一枚の小説、思いの記録






  門出



  限りなく深く瑞々しい闇が

  頭上から栄光までの道のりを覆っている

  生温い風が体にまとわりつき

  じっとりした汗が体を蝕んでいる

  僕の目には光の痕跡も見えず

  ただ瓦礫の下から聞こえる助けを呼ぶ声だけが

  耳に張り付いて離れようとしない

  光の崩れ去ったこの世界で

  栄光への門出を祝うには

  狂った死体の僕を呼ぶ声がとても似つかわしい

  屍には炎熱の闇を

  兵には静寂の空を