思い出話

  あいつとの別れが全ての始まりだった

  あいつと別れた僕は

  自分の道を一人で歩くことを強いられた

  あいつとの愛が

  出会いを待ちつづける苦しみから 僕を解放してみせたのに

  僕はまた囚われの身となった

  精神の飢え 獲物を探さないといけない境遇

  そうしたものが怒涛のように押し寄せてきた

  僕は何回もあいつへ逃げようとした

  でもあいつは受け止めてくれようとはしなかった

  僕は砂漠に追われた飢えたハイエナ

  オアシスを狙って 死んだ足取りで歩いていく

  自分に愛をかけようとするものなら

  なんでも食らいつきそうな顎

  どうしょうもなく血走った眼光

  風景の中で殺気を漂わせている動物

  そのくせ年老いていく事に言いようのない不安を感じている動物

  動物が神託を待つなんて事が出来るものか

  神託なんてあの世で聞いてやるわ

  早く獲物がかかる事を心の底から望み

  そのくせ自尊心が傷つく事を死よりも恐れている

  僕はそんな自分の姿を見て

  如何に愛が大事なものか

  ほんの少しの愛でも如何に俺を惑わせる力があるのかを

  パブロフの犬のように強く感じた

  運命なんて言葉があるなんて

  明日には忘れてしまいそうだ

  それより街へ出て 獲物の姿を視認していなくては

  そうした心境の中で苦しんでいる時に

  君と僕は出会ったんだよ

  そしてすぐ結ばれたのさ

  いままで気づかなかった?