一枚の小説、思いの記録





  岐路


  外で犬がないている

  土砂降りの中で

  その存在を示している


  まるで

  あの日の君のよう

  誰もいない空間で泣く君にとっては

  雨は永遠に止まないもののように思えたことだろう


  あの日を境に

  君の心の中に

  何かが巣を作った気がする


  雨が窓に打ちつけている

  犬の鳴き声はもう聞こえない

  ないているのか ないていないのか

  もうわからない

  生きているのか 生きていないのか

  もうわからない


  君はまだ生きている

  でも君にはもう何も見えていない

  いつか君の中に巣食ったものが

  君を支配するだろう


  僕は君の姿を横目で見て

  もう意味のない存在になっている君を

  思い出の中にしまって

  自分の道を歩いていく

  あの日僕も雨の中で泣いていた事を

  君に伝えるのはやめておこう