一つ一つのエピソード、一人ひとりのキャラクターに圧倒的な体温を感じる秀作。
どのキャラクターの感情も、台詞も、温かなリアリティと可笑しさがある。
構成も面白く、終盤、ばらばらに動いていたはずの物語が一つに集約されるところは、無理やりだが面白い。
笑いのセンスも抜群。
人間的な体温が魅力のアンサンブルコメディドラマ。
■圧倒的な体温
この作品の一番の魅力は、エピソードやキャラクターから感じられる人間的な体温だ。
ただひたすら、ロマンスをロマンティックに描こうとするラブコメが多い中で、
この作品は「映画的なロマンティックさ」より、「日常的な人間くささ」という部分に重きを置いている。
しかも、そのキャラクターはステレオタイプ化された「ありがち」な姿ではない。
作り手はロマンスや笑いを追いかけるのではなくて、
きちんとキャラクター一人ひとりと向き合って、
彼らの個性や感情を丁寧に紡ぎ上げているのだ。
だからこそ、キャラクターには他のオムニバス形式のラブコメにはない人間らしさが注ぎ込まれている。
それで、観る側も、愛着や親近感を持つことができるのだ。
■俳優の演技等
その体温をしっかりと演じている俳優陣も素晴らしい。
スター性を抑え、「The 普通のおっさん」を演じたスティーブ・カレルも
同じく抑え、冷めた雰囲気さえ感じさせながらも、痛快にプレイボーイを演じたライアン・ゴズリングも素晴らしい。
特にゴズリングは、中盤からはクールな中にもしっかりある体温を繊細に演じ出していた。
発せられる台詞も、面白い。
生活感を感じる一方で、可笑しさや愛情がかもし出されている。
個人的には、浮気相手のケビン・ベーコン絡みの台詞は、
ネタがひとつしかないにも拘らず、
ラストまでそのひとつのネタでもたせたところがかなりのハイセンスかと。
脚本に関しては、台詞だけでなく構成もなかなかだ。
ばらばらに動いていたはずのキャラクターたちが、アクシデント的に一堂に会し、意外な関係性が明らかになるところは、
無理やりではあるが面白い展開。
それまでの伏線も回収されて、点と点が線でつながる面白さもある。
ラストも、細かい伏線がさりげなく回収されていて、良い。
あっさりとしてはいるが、むしろ、大げさな感動で飾られないところが、
あくまでも生活感や人間くささという体温を強調している。
映画全体が人間的な体温にあふれた、愛すべき作品となっている。
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