バナナフィッシュの世界―映画の小部屋―

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恋におちたシェイクスピア(Shakespeare in Love)

スランプの天才に『ロミオとジュリエット』を書かせた恋愛

愛すべきイギリス演劇界の群像劇

作品情報

■STAFF
監督:ジョン・マッデン
脚本:トム・ストッパード
製作:デヴィッド・パーフィット&ドナ・ジグリオッティ&ハーヴェイ・ワインスタイン&エドワード・ズウィック
撮影:リチャード・グレートレックス
音楽:スティーブン・ウォーベック

■CAST
ジョゼフ・ファインズ(ウィリアム・シェイクスピア)
グウィネス・パルトロウ(ヴァイオラ)
ジェフリー・ラッシュ(フィリップ・ヘンズロー)
コリン・ファース(ウェセックス卿)
ベン・アフレック(ネッド・アレン)
ジュディ・デンチ(エリザベス女王)

作品レビュー


シェイクスピア劇のセリフや設定をうまく取り入れた品の良いユーモアが心地よく、
主演二人を取り囲む人々にも、それぞれに温かいユーモアが溢れている。
彼らを通して当時のイギリス演劇界を描く、群像劇的側面も併せ持っており、
脇を固める素晴らしいキャストにより、それが大成功している。
軽やかで品のある音楽も作品を彩り、爽やかな感動をもたらしている。

■シェイクスピア劇へのオマージュ
作中にはシェイクスピア劇へのオマージュとも取れるセリフや設定が溢れている。
シェイクスピアとヴァイオラの二人が口にする詩的な台詞の節々には、シェイクスピア作の表現が盛り込まれているのだ。
そこで素晴らしいのは、その表現が決して浮いたりせず、作品の中に自然に溶け込んでいること。
シェイクスピアの表現とこの映画オリジナルの表現をうまく混ぜ合わせており、
さらにそれらが自然と発せられる場面を、こちらもやはりシェイクスピアがよく使ったのと同じような展開で見せていく。
台詞も展開も、完璧な呼吸を見せているのだ。
シェイクスピアについての知識があればあるほど楽しめる。好奇心をくすぐるつくりが憎めない作品でもある。
こういった部分は、如何に脚本が優れているかの表れだろう。

■魅力あふれる脇役たち
この映画の魅力は、何と言っても脇を固める素晴らしいキャスト。
エリザベス女王を強烈なインパクトで演じたジュディ・デンチはもちろん、
劇場主のジェフリー・ラッシュ、
高利貸の男トム・ウィルキンソン、
恋敵のコリン・ファース、
役者のベン・アフレック、
そしてパルトロウの乳母を演じたイメルダ・スタウントン。
とにかく、一人ひとりがユーモアの溢れるキャラクター、そして一人ひとりがうまい。
この映画の雰囲気に合った抑えた演技でありながら、台詞の持つ魅力を十二分に表現。
間のとり方も抜群。彼らの演技があるからこそ、主演の二人の輝きは増すのだ。

しかも、この映画自体二人のロマンスを描きつつ、
一方ではシェイクスピア時代の演劇界そのものを浮き上がらせる群像劇的要素も持っており、
それを可能にしているのが、この素晴らしい脇役陣に他ならない。
こうした一人ひとりの味わいがあるからこそ、その集大成としてのラストには、拍手を送りたくなるほど気持ちがいいのである。

音楽も作品の雰囲気を形作るうえで、大きな役割を果たしている。
ステップを踏むように軽やかな音楽があるからこそ、画面に躍動感が生まれ、より観る者を惹きつける。

脚本、俳優。音楽がぴたりと息の合った、素晴らしく、愛すべきイギリス映画だ。