彼の死

                             
  彼の死顔はとても安らかで

  残された家族とは対照的だった

  彼の死に際して

  僕にはただ驚きがあるばかりで

  悲しみを感じる状態にはまだ到達していない


  いずれ月日が経てば僕はこの死を

  やるせない記憶の一つとして処理するだろう

  その家族とは対照的に


  彼の生は誰よりも生々しく

  死の影を感じさせることはなかったが

  故なく 自らの生を自ら断ってしまった

  ただ真面目すぎた故に

  ただ生に対して真摯過ぎた故に

  死の罠に落ちた


  嘆くことなかれ 死によって生を償ったことを

  笑うことなかれ 生に戸惑ったことを

  いずれ行かん 彼の元に

  生きて生き抜いた生の果てに