ザ・タウン(The Town)壊し続けてきた男の再生
哀愁と暴力によって表現されるスラム街と人の心 作品情報
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■STAFF
監督:ベン・アフレック
脚本:ベン・アフレック&ピーター・クレイグ&アーロン・ストッカード
撮影:ロバート・エルスウィット
製作:グレアム・キング&ベイジル・イワンイク
製作総指揮:デヴィッド・クロケット
音楽:デビッド・バックリー&ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
■CAST
ベン・アフレック(タグ)
ジョン・ハム(FBI特別捜査官フローリー)
レベッカ・ホール(クレア)
ブレイク・ライブリー(クリスタ)
ジェレミー・レナー(ジェム)
ピート・ポスルスウェイト(ファーギー)
クリス・クーパー(マック)
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作品レビュー

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チャールズ・タウンという治安の悪いスラム街を敬意と愛情を持って描いている作品。
哀愁漂う一方リアリティを忘れないアフレックの演出や、
激しい性格と熱い友情を体現したレナーの演技が光る人間ドラマ。
■アフレックの演出
アフレックの演出の素晴らしさは、
その演出によって主人公の内面や周囲の人々とのつながりをしみじみと伝えているところ。
哀愁漂う静かで繊細、流れるような演出と、リアルでありながら迫力を伴った暴力シーンははっきりと区別されており、
それによって物語に緩急がつき、観客を画面にくぎ付けにさせている。
そうやって、観客を引き込んでおいて、語られるのは、町にある人と人との粋なつながり、
そこから飛び出して新しい人生を望む主人公の姿。
アフレックの優れた演出のおかげで、そういうものがストレートに伝わってくる。
だからこそ、暴力と友情に溢れるチャールズ・タウンという町がリアリティを持って鮮やかに浮き上がってくるのである。
■ジェレミー・レナーの魅力
この映画で、一番のもうけ役はジェレミー・レナー。
荒々しい性格の中に熱い友情を持った彼のキャラクターは、最も観客の感情に訴えかけるだろう。
しかし、既定のキャラクター像だけでは、おそらくこのキャラの魅力は表現しきれない。
レナー自身の演技と魅力によって、生き生きとした魂が吹き込まれているのである。
友人のためなら危険も顧みず、殺人もいとわないその姿は、
彼の野性的な顔立ちや、無言の内にも危ない雰囲気を醸し出せる迫力型の演技によってリアリティを増している。
普通のセリフであっても、彼が言うことで、鋭く強い言葉に変わる。そんな魅力を持っているのだ。
■その他の要素
物語の途中段階で敷いた扶線を、終盤でしっかり掬い上げているのも良い。
映画ではこういう小技が、観客の涙腺を刺激する。
綿密さの表れだろう。
ピート・ポスルスウェイトの遺作となった本作。
彼もまた、キャラクターの不気味さを見事に体現していて、脇役の中でも最も大きな存在感だった。
題材の娯楽要素が高いので、やはり娯楽映画に違いないが(前作より娯楽要素が強い気がする)、
そういう部分を最小限に抑え、極上の人間ドラマに仕上げたアフレックに拍手!
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