【Heroine's story】 -小さな希望、大きな罪- トランクスくん、悟天くん、そして私。 食堂に現れたのはミスターポポというこの神殿の住人だそうで… サイヤ人の血を引く私達に苦戦をしていたところを 後からきた悟空さんとピッコロさんによって捕獲されたわけで…。 「いや〜!思ってたより元気そうだな!」 明るい表情で笑う悟空さん。 私はとにかくこれまでの…いや今の状況が知りたくて… でも、自分が肝心な時に眠っていたのがとても悔しくて、情けなくて、中々言い出せないでいた。 禁術に失敗してしまった上にこんな姿にまでなってしまい、おまけに知識も人並みになり、役に立たない自分に自信がなかった。 「ん?どうした?」 「あ…」 情けない。 自分の感情すら隠せない未熟な自分が。 不安でそわそわしていたのを悟空さんに気づかれてしまった。 「あっあのっ!界王神様と悟飯さんは…」 『ご無事ですか?』と口に出そうとした瞬間、私は悟った。 2人の名前を出した時、悟空さんとピッコロさんの表情は少し曇ったから。 その説明は場所を変えてからにしよう そう言って悟空さんとピッコロさんは、トランクスくんと悟天くんを道場らしき建物へ連れて行かれ、私は別室に案内された。 「なんでお姉ちゃんと別なの?」 先に別室に案内され、ドアを閉められた時、 不安そうに悟天くんが2人に尋ねる声が聞こえた。 … 案内された場所は目が覚めた場所とほとんど違いがなく、もしかしたら同じ部屋かもしれない。 誰もいなかったので、そのうち誰かくるのであろうと椅子に座り待つ事にした。 目が覚めてからばたばたしていたせいか、椅子に座ったとたんどっと疲れが出た。 おそらく、急激な体の変化に体力が追いついていないのだろう。 疲れは感じるものの眠気はなく、ぼんやりと自分自信の手を見つめた。 見慣れない女性の手。 気も安定せず、戦闘力も変化したのか定かではない。 コスモ人の知識も失い、幸いにも今の姿相応の判断ができる程度。 ただ変わらないのは腕にある『禁術』の印であるアザだけが色濃く存在している。 部屋に案内されてからしばらくして、ノック音が響いた。 部屋を訪れたのは、ナメック星人の若者だった。 「あ、あのはじめまして。僕はデンデと申します。地球の神をさせていただいてます」 少し、たどたどしく話す彼の様子は神になってからまだ経験が浅いことを感じ取れた。 「あなたが…そうでしたか。このような状況になってしまい、なんとお詫び申せばよいか…」 「あまり気になさらないでください。あなたは悪くないのですから…」 少し困ったように神様は微笑んだ。 「あなたの様子はずっと神殿で見てきました。『禁術』のことも」 「…そうですか」 そして神様は私が眠っていた間のことをすべて説明してくれた。 魔人ブゥが倒されていないこと。 バビディと魔人ブゥの下から悟空さん達が私を、この神殿まで連れてきてくれたこと。 今も魔人ブゥの被害が続いていること。 そして、私がこの姿になってしまったこと… 「この神殿に来た時のあなたはかなり熱をもっていまして…部屋で休ませていたんです。 途中、様子を見に行った時にはすでに…その姿に…」 「…そう、ですか」 神様にもこの原因はわからない。 そう言われた。 『禁術』の代償かもしれない。とは予想できるが根拠のある答えではない。 「あと、これは…まだ可能性の段階なのですが」 「はい?」 「あなたが『禁術』で死ななくても済むかもしれません」 「…え?」 神様はさらに口を開く。 「1つの希望がまだあります」 「あぁそうだ」 その訳を聞き返そうと口を開いた瞬間、部屋にピッコロさんと、悟空さんが入ってきた。 「。チビ達には話しをつけた。おまえもこい」 少し、疲れた様な表情でピッコロさんは私を呼んだ。 そしてそこで私は、先ほどの神様との会話とは程遠い、絶望的な結果を告げられる。 悟飯とべジータは死んだ 界王神様は消息がわからない 気が感じられない。 と、躊躇なく現実を突きつけられた。 私の隣でトランクスくんと悟天くんは声を上げて泣いていた。 「消息がわからない…とはどういうことなんですか?」 私は嫌な女だ。 悟飯さんが死んだと聞かされて、哀しいはずなのに、それなのに界王神様の消息を冷静に聞いた。 子供らしくない かと言って大人でもない 子供らしくない子供。 ピッコロさんは言いにくいそうに口を開く。 死んだというより…突然気が消えた。と 「!?では…死んでないのですね?」 「…いや…その望みは捨てた方が賢明だろう。死んでもおかしくない位気は弱っていたからな」 あぁ やはり やはり界王神様は死んでしまった わたしは愚かだ キビト様も救えなかった 悟飯さんまで死んで この星の住人も次々に犠牲にして こうならない為に私は生きてきたというのに それでも私は生きている … あれから、そんなに時間が経った訳ではなく、しかしそれ以上の時間が経ったように感じる。 トランクスくんと悟天くんは、悟空さんから「希望」だと言われていたフュージョンの修行に入っている。 私は知的好奇心豊富なコスモ人の血のせいか、フュージョンの修行を見学している。 父や兄を失った悲しみを乗り越えて、前を向いて進んでいる。 彼らを見ると、界王神様を失った悲しみから脱却していない自分が情けなく見える。 せめてみんなに余計な迷惑をかけないように、できるだけ笑顔を向けていた。 私が「子供を演じるため」に取得した…いつも界王神様に見せていた笑顔を。 そのせいか、すっかりトランクスくんと悟天くんは懐いてくれていつも突拍子もない行動に救われている。 「大丈夫だよお姉ちゃん!僕たちがフュージョンってのを出来るようになったら魔人ブゥなんてやっつけちゃうから」 「あぁ!だから元気だそうよ!」 2人は子供ながら私を気にかけてくれる。 嬉しく感じて、目頭が熱くなる。 でも本当にこれでいいのだろうか? だって、こんな小さい子達(もとい同い年だけど)にこんな過酷な状況を作ってしまったのは… 禁術を失敗してしまった私だというのに… 2人の純粋な優しさが、時折私に突き刺さる。 FIN ------------------------------------------------------ H22.11.03 次へ お戻りの際はプラウザを閉じてお戻り下さい。