:: まんが家マリナ黒鈴事件 愛よいま、風にかえれ

なんか急に読みたくなって、引っ張り出す。
シリーズ初の上下巻。
久しぶりに読んだら、続きが読みたくなったなー。

甲府・弾正家に突然現れた担当の松井から、一流少女まんが家の三条ゆり香がマリナをモデルにした漫画を描かせてくれることを条件に移籍を承諾しているので、東京まですぐに帰って欲しいと言われる。
シャルル、美女丸と別れを惜しむ間もなく松井と帰ることになるが和矢も同乗して帰ることになった。
三条ゆり香との待ち合わせ場所は東京拘置所。
会うなり、漫画のモデルとして拘置所の塀を登るように言われ、苦戦中に見つけたドブの中のビラ。
身元を探すビラの病院へ行き、再会したのは兄の死刑判決にショックを受けて出行方不明になっていた響谷薫。
面会してもらえない薫の代わりに兄・巽から、もう一度ヴァイオリンをやって、ユキ・辻口に師事するよう言伝を預かってくる。
薫は弟子になるために、既に始まっている最終選考会に乗り込むことにする。


story/trick

今読んでも十分面白い。
美少年が多い少女漫画的なストーリーばかりに目が行きがちだけど、どれもミステリーの要素をきちんと押さえている。
少女漫画的な胸キュンとミステリーとマリナの人を勇気づけるセリフと盛りだくさんだと思う。

なんとか滑り込んだユキ・辻口に師事するための真冬の軽井沢での本選では、当然、妨害もある。
心臓に病を抱えた薫を追い詰めるべく、毎晩、嫌がらせが起きるのだけど、犯人は誰か?というミステリーについては、マリナが犯人に至る流れはなかなかいいと思う。
夜に鈴の音を響かせながら死が訪問する−−−っていうホラー要素もあります。

巽から薫への手紙は泣かせる。
出だしの『この手紙は一人で読んではいけない。信頼できる誰かとともに読みなさい』からして泣かせる。
マリナシリーズに本当に泣かせられる。

character

主人公のマリナは背も低くて、容姿も今一つということなっているけど、谷口亜夢さんが描かれるマリナはぽっちゃりながらも、まぁ、かわいい。
容姿もさることながら、食い意地が張っていて、仕事に恵まれていないのでがっついているんだけど、その分、バイタリティに溢れていて、無償で人を助けるのがやはり、美少年にモテモテな理由でしょう。
マリナのセリフには何度となく鼓舞された記憶が。
マリナのように人の大事なところを掬い取って、人を元気付けられるような人になりたいなーと思いつつ、容易なことじゃないですね。

マリナの親友・薫はとても女性とは思えない、宝塚の男役のようなカッコよさです。
巽の手紙を読んで、“死”に向き合い、立ち直り、曲を自分のものに昇華していくところは美しいと思う。
シャルル好きな私がシャルルが出てこないのにこの話が好きなのは、ヴァイオリンで競い合うという華やかなことに加えて、薫が闘って、苦しみながらも周囲の敵意、妨害にも打ち克って、勝利を手にするところなんだと思う。

和矢は、うーん、私の中では平均点かもしれない。
今回出て来ていないキャラの点数が高すぎて、和矢があまりに普通に見えてしまうのです。
でも、普通に読めば、普通にカッコいいです。

愛よいま、風にかえれ―まんが家マリナ黒鈴事件〈前編〉 (集英社文庫―コバルトシリーズ)
愛よいま、風にかえれ―まんが家マリナ黒鈴事件〈前編〉 (集英社文庫―コバルトシリーズ)

愛よいま、風にかえれ―まんが家マリナ黒鈴事件〈後編〉 (集英社文庫―コバルトシリーズ)
愛よいま、風にかえれ―まんが家マリナ黒鈴事件〈後編〉 (集英社文庫―コバルトシリーズ)

まんが家マリナ黒鈴事件 愛よいま、風にかえれ 上・下
著者:藤本ひとみ
出版社:集英社(コバルト文庫)
1988年1月

再読 : 2014年10月12日