クレイジー・ハート(Crazy Heart)傷ついたものにしか、歌えない愛がある
こわれた心を包む包容力 作品情報
|
 |
■STAFF
監督・製作・脚本:スコット・クーパー
製作: ロバート・デュバル/ロブ・カーライナー/ ジュディ・カイロ
製作・音楽: T=ボーン・バーネット
原作: トーマス・コッブ
撮影: バリー・マーコウィッツ
編集: ジョン・アクセルラッド
■CAST
ジェフ・ブリッジス(バッド・ブレイク)
マギー・ギレンホール(ジーン)
コリン・ファレル(トミー)
ロバート・デュバル(ウェイン)
|
作品レビュー

|
孤独な一匹狼の話ですが、重々しくしなかったのが正解でした。
全編を通して気持ちよく観れる映画になっています。
観る側をそういう気持ちにさせてくれるのは、
俳優の演技や音楽、映像などの要素が引き出す、特有のおおらかさがあるからです。
■俳優の演技
やはり、主演のジェフ・ブリッジスの演技は最高。 タバコをくわえていても、酔っ払っていても、ギターを弾いていても、歌をうたっていてもサマになる。
それがあまりに自然でさりげないので、演技力云々を忘れてしまうほど。
とにかく、観ているほうに「なんか、すごくカッコいいじいさんだ」という印象を与えてくれます。
こういうところが彼のすごいところで、うまいということを忘れさせるほど、うまいのです。
そのブリッジスが演じると、どうしようもないのになぜか憎めない魅力がキャラクターに注がれます。
観る側も主人公が好きになるし、他の登場人物が彼を好んでいるのにも納得できます。
どんなダメ男でも魅力的に演じるのがブリッジスなのです。
本当にすばらしいです。
もちろん、ブリッジス以外の俳優も魅力的です。
ひさびさにかわいい姿を見せてくれたマギー・ギレンホールは、
女であることと母親であることの間で揺れる感情の機微を演じきり、
クレジットされていないのになぜか出演しているコリン・ファレルも
嫌味なくいい奴を演じていて好感が持てました。
■映画が持つ包容力
映画全体も爽やかで、繰り返しますが観ていて気持ちがいいです。
音楽が奏でだす軽やかさ。
田舎の風景画映しだすほのぼのとした雰囲気。
そういったものが深刻な問題をうまく中和してくれて、暗い気分にならずにすみます。
アル中だろうが、実の息子に拒まれようが、独りぼっちになろうが、嫌な感じがしないのです。
そこにブリッジスの憎めない演技が加わり、なんとも言えない穏やかさが映画全体を包んでいます。
最後まで、ケリがつかない部分が多いのですが、
それでもいいか、と非常におおらかな気持ちになることができます。
現実においても、すべてが解決することは少なく、
何かしら半端になってしまっているものはあると思います。
そういうところのある人に
「半端なのが人生だ」
というほどの包容力がこの映画にはある気がするのです。
|
|