一枚の小説、思いの記録




  曇り空の香り


  ビルの建ち並ぶ街の片隅で

  今日もひっそりと君と逢い引きをする

  しとしとと降り続く雨を避けて

  二人だけの空間を作ろうとする


  まどろみながらする会話が

  二人の緊張を少しずつほどいて

  涙が頬を伝う


  永遠に二人でいられたらいいのに


  君の寝顔に映るあどけなさを確認して

  僕も眠りに落ちる


  二人を支配しようとする闇がいつか晴れて

  二人の時間に影が差さなくなるまでには

  まだ強さが足りないのだろう


  目覚めた瞳に再び涙が伝う


  もしこの空に陰りがなくなったとしたら

  僕らは誰の目にも幸せに映るのに


  僕らは今日も曇り空の中を歩いていく