:: 『アリス・ミラー城』殺人事件
有栖川有栖先生以外の何か本格推理はないかと探していて、読書メーターで挙がっていたので読んでみました。
ルイス・キャロルの書いた『鏡の国のアリス』が空想の小説ではなかったとしたら。
『アリス・ミラー城』が建つ江利カ島。所有者の姪・ルディの招待を受けて、“アリス・ミラー”を求める探偵たちが集まった。
ルールはたった一つ。
アリス・ミラーを手に入れられるのは、最後まで生き残った人間のみ。
story/trick
クローズド・サークルに、クリスティを思い起こさせる意味ありげなチェス盤等、期待させる出だし。
・・・が、正直、読み終わった直後は思わず、「は?」と声が出た。
「は??」
もう一度くらい出たと思う。
注意しながら読んでいたのに騙されたという(-_-;)
レビューを一切読まなければ、たぶん、同じ反応じゃないかと。
そして、推理小説の連続殺人も大抵はそんな気にせず読めますが、これは何かエグい・・・。
更に。普段、推理小説のリアリティとか動機がどうとか、あまり気にしない方ですが、今回はさすがに気になる〜。
ある意味、気持ちよく騙されましたが、他の『城』シリーズは二の足踏むかなぁ。
殺され方がエグいし、ストーリー的にすっきりしなかった・・・。

以下、ネタばれしてるので、ご注意ください。
read more...
冒頭、数人の探偵が島へ渡るところから、「何人来たのかな?」って人数数えたり、館に着いていた人数を数えたりと全体像を掴もうとしたのに、それでも、騙されたという・・・。
読み始めて、すぐにやっぱり、各章の扉のチェス盤と駒の絵が気になった。
駒の数を数えて、探偵の数と合うのかな?等々。
でも、騙されたという。
そして、作中、ルディが部屋で語る様子から、もしかして表舞台に出て来ていない人がいるのかなぁと疑ってもみた。
ルディが「アリス」と呼びかける場面もあり、相当大きいビスクドール(だったかな)が居たりと、これまでの推理小説でのパターンに照らし合わせて、「人形と見せかけて、実は人間?」とか「当主ルディは二重人格?」とか色々考えてもみた。
でも・・・以下略。
最後、唐突に現われた感のある“アリス”。
描写されてなかったわけではなく、実は冒頭からずっと出てる。
途中、何度か存在を認識できる機会(描写)はあるんだけど、そこで登場人物の一人として捕捉しようとすると巧みに注意を他に逸らされてしまう。
島に集った探偵たちの紹介をしようと最後に残ったアリスが紹介されていないと指摘があると、“アリス”という名前が英国ではよくある名前で云々、と探偵たちが手に入れることになっているルイス・キャロル縁のアリスについて説明を求められたように錯覚する話運び。実に巧み。
ルディの部屋の中での会話も同様。
「アリス」と呼びかける描写があるものの、直後に大きいビスクドールの描写に繋げるので、ビスクドールに話しかけたようにすり替えられている。
後半、殺人鬼が歩き回っているところでも、人物描写をしつつ、ミスリードするためにばらばらに置かれたビスクドールの話を持ってくる。
他にもアリスについて描かれているところは多いにも拘わらず、違う話にすり替えることで徹底的にアリスを読者の目から隠しているのはうまい。
ただ、その分、ストーリーはやや強引。
途中、「アリスが犯人だ。見た」という探偵は一応出るけど、残った人数が減って来て、互いに互いを疑い出すのにアリスの話は全く出て来ず、完全スルー。
・・・と最初は何に騙されたのか分からなかったけど、トリックが分かって読み直すとミスリードの仕方がうまくて感心。
『アリス・ミラー城』殺人事件 (講談社文庫)
『アリス・ミラー城』殺人事件
著者:北山猛邦
出版社:講談社(講談社文庫)
2013年5月(2008年10月文庫化)
初読 : 2014年5月18日