お食事中の方はご注意 筒井康隆『最高級有機質肥料』

 

 今回、お食事中の方はご注意下さい。それから、汚い話がダメな人もやめたほうが賢明かもしれません。今日のSFは筒井康隆『最高級有機質肥料』。
 なんか今
問題になっている『満腹亭へようこそ』にも収録されているみたいですね。
 ミトラヴァルナという惑星国家への大使として派遣された「私」。しかし、ミトラヴァルナでの前任者たちは短期間で精神や体調に変調をきたし、帰還していた。不安を抱きつつミトラヴァルナに到着した「私」だったが、別段おかしなところはない。それどころか、植物人間であるミトラヴァルナの首相は連日、最高級の料理や酒を振舞ってくれる歓迎ぶり。しかし・・・・・・。
 ここからはネタバレです。そして、作中にも書かれている通り、ここからは汚い話がだめな人は読むのは遠慮しといたほうがいいと思います。
 実は植物人間であるミトラヴァルナ人にとって、人間の排泄物(つまりうんこや尿ですな)は最高級の有機質肥料であり、贅沢な料理なのであった。「私」の毎日の排泄物は首相がその役得として、おいしくいただいていたのだ。そして、首相はミトラヴァルナの慣習として、排泄物をひりだした本人の前で、その味、食感を余すことなくじっくりと述べ始めるのだった。耐え切れず嘔吐した私の吐瀉物を目の前で食べ始める首相(!)。「私」はあまりのことに自閉症になり、地球に帰還する。
 たぶん、読む人によっては、ひどいトラウマになるんじゃないかと思います。幸い私は大丈夫でしたが。究極のスカトロ小説ですね。この小説は筒井康隆の「コミュニケーション」の不毛をテーマにしたもののひとつです。まあ、代表作としては『関節話法』や『マグロマル』なんかが最たるものだと思うのですが、衝撃度でいえばこれが一番ですかね。戯曲『三月ウサギ』のもととなった『最悪の接触(ワーストコンタクト)』なんかも大笑いできます。
 笑える小説っていうのはやっぱり大切なのだと思います。もっとこういうのをプッシュすれば、活字離れも抑制できたのではないのでしょうか。しかし、こんなの教科書には載せられませんね。マンガが今、こんなに世界を席巻しているのも基本的にはマンガが「悪」だからだと思います。テレビでも子供に見せたくない番組の上位は視聴率の上位にいますからね。筒井康隆も文学は「悪」だと仰ってますし。
 私自身、子供の頃は、とりすまして真面目ぶった児童小説なんかより、ズッコケ三人組シリーズなんかのほうが大好きでした。文学の復権はやはりその入り口である児童向けの小説を子どもに読ませたくないものにすることだと思います(極論としては)。逆に自分に子どもができたら、こういうのを読ませて反応を試したいと思います。楽しんでくれればいいなあ。

収録作:『ベトナム観光公社』