その2
それでも、まだ、さっきの甘い余韻で、裸のままベッドに入って妻を待ちます。
もはや夕食を食べる気など、微塵もありませんでした。
そして、そんな私のことを、予測していたかのように、いつにない色香を漂わせたままの妻は、ネグリジェ一つの姿で、ベッドにやってきたのです。
『ネグリジェの下、何にも付けてないよな? 』
Eカップの先端は、ネグリジェの上から見ても尖っていました。
「ねぇ、あなた」
甘い香りは、佳奈の匂いと、シャンプーの匂い。蕩けそうです。
「何? 」
それでも、ついさっきの射精の気怠さは、まだ残っています。
短くても猛烈なセックスから、まだ三十分もたっていないのです。
いくら妻の色気が、見たことないほど凄くても、すぐにまたセックスというには、早すぎました。だから、腕の中に滑り込んできた妻に腕枕をしながら、妻の声に耳を傾けます。
私がベッドで待ち構えていると、たいてい、勝手に灯りが消されてしまうのですが、さっきしたばかりという「安心」感のせいか、寝室の間接照明はついたまま。
ベッドを柔らかく照らす、壁に反射した灯りは、影ができやすい分だけ、逆に表情をハッキリとさせるような気がします。
明らかに、挑発の気配がありました。
「あのさぁ、オジさんがね、モデルしてくれないかって」
「モデル? 」
「うん。絵を描きたいんですって」
「え〜 オッちゃん、抽象画が専門って言ってたのに」
「あら? いっぱい見せてもらったけど、女性の絵もたくさんあったわよぉ」
「オッちゃんの家に行ったの? 」
長年、つきあっていますが、自宅がどこにあるのかも知りません。
「うん。最近、お家に連れて行ってくれるようになったから。ふふふ。時々ご飯作って上げたりしているの」
知りませんでした。
私の驚きの表情を見て、なぜか嬉しそうです。
「ほら、あなたの前のアパート。あそこの近所だったの。すっごい偶然よね」
まあ、地主が自分の家とアパートを建てたら、近くなるのはわかりますが、それにしても、オッちゃんの家に行った?
「でね、今日は、靴を買ってもらってから、そのままオジさんの家にご招待されて、今までに描いた絵を見せてもらって…… すごいのね、オジさんの絵って凄く繊細なの」
「ひょっとして、買い物の後、ずっとオッちゃんの家にいたの? 」
「うん。ホントは、寿司を取るから夜も食べていけ、って言われたんだけど、なんとなく、あなたが帰ってくる気がしたから」
首だけ起こしてニコニコと私のことを覗き込む目には「褒めて、褒めて」と書いてあります。
なんだか、昔、飼っていたチビを思い起こさせました。投げたボールを追いかけて、なんどでも、得意そうに咥えて持ってきた、あの表情です。
よしよし、とストレート髪を撫でながら「でも、一人暮らしの男の家に行くのはなあ」とぼそっと言ってみると「あらやだ、だってオジさんの家よ。も〜、心配しすぎ.私だって主婦ですぅ。世間知らずな高校生じゃないんですから」と、なぜか、ちょっと得意そうな表情をするのです。
オッちゃんとの信頼関係について、何を言っても無駄でしょう。そして、実際の所、オッちゃんが妻を襲ったりしないことは、私も分かっています。
しかし、襲うことと「何かある」ことは別のことではあるのですが、それは今、言っても無駄な気がして、とりあえず、スルーすることにします。
しかし、さっき見た下着が頭をよぎります。妻はいったい、オッちゃんの家で何をしていたのか。
いえ「何をしたら、あんなに濡れてしまうのか」ということが気になっていました。さっきの風呂場で、前戯無しなのに、あれほどの乱れぶりのタネ、とでも言いましょうか。
謎でした。
何気なさを装って、探りを入れます。
「へぇ〜 じゃあ、午後は、ずっと絵を見てたの? 」
「ううん。いっぱい見ていたら、オジさん、いつの間にか、カメラを出してきて、ちょっと取らせてくれって言うから」
妻は、髪の毛を後ろで押さえるカタチに腕を上げながら、首を仰け反らせます。
恐らく妻のイメージでは、グラビアモデルのセクシーポーズでしょう。しかし、美人ではあっても、気の毒なほど幼く見える妻のそのポーズは、どっちかというと、ラジオ体操の失敗作品という感じです。
フッと、脇の下に目が行って「なんか、いつもよりも綺麗に処理されているなぁ」と思ってしまったのですが、その視線の行方を十分に見極めながら、ニコニコとしている妻です。
しかし、いきなり写真を撮るかな〜 オッちゃん。
ん? じゃあ、さっき濡れてたのは、写真を撮られたからか? いや、いくらなんでも、普通じゃそうならないだろ。やっぱりヌード?
危ない想像と、目の前の「ラジオ体操の失敗作」の落差のせいで、一瞬、笑いそうになる顔を引き締めて「何? 佳奈をモデルにして、写真撮影ってこと? 」と真面目な顔で聞きます。
「うん。ちょっとだけ絵を描いて、その後、写真を撮って。写真も、後で続きを描く時に使うって言ってたよ」
「え? モデルを、もうしちゃったの? 」
「あっ」
いっけない、と言う顔をして口を押さえてから「ふふっ」と笑う表情は、ちっとも悪いと思ってない証拠。「怒る? 」と私の耳にくっつくようにして、可愛らしく聞いてくる妻。
良いところのお嬢様が、幼いイタズラをした時、そのままの表情で「悪いことしてないから、怒らないでね」と目で訴えています。
「まさか、ヌードじゃないだろうな」
「あ! 」
目を丸くして、驚いてみせる妻は、一瞬の間をあけてから、私のおでこを指で押す仕草。
「ピンポン! 」
「何! 」
その瞬間の声は、明らかに、自分でも怒った声になっていたと思います。その口に、妻のネットリしたキス。
「んっ、んん」
舌まで積極的に入れてきたのには驚きつつも、何だか脳まで痺れるような快感を味わって、私は一瞬で黙らされてしまいます。
そして、そんな私を、またもや得意そうな表情で見つめる妻。
「なぁんてわけないでしょ。もう〜 心配しすぎよぉ。私だって人妻ですから。あなたに黙ってヌードモデルなんてするわけないでしょ。ちゃんと、今日は、服を着てたわ」
「あぁ、びっくりした。そうだよな」
「それにさ、もしもヌードだったとしてもよ、相手はオジさんよ。しかも芸術だし。全然心配しなくて良いからね」
「おい、なんだか、それじゃ、今度、ヌードモデルをするって言ってるみたいじゃん」
そういえば、今確かに「今日は」と言っていました。今日「は」服を着ていても、次は脱ぐということなのかと、疑おうと思えば疑えます。
「ギクッ」
「おい! 今、ギクッって、セリフにしただろ? まさか、本気じゃないだろうな」
「もちろんよ。私は、あなたに黙ってヌードモデルなんてしたりしません」
「なんで、棒読みなんだよ」
「だって、モデルはしてないけど、今日は全部脱いじゃったしぃ」
「何! 」
「あん、あなた、激おこ? そんなに怒ったら、佳奈、泣いちゃうからぁ〜 」
芝居がかった仕草で、泣き真似をする仕草。こんな話題じゃなければ、可愛いと思ってしまうかも知れませんが、佳奈がヌードになったとなると、そんな余裕はありませんでした。
「佳奈! オッちゃんにヌード見せたのか! 」
さすがに激怒した私は、ガバッと上半身を起こします。
「怒るぅ? 」
なぜか、妻の目が、獲物を狙う目つきになっています。
「当たり前だろ! オッちゃんに、見せるなんて! 」
「じゃ、オジさんに触られちゃったぁ、なんて言ったら? 」
上目遣いの妻は「ねぇ、ねぇ、どうする? 」と私の表情を伺っています。
「ま、まさか、浮気してきたんじゃないだろうな」
グッショリだった妻のパンティーが、そして、初めてと言うほどの、さっきの乱れ方が私の心をざわつかせます。
『何かの冗談だよな? 』
なぜか濡れたような瞳をして見つめ、答えない佳奈に「冗談だろ」とつぶやきながら、私は、その瞬間『本当にしてきたと言われたら…… 』と考えていて、脳が焼けそうです。
同時に、ひどく後悔したのは、あのパンティーの匂いを確かめなかったこと。あの粘液に精液の匂いはしてたのかどうか、記憶にないのです。
『でも、今日のセックス、佳奈は凄かった。あんなに乱れるなんて。もしあれが、そして、あの下着が、オッちゃんによって開発されてしまった結果だとしたら…… 』
興奮は確かにあったのですが、私自身が意外だと驚いたことに、目の前がクラッとするほどの怒りを覚えました。
暴力とは無縁な私が、初めて妻を殴ろうとしたのですが、拳を振り上げる前に、さすがに逡巡してしまった瞬間、いきなり、妻に怒張を掴まれたのです。
「あれ〜 あなたどうしたの? これ? 」
ズキン!
痛みにも似た快感が脳天を直撃します。
妻に握られたモノは、猛烈に勃起していたのです。
「こ、これは、そ、その…… 」
「すごぉい。さっき、したばかりなのに。いつもよりも大っきいみたい」
ニッコリと笑って見上げる佳奈の瞳は潤んでいます。まるで欲情してしまっているかのように。
頭の中が超高速でグルグルと空転している束の間に、妻の顔が飛び込んできます。
チュ〜
「ん、ん、ん」
怒りを感じているはずなのに、妻のキスを受けいれてしまう自分が、ヘンでした。
そして、ベルベットのような舌が、私の口に入ってくると、思わず、絡みつかせ、今度は私が妻の口に挿入してしまいます。
長いキスから、いきなり口を離した妻は、得意満面の笑みを浮かべて、私の肩を小突きました。
「あはは。う〜そ。あなたが、いっつもヘンなことを言うから、仕返しよ」
「ウソ? 」
「オジさんがそんなことするはずないでしょ。あなたがヘンなことを想像するかも知れないから、先にビックリさせて上げたの」
「へ? 」
我ながら間の抜けた声です。
心の中で振り上げた拳の行き場が完全になくなってしまい、どうしようもなくて、阿波踊りでも、踊らねばならないような、そんな珍妙な心持ちと言えば良いのでしょうか?
それでも、怒りが爆発寸前だっただけに、そのパワーは心に渦巻いていて、何をどうすれば良いものか、途方に暮れた感じでした。
「も〜 まさか、こ〜んなに激おこ、だなんて、私がビックリしちゃったぁ」
「いや、誰だって、奥さんが誰かとセックスしてきたって言われたら、ふつ〜に、怒るでしょ」
「普段、あんなに、私とオジさんとのこと、ヘンな風に茶化すクセに? 」
「いや、それとこれとは…… 」
「とにかく、今度から、ヘンなこと言うのナシよ? もし言ったら、本当になっちゃうかもよ〜 そうなっても、あなたのせいだから、怒っちゃダメなんだからね〜 だっ」
一本、してやったといわんばかりの得意そうな表情。
こういう時にみせる表情は、本来、人目を引くほどの美貌が「この夏、一番大きなカブトムシを捕まえた少年の顔」にしか見えないあたり、こっちは苦笑するしかありません。
「あのね、オジさんの家に行ったのも絵を見せてもらったのも、写真と、絵を描いてもらったのもホントよ」
「じゃあ、何がウソなんだよ」
なにがなんだか。
妻にしてやられたと言うこともありますが、一度「妻の浮気」にタテた腹を横にするには、何だかモヤモヤしたモノが残っています。
「そこから先よぉ」
さらに得意そうな顔で、チュッとキスしてから「だから、最初に、ちゃんと言ったでしょ? あなたに黙ってヌードモデルなんてしたりしませんよぉ〜 」っと、勝ち誇ります。
「だけどっ、んっ」
言いかけた言葉は妻のキスに吸収されてしまいます。
短いけれども、いつになく妻から積極的に舌を入れてきて、ヌルヌルと絡め合った後、チュポンと抜き去る動きは、ネコ科の猛獣を思わせるしなやかな動き。
「それに、オジさんは、ああ見えても紳士なんだからぁ。あなたの方がお付き合い長いんでしょ? もっと信じるべきじゃない? 」
いえ、長い付き合いだからこそ、やりかねないって思ってます。しかし、黙っていた私を「同意」と受け止めたのでしょう、妻はここぞとばかりに、得意げに話します。
「もちろん、私に指一本触れてませんよ〜 それに、そもそも、私があなた以外の男の人に、触れさせるわけがないって、信じてくれなきゃ、も〜 」
「あ、いや、信じてるけどぉ」
「あら? あんなに簡単に、私が浮気したって思ったクセに? ふふふ。い〜け、な、い、んだ、いけないんだ〜 」
子どものように、リズムまで付けて、人差し指の腹が、私の唇をチョンチョンと押さえます。
「それに、こ〜んなに大きくしちゃってるぅ」
「いや、そ、それは、あの〜 」
妻から私のモノを握ってくるのは、本当に珍しいことでした。指先が私のモノを確かめるように動きます。
「さあて、こちらの証拠物件Aについても、弁護側の主張をお聞きしましょう、うぉほん」
いつも見ている検察官が主人公のドラマをイメージしているのでしょう。咳払いをして、いつのまにか検察官役になっている佳奈が、私の言葉を聞きたがっています。
「あ〜 男は、こういう時は、勃起するんだよ」
「え? 奥さんが浮気してるって怒ってるのに? 」
心から不思議そうに、小首をかしげて見上げる表情は、女子高生にでも化けられそうなほど、素直さの塊。
「ほ〜んと、オジさんのいうとおりなんだからぁ」
「え? オッちゃんが何か言ったのか? 」
「ううん。なんにもぉ。でも、おかげで、賭に負けちゃったかも」
肩をすくめて見せた妻は「愛してるぅ」とキス。
「賭ってなんだよ」の言葉は、キスの中に飲み込まれます。
ただ、ひっしと抱きついてくる柔らかな身体を抱きしめながら「どうやら、当分、妻をからかうことができそうもないな」ということだけは頭に残ったのです。
いつしか、二人の舌は絡み合い、長い、長いキスのうちに、再び、妻に挑んでいたのです。
左手を差し入れてみると、動きやすいように、脚をグッと広げる動き。
ヌチャ
温かな蜜で溢れる谷間で、クリトリスは異様に勃起しています。
「あああん」
ヒクンと身体が引きつるのを面白がって、私はそのままクリトリスをクリクリと高速でこすってやると「あああ、あうっ、ああん、あぅ」と、切羽詰まった声が上がります。
「ダメッ、明るいのにぃ、あっ、い、イッちゃう、灯りを、ああん、あっ、あっ、あ、ダメ、あ、い、イクッ」
ヒクンと身体を縮こまるようにして、あっさりとイッてしまいます。
「ああん、ね、まだ、灯り、点いてるからぁ」
オーガズムの余韻で、上手く動かない右手を伸ばして、ベッドボードの横にあるスイッチに手を伸ばします。
「今日は、明るいままで入れるよ」
「ダメッ。そんな恥ずかしいからぁ。お家では、ダメっ、ああん! 」
ジュブッと音がしそうなほど、滑らかに包まれてしまいます。
指だけでイキ、グショグショの美肉は、さっきのセックスなどなかったかのように、ピッチリと私を包んでくるのです。
「あん、んっ、ああん、だ、だめっ、ああん、はず、か、ああん、あっ」
ついさっき出したばかりです。ピッチリと包み込んでくる美肉にも耐えられますから、いきなり激しく動いていました。
「あな、た、ああう、ふう、あ、すっ、すごぃ、ああうう」
一度入れてしまえば「恥ずかし」と頻りに良いながらも、もはや抵抗できません。いえ、いつもよりも遙かに大きな声で、甘い快感を訴えてしまうのです。
指がめり込むオッパイを、好きなように揉みしだいても、苦痛どころか快感が強くなるだけ。ここぞとばかりに手に余るオッパイの感触を堪能しながら、腰を使っていました。
「あぁ、ねっ、も、もう、ああ、い、いっちゃう、かも、んっ、あん、うっ、いきっ、そう」
背中を丸めて、コリコリと前歯で甘噛みしながら、乳首を吸い上げます。
「あああ、むんぇえ、あふぅ、あああ、い、いく、いくっ、いくっ」
ギュッとしがみついてくる手に惹き寄せられて、妻と唇を重ねます。
左手は、柔らかな膨らみを揉み潰すように、指をめり込ませながら、子宮に届けとばかりに奥まで突き入れていました。
「ああ、あなた、だけぇ」
大きく脚を広げたまま「もっと深く」と言わんばかりに、腰がしゃくるように動きます。
先端が子宮口に当たると、急速にこみ上げてくる射精感。
「あなた、だけっ、なんだからぁ、あう、い、いく、いくう、あならだけぇ、あなららけなんらからぁ、ああうぅ、い、イク、イク、イクぅウウ! 」
細い両手は私の背中をかきむしるようにかき抱いて、両脚がガッチリと私の腰をホールドしながら、私の射精を受け入れます。
「あああん、あ、な、た、れ、れれるぅ、なかにひぃい、れ、れるうう、あふう、まひゃあ、、いくうう! 」
ドクドクと注ぎ込む中で、妻は、全身を仰け反らして、そして、ガクンと崩れるように力が抜けたのです。
ハア、ハア、ハア
身体の奥底から、全てを出し切った射精感の後の脱力。
柔らかな身体の上で、全ての力を抜いてしまいました。
細身の妻には、相当重いはずなのですが、妻はこの瞬間が好きだって言ってくれます。
だから、力を失った怒張が抜け落ちるまで、柔らかな妻の身体の感触を楽しみながら、たゆたうのです。
そして、ヌルヌルになったその場所は狭くて、力を失うまでの数分だけが、その時間だったのです。
ヌルン
パッとティッシュを渡すと、慌てて、その場所に当てたのは、私のモノがこぼれたせいでしょうか。いえ、妻自身から湧き出したヌルヌルも、大洪水です。
ひょっとしたら、シャワーでも浴びないとダメかも知れませんが、お互いに、祖の気力は残っていません。
ひとしきり妻がごそごそとしている間、私は仰向けになってグッタリしているのがせいぜいでした。
そして、クタッとなっての腕枕。
「素敵だったわぁ」
夫婦の営みの後に、くっついてくるのは珍しくはありませんが、こんな風に力が抜けきった感じでくっついてくるのは初めてかも知れません。
二回も私を飲み込んだせいなのか、それとも、何回も、そしていつになく大きなオーガズムに疲れたのでしょうか。
しかし、立て続けの深い射精で、こっちもグッタリして、柔らかな身体を抱いたまま、目を閉じてしまいます。
夢と現の狭間を気持ちよく漂っていたのに、ふっと、なぜか意識が上がってきて、私は「佳奈? 」と小さく呼びます。
「はぁぃ、んぅ、んふぅ」
私に全てを預けて安心した顔を見せる佳奈の呼吸は、早くも、規則的になって、もはや、眠りの世界に落ちていきます。
その寝顔を見てしまうと、急速に現実感が湧いてきます。
「いったい何があったの? 今日…… 」
長いマツゲに頬をくすぐられながら、天井に向かって聞いていました。
柔らかな重みを肩で受け止めながら、反対の腕でゆっくりと妻の身体を抱きしめると、眠っているくせに、甘えるように、妻の顔が、さらに寄ってきます。
激しく感じた身体は、うっすらと汗ばんで、妻の柔らかで甘い匂いが強く薫ってきます。
私の大好きな匂いです。
『この身体を、オッちゃんが見た? いや、そんなはずはないよなぁ。でも、今日の佳奈は、すっごく感じてた。うん。今まで見たことないほど、感じてたよな? 』
何があったのか不明ですが、妻の何かが変わってしまった気がします。
いつもなら、激しいセックスと深い快楽の中での射精は、思考力を奪い、その後に強烈な睡魔をもたらしてくるのですが、目が冴えてしまいました。
さっきのラジオ体操まがいのポーズでオッちゃんの前に立とうとする佳奈の姿がチラついて、その度に、ハッと、腕の中の妻を見ることの繰り返し。
さっきは、あんなに珍妙な格好に見えたのに、ヌードでポージングする佳奈のイメージができてしまうと、もう、それは、男を呼び込む淫靡な欲望の姿にしか見えません。
そして腕の中の柔らかな感触が、自分の慣れ親しんだ妻であるのに、初めて抱く女以上に新鮮な魅力が見えてきて、いつの間にか怒張が復活してしまいます。
さっきの射精はなんだったのでしょうか。
自分でも、唖然とするほどの猛烈な「飢餓感」が、女体を求めていました。
気持ちよさそうに眠る妻を見ても「寝ているから可哀想」ではなく「こんなに出したいんだから、妻なら受け止めるべきだ」と勝手なリクツがいつか頭を支配してしまいました。
「な、いいよな? 」
規則正しい寝息だけが聞こえます。
その夢の中で見ているのは、果たして私なのか、それとも、何事かの秘め事なのか。
寝てしまうと意外に重い身体をゆっくりと仰向けにして、私は、妻の両脚を両手で抱えると、大きく広げたのです。
その瞬間、ホンのわずかの抵抗を見せたのは、恐らく女性の本能でしょう。たとえ、意識がなくても、オンナの最奥を守ろうとする本能。
広がった脚が、キュンと閉じる動きをしたと思ったら、腰が、小さく動いたのです。
あっと思った瞬間、間接照明の柔らかな光の下で、白濁した液体がドロッとこぼれてきたのです。
自分がさっき出したモノであることは間違いありません。しかし、現に目の前で、膣から出てくるシーンを目撃してしまうと、その絵にはインパクトがありすぎました。
オッちゃんのモノが、妻の中に放たれてしまった、そんな悪魔のような想像が、私の頭を一瞬にして占拠してしまったのです。
もはや、頭のどこかが焼き切れてしまったのかも知れません。
完全に寝ている妻の美肉を一気に貫いていました。
「ひっ」
カクッと、白い貌が仰向きます。
『なんだ、この感触』
グチャグチャになったまま、そこだけが別の生き物のように、グチャッと締め付けてきます。
『こんなに気持ち良いなんて』
まだ、ついさっきまでかき回していたその場所は、寝ているせいか、締め付ける強さは、普段よりも弱いのです。
しかし、ヌルヌルの粘膜がみったりと吸い付いてくるように怒張を包み込んでいて、オマケに、カリの部分がキュンと丸く締め付けています。
『わっ、これ、凄いぞ、佳奈の中がこんなにだなんて』
気持ちよさを味わいたいという欲望は、腰のピッチを一気にマックスにしていました。
これでは、反応を伺うような余裕はありません。
「んっ、ん? んっ、ああん、え? あ、あなた? え、っ、そん、な、う、うそ、ぉ」
驚いた表情のまま目を覚ました瞬間が、ちょうど、妻の最深部へと突き入れる瞬間です。
「あああん! 」
甲高い声を上げて仰け反りながら、全身がヒクヒクとケイレンをします。
夢とうつつの狭間で、妻は、快楽の頂点を味わったのです。
「う、うそぉ。寝て、た、んっ、の、にぃい、あふっ、あんぁああ、あああ」
身体の奥まで貫かれながら、目覚めた妻は、せっかくハッキリしてきた意識は快感の波濤に飲み込まれてしまいます。
「あなた、あん、ど、どうしたの、こ、んぁあああん、す、すごぃ、ああん、だめぇ」
ギュッと抱きしめてくる腕の柔らかさ、身体に押しつぶされている、オッパイの弾力、そして怒張を包み込む美肉と、私を下からガッチリと抱える長い脚。
「ああん! いい! あなた! いいの! あなただけ。あなただけなのぉ! ああ、イッちゃう、イク、イク、いくぅう! ああん、もっとぉ、もっとぉ! ああああ! 」
普段の慎みを思い出し忘れたかのように、腰をヒクヒクとしゃくり上げながら、快感に増える女体。
「あん、あ、ああ、しゅ、しゅごぃ、ああん、いぃ、ああん、おかぁしくなるぅう! あああん、こわい、こ、わぃ、こ、壊れちゃうからぁ、あたし、こわれひゃう、ううう、あふうう! いくう! 」
全身で私にしがみつくようにして迎えるオーガズム。
グン、グン、グンと腰を突き上げて、怒張を深く、深く迎え入れようとしてきます。
腰の筋肉の反応でしょうか、
ピッチリとくっついたヒダヒダの締め付けが急に強くなって、私も、一気に頂点を迎えます。
んんっ
思わず、下腹に力が入ってしまう射精。
出るモノもないような感じなのですが、快感が、引き金を引き続けさせて、止めてくれません。
「あああふ、あ、い、いく、まひゃぁ、ああ、い、いっちゃうぅうう! あふうぅうう! 」
部屋いっぱいに響くソプラノの声で啼きながら、連続したオーガズムに妻は全身を硬直させています。
その中に注ぎ込む私は、腰の奥の方が溶けて、ズルズルと引っ張り出されるような快感の中で、トロトロといつまでも、射精し続けていたのです。
「ふわぁ〜 」
昨日の激しい営みは、意識の上では、入ってあっという間だったのですが、実はかなり長時間だったことを後から知りました。放出した後の、そのままグッタリと寝てしまったのですが翌朝の目覚めのキツかったこと、キツかったこと。
妻に起こされて、地獄の底から這い出すようにしてベッドから起き出しましたが、眠気を覚ませないまま、出勤です。
それなのに、まるで私のセイキを吸い尽くしたかのような妻の表情は、つやつやと輝いて、上機嫌。
「あなた、しっかりね。事故に気をつけてよ。はい、これ、途中で」
缶コーヒーを買えばすむことですが、淹れたての珈琲を保温マグに持たせてくれて、オマケに小さなサンドイッチをつけてくるのが、妻の妻たるところ。
吸い口の着いたフタがあるため、車中でゆっくりと飲んで、会社に着く前には、サンドイッチくらいは、腹に収められるはず。
朝食を抜きがちな私に、いつもの通りの気配りでした。
「あぁ、気をつけるよ」
「あ、オジさんが、メールくださいって言ってよ」
「オッちゃんがメールをくれ? 」
「うん。アドレス、あなたに送っておいたから、後で、メールしてあげて」
「え? なんだろ? 」
オッちゃんがメールを使えるというのは、何とも不思議な感じでした。よく考えれば使えても不思議はないのに、なんとなく、こういうものと縁のない人だと思い込んでいたのです。
「さあて? なんでしょうねぇ 」
何かを企んでいる表情です。
「きっと、お父さんからのお説教じゃないかしら? 」
「ん? なんにも、オッちゃんに言われるようなことは」
「ふふふ。とにかく、おじさんへのメール、後でお願いね。それと、事故、気をつけてくださいね。居眠り運転しちゃダメよ。ふふっ」
嬉しそうに、微笑みます。
オンナという生き物は、夜のセックスによって、エネルギーを得てしまうのではないかと、本気で思えてしまう、嬉しそうな顔。
昨夜の激しい営みは、確かに妻の満足を引き出したようです。
「あ、ああ」
「いってらっしゃ〜い」
なんだか体よく追い出されたような気もしないではないですが、車に乗る時に確認すると、メールが二件。
一つは、妻から。これは、もちろんとして。
「なんだよ、これ。ん? 山田です? ……おいおい。メール送れって、佳奈に伝言頼んどいて、先に送ってくるのかよ」
<山田です。>
オッちゃん、タイトルに丸を入れなくても。
ガラに似合わない、意外に律儀な性格を見て苦笑します
<西山君のメールアドレスでよろしいでしょうか。よろしければお返事をください>
ぶっとい指先で苦労して操作している様子が浮かぶような、カチカチの文面に珈琲を吹きそうになってしまいます。
<佳奈がお世話になっております> まで打ってから、イタズラ心を起こしていったん消してから<佳奈がお世話になりました。パンツも、自慢のEカップも、堪能してくれましたか>と打ち替えます。
いくらなんでも、こんなことをオッちゃんに言ったりしなかったのですが、恐らくしっかりと妻のパンティーを見たことに、釘を刺すつもりになったのです。
メールを送ると、後は頭を仕事モードに切り替えます。一矢報いてやったという意識が、その切り替えをさせてくれたのです。
車で、一日のシミュレーションをしないと、朝が始まらないのが私の仕事術。そこから一気に戦場の忙しさ。
だから、メールのことをすっかり忘れていて、その返事に気が付いたのは、帰宅の車に乗る時でした。
<話はカナちゃんから聞いてます。どうぞ、ご帰宅の前に弊宅にお寄りください。遅くなってもけっこうです。お返事お待ちしております>
私まで、自宅に招かれる?
正直言って、面倒でした。
『へぇ〜 画像が三つも。それにしても、画像添付なんて、しゃれたマネまでできるんだ。オッちゃんやるなぁ』
恐らく、昨日、撮ったやつでしょう。私は昨日の「ラジオ体操の出来損ない」ポーズを思い出しながら、ダウンロードします。
確かに妻の写真ですが、ポーズは違いました。
『おっ、可愛くおすましポーズか。決まってるなあ』
我が妻ながら、こうして黙って写れば、そんじょそこらのモデル、アイドルも顔負けな美貌とスタイルは自慢の種です。
優しく微笑み、両手を身体の前で軽く重ねた清楚な立ち姿は、自分の妻であっても、見とれてしまう、と言うと、なんだかナルシズムの延長だと言われるかも知れません。
『だけど、可愛いモンは、可愛いんだから仕方ないよなぁ。妙にはしゃいだり、ポーズを作るから、色気の無さがバレるけどさ』
つぶやきながら次の写真をダウンロードした瞬間、私は手が止まりました。
慌てて、三枚目をダウンロードしながら、私はエンジンをかけ、画面を見て絶叫します。
イタズラっぽく笑う妻の表情には羞恥が漂うのは、あのミニスカートで体育座りだから。もちろん、パンツは丸見え。思わず拡大したその部分には、はっきりとシミができています。
そして三枚目は、なぜか鉛筆デッサンを撮ったモノ。おそらく、オッちゃんが描いたででしょう。
それは、妻がオールヌードで二枚目の写真と同じポーズで座っている絵でした。
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