【けして叶わぬ想いでも】



「それではいってきますね。キビト神様」

「はい。いってらっしゃい」


キビト神様、老界王神様と地球に住むようなって数年が経ち
子供だった私ももう世間では『女子高生』なんて呼ばれる年齢になったそうです。
今日は同年代のトランクス君と悟天君が通う『オレンジスター高校』へ編入試験の日。
編入の話に乗り気でなかった私にそれを進めたのは育ての親であり、師匠であるキビト神様です。


子供の頃から『魔人の復活を阻止する』という使命の為に修行の日々。
修行は辛かったけれど、界王神様とキビト様との生活は楽しい時間。
しかし容姿や環境が同じ、地球での暮らしも毎日が新鮮で楽しいです。


私が世間体に疎く、浮世離れしている事であの人が困らない様に

あの人の役に立つような人物になりたい

いつまでもあの人と一緒にいたい



私は下界の生き物。
本来は私とあの人は出会ってはならない存在です。
だから『ずっと一緒にいたい』と思う私の願いは叶わない。


いつか、あの人が私を必要としなくなったら私は笑顔で去ろう


そうすべきなのです。
でも、その時がきたら私は笑顔受け入れられるでしょうか?



だって困らせたくないのでしょう?
笑顔じゃないとあの人はきっとつらいでしょうから…




…



「…、試験はどうでした?」


その晩、試験から帰宅した私にキビト神様の質問は少し複雑でした。
正直、そんな明るい表情で聞かないで欲しかった。
だってもし合格だったら…


あなたと過ごす時間が減ってしまうんですよ?


「実を言うと…結構自信があります」


私は笑って答えたつもりでしたが
どうやら思っている事が顔に出てしまったので効果が無かったようです。
キビト神様にどうして?と聞かれてしまいました。


「キビト神様は…私が邪魔…ですか?」


つい口に出してしまった
そんな事きくつもりなんてなかったのに

驚いて黙っているキビト神様の顔が見れずつい視線を逸らし、下を向いてしまった。



何で何も言ってくれないの?
そんな訳ないって言ってくれないの?
やっぱり私は邪魔なの?
だから急に編入の話を私にしたの?
あなたのお役に立ちたいのに
ずっと一緒にいたいのに
そばに居てほしいのに

何故すぐに否定してくれないの?



「…そんな。どうしてそんな事を言うのですか?」


キビト神様がやっと口を開いてくれたのに
沈黙時に溢れてきた不安が、その言葉を素直に受け止めさせてくれない。




「…すみません…。変な事言ってしまって…。今日はもう…おやすみなさい」

「あ…」



これ以上何かを聞くと、涙が流れてしまいそうだった

これ以上何かを聞くと、聞きたくない答えが帰ってきそうに思えた



あの人は界王神で、世界で一番偉くて、神様なのに

何を私は期待しているのだろう

子供の頃みたいに涙を拭ってくれる訳なんてないじゃない

魔人も倒されて、私を育ててくれた目的はもう果たされてしまったのだから

だからもう私はいられない子





…




思わすその場を逃げてきて自室のベットに潜りこむ。

涙で一杯になった感情がどうしようもなく
声にしたいけど泣いてるなんて気付かれたくなくて


「…?もう寝ましたか?」

「…」


ドアの向こうからにあの人の声がした。

返事がしたいけど、したらさっきの話になったらと思うと…返事ができなかった

前まで迷わずドアを開けたのに

今はこのドアまでの間がものすごく遠く、遠く感じる


「…?」


どうしてこんなに距離を感じるようになったのだろう?
きっとずっと前からだ
短い距離が少しずつ増えて
気付いた時には私とあの人の間には、あのドアすら遠く感じるほどに広がっていた。


「―…なかっ―…ら…その―まで…―さ…」


あの人の声が聞こえない
いつもは聞きたくなるはずなのに
どんな事も笑顔で受け止められるはずなのに

お願い
お願いします

聞きたくないんです

今は聞きたくない




私の耳には



「…―」



最後まであの人の言葉は聞こえませんでした。





FIN









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はい今度は主人公目線です。
ここまで付き合っていただき感謝してもし尽くせない!!
両思いのようですれ違う2人なのです。はい。
H21.10.18







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