私のこだわり
本日は表素材を活かす、副素材を選び、パターンに沿った立体縫製を行います。
生地はスーパー130のウーステッドで、熱で縮み、湿度で伸びる多少厄介な生地ですが、手触りが良く光沢のある高級な生地だと思います。これを特長と考えます。仕事を始める前に生地の癖をつかみ、べた生地をアイロンでよく馴染ませ、地の目を正す事が必要です。この生地に対し、しなやかで張りのある仕上がりにするため、5305の作り芯を使用しました。芯地は弾力と粘りのある縦横ウールの素材です(表素材によっては縦糸が綿糸使用の軽量5510芯を使用することもあります)。芯の作りは、バスのダーツと置き方に工夫しております。この芯作りによって、表素材を活かした柔かく立体的なシルエットが表現できます。
立体的な縫製はいくつかの決まり事があります。縦糸横糸のバランスで無理のない縫製ができると考えます。
縦糸を張る時は横糸をゆるく、横糸を張る時は縦糸をゆるくする事で生地は馴染みます。
地の目の流れをチェックします。縦糸をカーブさせる時は横糸はまっすぐに通し、横糸がカーブする時は縦糸はまっすぐに通す事でパターンを正確に立体的な形の縫製をする事ができます。
クセ取りによって形が変わるのでクセ取りは必要不可欠で大切な工程です。アイロンワークで何処にボリュームを出しシルエットを作るかは最後の仕上がりに大きく左右されます。これは私のこだわりです。
幾度もの技術の壁に阻まれながらも諸先生方また先輩の方々の御指導の下、この道40年という月日が経ちました。技術には10人に教えを請えば、10通りのやり方があると思います。先ず「沢山の引出しを持ちなさい」と先輩に教えられました。講習会に参加しても勘やコツが呑み込めず、帰宅後に復習しても上手くいかず悩んだことは数知れずあります。ある時、原因は手順を真似ているだけだと気付き、受講時に何故を強く意識して臨むようにしました。すると説明にない何気ない動作がヒントになって、それが思いも寄らない発見となりノートに書き留めました。今では何よりの教本になっております。
現在は諸先生方の教えを基本に自分流のプラスアルファを加え、機能的で美しいシルエットの服作りを模索しております。私の目指す服作りはお客様の期待に応えられる技術とセンスを身に付ける事です。
諸先生、諸先輩の技術を今に活かすことでメイドインジャパンに誇りを持ち、技術の後進に役立てばと願っております。
作り毛芯は、長谷川商事有限会社さん、木村商店さんで購入できます。芯地番号5310・5380・5510が、各単価(税抜)1800円、芯地番号5305単価(税抜)2100円。メーカーは株式会社ジャルコさんです。
◎平成19年度 夏期洋服技術講習会(主催 兵庫県四団体)テキストより