リトル・ダンサー(Billy Elliot)ぼくがバレエ・ダンサーを夢見てはいけないの?
やさしい脚本とダンスによる解放感 作品情報
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■STAFF
監督: スティーブン・ダルドリー
脚本: リー・ホール
製作: グレッグ・ブレンマン&ジョン・フィン
撮影: ブライアン・テュファーノ
音楽: スティーブン・ウォーベック
編集: ジョン・ウィルソン
■CAST
ジェイミー・ベル(ビリー)
ジュリー・ウォルターズ(ウィルキンソン先生)
ゲアリー・ルイス(パパ)
ジェイミー・ドラヴェン(トニー(兄))
ジーン・ヘイウッド(おばあちゃん)
ステュアート・ウェルズ(マイケル)
アダム・クーパー(ビリー(25歳))
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作品レビュー

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素朴な優しさが溢れる脚本と、ダンスによって気持ちを解放するカタルシスが魅力の作品。
そういったものが絶妙な編集によってリズミカルに描かれ、音楽とも見事に呼応。
主人公のビリーを演じたジェイミー・ベルの表情も良い味わい。
優しい脚本を気持ちよく映画として表現することに成功した、素晴らしい作品。
■脚本に溢れる温かさ
この映画に、素朴な温かみを与えているのが脚本だ。
主人公が口にする台詞は、その表情も含め、少年らしくやや愛想に欠け、不器用さが窺えるものだが、
その隙間から時折のぞく、飾り気のない優しさが、何とも言えず良い。
ガールフレンド(?)に対する言葉にも、親友に向ける言葉にも、
僅かな一言に彼の優しさが垣間見える。
その少年っぽい無愛想な感じと、ちょっとした言葉に見える優しさが、
ビリーにも映画にも、魅力を与えている。
また、一人一人のキャラクターを大事にした脚本でもある。
ビリーはもちろん、父や先生、ガールフレンド、親友、兄、祖母、ボクシングのコーチまで、実によく目を向けている。
ビリーが旅立つその時までに、しっかり彼ら一人一人のことを掬い上げているので、
それぞれが、それぞれのやり方でビリーを思いやっていることが分かる。
中でも特ににくいのは兄の描写。
弟を馬鹿にし、デモと炭鉱に執着して他人のことは蔑ろにする面ばかりが見えていたのに、
ビリーの出発の時には素直な兄らしい面を、ふっ、と見せる。
しかし、それでいて、彼の別れ際の言葉は、バスに乗ったビリーには聞こえない。
聞こえないよと言って、窓を叩くしかないビリー。
その後、二人は何年も会わなくなるのだ。
こうしたキャラクターの描き方で、
他にない程、作り手が彼ら一人一人に温かい眼差しを向けているかが分かり、
見ていて心地いい。
■ダンスシーンのカタルシスと編集
なんといっても、ダンスシーンの気持ち良さは格別。
練習以外でも、学校帰りや外をぶらついている時に、弾むように体が動いてしまう、
というのが見ている側にもよく伝わってくる。
普段気持ちを抑え込み、やや不機嫌そうに、
または困ったように眉を寄せた、ベルの作り出す表情が利いていて、
それが一変し、走り回って踊る姿には、本当にスカッとする。
そうしたダンスシーンは、編集によって他の人々の日常を折挟みながら展開されるため、
非常にリズミカル。
ビリーがダンスする様子と他のキャラクターの行動とのコントラストが、
ユーモラスで飽きさせない。
当然、場面と音楽とのケミストリーも抜群で、心弾む場面が連続して楽しい。
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