壊された扉

                    
  心の中のどこか

  自分でさえ気付かない場所に

  閉じた扉があった

  扉が閉じているから

     作り笑いをして

     相槌を打って

     お調子者を演じてしまう

  そして ため息をついて

       愚痴を言って

  俺はお前らの思ってるような奴じゃない とうそぶいて

  どんどん時は流れていき

  そんな日々が続くうちに

  我慢しきれなくなって

  いつか扉が開いてしまった

  そして 怒るようになって

       ケンカするようになって

  あとで 俺はほんとはそういう奴じゃないんだ とつぶやいて

  どんどん時は流れていき

  そしてまたある日扉は閉じて

  お調子者を演じるようになって

  いつの間にか扉が開いて

  怒りっぽくなったりして

  そんなことをしばらく繰り返しているうちに

  ふと 俺ってなんかおかしくないか と思って

  よくよく自分のことを振り返ってみると

  俺って

  自分のことしか考えてないや ってことに気付いて

  思いやりを持ってなかったことに気付いて

  今までは思いやりがあるところを演じようとしてたんだ

  演じなきゃいけないと思ってたんだ

  思いやりの意味をよくわかってなかったんじゃないか

  長い間の苦しみの末に そんなことに気付いて

  思いやりを練習しはじめた

  そしたら それが恥ずかしくって

             照れくさくって

  それでも我慢して練習していたら

  

  ある日 開いたり閉じたりしていた扉がなくなっていることに気付いた