♂ アル・マディオ … 16歳。大国デルトリクで炭鉱夫(ディガー)の仕事をしている。まっすぐな性格。

♀ フィーナ・マディオ … 14歳。アルの妹。可愛くて気立てが良くて料理も得意と、まさに三拍子揃った理想的の妹。

♀ ルティア・シュタイン … 16歳。デルトリク王都オーガンの技術者。まだ若いが技術・知識面ではオーガン随一。性格はいわゆるツンデレ。

♂ モール・ウルフ … 36歳。熟練のディガーで、アルに親方と呼ばれている。口調は乱暴だが面倒見の良い性格。

♂ ジロン・タル … 鑑定屋。高齢のため腰を痛めており、いつも店にいる。

♂ ガルモート … デルトリク侵略を狙うジオード国の軍人。性格はサディスティック。目的の為には手段を選ばない。

  ??? … 謎の巨大タマゴの声。感情のない機械音声。

■設定資料■



N 「最終戦争(ラグナロク)が終結した。
   緑は灼け、大地は削られ、あらゆる生命が失われた。
   しかし、海に沈むことを免れた大地あり。
   生き残った者達はそこに国をつくり、子を成し、種をつないでいった。
   人々は今日も、土くれの中に光を探す」


 ・
 ・
 ・


 暗闇のなかに、硬い金属音が響いている。


アル 「ふっ! ……ふっ! ……ふっ!」


 地面から大きく盛り上がった石に、何度となくツルハシを振り降ろす少年。


アル 「ふぃーっ……ここもハズレだな。くそっ。あぁ腹減った」

フィーナ 「お兄ちゃーん!」


 坑道の入口側から声が響いて聞こえてくる。


アル 「フィーナ。こっちだこっち」

フィーナ 「あ、いた。もー、昨日の場所と違ったから探しちゃったよ」

アル 「悪い。あそこは出(で)がイマイチだったからさ。今日はここにした。なんかこう、ピンと来たんだよな」

フィーナ 「ふうん。それで、現在までの成果は?」

アル 「…………」

フィーナ 「おかしいね、ピンと来たのにね」

アル 「…………」

フィーナ 「お兄ちゃんの勘は全然当たらないんだから、絶対信じちゃダメだよ」

アル 「辛辣だなー……兄ちゃん傷付いたぞぉ」

フィーナ 「うーーん、そうだなぁ……。ね、ここなんか良さそうじゃないかな。ほら、お兄ちゃん。ここ掘ってみて」

アル 「えぇ? そこは転がってる石も質が悪いし、地面がエグれてるだろ? ハズレ穴の跡だよ」

フィーナ 「いいから、ちょっとだけ掘ってみて」

アル 「出るわけないって」


 しぶしぶながら、ツルハシを振り上げる少年。
 数分後──


アル 「出た……! 嘘だろ」

フィーナ 「ほら、やっぱり。ね?」

アルー 「くうぅぅ……ちくしょう」

フィーナ 「お兄ちゃん、落ち込まないで。ほら、お弁当食べよ?」

アル 「……サンキュー。そうだよな、こっから巻き返してやるさ。やっぱフィーナの弁当を食べないと調子が出ないぜ」

フィーナ 「うん。たくさん食べて頑張って」

モール 「おいアル! ……ったく昼間っからイチャイチャしてんじゃねえよ」


 今度は坑道のさらに奥から、筋肉質で引き締まったガタイの男が現れた。


フィーナ 「親方さん」

アル 「親方、別にイチャイチャなんて……仲の良い兄妹の日常会話だろ?」

モール 「なんかその言い方も腹立つんだよ、この野郎」


 親方と呼ばれた男が、少年──アルにげんこつを食らわせる。


アル 「いっつ……!」

フィーナ 「親方さん、ごめんなさい」

モール 「フィーナちゃんは謝らなくていいんだよ。みんなコイツが悪いんだ」

アル 「なんでだよ……」

モール 「それよりフィーナちゃん、俺の分の弁当は無いのかなぁ〜?」

フィーナ 「えっ? でも、親方さんには奥さんの作ってくれたお弁当がありますよね?」

モール 「いやまあ、あるんだけどな? たまには古女房の作った握り飯じゃなくて、こう……若い子の作ったフレッシュな弁当を食いたいわけよ」

フィーナ 「今日はお兄ちゃんの分しか作って来てないんですけど……じゃあ、良かったら半分こしませんか?」

モール 「そうか? いや悪ィなぁ!」

アル 「絶対悪いと思ってないだろ」

モール 「ん? アルは俺のげんこつ、おかわりか? ん?」

アル 「はいはい分かりましたよ! 半分こでいいです!」

モール 「なんだよ、遠慮することねえのになあ?」

フィーナ 「あははっ!」


 昼食を済ませると、フィーナは家に戻っていった。アルはまた一心不乱にツルハシを振るっている。
 その時、唐突に甲高い金属音に濁音が混じった。


アル 「きた!! この手応え! 今度こそ……せーのっ…ふっ!!」


 思い切りツルハシを振り下ろすが、手応えなし。両手がじーんと痺れる。


アル 「かってぇ……! こりゃ俺一人じゃ無理だな。親方ぁーーーー!」

モール 「(遠くから)なんだぁーー?」

アル 「ちょっとこっちきて手伝ってくれよ! なんかしんないけどすんげー硬くてさぁ!」

モール 「よーし、ちょっと待ってろ」

アル 「親方、ここ。ツルハシじゃ全然ダメだ。こんなの初めてだよ」

モール 「ああん? だらしねぇなぁ」

アル 「いや、だってこれ無茶苦茶硬いんだって」

モール 「ふー、まだまだヒヨっ子だな、アル。どいてろ」


 親方はツルハシを大きく振りかぶった。


モール 「うらぁ!! …っと、こりゃあ……もしかすると、もしかするかもだな」

アル 「え? なにが? まさか…」

モール 「お宝だぁッ!!」


 親方は渾身の力でツルハシを振り下ろした。


ルティア 『双魂のジェミニ 第一話 地中の星』

モール 「このモール様に掘れねえもんは無ぇ。男のケツ以外はな」

アル 「さっすが親方ぁ! と、言いたいところだけど、これがお宝……?」

モール 「あんだよ、なんか文句あんのかよ?」

アル 「いや、だから、これがお宝なのかなって」

モール 「知るか!!」

アル 「鳥の卵にそっくりだけど、それにしてもデカイなぁ」

モール 「んなデカい卵産む鳥がいてたまるか。どんだけデカいケツしてやがんだ」

アル 「もしかして、恐竜の卵の化石? にしてもデカすぎるよなぁ」

モール 「ちきしょー、喜んで損したぜ。
     とりあえず鑑定屋のオヤジに見てもらうか。お宝じゃなくても珍しいモンには違いなさそうだ。
     あーーーあ! 疲れた! アル、そのデカブツ出口まで運んどけよ」

アル 「了解! ……って無理無理! こんなデカイのトロッコにも乗らないよ」

モール 「だったらロープでも巻きつけて引っ張って来い。じゃあお先〜」

アル 「ちょっ……」


 ひょいとトロッコに飛び乗り、行ってしまうモール。


アル 「ったくもう! 面倒なことはすぐ俺に押し付けるんだからなぁ親方は!
    はあ。こんなもん、一体どうすりゃいいんだよ」


 手の甲でコツンとタマゴの表面を叩く


??? 『バイオコンステレーションタイプ、スキャン開始』

アル 「うおっ!?」

??? 『タイプ一致。続いてユーザーネームを入力して下さい』

アル 「た、タマゴが喋った……?」

??? 『音声入力を確認”タマゴが喋った”よろしければ確認とお答え下さい』

アル 「な、何なんだよこれ…やっぱりただのタマゴじゃないぞ」

??? 『無効な音声入力です』

アル 「早いとこ店で鑑定してもらおう。でも俺一人じゃ運べないしなぁ……あのクソ親方。
    そうだ、鑑定屋のおっちゃんに来てもらって直接見てもらえばいいんだ! おーし、善は急げだ」


 出口に駆け出すアル。


N 「広大な土地を擁する大国デルトリク。
   この世界では、土地の広さが国の豊かさに比例する。
   土中に埋まった財宝(ロスト・テクノロジー)を求めて、今日もディガーは穴を掘る」


アル 「こんちはー! おっちゃんいる?」

ジロン 「おうアルか。モールから聞いたぞ、バカでかい鳥のタマゴを見つけたんだってな?」

アル 「それそれ! その事なんだけど、どうもただのタマゴじゃないみたいでさ」

ジロン 「ほう。鳥のタマゴじゃないってことは、もしかしたら大昔に居たっていう恐竜のタマゴの化石かもしれんのう」

アル 「いやそれがさぁ……」

ルティア 「御免下さい。ちょっとお伺いしたいんですが」


 いつの間にか店の入口に少女が立っていた。


ジロン 「アル、その話はまた後でな。
     いらっしゃい! どんな御用かな?」

ルティア 「このあたりにロストテクノロジーの発掘を専門にしているコールマイン(炭鉱)はあるかしら?」

ジロン 「ロステク専門の穴は無いのう。ここいらはガラクタでも何でも手広く掘っとるからねえ」

ルティア 「はぁ……やっぱりそうよね」

ジロン 「お嬢ちゃん、見かけない顔だけど、どっから来なすったんだい?」

ルティア 「オーガンよ」

ジロン 「王都からか。だったらそっちのほうが穴はたくさんあるじゃろう」

ルティア 「そうなんだけど、色々と事情があってね。
      だからわざわざこんな所まで来たんだけど、無駄足だったみたいね……。
      邪魔したわね」


 少女、店を出ていく。


アル 「なんだアイツ。感じ悪い奴だなぁ」

ジロン 「まだ若いってことさ。アル、多分お前さんと同い歳くらいじゃろ」

アル 「冗談じゃない。背だって俺より低いし、胸だってペッタンコだったじゃないか。どう見ても年下だよ」

ジロン 「はっはっは! 違いない。ま、ワシも王都の人間はあまり好かんよ」

アル 「あ、そんなことよりタマゴの話だよ!
    あんなの運んで来れないからさ、悪いけど穴まで一緒に見に来てくんないかな」

ジロン 「あの穴までか、ちと遠いな…」

アル 「頼むよ。あれはただのタマゴじゃない。喋るタマゴなんだよ!」

ジロン 「なんと! 喋るタマゴとな………そりゃあ、”たまごたな”」

アル 「つまんないダジャレはいいから! 頼むよ!」

ジロン 「見てやりたいのはやまやまなんじゃが、最近腰の調子が良くなくてな…おーいたた!
     こんな時、こないだ発掘された”クルマ”って奴があれば便利なんじゃろうがなぁ」

アル 「そんなぁ……」

ジロン 「そういうわけじゃから、すまんが──」

ルティア 「ちょっとあなた達! 今の話聞いたわよ!」

ジロン 「嬢ちゃん?」

アル 「やっべ…!」

ルティア 「道を聞こうと戻って正解だったわ。
      私をそのタマゴのところまで案内しなさい! 今すぐよ!」

アル 「……え?」


 ・
 ・
 ・


 炭鉱内を歩いている、アルと少女。


アル 「……。(こいつ、炭鉱に入ってから急に無口になったな)」

ルティア 「……ここは全部人の手で掘ってるのね」

アル 「! ああ、そうだよ」

ルティア 「……」

アル 「オーガンじゃ機械を使って掘るらしいな」

ルティア 「そうよ。ドリルって言ってね、スイッチを押すと刃の部分が高速回転して掘削するの。
      人の手でやるより何倍も早いんだから!」

アル 「ふーん……便利な機械があるもんだな」

ルティア 「私が作ったのよ」

アル 「え?」

ルティア 「もちろん発掘したパーツから再現したんだけどね。
      今にもっと便利な機械が発掘されるはずよ。古代人の科学は、まだまだこんなモンじゃないわ」

アル 「お前、いったい……」

ルティア 「そういえばまだ言ってなかったわね。私、オーガンでロストテクノロジーを研究しているの。
      ルティア・シュタイン。まだ16だけど機械の事なら誰より知ってるわ」

アル 「じゅ、16!? 俺と同い年じゃないか」

ルティア 「ふうん、あなたも16なの。とてもそうは見えないけれど。てっきり年下かと思ってたわ」

アル 「そりゃこっちの台詞だ」

ルティア 「で? あなたは誰なの?」

アル 「俺はアル。アル・マディオだ。ここでディガーをやってる。
    ま、炭鉱の事なら俺に任せろ。この穴は俺の庭みたいなモンなんだ。知ってるか? 炭鉱の中は意外と迷路なんだぜ。
    俺ぐらい熟練ともなれば目をつむっても歩けるけど、素人が勝手に進むとまず出られなくなるから気を付けろよ」


 そう言ってアルが振り返ると、さっきまでそこに居た少女が消えていた。


アル 「って居ねぇし! おい!! どこ行ったんだよ!?」

ルティア 「こっちよ」


 すこし先の開けた場所に彼女が待っていた。そこに鎮座している卵を興味深そうに眺めている。


アル 「言ってるそばから勝手に進むなよ。迷子になっても知らないぞ」

ルティア 「問題ないわ。迷路って言うのはね、片手を壁につけて進めば必ず出られるの。
      覚えておいた方がいいわよ、熟練ディガーさん」

アル 「そっ、それぐらい知ってらぁ!」

ルティア 「これがあなたの言ってたタマゴね」

アル 「……そうだよ。そいつが急にペラペラ喋り出したんだ」

ルティア 「間違いないわ。スターエッグよ」

アル 「スターエッグ? ってなんだ?」

ルティア 「知らないの!? 田舎者ォ」

アル 「仕方ないだろ! ここは王都に比べたら機械の普及率だって低いんだ」

ルティア 「はいはい。教えてあげるわ。このタマゴの中に入ってるのは鳥でも恐竜でもない。兵器よ」

アル 「兵器!? 爆弾か!?」

ルティア 「その単純思考なんとかしたら? 違うわよ。人型の機動兵器。私達はサテライターって呼んでる」

アル 「機動兵器……サテライター……?」

ルティア 「ね。これ、私に調べさせてくれないかしら。興味があるの! もちろんお金は要らないわ」

アル 「まあ…タダで見てくれるんなら。それに今この町には、お前以外にコイツを調べられる人間は居なさそうだしな」

ルティア 「よくわかってるじゃない」

アル 「言っとくけど、調べるだけだからな。こいつは俺の獲物だ」

ルティア 「わかってるわよ。じゃあ早速──」

ガルモート 「はいそこまで」


 パンパンと手を叩きながら、見知らぬ男が現れた。


アル&ルティア 「!?」

ガルモート 「お前ら話が長ぇよ。待ちくたびれたぜ」

アル 「誰だお前は」

ガルモート 「誰でもいいだろ? でもまぁ、教えてやる。俺はガルモート。ジオードの軍人だ」

ルティア 「ジオードですって!?」

アル 「ジオードって、隣の国の?」

ルティア 「ええ。最近じゃデルトリクを侵略しようとしてるってもっぱらの噂だけどね」

ガルモート 「おいおい人聞きの悪い事を言うなよ。俺たちゃまだ何もしてないぜ?
       外国人にはもっと優しくしてほしいね」

ルティア 「その外国人さんが一体何の用かしら?」

ガルモート 「そんな顔で睨まないでくれよ。用事が済んだらすぐに帰るって。そこ、どいてくれねえか」

アル 「用事?」

ガルモート 「そう。コウノトリのタマゴだよォ」

ルティア 「!? アル、行かせちゃだめ!」

アル 「え?」

ルティア 「こいつ、エッグを狙ってる。絶対に渡しちゃダメ! サテライターは強力な兵器よ。戦争に使うつもりに決まってるわ」

ガルモート 「まあ待ちなよ。ビジネスの話をしようぜ。小僧、お前に5000万デルやろう。そのタマゴと交換だ」

アル 「ごせっ……!? 5000万デルだって!?」

ガルモート 「そうだ。新しいおウチに、新しいクルマ。生活がガラッと変わって人生バラ色。悪くない話だろ?」

アル 「クルマ? クルマって鑑定屋のおっちゃんが言ってたアレか……。確かに悪くない」

ルティア 「馬鹿! サテライターが悪用されれば、たくさんの人が死ぬのよ!?」

アル 「じょ、冗談だよ。えーと、ガルモートさんだったか? 悪いけど商談は不成立だ。こいつは渡せない」

ガルモート 「……へェ。そうかよ。んじゃあ、これならどうだ?」


 ガルモートが岩陰から何かを引きずり出す。
 地面に転がるそれは、手足を縛られたフィーナだった。


フィーナ 「お兄ちゃん……!」

アル 「フィーナ!? どうして──」

ガルモート 「おらっ」


 ガルモートが容赦なくフィーナを蹴りつける。


フィーナ 「うぐっ!」

アル 「なっ、何しやがるッ!!」

ガルモート 「おっと」


 アルの拳をかわし、みぞおちに膝蹴りを食らわせるガルモート。


アル 「ごほっ!!」

ルティア 「アル!」

アル 「あう…あぁぁ……!」

ガルモート 「悪ぃ悪ぃ、はずみで蹴っちまった。どうも俺は足癖が良くなくてな。大丈夫かぁ?」

アル 「こ、この野郎……」

ガルモート 「さてと、商談再開といくか。そのタマゴと、5000万デル。今なら出血大サービスで、このお嬢ちゃんの命も付けてやる」


 フィーナの髪を掴みあげ、自分の顔に寄せるガルモート。その頬を舌でなめるような仕草をし、アルを挑発する。


アル 「!!」

ガルモート 「商談成立、か?」

ルティア 「ダメよ! エッグは渡せない!!」

ガルモート 「……だってよ。お嬢ちゃん。いきなり縛られるわ蹴っ飛ばされるわで災難だよなぁ」


 口ではそう言いながら、なおもフィーナを蹴り続ける。


フィーナ 「あぐ! うぐっ! げほっ……!」

アル 「や……やめろ! やめてくれ!!」

ガルモート 「え〜? もっかい言ってくれねえか? 耳が遠くてよぉ」

アル 「やめろ!!」

ガルモート 「やだね」


 フィーナの腹を蹴りあげるガルモート。


フィーナ 「うっ……!!」

アル 「お前!! フィーナから離れろ!!」


 アルがガルモートめがけ体当たりをしかけるが、かわされてしまう。


ガルモート 「だから当たんねーって……ッ!?」


 ガルモートがバランスを崩して倒れる。ルティアの投げた石が額に命中したのだった。


ルティア 「アル今よ! エッグを起動して!」

アル 「分かった!」

ガルモート 「ううっ……」


 額を押さえて呻くガルモート。
 アルは素早くタマゴに駆け寄り、その表面を力任せに叩きつける。


アル 「おいタマゴ! 聞こえるか!?」

??? 『ユーザーネームを入力して下さい』

アル 「アルだ! アル・マディオ!」

??? 『音声入力を確認。”アル・マディオ”よろしければ──』

アル 「確認!」

??? 『レジストレーション完了。システムオールグリーン。サテライター、起動します』

アル 「た、タマゴが……割れた!」


 割れた卵から漏れ出した水分がみるみる蒸発していく。蒸気の中に巨大な人型の影が現れた。


アル 「これが、サテライター……」

ガルモート 「1/12の確率を……? チッ、運のいい奴め。だが使わせるかよォ」

ルティア 「待ちなさい!!」


 ルティアがガルモートの足に飛びつく。


ガルモート 「なっ!? この……! 離せクソ餓鬼!」


 ルティアの頭を踏みつける。


ルティア 「うっぐっ……アル! 早く乗ってぇ!!」

アル 「って言われても、どうすりゃ乗れるんだよ!」

ガルモート 「離しやがれってんだよ! おらぁ!」

ルティア 「ぐっ……あぁっ!」

アル 「おいお前! 頼むっ! なあ! どうすりゃいいんだよ!? 早くしないとルティアが……!
    お前、聞こえてるんだろ!? とにかく何でもいいから俺を乗せてくれ!!」


 半ばパニックになりながら訴えるアル。一瞬、目の前が真っ白になったかと思うと、次の瞬間、アルは見知らぬ場所に居た。


アル 「へ?」

ルティア 「やった!」


 目の前のモニターの中に、ガルモートと、それに激しく抵抗するルティアが見えた。少し離れた所にフィーナも倒れている。
 自分は今サテライターの中にいるのだと瞬時に認識する。


アル 「ここは、あの機械の中なのか? どういう仕掛けか知らないが……よぉし、行くぜ相棒!」




N 「次回予告」

フィーナ 「逃げて、お兄ちゃん……!」

ガルモート 「クハッハッハッハ! 小僧、切り札は最後にとっておくもんだろォ?」

ルティア 「次回、双魂のジェミニ 第二話 欠けた双子星」

アル 「嘘だ、こんな事……!」



つづく

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