「精霊の守り人」制作秘話

 

 

 

脚光を浴びている、神山監督の制作スタイルが番組になりました。
監督の手による「精霊の守り人」の制作現場を、1年2ヶ月にわたり取材したこの番組を元に、このページを作ってみました。
  (番組内容を、時系列で紹介しています。)

攻殻機動隊」のTVシリーズ。S.A.C.S.A.C. 2ndGIG そして、SSSという緻密なストーリー展開をする、大人が観ても楽しめるアニメを作る神山監督。
この監督の作品が好きで、「精霊の守り人」の制作風景から、神山監督を浮き彫りにしたこの番組に大変興味を持ち、こんなページも作ってしまいました。

描き切れていない部分もあると思いますが、ぜひ最後までおつきあいください。

 


 

目 次

1. NHK 「にんげんドキュメント 対話がアニメを作り出す〜監督 神山健治〜」
2. 神山組の脚本方針決定の合宿 3. 2006年3月 東京アニメフェスタ
4. 「精霊の守り人」の第1話作画作業 5. 「チャグムの決意」・「精霊の守り人」第7話
6. 作品内の風景をロケ
 このページの構成として、目安になるよう上記のように分けました。しかし元となるものは、1つの番組であり一連のストーリーであって、私がこのページを作成する中で便宜上、話の内容から分割したものです。そのため、次のパートの冒頭部説明文が、前から続くニュアンスの部分があります。
 ご了解ください。

 


精霊の守り人 TOPページ

守り人Goods | 「精霊の守り人」制作秘話

 

 


NHK 「にんげんドキュメント 対話がアニメを作り出す〜監督 神山健治〜」

 夜10時放送(語り 戸田恵子)

攻殻機動隊」で一躍脚光を浴びる。

犯罪者の心理まで描きだす緻密な脚本と、観る側の予想を裏切るストーリー。

DVDはミリオンセラーを記録し、アメリカのケーブルテレビでも視聴率1位を獲得、普段アニメを観ない大人世代からも熱い支持を受けている。

   
  神山アニメ独特の心理描写と、ストーリー展開。その秘密は脚本会議にある。

監督と脚本家達が集まり、全員納得できるストーリーが生まれるまで、とことん話し合う。
大人数で脚本を作り上げるスタイルは、アニメ界では異色の方法。

 

 

 

神山組の脚本方針決定の合宿

神山監督を始め4人が参加

第1話 完成版シナリオ

     

バルサの人物像を決定する

 

バルサのキャラ

 泥臭い、多少とんがっている(原作は牧歌的だが)、
 弱気の部分はあるが、内に秘めて口には出さない

 

 
2006年2月、脚本の細かい台詞検討の段階に入った

1字1句の検討を行う

菅正太郎担当の脚本
第6話「青霧に死す」

 

何十万人の観客が観るものを創るのだから、制作段階で観客が語る何十倍も話をして練らないと、必ずどこかにほころびがある  

第1話のコンテ作業初日

絵コンテ専門の画家がいるが、第1話は自分で書くことにした

シリーズ全体の印象を決める大切な回

監督は冒頭、バルサが初めて会話をする場面を重要と考えた

コンテとは、アニメの絵を創る設計図
   
     

バルサの心情を書きたいと思い、原作にないシーンを入れた

「もう若くないよ。今年で30だ。」

 最初、槍を持ったバルサの顔で言わせるつもりだった。

しかし雲だけのカットにかえた

   
   

多少疲れているが、30になるのに気持ちは意外と晴れやかなのか、と思ったからだ

青空を見上げ雲を眺めて、これまでの日々を振り返る30歳のバルサ

 

 

2006年3月 東京アニメフェスタ


押井塾塾長の押井守監督との対談
(神山監督は、押井塾の塾生)

押井塾ではまじめな「学級委員長」のようだったという

「今の神山さんをご覧になっていかがですか?」の問いに

こんなに売れるとは思わなかった

 

1. NHK 「にんげんドキュメント 対話がアニメを作り出す〜監督 神山健治〜」
2. 神山組の脚本方針決定の合宿 3. 2006年3月 東京アニメフェスタ
4. 「精霊の守り人」の第1話作画作業 5. 「チャグムの決意」・「精霊の守り人」第7話
6. 作品内の風景をロケ

 

「精霊の守り人」の第1話作画作業

神山監督が描いたコンテに沿って開始

 

 
 
   

宮から脱出した後の物語

初めて2人に訪れた平和な1日を描いている

事件もなく、たんたんと過ぎる1にちをどう面白く見せるか

しかし「ヘソ」になる部分は必要であると考え

「バルサ、ありがとう」という言葉が、チャグムから聞けるような、自然な流れになるのが、この話の「ヘソ」となると、神山監督は考えた

チャグムが最後に「ありがとう」の台詞を言えるように、もう一人の人物を登場させることにした

皇子を一生守るバルサに、幼なじみのタンダがかける言葉は・・・

用心棒としてチャグムを守ることを約束したバルサ

一生面倒を見ると腹をくくっているはず

しかし「お母さんになるのと同じ事」と言われれば、「えっ」となるのではないか

今まで強気だったバルサが、「母親」と言われ、動揺する姿を描きたいと脚本家達は言った

しかし神山監督は異論を唱えた

バルサはすでに「母親」と言うことも意識して、腹をくくってはいないか、と言うものである 監督の実体験があったため、これによりバルサは最初から「母親」になる覚悟をしていた、と言うことになった

次に皇子チャグムの気持ちとして、子供側の視点で考えることとした

バルサが無口の為、チャグムはその沈黙が不安になる

チャグムはバルサにとって他人である為、チャグムはこれ以上バルサの負担にならないように、一人で生きていこうと考えた お互いがそれぞれを思いやっている関係なので、バルサはよけいなことを話さない。そのため無口になり、チャグムも他人である自分が、追ってから逃れた今、バルサから独立しようと考えた

そのような行き違いがあった、設定とすることにした

 

 

「チャグムの決意」・「精霊の守り人」第7話

オリジナルストーリーが完成した

平和なひとときを過ごす3人

用心棒バルサにタンダが耳打ちをする

「なあ、お前。これから上手くやっていけるのか
一生面倒みるって事は、母親になるようなモンだろ」

あっけらかんと答えるバルサ

「そういやあ、そうだね」

 

 

会話を聞く、皇子チャグム

何かを思っている様子

1日が過ぎ、夕食を食べる3人

チャグムは食が進まない

「チャグム、あんたどっか具合でも悪いのかい」

「2人に話があるのだ」

 

「今まで世話になった」

「恩義は一生忘れぬ。余はこれから一人で生きていこうと決めた。」

唖然とするバルサとタンダ

 

顔を見合わせ、笑い出す

 

「様子が変だと思っていたら、そんなことを考えていたのかい」

「馬鹿だねー。お前はずっとここにいていいんだよ」

その夜、布団に入ったバルサとチャグム

 

 

 

 

なかなか眠れないチャグム

バルサの方を向いて、

そっとつぶやく

「ありがとう、バルサ」

 

 

 

1. NHK 「にんげんドキュメント 対話がアニメを作り出す〜監督 神山健治〜」
2. 神山組の脚本方針決定の合宿 3. 2006年3月 東京アニメフェスタ
4. 「精霊の守り人」の第1話作画作業 5. 「チャグムの決意」・「精霊の守り人」第7話
6. 作品内の風景をロケ

 

作品内の風景をロケ

2006年6月末、脚本家を連れて、参考になる風景のロケ

皇子チャグムが巨大な岩山を上る場面にふさわしい風景

   

作品中、重要な位置を占めるのが川辺のシーン

川に落ちたチャグムを、バルサが助けるところから、この物語は始まるからだ

 

神山監督の故郷の風景がヒントになり、物語の最初の風景が決まった

   

秩父の宿で、脚本合宿がまた始まった

この日、神山監督は「精霊の守り人」で一番描きたいことを話そうとしていた

バルサの育ての親、ジグロ

槍の達人で、国の実力者だった立場をなげうって、身寄りがなかったバルサを引き取り、命がけで育てた

一生をかけて皇子を守ろうとするバルサと、その育ての親ジグロ

神山監督は、この2人を通して、作品のテーマを浮かび上がらせようとしていた

ジグロが一つも得にならないことを、なぜしたか
その答えがテーマになる

スポーツ選手にしても、剣豪にしても、最初は自分の為に始めるだろう
そして、やり続けているんだろう

しかし、続けているうちにモチベーションが続かなくなる

モチベーションを持ち続けるために、「人のために何かをする」と言うことに、ジグロは気が付いたのではないか

 

これを描くことが、この作品の肝になると思うし、監督自身が描きたいところであると思う、と言っている

この夜、ジグロの物語を組み込んで、シリーズ26話全ての構成が完成した

 

監督が、この作品で一番描きたいこと

他人のために、懸命に頑張ること

このことは、スタッフと対話して、アニメを創る中で、
監督自身に芽生えてきた
「想い」でもあった

「アニメを創っていて、自分の為だけでは、こんなに苦しいことを長く続けてられないな、と思った」

苦しいことが多々あるが、「他人のために」ということが、自分のモチベーションを保ち続ける源でもあった  

2006年12月アフレコが開始された

バルサ(安藤麻吹さん

チャグム(安達直人くん

槍を持ったバルサに、行商人が話しかけるシーン(第1話)

2年ぶりに幼い頃暮らしたヨゴに帰ってきたバルサ

槍を担ぐバルサに、行商人が話しかけてくる

「ほー、若いのに面白いことを言う」

「もう若くないよ」

「今年で30だ」

神山監督、40歳

  対話を重ねて、物語を作る日々が続く

 

 まだ、表し切れていないところがあるのではないかと思います。これからも何回となく確認し、作り込んでいきたいと思っています。神山監督同様、徹底して考えて・・・。

 

1. NHK 「にんげんドキュメント 対話がアニメを作り出す〜監督 神山健治〜」
2. 神山組の脚本方針決定の合宿 3. 2006年3月 東京アニメフェスタ
4. 「精霊の守り人」の第1話作画作業 5. 「チャグムの決意」・「精霊の守り人」第7話
6. 作品内の風景をロケ

 

 

 


 

 

アニメ(まんが)ギャラリー

 

アニメサイト・リンク : 攻殻機動隊 | 精霊の守り人 | 銀河英雄伝説 | のだめカンタービレ | 東のエデン | サマーウォーズ

 

 

精霊の守り人 TOPページ

 

守り人Goods | 「精霊の守り人」制作秘話