【幸せになってね】



「それではいってきますね。キビト神様」

「はい。いってらっしゃい」


地球に住むようなって数年が経ち
子供だった愛弟子ももう世間では『女子高生』なんて呼ばれる年齢になりました。
今日は同年代のトランクス君と悟天君が通う『オレンジスター高校』へ編入試験の日。
編入の話に乗り気ではない彼女にそれを進めたのは紛れも無い私です。


世界の為とは言え、彼女には『魔人の復活を阻止する』という使命の為に修行の日々。
容姿や環境が同じ、地球での暮らしは彼女の将来を考えた為。


地球の世間体に疎く、浮世離れしてしまわないように

私や老界王様が居なくてもこの地球で生きていけるように

いつまでも彼女と一緒にはいられない



私は『界王神』
本来は私と彼女は出会ってはならない存在です。


いつか、彼女が私を必要としなくなったら私は界王神界へ戻ろう


そうすべきなのです。
しかし、私はその事をに言えないでいる…



だって言えないでしょう?
言えば彼女はきっと悲しみますから…




…



「…、試験はどうでした?」


試験から帰宅した彼女に問うと彼女は少し困った顔をして


「実を言うと…結構自信があります」


先ほどの表情とは反対の答えが返ってきました。
その事にどうして?と問うと


「キビト神様は…私が邪魔…ですか?」


は気まずそうな視線を逸らし、下を向いた。



どうして?
どうしてそんな事聞くのですか?
邪魔な訳がないでしょう?
何時までも一緒にいたい
一緒に居てほしい

離れたくなんかあるわけないじゃないですか



「…そんな。どうしてそんな事を言うのですか?」


彼女の一言で、自分の押し込めた本音が頭をかき乱し動揺してしまって…
おかげでその動揺はあっさりと彼女にも伝わってしまった様で



「…すみません…。変な事言ってしまって…。今日はもう…おやすみなさい」

「あ…」



大きな瞳に涙を溜めて立ち去る彼女を引き止める事ができない自分がとても悔しい。



私は界王神で、世界で一番偉くて、神様のはずなのに

大切な人にかける言葉が見つからない

彼女の涙を止める事もできない

何も出来やしないのにそれでも私は界王神だから

だから一緒にいられない



…



「…?もう寝ましたか?」

「…」


の部屋のドアに手を当てる。

返事が無いのは寝ているからなのか、話したくないからなのか
少し前まではこんなドアなんてどうとも思わなかったのに
今はこのドアがものすごく重く、遠い距離を感じる


「…?」


どうしてそう感じるのかはわかっています
私から作った距離ですから


「寝てなかったら…そのままで良いから聞いて下さい」


『彼女の為』なんて恩着せがましい言い方です
それもこれも全部、自分の都合じゃあないですか


それでも

私は



「…幸せになってくださいね」



彼女に聞こえない様に小さい声でドアに言葉をかける。





FIN









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一度やってみたかったキビト神様語りの話。
自分が考えると界王様、キビト神様の話は全部せつない話になってしまうような(汗)
H21.10.18








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