バナナフィッシュの世界―映画の小部屋―

→  Diary
→  Guest book
→  E-mail















Yahoo!ジオシティーズ
→Home    →俳優名鑑    →レビューの部屋    →バナナフィッシュとは    →リンク集

ジュラシック・パーク(Jurassic Park)

夢の恐竜帝国

進化の素晴らしさを魅せる恐竜たち

作品情報

■STAFF
監督: スティーブン・スピルバーグ
脚本: マイクル・クライトン、デヴィッド・コープ
原作: マイクル・クライトン
製作: キャスリーン・ケネディ、ジェラルド・R・モーレン
撮影: ディーン・カンディ
音楽: ジョン・ウィリアムズ
編集: マイケル・カーン、スタン・ウィンストン、デニス・ミュレン、フィル・ティペット、マイケル・ランティエリ
■CAST
サム・ニール(アラン・グラント博士)
ローラ・ダーン(エリー・サトラー博士)
ジェフ・ゴールドブラム(イアン・マルコム博士)
リチャード・アッテンボロー(ジョン・ハモンド)
アリアナ・リチャーズ(レックス)
ジョゼフ・マゼロ(ティム)

作品レビュー


恐竜の生態、科学的な設定、キャラクター造形など、しっかり細部まで作り込まれ、
それが好奇心を擽って素晴らしい吸引力を見せる。
パークの是非を問う議論から滲む生命の進化への畏怖は、
そのまま恐竜の辿る道へ反映されていき、観る物に新たな発見を与えてくれる。
そうしたことを通して、溢れんばかりの恐竜への愛情が感じられ、何とも気持ちがいい。
もちろん、恐竜たちのリアルさやアクションシーンも大いに見もの。
大人も子供も心躍る、アドベンチャー映画の傑作。

■好奇心を擽る細部の描写
恐竜を扱った映画だが、実際に恐竜が登場する前から、
観る者を画面に惹きつける力を持っている。
それは、序盤から細かく、またユーモラスにキャラクターを描写し、
興味深い伏線をいくつも散らしているからだ。
そうやって徐々に引き込んでいき、パークのある島へ向かうヘリの中で、
作中おそらく最も旨味のあるキャラ、マルコム博士のユニークなキャラクターが紹介された後、
ヘリから下降していく段で、初めてメインテーマを流し、観客の心をガッチリと掴む。
この辺りは、どうすれば観る者が喜ぶか分かっていて、流石にぬかりない。

パークに着いて初めて、ブロントザウルスを目撃するシーン。
グラント博士がふと横を向き、驚き、立ち上がり、サングラスを外して見入るその様子を、
アングルを変え、多方面から非常に丁寧に映し、衝撃の大きさを十二分に伝え、
重要なシーンの感動を観客と共有させることに成功している。
もちろん、演じるニールの演技も良い。
こうしたところの丁寧さが、いかに観客の心を掴むのに重要か分かる。

実際に恐竜を甦らせるに至った科学的な説明は、
パーク内のアトラクションを利用して平易な言葉でなされている。
しかし、その内容は大人が見ても頷いてしまう程細やかで、大変知的好奇心を擽る。
行き届いた科学的な設定は、それだけで興味深いのだ。
また、後に判明する、恐竜が人間の管理を逃れていたという事実のための伏線が
しっかりとその説明の中に組み込まれていて、
それが分かった時のカタルシスに貢献している。

■生命の力強さを意識させる作り
パークを巡る議論の中では、生命が持つ力や、それが成す進化の脅威が滲んでくる。
恐竜の遺伝子を組み替えることで彼らを甦らせ、また管理可能な状態にする科学者たち。
それを真っ向から否定し、生命は自らの道を見つけるとするマルコムの議論には大きな説得力がある。
また、それがキャラクターの濃い個性により、強烈な言葉で語られていて、
論のまっとうさと言葉のコントラストがユニークで面白くもある。

そうした生命についての議論は、
中盤、恐竜たちが人間の管理を離れ始めているという事実と重なっていく。
しかも、その過程にはしっかりとした科学的な根拠があり、設定の見事さを示している。
そして、人間にとっては危機的な状況にもかかわらず、
生命、進化、その素晴らしさに対する感動を滲ませるところが好もしい。
そういう部分が、モンスターではない動物としての恐竜への愛情にも繋がっている。

■恐竜への愛情
病気のトリケラトプスとの交流、そして肉食恐竜へでさえ温かい眼差しを向けている。
そうした愛情があるからこそ、
ラスト、再びティラノサウルスが登場する場面での気持ちの良さは格別。
それまでの緊迫したシーンから一気にカタルシスへと持っていくのが良い。

決して恐竜は悪者ではなく、進化の素晴らしさを実感させてくれる生命である、
そういう作り手の姿勢が、モンスター映画ではなく、アドベンチャー映画の傑作を生んでいる。