| 『ジョーズ』+『白鯨』=バカSF 小林信彦『JELLIES〈ジェリーズ〉』 |
| ネッシーは象だったという科学者の学説が発表されました。なるほど、確かに象の鼻に見えないこともないですね。だけど、これだけは言わせてもらいましょう。 「ネッシーはいるんだよ!例え現実に存在しなかったとしても俺たちの心の中によう!」 ちなみにクッシーもイッシーも僕の心の中にはいます。とても、元気です。 巨大生物は男の浪漫です。さて、その巨大生物を扱ったバカSFがあります。今日は小林信彦の短編集『中年探偵団』収録の『JELLIES』です。 南米西海岸のバルビジア地震研究所では騒ぎが起っていた。(唐突に)一方、こちらニッポン。逗子海岸で三人の男女がショック死した。巨大電気クラゲの仕業らしい。逗子の住民と市役所は海水浴客が来なくなることを恐れ、騒ぎにならないために、「クラゲとり」のエハブ(四世)船長を雇い、クラゲを殺そうと決定した。海洋学者の石丸と市役所の猫田がそれに同行することになった。エハブ船長に青二才と馬鹿にされた石丸はアルミの筒とゴムバンドを見せて、「これでクラゲを片付けてやりますよ」と見得を切った。(ここからネタバレです) 沖に出てしばらくすると船より巨大なクラゲが登場。エハブと石丸は抵抗するが、なすすべなし。船は怪物にやられてしまった・・・・・・と思った瞬間、クラゲも沈み始めた。なんと地球の裏の地震の影響か(ラストのラストでようやく一番最初の伏線が回収された)、潮が引いていってしまい、海底に石丸は立っていた。おもむろに石丸は干上がりつつあるクラゲの死体から寒天状の部分をえぐりとると、アルミの筒に入れて、棒で押し込み始めた。糸ゴンニャクみたいなのがぷるぷると震えながら出てくる。石丸は胸ポケットから青海苔と酢醤油を取り出し、ナイフの柄で口に運んだ。最高のトコロテンのできあがりだった。石丸は船長に向けて発した言葉を思い出していた。「これでクラゲを片付けてやりますよ」。石丸は見事においしく巨大クラゲを片付けた。 ・・・・・・。バカです。バカだけどおもしれー。お気づきでしょうが、このお話は『JAWS』と『白鯨』という二つの名作のパロディになっています。 ちなみにところどころ出てくるギャグはある程度年がいってないとわからないかもしれません。『デルス・ウザーラ』とか、小林旭などの単語が理解できればかなり楽しめると思います。ギャグ満載のこのバカ話をぜひ読んでみて下さい。 ちなみに同じ短編集には『中年探偵団』という『少年探偵団』のパロディも収録されていますが、これもかなり笑えます。乱歩が好きな人はぜひ。 |
収録作:『中年探偵団』