イラク戦争から見た のアメリカ・ろな日本
−平和を守るための「整憲論」(第九条考え直し論)-



■3、アメリカの軍需産業が意味するもの■



H:
確かにアメリカは「世界平和」のための軍事力を「信奉」しているし、そうなると軍需産業との関係が問題になる。

 そういわれれば、アメリカは「軍産複合体」の国家だとも言われている。アメリカの2003年度の防衛費は日本円に換算して45兆6000億円なんだって?

E:なんと言ってもすごい額だよ。日本の国家予算の半分以上に当たっている。それでも、アメリカの防衛費がGDP比3.5%だと聞けば、なーんだ、と大したことないように感じるけれど、防衛費二位以下の二十カ国分以上に相当しているらしい。それは世界全体の軍事費の40%をアメリカが占めていることを意味している。

H:二十カ国分以上? 40%? そんなに凄いのか? それなら世界中がアメリカに喧嘩吹っかけても勝てるかどうか、だね。それだから、アメリカがヨーロッパを「紛争解決能力なし」と見下す理由があるわけだ!



アメリカの軍需産業の宿命?●



E:
まあ、防衛費の巨大さは、それはそれとして気になるけれど、「軍産複合体」の問題はもっと奥深く絡んでいるように僕は思う。

H:確かに防衛費がいくらかかっていても、平和維持のために「使わない」ことはできるからね。ところで奥深い問題ってなんなんだ。

E:そこだよ。軍需産業はやっぱり産業だから、「使わないでおくということができない」。

 ちょっと古い話だけれど、東西冷戦が本格的に終焉した頃、つまりベルリンの壁が崩壊(1989・11)したとき、アメリカでは国防予算の削減が現実問題となり、軍需産業は危機に直面したんだ。縮小の幅によっては産業としてやっていけなくなる。

 そこに 湾岸危機つまりイラクのクウェート侵攻(1990・8/2)が勃発し、サウジアラビアをはじめ中東諸国から続々と大型の兵器購入の商談が入ってくるんだ、当然、アメリカの軍需産業はその話に喜んでとびついたのさ。

H:でも、中東はアメリカの盟友イスラエルの敵なんだろう? そんなところにも兵器を輸出するのか? そんなことして大丈夫なのか?

E:大丈夫なわけはないよ。でももちろん輸出するのさ。もっともそれ(湾岸戦争)以前はアラブ諸国への兵器輸出には多少ブレーキがかかっていたみたいだが。

 それでも、イラン・イラク戦争(1980〜88)のときでも、反米のイランの敵であるイラクにアメリカは情報提供やら武器輸出をしていたんだ。そして湾岸戦争になると、今度はそのイラクを攻撃する。つまり、「アメリカはアメリカの武器」で、「イラクは以前手に入れたアメリカ(や西欧)の武器」で戦ったことになる。かつてアメリカや西欧から購入した武器がイラクの手持ちの武器だからね。

 こうしたことは、イラン・イラク戦争や湾岸戦争だけではない。先のアメリカによるアフガニスタン攻撃の際のタリバンだってアメリカ譲りの武器でアメリカと戦い、今度のイラク戦争のイラクでも同じことが行われた。

H:なるほど。ともかく湾岸危機のときアメリカは中東のアラブ諸国に大量の武器を輸出したわけだ。戦争のその時々には敵と味方の区別はあるが、武器の輸出になれば、場当たり的で、状況に合わせて敵も味方もないということか。

E:大雑把に言えばそういうことになる。それはともかく、こうして湾岸危機によってアメリカの軍需産業は危機を脱し、息を吹き返した。

 それとともにアメリカの内部(ペンタゴン)から戦争を切望する声が高くなって多国籍軍結成(1991)へと進んでいったという話もある。現大統領ブッシュの父親のブッシュが多国籍軍を編成したのもそういう事情が反映していたのではないか、と。こうして、国連の発動した多国籍軍の背後にも、アメリカの黒い影がチラチラと見え隠れしているんだ。

 それに、軍需産業の問題は、もう一つの問題を含んでもいる。それは今言ったように、東西冷戦が終わると、軍事予算が縮小することに関係している。縮小すれば軍需産業の合併や吸収それに買収が進み、軍需産業に従事する労働者の大量解雇による失業問題へと発展する。つまり、これは単なる一産業部門の問題ではなく、経済全体へと波及することになるんだ。そして、戦争への道が…。もっとも、たとえ戦争を起こさなくても、軍需産業の維持発展と失業問題の解消には少なくとも兵器輸出、特に紛争地域への輸出を拡大しなくてはならなくなる。

 確かに、湾岸戦争はあっけなく終わってしまった。しかしアメリカの軍事力の威力を世界にアピールすることができた。それとともに、、世界の危機をいつも演出することが必要になる。つまり紛争地域を拡大させたり紛争を大規模化する必要が出てくる。そして、紛争や戦争が収まればまた失業問題の可能性が発生するという悪循環が内在している。アメリカがいつでも世界の危機を煽る理由はこんなところにあるんだ。これが軍需産業の宿命だといえる。
 だからこそ、湾岸戦争を経て1993年からは、冷戦後の米戦略と兵力構成の指針「ボトム・アップ・リビュー(BUR)」へと進んでいくことになったんだ。

H:それはものすごい話だな。つまりだ、軍需産業が存在するということは、その悪循環を断ち切れないということなんだな? 巨大軍需産業を持つ国家というのは戦争か紛争の拡大を前提にしなければ存続できないと…?

E:僕はそう思っている。少なくとも世界の危機をどこかに見つけなくてはならないんだ。仮に時の為政者の意識の上では世界平和の実現のために、と思っていたとしても、資本の世界であるかぎり、不可避ではないかと…。「資本の論理」と「界(かい)の相対的自立性」の問題は避けられない。

H:ちょっと待ってくれよ。資本の論理というのはよく分かる気がするが、「界の相対的自立性」ってなんだい? 何だかフランスの社会学者ピエール・ブルデューの理論のような気がするけれど。

E:
いやブルデューとは直接的には関係ないよ。確かにレトリックは借りているが。

 ここで考えているのは「〜界」と一般に言われているものだよ。たとえば「政界」「財界」「法曹(ほうそう)界」「教育界」、それに身近なところで「芸能界」「アパレル業界」…みたいなものだ。どれも資本の論理を基礎にしているが、それでもそれぞれの界には相対的に自立した独自な論理がある。そんな感じだ。

H:そうか。ここでは「軍需産業界」は資本の論理をそれ独自に展開している、と解釈していいのか?

E:
まあそんなところだ。軍需産業も資本の論理、つまり利益をあげ維持発展していかなくてはならない、しかしその仕方は「軍需産業界」の独自性によってなされる、と考えてもらえばいいと思うよ。

H:兵器というのは純粋消費物資だから、消費しなければ意味がない。ここで消費するということは戦争をするか兵器を紛争地帯に売るか、でしか維持できないということか?

 劣化ウランという産業界全体から見れば厄介で役に立たないものも、兵器として安上がりにというか、ただ同然で手に入り、しかも強烈な威力を持つ、だから使わない手はない。というわけで他の産業ではお荷物のものが「劣化ウラン弾」として戦争に使用される。そういうことか?

E:
そう言ってもいいだろうね。とはいえ、国内演習で武器を消費するということもあるし、冷戦時のように仮想敵に対して質を向上させるために無駄に消費することもある。つまり、ソ連との冷たい戦争が続いている間は、アメリカは大量の軍事費を公然と使うことができ、軍需産業はそれで潤ってきた。だが、それでもそれは戦争や紛争を前提にしているし、その意味でも軍需産業の「界」は戦争や紛争を前提にしなくしては存在する意味がない。

 そして今言ったように、ソ連が崩壊した後、「軍需産業界」は危機に陥った。彼らが儲けるためには、常に(たとえ仮想であっても)敵を必要としている。仮想敵が消えてしまえば、現実の敵が不可欠になる。実際、湾岸戦争のときも、アフガニスタン空爆やイラク戦争のときも、大量のミサイルや爆弾が消費され、また、それだけでなく在庫を補充するためにも膨大な軍事費が必要とされ、ともかく軍需産業は活況を呈することになった。

 「界」は「自らの存続のために必要なものはなんでも欲する」んだ。それが「界の論理」だからね。状況によっては、やがて敵になりそうな相手にだって臆面もなく武器を売り渡すなんてことは朝飯前さ。

 しかも、「人道がどうの」は陰に潜んでしまう。ひとたび戦争になれば、道義的問題なんか一気に吹っ飛んでしまうんだ。何よりも勝つことが第一義だからね。そんなわけで劣化ウラン兵器も「界の論理」から可能になる。

H:核廃棄物の劣化ウラン弾は硬くて重く、頑丈な戦車を貫通するだけの威力があり、それだけでなく放射能や重金属毒性による被害も甚大だと聞いているよ。

 湾岸戦争(1991)のときにも三百二十トンも劣化ウラン兵器が使われ、多くの子ども達がガンや白血病に侵され、今でも亡くなったり、苦しみ続けている。成長期の子どもへの影響は大人に比べて何十倍にもなるらしい。

 劣化ウラン弾は湾岸戦争だけでなく、コソボ紛争や、アメリカのアフガニスタン攻撃(2001)の際にも、そして今度のイラク戦争でも使用されているんだ。これからの数年の間にも放射能や重金属毒性による被害者の数はますます増えていくに違いない。

E:それに、劣化ウランは放射性原子が半分に減る半減期は45億年だと言われている。45億年と言えば地球のこれまでの歴史と同じ長さだよ。戦争とはそうした人類の未来も考えず行われるものなんだ。

H:でも、軍需産業はヨーロッパにもあるじゃないか? お前の見解ではヨーロッパでも戦争待望論が強くてもよさそうなものだがあまり聞かないぜ。

E:正直なところ、僕はヨーロッパの軍需産業についてはほとんど知らないんだ。それでも推測してみるに、アメリカほどには国家を挙げてやってはいないから規模はアメリカより小さいかもしれないが、さっき君も言ったように兵器は消費物資だからね、完全には免れることはできないだろう。
 よく耳にするところでは、紛争地域で使われている兵器の中には、アメリカ製のもののほかにロシア製(ソ連製)やフランス製、それにドイツ製やイギリス製のものも混ざっているらしいじゃないか。湾岸戦争前のアラブ諸国への兵器の輸出量は、ソ連やフランスがアメリカをずいぶん引き離していたとも聞いている。もっとも兵器輸出の47%はアメリカだが、それ以下、ロシア、フランス、ドイツ、イタリア、中国、イギリスの順になっており、それらの国が世界の兵器輸出の約50%を占めているらしい。  

 ともかく紛争地域などから需要があれば売りもするし、「死の商人」として成り立っているに違いない。いずれにしても適度に消費されないと維持発展はできないんだ。



●軍産複合体●



H:
…確かにそうかもしれない。

 それにしても、アメリカは国家を挙げて軍需産業と一体化しているから、お前の言う「界の論理」が見えやすいのかもしれないな。宇宙から地球のどこでも攻撃できるという「国家ミサイル防衛構想(NMD)」が、2026年には配備完了するらしい。

 ところで、ともかく何といってもアメリカの軍需産業は他の国を圧倒しているわけだ。アメリカは「軍産複合体」とか「産軍複合体」とか言われているけれど、それってどういうことを意味しているんだ。

E:界の相対的自立性は確かにあるが、アメリカはいろいろな界がこの軍需産業に絡んでいてアメリカ自体が軍を中心にした一つの大きな「界」になっているような感じかな。つまり、戦争を求心力として動いているのがアメリカという国家なんだ。 

 歴史的に見れば、アメリカは第二次世界大戦で国家の総力をあげて兵器を開発し、それが終了すると今度は国家の総力をあげてソ連相手に兵器の近代化競争に全力を傾けることになった。政府は膨大な補助金を大学の研究室に注ぎこみ優秀な頭脳を結集したんだ。

H:アメリカの大学は学問の場ではなくて、兵器の研究の場だったのか?

E:そう言い切ってしまうと語弊があるが、ともかくアメリカの科学技術的研究は兵器の開発と密接に関わっていて同時進行しているんだ。そしてそれが大学の重要な役割でもある。アメリカの主要大学は兵器の研究と切り離しては考えられない。

 それから、その研究成果は、巨大軍需企業であるロッキード・マーティン、ボーイング、レイセオン、ノースロップ・グラマンなどに下ろされ、これらの軍需産業が大量に近代兵器を生産し、膨れ上がっていったというわけだ。こうして政府と大学の研究室それに軍需産業が一体化して手を結び次第に巨大な怪物に変貌していった。

H:すると「軍産複合体」って第二次世界大戦以降急速に成長していったことになる。思ったより歴史は浅いんだ?

E:そうなんだ。「軍産複合体(ミリタリー・インダストリアル・コンプレックス)」という言葉は、第34代大統領アイゼンハワー(在任1953〜61)が1961年の大統領退任演説で始めて使ったらしい。でもそのときは、「軍産複合体」の危険性について彼は次のように警告している。ちょっと引用してみると…

「政府部内の色々な会議で、この軍産複合体が、意識的にであれ無意識的にであれ、不当な勢力を獲得しないよう、我々としては警戒していなければならない。この勢力が誤って台頭し、破滅的な力をふるう可能性は、現に存在しているし、将来も存続し続けるであろう」と。

H:なるほど。それでも1960年頃には、軍産複合体もまだそれほどたいしたことはなかったらしいってことだね。それにしても、このアイゼンハワーの言葉(9) 現在のアメリカを見事に予言しているよ。それから40数年でこんなに成長するとは…。一体どういう魔法を使ったのやら!

E:魔法か? 君は面白いことを言うね。

 「軍産複合体」の中核にあるのが「国防総省(ペンタゴン)」と「中央情報局(CIA)」で、それを中心に中央集権的組織としてアメリカに急速に根を下ろしていったんだ。

H:じゃあ、ペンタゴンやCIAは、いつ頃できたんだろう。

E:1947年に「国家安全保障法」という法律ができ、それまで独立の機関だったアメリカ四軍(陸軍・海軍・空軍・海兵隊)を一元的にコントロールするためにペンタゴンが作られ、大統領直属の情報機関であるCIAも同じ法律に基づいて作られた。つまり、その法律の下で「軍の一元化」がなされ、「軍産複合体」という巨大な化け物の「卵」が生み落とされたというわけだ。さしずめその父親役がペンタゴンであり母親役がCIAってところかな。

H:ところで、ペンタゴンとCIAは別組織なんだろう? 両者の間に意見の相違はないのか?

E:
もちろんこの夫婦の間にも不和がないわけではない。今度のイラク戦争でも両者の間でかなり熾烈な情報をめぐる戦いが繰り広げられたからね。

 開戦に慎重なCIA(妻)の意見に不満なネオコンはペンタゴン(夫)の中に諜報分析を行う部署「特別計画室(OSP)」を新設し、自分たちに都合のいい報告書を作らせたんだ。そしてそれに添って開戦に至ったってわけさ。
 夫婦の仲は何処でも難しいもんだよ。でも、何らかの形で折り合いをつけるのも夫婦ならでは、だがね。ともかくワンマン亭主が気弱な女房の意見に耳を傾けず押し切ったのが、このイラク戦争だったんだ。

 そうそう、この事からも推測できるように、ペンタゴンにとって軍事シンクタンクの役割はきわめて大きい。先ほど君が挙げた全米随一の軍事シンクタンク「ブルッキングス研究所」は1929年には人脈組織を統合してすでに存在していたし、それ以降も軍事シンクタンクが続々と創られ相互に関係を持ち、結局、ペンタゴンは、彼等の関係者がその中枢部を占めるようになったんだ。現在ではネオコンがその位置にいる。

H:そうか。ペンタゴンとCIAにもそんな駆け引きがあるんだ。しかもその駆け引きが戦争の、更には世界の、行く末を決定しているのか。

E:
そうなんだ。そして今では、アメリカの大学が「軍産複合体」の重要な役割をなしているのと同じように、あらゆる産業や組織も、つまりNASA(米航空宇宙局)はもちろん、FBI(米国連邦捜査局)、さらには石油産業、航空機産業、一見関係なさそうなIT産業や金融機関などなども、「軍産複合体」の役割を担っている。それらの中には重複人脈が入り乱れ、コネクションの網が張り巡らされているからね。

 ペンタゴンから発せられる膨大な「軍需注文」は2万2000社にものぼるそうだよ。しかもその周辺にこれまたたくさんの下請けや孫受けの会社が連なっているらしい。そしてペンタゴンの退役軍人の天下り先の多さも無視できないんだ。つまり制服を脱いだ後までその影響力を発揮し、国防会社の利益のためにそれまで蓄積した知識を行使しているんだ。まさにアメリカの繁栄は軍需産業にかかっているといっても過言ではない。

 事実、ある軍需産業の重役は「アメリカが必要としているのは、永久的な “戦争経済”である」なんて豪語しているからね、たまったものじゃない。

H:そうなのか? これまでの話からしても、恐らくそれって本音だろうな。

 
ところで余談だが、アイゼンハワーの次の 第35代大統領ジョン・F・ケネディ(在任1961〜63)暗殺の首謀者はCIAではないかという説(10)があるが、それは「軍産複合体」と何か関係があるのだろうか?

E:それは凄い質問だな。君は時々怖い質問をさらりと言うからな。

 でも、それは僕も考えたことがあるよ。もしそうなら実にこの問題、つまり「軍産複合体がなぜこんなに急速に発展したのか」の謎にも迫れるように思うんだ。

H:能書はいいから、何はともあれ話してみなよ。

E:
ケネディは、対キューバ政策や対ソ連政策で軍産複合体と関わりつつ渡り合っていた。それに対ベトナム政策を拡大させたにせよ、彼なりに慎重な姿勢をとっていた。ともかく軍産複合体の初期の頃には、アイゼンハワーやケネディのようにまだ政治家が多少は対抗勢力として存在しえたんだ。だが、やがて平和主義者に転じたケネディはCIAの陰謀によって暗殺された? うーん、ちょっと強引かな?

 ケネディの暗殺は、「軍産複合体」に都合の悪いものはたとえ大統領でも抹殺されることを、暗に、しかも強烈にアピールし、以後急速に「軍産複合体」中心のアメリカに変貌していった、…なんてね。

 反対すれば命がなくなる。麗しきアメリカの時代はケネディ暗殺で幕を閉じる。それからはペンタゴンやCIAに根本的には逆らうものがいなくなり、「軍産複合体」はたった50年〜60年で巨大な化け物にまで「脱皮」を繰り返し成長してゆく。そして今の気味悪いアメリカが「羽化」したってわけだ。

ともかく絶対的な根拠はないが、でも僕はそんな気がしているんだ。

H:何だかホラー映画を見ているみたいだな。それにしてもなかなか面白い推論だったよ。

 しかし、アメリカ政府は「2039年には全面的に(ケネディ暗殺の)真相を公開する」と声明を発表しているから、本当のところは、それまでお預けだな。

E:
もし僕の説が正しければ、情報の公開はあっても“真相”の公開の可能性は薄いと思うよ。それに、これはもっと後で話をする「アメリカの報道の怪」にも関係するからね。

H:まだまだアメリカには謎があるってことか。では、乞う御期待ということで、楽しみにとっておくことにしよう。

 それにしても磐石のはずのペンタゴンが、同時多発テロの標的にされて、これではペンタゴンもCIAも面子まるつぶれじゃないか。

E:
そうなんだ。きっと焦っただろうね。テロの可能性はそれ以前から予測されていたけれど、結局防ぐことができなかった。つまり、これはテロというのが通常の戦争とはおよそ性格が異なっているということを暗示している。それ以降、アメリカの国防に対する考えが変わっていったからね。

H:そうだね。それに、政界も軍需産業から莫大な政治献金をもらっているらしいし…。共和党だけでなく民主党も…。結局、政治と軍需産業の癒着はアメリカの現実なんだからな。

E:
さっきのネオコンのラムズフェルド国防長官はランド・コーポレーション(ロッキード・マーティンと姉妹関係)の理事長をしているし、チェイニー副大統領の妻リンはロッキード・マーティンの重役なんだ。それにノースロップ・グラマン関係では、ヴォルフォウィッツ国防副長官とファイス国防次官は顧問をやっていたし、リビー副大統領補佐官はコンサルタントをしていたんだ。軍需産業を中心にあらゆるものが絡みに絡んでアメリカの社会全体を形成している。一言で言えば「ウォー・エコノミー(戦争経済)」、これがアメリカの実態なんだ。

H:ブッシュ政権は軍需産業に支えられている。いや言い間違えた、ブッシュ政権も…、だった。

 お前とこうして話しているうちに何だか恐ろしい気がしてきたよ。軍需産業とアメリカ国家の問題はしっかり頭に入れておかねばならんが、ネオコンと軍需産業の癒着がでてきたところで、そろそろブッシュ個人の問題に入らないか?

←前項へ TOPへ 次項へ→