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中野 相続裁判(平成20年(ワ)第23964号)

中野 相続裁判(平成20年(ワ)第23964号)



柏で遺言執行者の意義と役割の講演会


柏相続研究会(古谷睦代表)が2009年11月15日に千葉県柏市のアビリティーズ・気まま館柏で「遺言執行者の意義と役割」と題する講演会を開催した。柏相続研究会は相続に携わる行政書士を中心とした勉強会である。今回の講演会の講師は行政書士の西野雅也氏で、遺言書には遺言執行者を指定しておくことが有利であると力説した。

最初に西野氏は公証人から遺言書には遺言執行者と報酬についての条項を入れた方がいいとアドバイスを受けたことが遺言執行者に関心を持ったきっかけと説明した。実際に遺言執行者となることで遺産の処理をスムーズにできたという。遺言執行者が規定されていない遺言書を持って遺産の処理を相談してくる人もいるが、その場合は処理が大変になる。

まず認知や推定相続人の排除・取消のように遺言執行者でなければ遺言執行者でなければできない行為がある。もし遺言執行者が定められていなければ相続人などが家庭裁判所に遺言執行者選任を申し立てなければならない。

また、遺贈や遺産分割方法の指定、寄付行為などは相続人でも執行できるが、遺言執行者が第三者の立場から忠実かつ公正に執行することで相続人間の紛争の緩和が期待である。遺産が不動産の場合は登記が必要になるが、遺言執行者ならば司法書士でなくても登記が可能である。動産の遺贈でも受遺者が勝手に持っていくことは許されず、遺言執行者が間に入って引き渡しすることで紛争を回避できる。

遺言執行者に就任した場合、速やかに相続人や受遺者に就任した旨を通知する。通知が遅れると、相続人が勝手に動き出し始め、紛争となる可能性がある。次に遺言執行者は相続財産のリスト(目録)を作成し、相続人らに交付する。遺言書に遺産の一覧が明記することが望ましいが、そのようになっていない遺言書もある上に遺言書作成時からの財産の変動もあるため、相続人らの協力により遺産を調査する必要がある。

最後に西野氏は相続紛争を避けるためには、単に遺言書を書けばいいというものではなく、公正証書遺言にして遺言執行者を指定すべきと主張した。家族と遺産分割方法を話し合っており、揉めないと分かっているならば自筆証書遺言でもいいが、自筆証書遺言は家庭裁判所の検認手続を経なければならず、相続人の負担になる。公正証書遺言ならば検認手続は不要である。遺言執行者の報酬は遺産総額の2〜3%が相場である。これが高いか低いかは人それぞれだが、裁判になることを考えれば安上がりとした。

会場からは活発な質問が出され、この分野への関心の高さをうかがわせた。遺言では遺産をどのように分けるかという点に関心が集中しがちであるが、仮に立派な計画を立てたとしても実現する手段が杜撰では画餅に帰す。このために遺言執行者の存在が重要になると感じられた。