逃げろ!怪電波がくるぞ! 大槻ケンヂ『のの子の復讐ジグジグ』

バカ度:★★★★★

電波度:★★★★★

 今日のバカSFは星雲賞も受賞した大槻ケンヂの『のの子の復讐ジグジグ』。角川文庫の『くるぐる使い』に収録されてます。大槻ケンヂといえば昔『筋肉少女帯』のボーカリストでした。僕は『踊るダメ人間』という曲が好きです。

 ダメ、ダメ、ダメ、ダメ人間 ダメ!人間、人間
 そしてダメ人間の王国をつくろう 王様は僕だ 家来は君だ


 あー、なんか身にしみる歌だなあ。というところで粗筋紹介。
 

袋手道子は目がのの字を並べているようなのでのの子と呼ばれている。のの子はいじめにより、地獄のような毎日を送っている。彼女は母を若くして失い、小説家であった父(たぶん赤川次郎と平井和正がモデル)は母が国家の毒電波攻撃にやられて死んだのだと信じ込み、ある日、錯乱して街中で刃物を振り回し警官隊に銃殺された(ちなみに陰謀に加担しているのはフリーメーソン、CIA、マイケル・ジャクソンだそうだ)。のの子はいじめのために屋上から飛び降りて死にかけるが、瀕死の状態から生還する。
 (ここからネタバレ)臨死体験で父と母に三年後の今日、
チャールズ・ブロンソンに轢かれて死ぬことを教えられ、生還したのの子は自分をいじめたものへの復讐を誓い、行動を起こす。折りしも世界では「モノコン病」という病が流行っており、終末的な雰囲気が漂っていた。死の淵から奇跡的に蘇った少女が臨死体験で天国のような死後の世界を語る。死の影に怯える人々はその話にいっせいに飛びついた。三年後、彼女は世界的に有名になり、殆どの人々が彼女を信奉していた。その中にはかつて自分をいじめていた人々も含まれていた。今度の東京ドーム公演は全世界に生中継されることになっていた。その公演でのの子はこう語り始めます。「天国にすべての人がいけるのですと、私は今まで教えてまいりました」オオーと喜ぶ聴衆。「・・・んが」戸惑う民衆。彼女はあっけらかんとこう言い放った。「それは間違ってましたあ!」そして彼女は死後の世界の苦しみを延々と語り出した。ア然としている民衆をよそに一人ドームを出たのの子はチャールズ・ブロンソンに轢かれて死に、天国へと旅立った。
 

随所に出てくるサブカル的なギャグがすごく面白いです。参考文献のところに『臨死体験の不思議』とか、『私は宇宙人にさらわれた!』とかあるのが、すごくいい味だしてます。
 こういうトンデモ系の人々を書かせたら右に出る人はいないと思います。雰囲気としては筒井康隆に似ています。そういえば大槻ケンヂの小説は筒井康隆の小説にも登場していました。ツツイストの人にオススメです。

  収録作品:「くるぐる使い」(角川文庫)