増えますし、価格も上がるでしょうから、その辺りの折り合いは難しいかも知れません。 

   

 と言う訳で、これを読んで、本気で商品企画を考えて下さるメーカーさん、先ずは試験販売を静岡県でやりましょう。昔から、静岡県の県民所得の平均が、全国平均と同じなので、東京都と並んで試験販売のメッカです。しかし、今、東京都で販売されても、自分は買えません。ですから、静岡県で、試験販売をして下さい! 

 大事な事ですから、2回言います。試験販売は、経験と実績のある、静岡県で!! 

   

   

   

 LL麺についての考察 
 かつては「ラ王」(日清食品)がLL麺を使用しており、その頃はシリーズの中に焼きそばも含まれていましたが、現在は販売されておりません。現在、LL麺の商品を多く出しているのは徳島製粉で、カップタイプ、アルミ容器で直火調理するタイプを含めて、数多くのうどんを出しています。 
 日清食品も、「ラ王」がノンフライ麺に転向した後も、引き続き「ごんぶと」「Spa王」は、LL麺を使用しています。また、現在はカップの販売はありませんが、寿がきや食品も、袋タイプではLL麺の製品を数多くラインナップしています。 

 上のような良く名前が知られたメーカーだけではなく、中小を通り越して、もっと零細な企業ですら、LL麺を製品化していますから、メーカーの技術力や工場の整備が原因とは思えません。 

 製品化が技術や設備的に難しい訳でもなく、本物の再現度も悪くはないのに、LL麺が、何故、カップ麺のメインストリームになれないのでしょうか? 

 最もよく目する日清食品「ごんぶと」、また以前の「ラ王」もそうですが、定価は200円を超えており、カップ麺として高めの設定です。ただ、本物志向のハイエンド系の商品は、だいたい定価200円越えは当り前ですから、特別に高いと言う訳でもありません。 
 また、中華麺ではなく、うどんなので、原価が同じとは言えませんが、徳島製粉の製品は、だいたい100円で売られていますから、LL麺=高いと言う図式は成り立ちません。 

 この辺りは、ノンフライ麺と同じく、本物っぽさが求められる高級商品に使われているから高いだけで、製法が原価引き上げている訳ではなさそうです。 

 それにLL麺の長所として、温まって麺が解れれば良いので、熱湯を入れてから食べられるまでの時間が短く、せっかちな人にはうってつけです。 

 常温で保存できて、直ぐに食べられ、その上ある程度の再現度もあるLL麺ですが、良い面だけではなく、短所もある筈です。 

 先ず、温めて、麺が解れれば、食べられる。と言う長所ですが、それは麺が既に加熱調理されているからです。麺は、茹で上がってから、口に入るまで、のび続けます。ですからLL麺は、どうしても加熱してから時間が経過した食感にならざるを得ません。 

 LL麺に多く使われているうどんですが、チルド製品の定番のゆでタイプ、あれと比べれば同等の食感で、再現度で言えば極めて忠実で高いと言えます。ですが、うどん本来のコシは、まったくありません。 
 ただ、一般的に最も普及していて、食べる機会も多いのが、ゆでタイプ(チルド製品)ですから、消費者の比較対象に恵まれたと言えます。(スパゲティーの場合は、麺の茹で時間が長いから、その手間を考えると多少は再現度を犠牲にしても、と言う消費者のハードルの低さと、比較対象が学校給食のソフト麺にあるからだと思っています) 

 しかし、比べる対象に恵まれたうどんに比べて、どうしても中華麺では、再現度で劣った印象を持ちます。確かに、油揚げ麺やノンフライ麺にはない、ふにゃっとした独特の食感は、良し悪しは別としてLL麺特有ではありますが、魅力かと言われれば、そうとは言えません。 

 生麺を茹でたてで食べるラーメンに比べて、一度蒸して加熱された麺を調理して食べる焼きぞはは、LL麺での再現度で言えば、ラーメンよりか恵まれており、むしろ加熱後の時間経過で言えば、うどんに近いとも言えます。 

 これだけ見ましたら、焼きそばは、むしろ消費者の比較対象では、恵まれている筈ですが…。やはりカップ麺の宿命として、焼かない、これがネックだと思います。 

 オリジナルは、蒸し麺を加熱調理する段階で、麺の表面が焼き固められますが、カップタイプのLL麺には、それがありません。温められただけの、ただの柔らかい麺です。それは油揚げ麺も同じですが、油で揚げた事による固さ、香ばしさやコクなど、独特の魅力があります。 

   

 なら、いっそ、麺を温めた後にソースを混ぜるのではなく、先に麺とソースを焼いておいてから、保存したら、どうでしょう? 

 と、LL麺の弱点を逆手に取った発想は、既に製品化されています。 

 今でも売られているか分かりませんが、「デイリーヤマザキ」で販売されていた「このまま食べる焼きそば」(末広製菓)です。焼かれて、ソース味のついた麺が、そのまま袋に入った製品で、105円です。 
 正確には、LL麺ではなく、普通の惣菜(?)ですが、LL麺での製品化の可能性は、どうなのでしょう。 

   

 LL麺は、消費者がお湯で温める以前に、製造段階で長期保存を可能とする為に、有機酸液などに浸漬しますから、その時点で味が落ちてしまいます。ただ、ソースその物は常温保存が可能な調味料ですから、麺を殺菌してから、ソースを絡めて、パッケージしても良さそうな気がします。或いは、ソース味を練り込むなど強めに味付けしたうえで、加熱後に、再度ソースを絡めるなど、不可能ではないとは思います。(メーカーの技術担当ではないので、あくまで素人の発想ですが…) 
 また、加熱手段を湯煎から、電子レンジに切り替えると言う手もあります。 

 「日清 レンジラ王 ソース焼そば」は、お湯で温める事を捨てて、電子レンジに走った事では、先駆者だったと思います。ただ、もう一歩踏み込んで、温めた状態にソースを絡めるのではなく、ソースを絡めた状態で、と言うところまでは突き抜けられなかったようです。 

 まぁ、出来なくはないのかも知れませんが、そこまでしてLL麺で焼きそばを出したいのか、と言うのもあるでしょう。先にも書きましたが、電子レンジとコンビニの普及により、冷凍食品の方が身近で手軽な存在になっています。 
 再現度で優る冷凍食品を相手に、わざわざ新技術を開発して、それに対応した設備投資をしてまで、勝ち目の薄い勝負を挑むのか? と言う事になります。  

   

 先の「このまま食べる焼きそば」を、真空パックやレトルト化して、もう少し消費期限長期を長くするのが、常温保存可能な生麺タイプの焼きぞはの、最後の希望かも知れません。ただ、そうなると容器の必要性は無くなりますから、カップ麺、カップ焼きそばとは、呼べなくなります。(袋麺、…ってのも、違いますから、ネオ袋麺?)  

   

 カップにお湯を入れて温め、湯切りして、ソースを絡めて食べる。その調理過程を経ている以上、どうしてもLL麺の弱点は克服できそうにありませんし、克服するにはカップ麺である事を捨てなければなりません。 

 市場としては狭いかも知れませんが、LL麺特有の食感が好き、と言う人も居るかも知れません。本当に言葉通りニッチだとは思いますが、かつての「ラ王」のような高級路線ではなく、低価格で販売すれば、また違う需要があるかも知れません。 

   

   

   

・カップ焼きぞはの近縁種について 
 カップ焼きそばですが、言う間でもなく、調理に焼くと言う過程は入らず、正確に表現するなら和えソバ、ないしは混ぜソバです。それに前回の研究で、使用されている麺については、脂質が多く含まれる傾向はあるものの、麺その物についての違いついては、明確には分からず、限りなくグレーでした。 
 つまり麺類に、何かの味を和える、それで成立するのであれば、もっと幅は広がるのではないだろうか? それが本章のテーマです。  

  

 ・焼きうどん
 (再現度は別としても)うどんの即席麺化には成功している訳ですから、製品化が最も容易なアレンジだと言えます。カップのインスタントうどんと言えば、「どん兵衛」「赤いきつね」の両巨頭が、確固たる不動の地位を確立している印象がありますが、現在、又は過去においても、色々なメーカーから出ていますから、技術的な問題に起因しているとは思えません。 

   

 しかし、カップ焼きうどんと言われて、直ぐに思いつく製品がありません。それどころか、多分あるとは思うけど、何処のメーカーが何を出していたっけ? と言った感じで、かなり曖昧な認識です。 

 少し前には東洋水産の金看板を背負った「赤いきつね 焼きうどん」、サンヨー食品からは、B級グルメの王者・富士宮焼きそばに「天下分け麺の戦い」で勝利した、小倉焼きうどんをカップ麺化した、「サッポロ一番 北九州 小倉やきうどん」など、意欲的な新製品も投入されていました。 
 ただ、こうした意欲的な製品ですら、定着するには至らず(赤いきつねはコラボでしたが)、現在は販売されていません。 

 既にオリジナルの存在とは別に、カップ麺として独立したジャンルとなったラーメンや焼きそばと比べるのも酷かも知れませんが、全体として焼きうどんの製品数その物が少数で、あくまで亜種として存在はしている程度で、一つのカテゴリーを形成するには至りません。 

   

 そもそも焼きうどん自体が、そうメジャーとは思えません。チルド製品やLL麺も含めて、スーパーには置かれているものの、そう種類が豊富と言う訳でもありません。 

 うどん専門店に行っても、メニューに焼きうどんがある店も多くありませんし、あったとしても頼む人は少ないと思います。 

 これは勝手な想像ですが、焼きそばを作ろうと思って冷蔵庫を見たら、蒸し麺がない代わりにうどん玉があったから、それを代替にして作った家庭料理、…な気がします。歴史的にも、ソース焼きそばの方が古く、焼きうどんが後追いなのは、間違いなさそうです。 

 焼きうどんの元祖を標榜する店もありますが、正確な発祥は不明と言うのが、定説です。 

 それに家庭で焼きうどんを作る時、わざわざ市販の焼きうどんの製品を使う事はなく、普通に3玉入りのゆでうどんを買ってきて作ります。このタイプでしたら、だいたい3玉で100円、1玉あたりは33円程度です。これに自宅にあるソース、冷蔵庫にある食材で、適当に作って済ませます。 

 上記のように3玉100円程度のゆでうどんを使えば、単価は焼きそばと、そう変わりはしませんが、焼きうどん用の製品を使って作ると、違ってきます。そう特別な家庭料理と言う訳でもないのに、作って食べるとなると、案外と高いと言うのも、普及にブレーキをかけていると思います。 

   

 さて、話しをカップ焼きうどんに戻します。別に生物学ではないので、進化の系統を明確にする必要はありませんが、ちょっとそれっぽく書いてみます。麺類即席目カップ科焼きそば属うどん種なのか、うどん属焼きうどん種なのか、と大して意味のない分類です。 
 要するに、カップのかけうどんが変化してカップ焼きうどんになったのか、カップ焼きそばの麺が変わってカップ焼きうどんになったのか、です。 

 チルド製品の場合、焼きうどんは、だいたいソース味と醤油味の両方が出ていますが、カップ麺の場合ですと、醤油味の方が優勢のようです。ただ、過去に販売されていた製品も含めまして、絶対数が少ないので、そう決定的とも言えません。 

 それでも醤油が優勢と言う点から見ましたら、カップうどんの変形と考えるのが妥当かと思います。 

   

 さて、本家焼きうどんがそうメジャーな存在でもないのに、カップ版がそれを超えてと言うのも、考え難いです。 

 それどころか現状で言えば、むしろカップ焼きうどんは、絶滅危惧種とすら言えます。 

 現在、主なメーカーのHPで確認できるのは「日清焼うどんあっさりしょうゆ味」日清食品、「昔ながらの焼うどん・しょうゆ味」東洋水産、この2種類のみで、しかも店頭ではあまり見掛けません。 

 

 前項と少し被りますが、カップうどんと言うと、油揚げ麺と同等以上に主流なのが、生麺タイプ(LL麺)です。 

 古くは寿がきや食品の「生タイプ天ぷらカップうどん(77年発売)」、現在もっとも良く見掛けるのは、日清食品の「ごんぶと」です。それ以外にもアルミ鍋で調理するタイプを加えると、地方の小さなメーカーの製品も含めまして、結構な数が出ています。 

 アルミ鍋調理タイプは、カップではないので除外するとしましても、カップにお湯を注いで、温め、麺を解して、湯切りする。このタイプだけに話しを絞りますが、LL麺使用のカップ麺の先駆者であり、袋麺では焼きうどんを出している寿がきやも、カップタイプでは焼きうどんを現在は出していません。
 日清食品も過去においては「ごんぶと」シリーズから、焼きうどんを出していましたが、今は、販売されておりません。 

 現状で、主なメーカーで確認できるのは、徳島製粉の「金ちゃん亭焼うどん」だけです。 

 うどんの場合、温めた麺にタレを和える、と言う時点で、食べ方の主流の一つであるぶっかけになるので、わざわざ再現度で劣る焼きうどんにする必要がない、と言う事情も、LL麺カップ焼きうどんの妨げになっていると思います。 

 逆に、油揚げ麺タイプのうどんに、ぶっかけがないのは、やはり再現度に問題があるからだと思います。そこで、うどんの王道的な食べ方であるぶっかけと言う選択肢のない、油揚げ麺に絞って、話しを進めてみます。 

   

 知名度や認知度は仕方ないとしても、それ以外にもダメならダメな理由があると思います。 

 

 先ず、個人的に思い付くのは、ボリュームです。 

 これは焼きうどんに限った事ではありませんが、麺が太ければ、重さが同じでも、嵩が減りますから、食べた気がしません。 

 太い麺の代名詞とも言える讃岐うどんですが、専門店では1玉、2玉、3玉とうどん玉の数を選べるが、当り前のシステムです。
 また、やはり太麺が主流のつけ麺でも、麺の量を何段階かgで選択できる店が多いです。 

 加えて、汁がない為に、よりボリュームが足りないと言うか、食べた気がしません。かけそばなら、一杯でもそこそこ食べた気になれますが、もりやザル一枚では、物足りないのが普通です。 

 

 つまり焼きそばより麺が太く、更に汁がないのにも関わらず、カップ焼きそばと同水準の麺90gなのが、そもそもの間違い! と指摘したいです。 

 うどんは、中華麺に比べて加水率が高いですし、原材料も中力粉、塩、水だけで、コストも安い筈です。(実際は、それ以外の材料も多く入っていますが…) 

 

 カップ焼きそばでは大盛の130g、これをレギュラーサイズ、いや、麺の太さを考えたら150gでも良いです。とにかく、先ずは、麺を、大幅に増量して、ボリューム感をアップ! 

 

 

 次に、具です。 

 日清食品、東洋水産、どちらも焼きそばと同じく、キャベツです。
 とは言え、そもそも焼きうどんが、そう言う食べ物なだけに、これについては他に選択肢も無さそうですから、良しとします。 

 一方で、トッピンクはどちらも削り節ですが、これは“らしさ”を演出していて良いです。 

 お好み焼で実証済みですが、ソースと削り節の相性は良いです。ですから、カップ焼きうどんも、既に焼きそばで実績のあるソースを用いて、ソース味でも良いと思います。 

 

 

 最後にメディアへの露出。 

 まぁ、ラーメンなんて誰でも好きですし、誰でも知っている食品ですが、それでも「オバケのQ太郎」をはじめ、多くの作品に登場した小池さん、ラーメン好きの代名詞とも言えるキャラで、小学生時代が藤子不二雄作品直撃の世代にしてみれば、無意識に刷り込まれた心理的効果は、はかり知れません。 

 覚えている人も少ないと思いますが、焼きそばにも、「伊賀のカバ丸」の主人公伊賀野影丸と言う、応援者がいます。(覚えている人が少なかったら、心理的効果はないかな…?) 

 

 しかし、焼きうどんが好き、と言うキャラクターは、思いつきません。 

 

 世界的な大企業である「マクドナルド」の企業戦略として、3歳までにマクドナルドを食べた子供は、一生マクドナルドを食べてくれる、と言うものがあります。 

 ですから、なるべく低年齢が観る番組の主人公に、焼きうどん食べまくってもらう。 

 ただ、この時、単に四角い容器で麺を食べているだけでは、焼きそばだと思われてしまいますし、逆に皿で普通に焼きうどんを食べてしまうと、カップではなく、チルド製品をプッシュする方に繋がってしまいますから、さりげなくカップ焼きうどんである事を強調してもらいます。 

 

 かつて寺尾聡の「ルビーの指輪」がヒットした時は、宝飾業界では例年の数倍もルビーが売れたそうですから、ヒット曲にあやかるのも良しです。って、これは、既に日清食品の「U.F.O.」がやっていましたね…。 

   

 

 カップ麺のジャンルとして、うどんにしても、焼きそばにしても、確固たるポジションを得ています。 

 それにも関わらず、その折衷である焼きうどんは、何故かマイナーに地位に甘んじています。 

 両方の良い所取りとは行かず、むしろ折衷が故の中途半端感もあり、うどんのアレンジ料理の一種、焼きそばの親戚、その域から出られません。 

 既に、登場から結構な年月が経過していますから、劇的なブレイクを期待するのも難しそうです。むしろ家庭料理としては残っても、カップ麺のジャンルとの先行きは、不安です。 

     

   

   

 ・焼きビーフン(米麺) 
 「ケンミンの焼きビーフン」でお馴染みの「即席焼きビーフン味付タイプ」(ケンミン食品)を筆頭に、エースコックもフォーを出していますし、輸入品も含めて米を素材とする麺その物は、増えています。 

 米麺と言うと、やはり東南アジアが本場で、太さや形状の違い、国によって呼び方は色々ありますが、日本で良く知られているのは、やはりビーフンとフォーでしょう。 

 最近では、米麺を使用したタイ風焼きそば「パッタイ」の知名度も上がってきています。(これは麺の種類と言うより、料理名ですが…) 

 

 麺の食べ方の中には、洋の東西を問わず、炒めると言う調理法があるのは、当り前です。 

 当然、米麺の料理法にしても、炒めるは、多くあります。 

 しかし、アジア料理の専門店や料理レシピサイトでの紹介は除外して、日常的に全国何処でも、誰にでも、と言う基準で見ますと、焼きそばの近縁種となる炒めた米麺料理となると、今のところ焼きビーフン以外の製品は、なかなか見当たりません。 

 その焼きビーフンにしても、家庭で作る時は「ケンミン」、外で食べると時は「バーミヤン」と、かなり限定的な気がします。(神戸には、ケンミン食品直営の中華料理屋「健民ダイニング」が在ります)  

 

 カップタイプとして流通している米麺の食べ方としては、汁のある方が主流になっています。 

 確かに絶対数で言えば、中華麺も、ラーメンの方が焼きそばよりかも多いですから、スープ付の方がメインストリームなのは当然かも知れません。 

 むしろ、ケンミンのTVCMの影響で、米麺=炒めて食べる麺類、と思い込んでいた為に、汁で食べる方を、異質と誤解していたのかも知れません。 

 

 また、原材料は米粉ではありませんが、近年、市場を拡大していますのが、春雨です。 

 低カロリーを売りに、ミニサイズのカップ麺に代って、食事時の汁物のポジションを、米粉麺と争っています。 

 ただ、春雨は、ビーフンやフォー以上に、炒めた料理を見掛けません。せいぜい昔からある永谷園の「麻婆春雨」くらいです。 

   

 話しを戻しますが、過去に、やはりケンミンから、カップタイプの焼きビーフンが出た事もありましたが、現在は販売されておりません。 

 現在、カップタイプで発売されている焼きビーフンは、知り得る範囲ではイトメンの製品だけです。
 また、輸入物のカップタイプにしても、汁ビーフンがメインで、焼きビーフンは見当たりません。 

 そして、絶対数が、少ないです。 

 

 どうして日本で米粉麺が、普及しないのでしょうか? 

   

 日本人だったら、米は、そのままご飯で食べたい、と言うのも一理あるように思えますが、米を加工して作る餅、煎餅、団子などが、それを否定します。 

 小麦粉との違いを述べれば、米粉はグルテンを生成しないので、うどんや中華麺のような、コシはありません。 

 蕎麦粉にもグルテンはありませんから、蕎麦にも本来はコシがありませんが、つなぎに入れる小麦粉が助けています。
 また、コシがなくても、蕎麦は、それ以上に風味が、好まれます。 

 これは成分に由来するので、どうにもなりませんが、コシだけが麺類の魅力の全てではありませんし、米粉麺には、米粉麺の良さがあります。 

   

 では、何が、米粉麺の普及を、妨げているのか? 

 

 先ず、原因の一つとして挙げたいのが、情報です。 

 以前より多くの米粉麺の製品が店頭に並ぶようになり、アジア料理の専門店も都市部では増えましたし、料理レシピサイトでの紹介もあります。 

 これにより認知度は上がり、身近に接する機会も増えました。 

 

 その一方で、情報が多いせいで、なまじ“本場”に拘ります。 

 使う調味料にしても輸入食材店にでも行かなければ入手できない特殊なものを使い、結果として味付けも本場風で日本人には馴染みの薄い味になりますから、作るにしても、食べるにしても、敷居の高い料理になっています。 

 

 中華麺の製造方法はその名前の通り、中国に由来します。しかし、ラーメンその物ついては由来が不詳で、中華の麺料理が日本で独自の進化を遂げた、としか言えません。 

 海外の番組でも、ラーメンは日本料理として紹介しています。 

 良くも悪くもローカライズされて、別物になった料理です。
 その点ではカレーも同じです。 

 広く知られて、家庭で作られるようになれば、あまり細かなディティールに拘らず、何となくそれっぽく作っているうちに、好みに合うように変わっていき、最終的には日本人に合うような料理へと変化していきます。 

 日本で「麻婆豆腐」が広く知られるようになったのは、「きょうの料理(NHK)」で陳健民が紹介してからで、当時の日本では豆板醤などはなく、醤油やコショウで代用したと言います。
 この時、本場に拘って豆板醤や花椒など使用していたら、誰も「麻婆豆腐」を作ろうとは思いませんし、作れません。 

 

 本場と同じ、本場風と言うのが、悪いとは言いません。ただ、それが敷居を高くして、普及の妨げになっているとは、思います。 

 

 汁米粉麺など、市販されている味も、本場を意識してトム・ヤン・クン味など、アジアンテイストが主流です。 

 ですが、インスタントラーメンを見れば分かりますが、日本人なら、先ずは醤油味です、そして次に味噌味と塩味、これが基本です。 

 日本で、本当に広めたいのなら、本場に拘らず、先ずは米粉麺に合う醤油味を作る、と言うのが大切だと思います。 

   

 米粉麺は、すべてノンフライですし、同じノンフライの中華麺と比べても、低カロリーです。「2個食いしても、カップ麺1個以下」と、低カロリーを売りにすれば、それなりに需要はあると思います。 

 味のバリエーションとして、アジアンテイストが入るのは良いですが、いきなりそこからでは、敷居が高すぎます。 

   

 

 次に、価格と手間です。 

 「ケンミンの焼きビーフン味付」ですが、味も、風味も、特に刺激的な要素はなく、日本人好みだと思います。 

 しかし、店頭価格で見ますと、袋麺としては、ちょっと高額です。 

 袋麺の相場と言えば、一流メーカー品でも、5食入りでだいたい390円前後、特売で300円くらいです。
 PBや低価格商品でしたら、5食入りで200円弱、1袋40円くらいが、一般的な価格です。 

 それに対して、上記の「ケンミンの焼きビーフン味付」は、そこまで安くはありません。 

 また、安く作ろうと思いますと、味付でない普通のビーフンを使う事になりますが、汁で作るにしろ、炒めて作るにしろ、先ずはビーフンとして使える状態にする必要があります。 

 

 手軽に作ろうとすると高い、安く作ろうとすると手間が掛る、ある意味では当り前ですが、これも普及を邪魔していると思います。 

 

 ただ、ピンチはチャンスです。 

 手間が掛る料理が、簡単に出来るに食べられのなら、有難い限りです。 

 焼きそばが、袋麺より、カップの方が主流になったのも、手軽さが理由だと思います。
 どうしても袋麺をフライパンで調理すると焦げつく、それならカップの方が、いいや! と考えるは普通です。 

 それはビーフンも同じで、フライパンで調理すると、どうしても焦げつきます。 

 

 面倒な料理を手軽に出来る、それがインスタント製品ヒットの秘訣の一つだと思います。 

 そう考えると、カップビーフンが、ヒットしなかったのか? ジャンルとして定着しないのか? …不思議です。 

 味の方も、ガーリック醤油味とスパイシー塩味ですから、醤油と塩という、スタンダードは抑えています。 

 

 正確な理由は分かりません。 

 自分が単に焼きビーフンが好きなので、贔屓目に見ているだけで、実際にはさして認知度が高くないと言うのも考えられます。 

 また、ソース味がスタンダードな焼きそばは、香辛料で、焼きそばを焼いた時の香ばしさを補えますが、焼きビーフンには(焼きうどんも同じですが)、それがありませんから、再現度で劣ると言うのも、あるかも知れません。   

   

 乾麺以外には、チルド製品やLL麺はなく、そもそも普及と言う点で、焼きうどん以上に、進んでいません。 

 低カロリーを売りに、今後に伸びる可能性は秘めていますが、今の時点では焼きうどん以上に、カップ界では絶滅危惧種です。 

 

 むしろ国内メーカーよりかも、海外、特に米粉麺の本場である東南アジアのメーカーが、日本に進出する尖兵として、その方が期待できそうです。 

 今でこそ、地方のスーパの店頭にも置かれ、結構いい値段で売っている「辛ラーメン(農心)」も、昔はマイナーで、ディスカウントストアやホームセンターの店頭で、激安アイテムとして売られていました。 

 進出して、いきなりシェアを取るのは難しいでしょうが、何年間も頑張って売り続けていれば、そのうち「辛ラーメン」のように定着する日も来るでしょう。 

 そう言う日が来れば、カップ焼きビーフンなど、米粉麺の製品が、手軽に買えるかも知れません。  

   

   

   

 ・油そば 
 実は、ポスト・カップ焼きそばの最右翼は、これだと思っています。 

 オリジナルが、茹でた麺に油ダレを和えたものだけに、再現度と言う点では、限りなく近いと言えます。 (カップ麺の場合、調理過程の関係で似ていますが、焼きラーメンとは、まったく別の食品です) 

 

 料理の歴史は昭和30年代からと言われています。
 80年代の終わり頃にTV番組で観て、そう言う料理がある事は、自分も知ってはいました。 

90年代中頃からのラーメン・ブームで知名度も徐々に上がっていき、最近では専門店もあります。 

 

 ラーメンや焼きそばと比べたら、今の時点ではマイナーなのは否めませんが、オリジナルの調理過程に忠実という再現度を武器に、カップ麺においては伸びる可能性を秘めていると思います。 

 

 油そばですが、当HPでも、過去に、 ステップ6 「バリエーションを広げようU」 と ステップ8 「費用対効果を考えて」 の2回ほど取り上げてきました。 

 そのうち、ステップ8 「費用対効果を考えて」の「超絶簡単 調理時間10分の油そば」で、全国何処でも入手できる食材で、いとも簡単に本物の油そばを作る方法を、完成させました。 

 また、そうでなくてもチルド製品ですと、かなり低価格で油そばが販売されていますから、手軽さと長期保存と言う点が、カップ麺のメリットと言えます。 

 この辺りは、チルド焼きぞはとカップ焼きそばの関係も同じですから、そう大きなマイナスな要素とも言い切れませんが、カップ麺特有の魅力を持てるか? それが鍵になるのも、同じだと言えます。
 (※右の写真は、2人分で実売価格100円程度と、かなり安いチルドの油そば、です) 

 

 今のところ油そばは、醤油味が主流ですが、別に味噌や塩が不可能な訳ではありませんから、将来的には醤油以外の味も登場するでしょう。 

 それに日本人にとって基本とも言える醤油味がスタンダードなのは、普及の観点から見ましても、ポイントだと思います。 

 

 一方で、マイナス要素としましては、実際にはスープが無い分だけ逆に低いのですが、名前に油が入っている事からカロリーが高いと思われがちです。また、焼きそば、つけ麺など、他の汁がない麺類と同じく、食べた気と言う点では満足感が少ない、と言うのもあります。 

 名前に関しては、別の名前で呼ばれる事もありますが、油そばで知られてしまったので、仕方ありません。カロリーについても、誤解を解いていくしかありませんから、これも仕方ないでしょう。  

   

 さて、上記の点は抜かすとしましても、 オリジナルには存在しない、カツプ油そば固有の大きな弱点だと思う要素が、味変です。 

 

 オリジナルの油そばも、基本の味は油ダレによって店側から供給されますが、食べる側が卓上に置かれた酢やラー油を使い、好き勝手に調整するのが当り前なスタイルとして定着しています。 

 また、初めはそのままで食べて、途中で味変アイテムとして、酢やラー油を使うやり方もありますが、何れにしましても、何かしら(主に酢とラー油)を足すのが当り前な食べ物です。 

 

 袋麺でしたら、調理する過程で作り手が食材を足すのが当り前ですが、カップ麺の場合ですと、3分後に出来上がった時が完成形と言う概念があります。 

 ラーメン屋で、卓上に置かれていれば、胡椒や大蒜などを好みで足したりしますが、カップ麺を食べる時に、自宅にあっても、いちいち好みの調味料を足す人は、ゼロではないとは思いますが、自分の周囲では見た事がありません。 

 つまりカップ麺は、そこに入っている物が、すべて、なのです。 

 

 オリジナルの油そばが、酢やラー油を加えて食べるのが前提な料理であり、カップ麺は入っている物がすべてであるにも関わらず、酢とラー油を同封した製品は、(自分が過去に購入した事のある商品の範囲ですが)一つもありません。 

 

 カップ油そばを製品化するにあたり、油そばが何たるかを、ちゃんとリサーチしたのでしょうか?  

 「ぶぶか」は明星食品のアンテナショップと聞いた事がありますが、そこで、客が提供された料理を、どう食べているか、見ていないのでしょうか? 

 いや、酢やラー油は、家にあるだろうから、各自が好みで、と言いたいのでしょうか? 

 それならカップ焼きそばにも、マヨネーズは、要りません。 

 酢も、ラー油も、どちらも100均で売られていますが、カップ麺を主に食べるであろう人達、主に一人暮らしの男性などですが、せいぜい調味料といったら醤油とソースくらいで、酢やラー油が置かれている人など、限りなく少数派です。  

 

 変な言い方かも知れませんが、油そばは、不完全な状態で客の前に出され、最後に食べ手が好みで仕上げる料理です。 

 食べる側が手を加える余地が介在する、余白を持っているのが、特徴です。 

 但し、それには酢やラー油などの調味料が必須な訳で、それが無ければ料理としては不完全なままで、余白は空白のままで終わります。 

    

 つまり、折角ポテンシャルとしては良い物を持ちながらも、それを生かさなかったのは、メーカー側の商品構成にあると言えます。 

 酢やラー油と言う必須アイテムを付けないのに、あまり必要性を感じないマヨを付けるなど、完全にあさっての方向を見てるとしか言いようがありません。 

 

 カップ油そばは、単なるカップ焼きそばの、醤油味版ではありません。 

 カップ麺として販売された結果、そう言う商品構成になったとしても、オリジナルの料理は、まったく違います。 

 そこを忘れては、ダメでしょう!   

 

 次に、もう一つ挙げたいのが、満足感です。 

 先に食べた時の満足感については、焼きそばも同じと書きました。 

 カップ焼きそばとカップ油そば、構成要件は同じですから、当り前に思えます。 

 

 しかし、決定的な違いがあります。 

 

 それは、焼きそばは食事として食べる事もありますが、軽食として間食で食べる事もあります。 

 それに対してオヤツに油そばを食べる人は、…いないとは言いませんが、かなり稀なケースで、普通は食事として食べます。この感覚の差は、大きいです。 

 

 つまり、ボリュームが不足していると思ったカップ焼きそばは、食事から間食へのコンバートが可能ですが、油そばに配置替えはありません。 

 

 その辺りはメーカー側もよく分っているようで、特に大盛りの表記がなくても、カップ油そばのメインは130gクラスになっています。 

 また、カップ油そばの話しではありませんが、店によって違いがありますから一概には言えませんが、スープ付きで、油そばを出す店もあります。 

   

 しかし、カロリー的にはともかく、ガッツリ系の人が130gのカップ焼きそばやカップ油そば、1個で足りるのか?  

 それは分かりませんが、1回の食事はカップ麺1個だけ、と決められている訳ではありませんから、お腹と財布が許す範囲で、買い足せは良い訳です。 

 

 ここで、満足感に関連した、カップに限らず、油そばの意外な弱点が、もう一つ出てきます。 

 

 それはタッグパートナーが不在な点です。 

 

 例えばカップラーメンでしたら、弁当の汁物感覚で一緒に食べる人も居ますし、カップ麺とコンビニのおにぎりは、鉄板な組合せです。 

 カップ焼きそばには、スープがありませんから汁物のポジョンは初めから無理ですが、その変わりにパンと言う名相棒が存在します。
 勿論、おにぎりとだって、タッグは組めます。 

 これに対して、油そばにも、スープはないですから汁物のポジョンは取れませんし、サイズが事実上は大盛(130g)一択なので、弁当と合せる人は、少ないと思います。
 そうなるとパンかおにぎりが相方候補となりますが、基本が醤油味なだけにパンは難しいですから、誰とでもタッグが組めるおにぎりに限定されてしまいます。 

 

 すべて炭水化物なだけに、バランスは悪そうですが、これはカップラーメンやカップ焼きそばも同じですから、触れません。 

 

 タッグチームというのは、1+1が=2で終わるのではなく、相乗効果で3にも、4にもなって、初めて名タッグな訳です。 

 ラーメンとライス、それぞれで食べても良し、残ったスープに入れて雑炊風という、奥義と呼んでもいい究極の合せ技があります。 

 焼きそばも、そばメシと言う食べ物もありますが、あれは調理の段階から一緒にした別の料理ですし、それをカップ焼きそばで出来そうなのは、味が濃くて、ソースの量に余裕のある「U.F.O.」くらいだけだと思います。
 それでもカップ焼きそばには、焼きそばパンにクラスチェンジすると言う、ラーメンには不可能な技を持っています。 

 

 それに対して、油そばとおにぎりは、結局は1+1が2にしかなりません。 

 油そばメシも、不可能ではありませんし、やっている人も居るかも知れませんが、少なくても広く知られた食べ方とは言えません。  

 

 油そばの場合、美味しく食べられる温度の範囲が、焼きそばよりかも狭いですから、その辺りもアレンジの幅を狭めていると思います。 

 個人的には、饅頭(中華まん)と合せて、油そばまんとか、美味しそうに思えるのですが、これはカップ油そばのプッシュにはなりませんね…。 

 

 味が濃いものを食べる時に、ご飯が欲しくなるのは日本人の常ですから、油そばライスは、普及してくれば、誰でもやりそうな気もしますし、定着すれば自然発生的に、色々なアレンジも生まれると思います。 

 焼きうどんに比べれば、メーカーの新製品投入も多いですし、最近では油そばの別称であるまぜそばの一種として、台湾まぜそばも登場しています。
 カップ麺のジャンルとして定着できるか、それとも亜種の一つで終わるのか、これから次第だと思います。 

   

   

   

   

 ・アジア麺(米粉麺以外) 
   ちょっと気になるのがアジアンテイストの製品です。中国や韓国もアジアですが、それぞれ認知度からしても、一つのカテゴリーとして十分ですから、今回は除外します。 

 主に東南アジア系のテイストになりますが、主なメーカーから現在発売されていますのは、「世界のグル麺・ガパオ味焼そば」「世界のグル麺・ジャンバラヤ味焼そば」(←これはアジアではありませんが…)東洋水産、「World Dining ミーゴレン」(イオン)  、これだけですが、新しいテイストの開拓に意欲的な日清食品からも、過去に何種類か出ていました。 

 

 カップ焼きそばの亜種、湯戻しした麺に味を和える調理スタイルのカップ麺として、新参者ですし、まだまだ数は少ないです。 

 しかし、同じ麺であっても、原料となる小麦粉からして違うスパゲティーの西洋料理より、同じ中華麺をベースに作るアジア料理の方が、マッチングも含めて可能性は秘めていると思います。 

 更に、オリジナルの料理その物が、生麺ではなく、即席麺を使用しているケースもあり、再現度と言う点でも優れます。 

 ただ、せっかくの長所も、海外に行った事がない人、オリジナルの有り方を知らない人には、単なるインスタント食品の一つとしか思ってもらえない点です。 

 食べて美味しければ良い、とも言えますが、折角の長所ですから、それに気づいて欲しいと言うのもあります。 

 

 袋麺やカップ麺も、長らくは基本の醤油味、味噌、塩、カレーといった辺りが定番で、新製品として色々な味が登場したものの、定着するのは随分と時間が必要でしたし、出来たのは一握りの製品だけです。 

 ですから歴史も浅いアジアンテイストですから、完全に定着できた製品も、未だありません。

 

 こちらはビーフンなどとは違って麺の種類ではなく、単に味や風味が違うだけですから、あまり日本風にアレンジし過ぎてしまうと、それはもう単なる醤油味の焼きそばなのでは? となってしまいますし、かと言って馴染みが薄い魚醤などを多用し過ぎると受け容れ難いですから、その辺りの匙加減が難しい気がします。

 

 先にビーフンの項で書いた事とは、逆になりますが、今度は情報が味方する可能性もあります。

 確かに大都市圏でなら、最近は専門店や輸入食材店も、それなりにあります。

 しかし、地方では、インターネットのおかげで情報だけは同等に入りますが、実際に料理を口にする機会は、ありません。
 また、自分で作ろうと思いましても、送料を支払ってネット通販で買えば別ですが、やはり食材を入手する時点でハードルが高くなります。

 

 そうなると、最近巷で話題になっているミーゴレンなる物を食べてみよう、と思った時に、良くも悪くも触れられるのは、カップ麺だけになります。

 特にイオンの販売網は全国区ですから、地方在住でミーゴレンを食べて気に入った人がいれば、その人口を独占する事が出来ます。

 

 この考えその物は、高級路線の製品に多い、ご当地ラーメン、ご当店ラーメンと同じだと言えると思います。

 食べてみたいけど、実際に行けない人にとっての代替品、その位置づけです。

 ただ、その路線で行くには、オリジナルの知名度が必要ですから、もっと東南アジアの料理その物が、日本で広く知られる必要があります。

 

 いなば食品の「タイ・シリーズ」のように、元から知られてはいたけど、それを手軽な価格で身近にした事で、爆発的にヒットした製品もあります。

 それを考えますと、全国区の販売網を持ち、PB商品という手軽な価格設定で、イオン系の店頭に置かれている「ミーゴレン」、これの浮沈が、このジャンルの成否を握っている気もします。

   

   

 

・その他 
  調理方法は同じで、上記の分類に当てはまらない製品、です。

 カップ焼きそばの一枚看板なまるか食品が積極的ですが、「激辛」「激辛カレー」などの激辛系、「イカスミ」「海老」といった海鮮系、「ガーリック醤油」「にんにくMAX」のニンニク系、「キムチ」「マヨネーズソース風キムチ」のキムチ系、「野菜炒め風」や「生姜焼き風」は定食風とでも言いましょうか、定番のスパゲティーをアレンジしたからの「ナポリやん」「ペペロンチーノ風」、炭水化物と炭水化物の素敵なコラボ「ポテト」など、まだまだ沢山ありますが、挙げきれないので止めておきます。 

 とにかく思いつく物を和、洋、中、すべて出しましたと言った感じで、一言で表現するなら、なんでもアリ、です。 

 新製品が出れば、一度は買って試してみる側の身にもなって欲しいです。特に「和風焼き蕎麦」系は、勇気が必要でした…。(実際は、結構いい味ですが、イメージが…)     

 

 新しいテイストの開発と言う点では積極的な日清食品だけに、看板商品「U.F.O.」のバリエーションも豊富で、「上海オイスター」は王道だから良いとしましても、「イカスミ」「ナポリタン」など、焼きそばしかないまるか食品ならともかく、自社に「スパ王」のブランドがある日清食品が、何故? と思ってしまう製品もあります。 

 ただ、業界トップにも関わらず、守りに入らずに、攻めの姿勢を崩さないのが、日清食品の魅力でもあります。 

 カレー、チーズ、明太子、といった辺りが準レギューで、何度かお色直しをして登場してきますが、完全にレギュラーとして定着するには至ってません。 

 また、ソース味の次にカップやきそばkの味として市民権を得ている塩味が、実は日清食品でのレギュラーを獲得していません。
 現在はチルド製品に一つあるだけで、「U.F.O.塩カルビ味」は、HPの製品一覧から落ちています。( ※このページを執筆している時点 ) 

 わりと短いスパンでリニューアルされるので、「塩カルビ味」が再度お目見えするのも、そう遠くはないと思います。 

   

   

 そして、この話題で避けては通れないのは、「一平ちゃん 夜店の焼きそば チョコソース味」でしょう。 

 世の中には「デザートもんじゃ」と言う食べ物だって、ある。それにカップ焼きそばの油揚げ麺は、小麦粉を練って油で揚げた物だから、それにチョコをかけたのだから、お菓子その物だろうとは、感覚として分かる。 

 だけど人間には理性がある、大人には余計な知識からくる先入観もある。自分も、若かりし頃は実際に「ジャム・コーラ・ラーメン」作って、食べた事もありました。だけど40過ぎのオッサンに、これは、厳し過ぎるハードルですよ…。 

 今年(2016年)始めに見掛けましたが、期間限定だったのか、直ぐに見なくなりました。 

 そして、最大の関心事は、来年も、出すのであろうか? 

 バレンタインの風物詩として定着させる気なのだろうか? 

 あと数か月後には、答えが出ると思いますので、色々な意味で楽しみに待ちたいと思います。(って、やっぱり出しましたね) 

 まぁ、チョコにしても、ショートケーキにしても、香りはそうだけど、味は普通の塩味ですから、鼻と舌の情報の不一致と言う点を除けば、案外と普通なんですけどね…。 

     

   

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