バナナフィッシュの世界―映画の小部屋―

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英国王のスピーチ(The King's Speech)

英国史上、最も内気な王

チャーミング且つユーモアに溢れた愛すべき作品

作品情報

■STAFF
監督:トム・フーパー
脚本: デヴィッド・サイドラー
撮影:ダニー・コーエン
製作: イアン・キャニング&エミール・シャーマン&ガレス・アンウィン
製作総指揮:ポ−ル・ブレット
音楽:アレクサンドル・デプラ

■CAST
コリン・ファース(ジョージ6世)
ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ)
ヘレナ・ボナム=カーター(エリザベス妃)
ガイ・ピアース(ガイ・ピアース)
マイケル・ガンボン(ジョージ5世)
クレア・ブルーム (メアリー王妃)

作品レビュー


気品があり、チャーミングでユーモラスな魅力にあふれた作品。
その雰囲気を醸し出しているのは、間違いなく主演のコリン・ファース、
そしてスピーチセラピストを演じたジェフリー・ラッシュの品の良い演技。
そこへ、温かみのにじみ出る会話が加わり、映画全体を穏やかな感動で満たしてくれている。

■チャーミングな英国王、コリン・ファース
この映画でのコリン・ファースの演技はとにかくチャーミング。
まじめで誠実、見た目もパリッとしており、その人物像は典型的な英国紳士。
…と言いたくなるが、このキャラクターはまじめの度合いが強すぎて神経質でもあり、その点で「典型的な英国紳士」という枠に収まっていない。
英国紳士の内に垣間見える、こういう人間らしさが、ファース流英国王の大きな魅力となっている。
彼が苛立つ様子は、クスリと観客の温かい笑いを誘うのだ。
そこへ吃音を治すための独特なトレーニングが加わると面白みが倍増。
まじめな紳士が、大真面目に奇妙なトレーニングを行う姿は、
チャーミングという言葉以外見当たらない。
そういう魅力を、自然にキャラクターに注ぎ込んだファースの演技はさすがだ。

そして、言葉に詰まってしまう時の演技は秀逸。
何より「間」を重視した演技が正解で、どもってしゃべれなくなってしまった時の長い沈黙が威圧的に感じられる。
だからこそ、主人公の緊張を観客も感じることができる。

さらに、苦しみ、悩んでいる姿も非常に繊細に表現。
微妙な表情の変化によって心の内の苦しみが表されていて、見入る。
にじみ出る哀愁は観る者の心に迫ってくる。

■ファースとラッシュのケミストリー
スピーチセラピストを演じたラッシュもさすがにいい。
ステップを踏むような軽やかな身のこなしとしゃべり方で、
風変わりな男の魅力を優雅に体現している。
その彼が、奇妙なトレーニングを指導すると、トレーニング自体おかしいのにどこか品を帯びてくる。
それを神経質なファースが演じるのだから面白い。
この二人のキャラクターが溶け合って、何とも言えないユーモラスな場面が仕上がるのだ。

二人の会話も素晴らしい。
ラッシュが不意に口にする奇抜なアドバイスはウィットに富んでいて、観ているだけで楽しい。
そして、ファースがそれに反発しながらも結局は実践するまでの会話の流れが実に自然。
しかも、その会話から、主人公の心の奥深くに潜む苦しみが明らかになってくるという構成だ。
脚本の良さの表れだが、演じる二人の力があってこそ、感動的かつユーモラスなのだろう。

コリン・ファースとラッシュの二人の演技と抜群のケミストリーに支えられた愛すべき作品。