| どんだけ気持ちいいんだ? 北杜夫『火星人記録』 |
| 北杜夫は『楡家の人々』や芥川賞を受賞した『夜と霧の隅で』などで有名な作家です。どくとるマンボウシリーズのエッセイでもおなじみですね。本名は斉藤壮吉。あの短歌の巨匠斉藤茂吉の息子です。北杜夫は日本のSF創成期にSFを書いていました。今日はそんな北杜夫の短篇を紹介です。題名は『火星人記録』。 1999年、ソ連(もうないけど)の有人ロケットが火星に到着し、火星人を発見した。火星人はウェルズの想像した火星人に極めて似ており、四本の足と四本の手の合わせて八本の触手を保持したタコ型宇宙人であった。火星人は地球人に友好的であり、友好的であるどころか、地球人に恋慕のような感情さえ抱いているようであった。地球と火星の関係が深まったその折、一つの論文が発表された。その題名は『火星人の性生活について』。「火星人は人間とも性交が可能である。そのメスは人間の女と、そのメスは人間の男と性交を行う。火星人は火星人同士より、人間との性交を遥かに好む。」火星人の性交技術は極めて発達しており、地球人類同士のセックスとは雲泥の差があるらしい。火星人の地球移住が始まり、一家に一人は火星人を置くことになった。火星人と一度性交した男女は地球人類とのセックスなどむなしくなってやってられなくなった。しかし、哀しいかな火星人と地球人のセックスでは子どもができるはずもない。長い年月を経て、地球人類は滅亡した。火星人たちは寿命が長いので地球上に生き残った。こうして、地球人類はウェルズの予想したようにその侵攻によってではなく、セックスによって滅亡したのであった・・・・・・。 また下ネタ・・・。そう思われた方もいるかもわかりませんが、バカ話のほとんどは下ネタなんですよ(たぶん)。この話には『作者の初老に達したることを記念した第二のエロ小説』という副題がつけられております。これに期待して買った人はバカを見たと思いますが(僕は違いますよと一応言っておく)。ちなみに先のが第一の副題で、第二の副題には『巷に流れる北杜夫廃人説を立証せる大妖作』とつけられています。ああ、自虐的。 北杜夫は他に『大日本帝国スーパーマン』や『奇病連盟』などのユーモア小説をたくさん書いておられるので、機会があったら紹介したいと思います。 |
収録:『夢一夜・火星人記録』(新潮文庫)