♂ アル・マディオ … 16歳。大国デルトリクで炭鉱夫(ディガー)の仕事をしている。まっすぐな性格。
♂ モール・ウルフ … 36歳。熟練のディガーで、アルに親方と呼ばれている。口調は乱暴だが面倒見の良い性格。
♀ ディナ・ウルフ … 31歳。モールの奥さん。威勢がよくアネゴ肌な性格でかなりの美人。炭鉱の落盤事故が原因で片足が不自由なため、いつも松葉杖をついている。
♀ ルティア・シュタイン … 16歳。デルトリク王都オーガンの技術者。まだ若いが技術・知識面ではオーガン随一との呼び声も高い。性格はいわゆるツンデレ。
♀ フィーナ … 14歳。気立ての良い娘でアルたちの住む街ファーレンでは人気者だったが、隣国ジオードの軍人に撃たれ死亡した。
♀ ジェミニ … 16歳(?)明るく天真爛漫な性格。人工精霊と呼ばれる存在で、その意識はサテライターの中にある。主な役目は操縦者のサポート。
♂ ジロン・タル … 鑑定屋。高齢のため腰を痛めており、いつも店にいる。
♂ ケイファー・ナースホルン … 20歳。ルティアと同じオーガンの研究所で働く技術者。性格は温厚で、サテライターに関する知識はルティアに引けをとらない。
■キャラ・設定資料■
双魂のジェミニ 第七話 http://3rd.geocities.jp/vivision_store/gemini07.html ♂アル: ♂モール: ♀ディナ: ♀ルティア: ♀フィーナ&ジェミニ: ♂ジロン&N: ♂ケイファー:
N 「その昔、人間の最も愚かな行為によって、地表の95パーセント以上が海に沈んだ。
生き残った人々は、残された大地から過去の遺物を掘り起こし、糧とした。
デルトリクで炭鉱夫(ディガー)を営む少年、アルは、サテライターと呼ばれる機動兵器を掘り当てた。
だが、強い力は災いを呼び寄せてしまう。
ジェミニ奪取の命令を受け、乙女座のサテライターがアルたちに襲い掛かる。
統一国家の理想を掲げ、アルを説得しようとするヴィルヘルム。
しかし、人工精霊であるジェミニの存在を確認すると、不思議なほどあっさりと引き上げて行くのだった」
・
・
・
炭鉱の鉱道内は一定の間隔で明かりが設置されているが、それでもすこし薄暗い。
その奥から二つの金属音が合図をしあうように響いてくる。
モール 「ほいさ!」
アル 「おりゃさ!」
モール 「どっせ!」
アル 「よいせ!」
モール 「こらせ!」
アル 「よいしょ!」
モール 「ふーーーっ。休憩! 昼メシだ!」
アル 「ふう……。親方、ディナさんまだ来てないよ」
モール 「あんにゃろー、弁当ぐらいチャッチャと作って持ってこいってんだ。ったくノロマな──」
びゅっと何かが空を切ったかと思うと、モールの頭に松葉杖が刺さるように直撃していた。
モール 「がっ……」
ディナ 「誰がノロマだって? 脳ミソきんに君」
モール 「つうぅ〜!」
アル 「ディナさん、こんちは」
ディナ 「こんにちは、アル。どう? ディガーの仕事はこたえるでしょ?」
アル 「まあね。でもまだまだ余裕だよ」
ディナ 「無理しなくていいんだからね。大変なところはコイツに任せたらいいから」
モール 「……オイ。松葉杖は人に向けて投げるなって教わらなかったのか?」
ディナ 「聞いたことないねえ。わざわざ弁当を作って持ってくる人間をノロマ呼ばわりするからさ」
モール 「けっ」
ディナ 「さあ、アル。今日は多めに持ってきたからね、遠慮しないでたくさん食べな」
アル 「うん! ディナさんの手作り弁当、久しぶりだなぁ。いただきまーす!」
モール 「おいアル! その肉巻きは俺のだ! 勝手に食──」
ごすっ。(松葉杖)
ディナ 「仲良く半分で分けな」
ルティア 『双魂のジェミニ 第七話 過去からのボトルメール』
昼食を終えた三人は今日の成果を携えて鑑定屋を訪れた。
フィーナ 「いらっしゃいませー! あ、お兄ちゃん」
アル 「フィーナ、がんばってるか?」
フィーナ 「うん。親方さん、ディナさん、こんにちは」
モール 「よう」
ディナ 「フィーナちゃん、こんなところで何してるんだい?」
フィーナ 「毎週この日はおじいちゃんのところでお手伝いする事にしたんです。少しでも家計の足しになるし」
ディナ 「あんたって子は〜〜〜〜いい子過ぎるよっ」
フィーナを抱きしめ、頬ずりするディナ。
フィーナ 「あはは、ディナさん、くすぐったいよ!」
モール 「にしても、変わった格好してるな」
フィーナ 「あ、これは……おじいちゃんが仕事着にくれたんですけど、似合ってますか?」
その場でくるんと回ってみせるフィーナ。
白と黒を基調にしたメイド服だった。頭にはフリフリのカチューシャを着けている。スカートの丈もなかなかに短い。
アル 「うっ、似合いすぎてる……」
モール 「あのジジイ……」
ディナ 「いい趣味してるじゃないの……」
ジロン 「おーい、フィーナや。どこじゃー? ちょっとこっちに来て腰を揉んどくれんかのー?」
フィーナ 「あ、はーい!」
ディナ 「あんたはここに居な」
フィーナ 「?」
ジロン 「まだかのー? フィーナやー、おじいちゃんは腰が痛くてたまらんよー」
店の奥にあるベッドの上でうつ伏せになっているジロン。それに近づく人影。
ディナ 「ここかい?」
ジロン 「おう、そこそこ……ん? でぃ、ディナ!?」
ディナ 「フィーナじゃなくて残念だったねえ。こう見えてアタシも得意なんだよねえ、マッサージ」
ディナは松葉杖の先端をジロンの腰にあてがった。
ジロン 「ちょ待っ……」
ディナ 「行くよ」
ジロン 「ぬおっ! あっはぁ! あおうっ! フィーナ! おほうっ! た、助けて! くれい!」
フィーナ 「おじいちゃん、大丈夫かな」
モール 「心配ねえよ。あいつのマッサージは結構効くんだ」
ジロン 「ああん! んほおおおっ!」
アル 「まあ、効いてるのは確かみたいだけど」
フィーナ 「う〜ん」
15分後。
ジロン 「ふうぅ……ひどい目にあったわい……」
ディナ 「まったく、フィーナちゃんが逆らえないのをいいことにコキ使ってんじゃないよ。
この子は店の手伝いに来てるんであって、あんたの世話をしに来てるんじゃないんだからね」
ジロン 「人聞きの悪い。手伝いのついでに、ちーと腰を揉んでもらおうとしただけじゃろが。もっと年寄りを労わってくれても良かろう」
ディナ 「労わってやったでしょ。腰の調子もマシになってるはずだよ」
ジロン 「そんなわけないじゃろが! あんな乱暴にしたら……うん? あらら? 腰が……腰がラクになっとる!」
ディナ 「ふん」
フィーナ 「ディナさん、すごい」
ディナ 「まあ、毎晩この人の岩みたいな体をマッサージさせられたらね、嫌でも上手くなっちまうさ」
アル 「そういうことか」
フィーナ 「私も上手くなりたいなぁ。そしたらお兄ちゃんが疲れて帰ってきたとき、マッサージしてあげられるし」
アル 「おおっ、そいつは良いな!」
ディナ 「コツがわかれば簡単さ。今度うちに泊まりに来たときにでも教えてあげるよ」
フィーナ 「本当? やった!」
モール 「フィーナちゃん、練習台なら俺がなってやるぜ。こいつのゴッドハンドは俺の体で鍛えられたんだからな」
ジロン 「ワシだっていつでも練習台になるぞい。フィーナちゃんの気の済むまで、好きなだけ揉んでくれてええんじゃよ」
ディナ 「まったくこいつらは……」
フィーナ 「あははっ」
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ルティア 「──アル。ねえアル、聞いてる?」
アル 「んっ……悪い、ちょっとウトウトしてた」
ルティア 「どこがちょっとよ。完全に寝てたでしょ」
ジェミニ 『うん。マスター寝てた』
アル 「なはは、ごめん。で、何の話だっけ」
ルティア 「私がこの町に来た理由よ」
アル 「ああ! えーっと、ルティアが拾ったボトルメールの話だったよな。それで、ジェパンに行くための船に乗りたいんだろ?」
ルティア 「そう。この町の港からジェパン行きの船が出てる。ジェパンのドクターマゴロクにボトルメールを見てもらいたいのよ」
ケイファー 「ダメだよルティア。ジェパン行きは認められない。一緒に研究所に戻ろう」
台所からケイファーが顔を覗かせて言う。
ルティア 「ケイファー、何度も言わせないで。戻らないって言ってるでしょ」
ケイファー 「そりゃあ僕だってドクターマゴロクに会ってみたいさ。でも彼は人見知りで、知らない人間とは会いたがらないって噂じゃないか。
アポも無しに会って貰えるわけないよ」
ルテイア 「そんなのわからないじゃないの。もし断られても強引に会う方法はいくらでもあるわ」
ケイファー 「ダメだよそんなの」
アル 「ドクターマゴロクって、誰?」
待ってましたと言わんばかりにケイファーが力説をはじめる。
ケイファー 「セイゲン・マゴロク。通称ドクターマゴロク。科学者なら彼の名前を知らない者はいないほどの有名人だよ。
彼の発行したサテライター解体新書は読んだかい?」
アル 「い、いや」
ケイファー 「だろうね、初版だけで発行部数も少ない。でも、もちろん僕は手に入れたよ。
その本はね、ロストテクノロジーの集合体であるサテライターをバラバラに分解して、ひとつひとつのパーツを解説しているんだ。
しかもそれを、彼と助手の二人だけでやり遂げた。すごいよ、尊敬する。もし会えたら握手してもらいたい」
アル 「お、おぉ」
ケイファー 「残念なのはこの本が絶版になってしまってるということだ。こんなに素晴らしい本が──」
ジェミニ 『ケイファー、お鍋ふいてるよ?』
ケイファー 「えっ? うわっ!」
あわてて台所にひっこむケイファー。
アル 「相当なファンみたいだな」
ルティア 「あそこまで来ると信者よ」
ケイファー 「危ない危ない、せっかくのシチューが焦げるところだったよ。ありがとうジェミニ」
ジェミニ 『良かったね』
アル 「それで? ドクターマゴロクに見せたいボトルメールの中身って、一体何が書いてあったんだ?」
ルティア 「……信じる?」
アル 「え?」
ルティア 「私の言うことを信じられる? 馬鹿みたいな話でも」
アル 「内容によるけど……」
ケイファー 「僕は科学者だ。どんな話でも自分で考えて判断するよ」
ルティア 「私だってそうよ。だからこそ、あのボトルメールは信じるに値するって、科学者の私がそう判断した」
ケイファー 「聞こう」
ルティア 「いいわ。ちょっと長くなるけど、話してあげる。
──あれは半年前。私の16歳の誕生日のことよ。
あの日は空がよく晴れてて、夜になるとたくさん星が見えてね。綺麗だからずっと眺めてたわ」
ルティアは少し目を細め、あの日の出来事を思い浮かべた。
ルティア 「そうしたらね、夜空にすーっと光が流れたの」
ジェミニ 『流れ星だ!』
ルティア 「なんとなく気になって、私は浜辺までやってきた。
波打ち際に何かが光って、それが波に揺られてキラキラ光を反射していた。
もちろんそれがさっきの流れ星だなんて、ロマンチックなことを思ったわけじゃないけど、私は近づいてそれを拾い上げた。
どこにでもありそうなガラスのビンだったわ。
薄汚れてて中身はよく見えなかったけど、蓋の部分が厳重に封印してあって、中に何かが入ってるのは間違いないと思った」
ジェミニ 『それで? それで?』
ルティア 「もちろん蓋を開けたわ。念のためにガスマスクと手袋まで用意してね。
そして、中に入っていたものを取り出した」
ルティアはポケットからケースを取り出し、それを開けて見せた。
ルティア 「見てみる?」
それは、意味不明の文字や図が書かれた紙きれだった。
アル 「なんだこりゃ? 文字か……?」
ルティア 「たぶんそれは古代文字」
アル 「古代文字? なんて書いてあるんだ?」
ルティア 「それがわかれば苦労はしないわ」
ジェミニ 『ねーえ! 私にも見せてー』
ケイファー 「たしか君、この図柄がサテライターを表しているんじゃないかって、僕に相談に来たよね」
ルティア 「ええ。でもケイファーは真面目に取り合ってくれなかったのよね」
ケイファー 「いや、そんなことは……そう見えたかな。ごめん。あのときは研究をたくさん抱えてたから」
ルティア 「ふん。だから私は一人でこれを分析した。そしてその結果、ある仮説に辿りついたのよ」
アル 「仮説?」
ルティア 「このボトルメールは……古代人からのメッセージよ」
ケイファー 「ありえない! ……あ、いや……最終戦争<ラグナロク>が起きたのは少なくとも300年以上前のことだ。
それからずっと海を漂っていただなんて……第一、中の紙が保つはずがない」
ルティア 「そう。それが普通の紙だったらね」
ケイファー 「!」
ジェミニ 『ねえってばー、見ーせーてーよー!』
アル 「うるさいな。ほら」
アルはジェミニの前に紙切れを置いてやった。
ルティア 「分析の結果、ボトルメールに使われていた紙の材質は、水に濡れても破れない。火を近づけても燃えない。
数百年単位で保存が可能な、とんでもなく丈夫な紙だとわかったの」
アル 「それって……」
ルティア 「そう、ロストテクノロジーで作られた紙だったのよ」
ケイファー 「まさか……でも、ありえない話じゃない……」
ルティア 「でしょ? ロストテクノロジーは必ずしも地中から発見されるとは限らないのよ」
ジェミニ 『神に等しき……人の……星……あるべき姿へ……』
ルティア 「!! ジェミニ! 読めるの?」
ジェミニ 『うん。サテライターにこの言語情報が登録されてるみたい』
ケイファー 「そうか……! サテライターはロストテクノロジーの集合体。失われた文明の記憶が残っていても不思議じゃない。
ジェミニ。古代文明のこと、他にも知ってることはないのかい?」
ジェミニ 『うーん、あるかもしれないけど、わかんない』
ルティア 「ちょっと! 真面目に答えなさい」
ジェミニ 『本当だよ。今だってこの文字を見たらフッと頭に浮かんだだけなんだもん』
ケイファー 「その類の情報はジェミニの意思で引き出すことが出来ないようになってるのかもしれないね。
膨大なデータの引き出しはあっても、名札(タグ)がついていなければ情報は引き出せない」
ルティア 「そんなぁ……まあいいわ。ジェミニ、もう一度最初からしっかり読んでみて」
ジェミニ 『うん。えっと……神に等しき、人の力を以って、この星のあるべき姿へと回帰した。
水、土壌、大気の状況はどうなっている? 定時連絡が途絶えている。至急連絡求む。
遥か火の星より、来たるべき帰還の日を皆が待ち望んでいる──これで全部だよ!』
アル 「ふーん、本当に誰かに宛てた手紙って感じの内容だな」
ルティア 「……」
ケイファー 「……」
アル 「おい? ルティア? ケイファー?」
ジェミニ 『おーい。変なの、二人とも同じ顔して固まってる』
ケイファー 「こ、これが冗談じゃないとしたら……とんでもない発見だよ」
ルティア 「こうしちゃいられない! 一刻も早くジェパンに行かないと!」
ケイファー 「ああ。僕も行くよ」
アル 「え? お、おい! 今ので何がわかったんだよ? 俺にもわかるように説明してくれ!」
ルティア 「最終戦争<ラグナロク>の起こった本当の理由、そしてこれから起こること……詳しい話は船の中で話すわ。
……会いに行きましょ。ジェパンのドクターマゴロクに」
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鑑定屋、店内。
モール 「寝言いってんじゃねえ!!」
アル 「!」
モール 「ディガーの仕事もロクに出来ねえ半人前が、外に出てやってけると思ってんのか!!」
ジロン 「モール、少しはアルの言い分も聞いてやらんか」
モール 「うるせえ! 何が言い分だ下らねえ。ちょっと休んでる間にサボり癖がついただけだろうが!
バカバカしい。頭冷やしてよぉく考えやがれ!」
勢いよく扉を閉めて行ってしまうモール。
ジロン 「やれやれ、困った奴じゃな」
アル 「急に出てくなんて言ったら、そりゃ怒るよな……」
ジロン 「大丈夫じゃよ。モールの奴、ああ言って自分の頭を冷やしに行ったんじゃから」
アル 「そうは見えなかったけど」
ジロン 「すぐにカッとなるのはあやつの欠点じゃが、決して話のわからん奴じゃない。
あやつにも考える時間が必要なんじゃよ」
アル 「……」
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炭鉱の奥から、硬い金属のかち合う甲高い音が響いてくる。
モール 「ふっ! ふっ! ふっ! ふんっ!!」
一心不乱にツルハシを振るうモール。引き締まった筋肉が汗で光沢を放っている。
モール 「ふうーーっ……」
地中からようやく姿を見せたそれをスコップで丁寧に掘り出し、カゴに入れる。
ディガーはこうして掘り出した発掘品──古代の遺物を鑑定屋に卸し、生計を立てている。
モール 「……」
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モールの回想。
モール 「なにィ? この町を出ていく?」
アル 「う、うん」
モール 「何でだよ? フィーナちゃんのカタキは討ったんだろうが。これ以上やっかい事に首突っ込むのはよせ」
アル 「でも、ジェミニを……サテライターをここに置いとくと、またジオードの奴らが奪いにやってくる」
モール 「サテライターのことは、あのツンツン嬢ちゃんとヤサ兄ちゃんに任せりゃいいじゃねえか。お前が出て行くことはねえよ」
アル 「……親方、聞いてくれ。ジオードはデルトリクに戦争を仕掛けるつもりなんだ」
モール 「!」
ジロン 「なんと……! ジオードの奴らめ、ついに化けの皮が剥がれよったか!」
アル 「ここみたいな田舎が戦場になることはないはずだってケイファーも言ってた。でもサテライターがあると、この町も狙われる!」
モール 「……確かにそいつは一大事だ」
アル 「だろ!? だから──」
モール 「だがよ、それを知ってお前に……俺たちに何ができるってんだ?
国家間の戦争なんて、そんな大それた事に首突っ込んでどうなるってんだよ」
アル 「……サテライターがあれば、戦争を止められるかもしれないんだ」
モール 「そのサテライターのせいでフィーナちゃんは死んだんだろうがっ!! ええっ!?」
モールがアルの胸倉に掴みかかる。
ジロン 「モール! やめんか!」
モール 「……ディガーの仕事はどうすんだよ」
アル 「それは……本当にごめん」
モール 「寝言いってんじゃねえ!!」
アル 「!」
モール 「ディガーの仕事もロクに出来ねえ半人前が、外に出てやってけると思ってんのか!!」
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甲高い金属音が響き、火花が散る。熟練ディガーは再びツルハシを振るい続けた。
モール 「ふっ! ふっ! ふっ! ふっ! ……はぁ、はぁ……。ふんっ!!」
モールの家。アルがその家の扉をノックする。
アル 「親方ぁ! さっきのことで話があるんだ。居る?」
ディナ 「アル……!」
アル 「ディナさん、久しぶり」
ディナ 「あんた……。フィーナちゃんの海送り(
※
みおくり)以来だね。もう、いいのかい?」
※海送り … みおくり、と読む。この世界での一般的な死者を葬る儀式。
アル 「うん、心配かけてごめん。俺はもう大丈夫だから」
ディナ 「そう……良かったよ」
アル 「あ、親方は帰ってる?」
ディナ 「いや、まだ帰ってないよ。どこほっつき歩いてんだかね、全く。何なら上がって待つかい?」
アル 「ああいや、まだ帰ってないならいいんだ。出直すよ」
ディナ 「そうかい? 気をつけて帰るんだよ」
アル 「うん。それじゃ」
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再び、アルの家。
ジェミニ 『マスター、おかえり!』
ケイファー 「おかえり、アル君。晩ご飯の準備はできてるよ」
ルティア 「遅かったじゃない。どうだった? お許しはもらえたの?」
アル 「いや。ダメだった……」
ルティア 「そう……。まあ、仕方ないわよね。突然だし。明日じっくり話し合ってみたら?」
アル 「親方は一度言ったことは絶対に曲げない。それこそ、炭鉱のどんな岩よりも頑固なんだ」
ルティア 「引き下がる気? なっさけないわねぇ、それでも男?」
ケイファー 「ちょっとルティア……」
アル 「……そこまで言うんなら手伝えよ?」
ルティア 「え?」
アル 「ジェミニ、サテライターを使うぞ。力仕事だ」
ジェミニ 『あいあいさー!』
ジェミニに搭乗したアルは、家の裏にある物置に向かった。
アル 「どこにやったかな……」
ジェミニ 『ガラクタいっぱいだね、マスター』
アル 「ああ。鑑定屋のおっちゃんに引き取ってもらえなかった発掘品だ。親方が俺に押し付けてくから溜まってく一方なんだよなぁ。
まあそれはともかく、あぁ〜結構奥にしまったような気がするな〜」
ジェミニ 「何を探してるの?」
アル 「小船(ボート)だよ。これくらいの大きさの」
アルが腕を動かしておおざっぱに大きさを表現する。
ジェミニ 『なぁんだ。それならこのジェミニちゃんのセンサーで! むうーん…………そこだ!』
ジェミニがガラクタをてきぱきと移動させ、埋もれていたボートを見つける。
アル 「おお! これだこれ」
ルティア 「アルー? シチュー冷めちゃうわよー」
アル 「ルティア、泳ぎは得意か?」
ルティア 「? まあ、カナヅチのあんたよりはね」
アル 「体重は?」
ルティア 「よんじゅう……って言うわけないでしょ馬鹿!」
アル 「なら問題ない。明日は頼んだぞ」
ルティア 「頼むって……何を?」
アル 「この町の伝統行事だよ。これで親方と話をつける」
ルティア 「はあ……?」
ケイファー 「二人ともー、シチューが冷めちゃうよー!」
次回予告
ジェミニ 『どう? 似合ってる?』
ルティア 「海でボートに乗るなら水着は必要よね〜……あ、これ可愛い」
ケイファー 「君らしいチョイスの仕方だ」
ディナ 「足の事なら心配いらないよ、手漕ぎのボートレースなんだからさ」
ジロン 「あのじゃじゃ馬め、顔とスタイルだけはええからのう」
アル 「次回、双魂のジェミニ 第八話 男の戦い、女の戦い」
モール 「アル、手は抜かねえぜ」
つづく
Copyright(C) 双魂のジェミニ製作委員会