相続放棄相談事例4
相続放棄について、よくある相談事例について、解説します。
相続放棄によって、自己破産を回避することもできる場合もあるかと思います。具体的な相談事例を通じて、さらに、認識を深めてください。
相続放棄相談事例4
Q4.相続放棄をしたのですが、被相続人に衣服、日用品、壊れた中古自動車があります。これらを処分した場合に、どのような影響がありますか?
A4.被相続人の相続財産を処分した時、法定単純承認とされ、相続放棄できなくなります。
また相続放棄後でも、同様に、相続財産を隠匿、消費した場合、法定単純承認とされ、相続放棄できなくなります。
ここでの、「処分」にあたる行為として典型的なものは、以下のようなものがあります。
・相続財産を売却する
・相続人の有していた債権を取り立てる(最判昭37.6.21)
こうした相続財産の処分行為があると、被相続人の「相続財産を相続するという意思」が黙示的に表示されたと考えられるため、法定単純承認とされます。
もちろん処分した行為さえあれば相続放棄を一切認めないという機械的なものではなく、相続開始を知らないまま相続財産を処分したようなケースにおいて、法の趣旨に照らして単純承認を擬制するだけの根拠がないと判断した判例もあります(最判昭42.4.27)。
ただ、原則的には上記行為があれば単純承認が擬制されるものと考えた方が、よろしいかと思います。
この規定をあまり厳密に適用すると、たとえば亡くなった方の衣服など細々した遺品を捨てることもできなくなってしまいます。
一般的には、消費とは、相続債権者の不利益となることを承知の上で、相続財産を費消することを言います。
そこで、被相続人の上着やズボンを1着ずつ譲渡した行為について「処分」には該当しないとした判例もあります(東京高判昭37.7.19)。
同様に、被相続人の火葬費用の足しにするため相続財産を支出したような場合にも、「処分」に該当しないと判断した判例ものがあります(大阪高決昭54.3.22)。
上記の趣旨からすれば、壊れた中古自動車が、財産的な価値がない場合、その中古自動車を廃車処分したとしても、法定単純承認とは判断されないことも考えられます。
しかし、法定単純承認に該当するか、どうか、微妙な判断を必要とします。