:: 水族館の殺人
地元の水族館に取材に行った風ヶ丘高校新聞部の一行。
案内してもらっている最中にレモンザメのいる大水槽に落ちてきた人影。
目の前で人がサメに襲われるという衝撃的な事件。
事件の起きた当時アリバイのないものはなく、仙道警部は不本意ながらも天馬の頭脳を頼ることにする。
story
今回もやってくれました青崎有吾さん。
限られた容疑者、残された手がかり、調べた事実を元に犯人を絞り込む。
天馬に感情移入して、色々考えて、ドキドキしながら読めた。
館内の防犯カメラの映像から、人の出入りが特定されて、早々に容疑者の人数が特定される。
但し、その後が一向に狭まらない。
残されたモップ、バケツ、書類等々、残された物自体の種類から、残された状態から残された意味、犯人の行動を炙り出す。
場所が水族館ということで館内の青く幻想的なイメージと打って変わって、舞台裏のバックヤードは11人の人間があちこちに動き回る実務的な空間でそこでは殺意が秘められていたわけで、そのアンバランスさがストーリーにも味付けしている感じ。
今回は学校で天馬が実験を行うんだけど、その際、1作目の学校の面々が一部再登場。
ここでのやり取りも結構笑えた。
登場人物をうまく使っているなー。誰が出てくるのかは読んでのお楽しみ。って人物紹介って書いちゃっているじゃん。
冒頭に何度となく挟まっていた緋天学園エースの話は次作への伏線なのか、今回のストーリー上にあまり重要だったとは思えなかったけど、どうなんだろ。
character
天馬のオタクっぷりは相変わらずなんだけど、柚乃ともなんだかんだと距離が縮まっているのが微笑ましい。
理由を付けて天馬の住む百人一首研究会の部室に行っちゃうしね。
お兄さん、仙道警部との掛け合いも楽しみの一つ。
1作目同様に天馬と犯人の最後のやり取りもいい感じで効いている。
天馬の最後のセリフも恰好よすぎでしょう。
天馬の妹も登場。
一見まともだけど、中身は血は争えない的な二次をまんま行っているような妹です。
この子が今後どう動いてくれるのかが楽しみなところ。
『体育館の殺人』では触れてなかったけど、最初から出ている天馬の幼馴染で新聞部部長の向坂香織。
騒がしくてあまり好きじゃないなーと思っていた彼女が時折見せる真面目な顔。今後の話にどのように彩りを与えてくれるのか。
trick
見逃しがちな事象をトリックを暴くのに結び付けていくのは本当にすごい。
こういう本格推理がもっと刊行されれば、もっと幸せなんだけどなぁ。
冒頭のアリバイトリック崩しもきちんとロジックを積み重ね、犯人を絞り込んでいく過程も容疑者を一同に集めて謎解きもどれもよい。
今回はモップでした。
水族館の殺人
水族館の殺人
著者:青崎 有吾
出版社:東京創元社
2013年8月10日
初読 : 2015年3月18日