お人好し妻本文へジャンプ 

その3

  


 旧家の生まれの上に、中高一貫のお嬢さま女子校育ちだからでしょうか。妻は、大学生になって、初めて男と付き合い、その幸運な男にバージンを捧げています。
 もちろん、その幸運な男とは私のこと。
 なにしろ、そのころはお互い大学三年生。
 こんなにもプロポーションが良くて、美人で、性格も良いコが、ありえないだろうと、喜ぶよりも仰天したことを覚えています。
 まあ、告白してきた男は数知れないようですから、旧家の躾を受けた妻にとって、ロストバージンの相手と結婚とは、不可分だったのでしょう。
 そして、私の願いを聞いて、仕方なしに受け入れたセックスではあっても、結婚以来、少しずつエッチなコトを受け入れるようになってきました。
 恥ずかしがり屋の妻に性の良さを味わってもらえるようになるには、ずいぶんと遠い道のりでしたが、それでも最近は、だんだんと、人妻なりの性感が目覚めてきています。
 最近は、恥ずかしい声を我慢できないほど感じるようになりましたし、オーガズムに弾ける瞬間は我を忘れるほど乱れます。
 しかし、どれほど乱れても、いえ、快感に乱れれば乱れるほど、フィニッシュの射精に合わせて、両手両脚で抱え込むように抱きついてくるのは、全て、妻の心の現れなのです。
 このあたり、さすがに、旧家の躾とは言え現代っ子と言うべきか。時代錯誤な「セックスというのは、子どもを産むためにするもの」とはなってないないのです。
 そのかわり「セックスは夫婦の愛情交換」という意識が人一倍強いようです。
 妻にとってセックスとは、愛情が全てだったのです。その証拠に、セックスを覚えた、かなり早い段階から、私のフィニッシュを気にして、可能な限り、全身で受け止めようとしてきました。
 生理周期が超安定型なのに、ちゃんと基礎体温を測って、二人を隔てる「ゴム」の邪魔なく私を受け入れられるようにしてくれたのも、恋人時代の妻が決めたこと。
 夫である、いえ、当時は「将来の夫」ですが、ひとたびそう決めた妻にとって、愛する人とのセックスで、全てを受け止めるのは、務めであり、それはそのまま、愛情なのだ、と言うことなのですね。
 だから、愛する人の怒張を受け入れる「ナカの快感」を覚えると、妻は、みるみるうちに進化しました。
 子宮に射精を受け止めると、必ず自分も同時にオーガズムを迎えるようになったです。
 これは、妻にとってのセックスとは、大元の部分が「愛情」であるからに他なりません。
 となると、射精される瞬間、長い脚を絡め、全力で抱きつく「大しゅきホールド」は、その必然の姿ですし、感じれば感じるほど、強く抱きついてくるのも、ある意味当然でした。
 紗奈にとってのセックスとは、どれだけ快感はあっても、最後には、そういう「愛情」の行為で終わるものだったのです。
 そして、これはあくまでも想像ですが、今回、鈴木さんのチンポを、受け止めようと決意できたのも、これが関係している気がするのです。
 妻は鈴木さんを信頼して、親しみを持ってはいても「愛してる」相手ではありません。意識しているのどうかはさておき「愛していない」相手となら、たとえ肉体の一部分を貸したとしても、妻にとっては、単なる「務め」だとしか思えない可能性があるのです。
 下卑た言い方になってしまいますが「愛がなくてもオマンコは貸せる」ってことでしょうか?
 もちろん、常識人である妻が、誰とでも、そんなことができるワケはありませんし、そこには羞恥とか、モラルとか、私に対する申し訳なさがあったたっぷりとあったはずです。
 でも、相手は信頼している鈴木さんです。「自分が犠牲になって助けられるなら」と思えば、努力できる範囲だと思えたのかもしれません。
 妻にとって、セックスとは愛情の結果であり、愛情あってこそのセックスなのです。そして、鈴木さんの身体を受け入れるのは、セックスではなく別のものに過ぎなかった。
 昨日までは……
『そんなの吹っ飛んじゃってるぞ、これじゃあ』
 聞こえてくる狂乱ぶりは、そんな甘ったるい考えの全てが消し飛ばされています。
「あああ、い、いっ、あん、あん、あん、ああああぁあ!」
 悲鳴のような淫声を抑えることすらできない妻。
 尊敬と信頼はあっても「愛情はない」男から与えられる快感に、我を忘れてよがり狂っています。
 清楚で、貞淑で、夫だけを見つめて、愛情を糧にしてきた人妻ではなく、ただチンポによがり狂う女が、そこにいたのです。
「ああああ! ああ! あぅうう! あう! またっ、いくっ! いくううう! あぁあ! ああん、あん、あん」
「おっ、すごいぞ。こんなになってる。締め付け、いいなぁ、さすがだ。うん、良いぞ、もっとだ、ほら、もっとイケ、どうだ? こっちは? これは?」
「あああ。なに? なに? なに? あああ! ああうう! オカシクなるぅう! ああん、あう! またぁ、ああう、いくうう!」
 それは、淫声というよりも、啼き声と言うべきでしょう。
「ああああ! あああ! ああああ!」
 あの、清楚な紗奈から、信じられないような絶叫が上がります。
 その瞬間、背中を強制的に登ってくる閃光を知って、慌ててズボンを下ろします。
 モノが出た瞬間、シゴいてもいない怒張から、ドピュ、ドピュ、ドピュルルと、まるで放水するような白い液体が、二回、三回と続けてフロントガラスにまで飛び散ります。
 しかし、そんなことでは衝動が治まりません。それどころか、飛び散ったものを拭き取るよりも、射精しても一向に衰えないものを、シゴかずにはいられなかったのです。
 初めて聞く、これ以上無いほどの淫蕩な声が、響いています。抑えきれない声は、身体を中から破裂させる、強烈な快感の証しです。
「ああ、ん〜 またあ、あう、い、いく、いく、いくぅうう! あぁあ!」
 オーガズムの快楽に翻弄され続ける妻の声は、強烈な催淫効果がありました。
 背中を、あっという間に、次の波がせり上がってきます。
「あっ、あっ、あっ、あぁああ! ぁあああぁん、あああぁあん」
 いつ息継ぎをしているのか分からないほど連続した、切ない淫声は、どこからがオーガズムで、どこからが引き波なのかも、判然とさせません。
 ただ一つの真実は、あれほど、愛情を大事にして、夫にだけ尽くす妻の中には、快感に翻弄されてしまう「メス」が隠れていたと言うことです。
 私の知っている、清楚で、天然と言う言葉が付くほど真面目で、笑顔の優しい紗奈は、そこにいません。
「あはああう、あう、あう、ああ、あう、あふぅ、ああああ! あん、また、あう、イッちゃう、ああああん、あう、あう、あうう!」
 スピーカーから流れてくる、狂乱の淫声は、私をも巻き込んで、こみ上げる射精へのブレーキをかけさせてくれません。
「紗奈ぁ!」
 うっ、ダメだ、またっ、出るっ
 ドピュッ、ドクドクドクドク
 破裂するような感触と腰の奥が蕩けだすような恐怖が、同時に脳裏をよぎるような射精。それは、信じられないほどの快感でした。
 狂乱の淫声は、あり得ないほど強い媚薬なのです。
「ああん、あん、あん、あぁあ、あぁあぁぁ、あぅ、あっ、あっ、あっ、深っ、すぎる、ます、うぅうう! ああん、ああ! サナ、壊れちゃいますぅう! あううう!」
 甘やかな声は一向に治まる気配もなく、もちろん、そのまま、私の怒張を衰えさせません。
 射精しても、射精しても、ギュッと掴んでいないと、破裂しそうな恐怖すらありました。
『またなのか? まだ? いったいどんだけ続くんだよ』
 おそらく、妻のナカに入ってから、とっくに三十分はたっています。
『紗奈のナカは、キツキツだろ? しかも、相当にデカいんだろ? そんなモノいれたら、どれだけ締めつけられてんだよ。それをこんなに長くなんて』
 人柄は良くても、イケメンとはほど遠く、普通に見れば、どっちかというと風采の上がらない中年の終わりの人です。
 そんな人が、こんなにすごいセックスをするだなんて思ってもみませんでした。
 チンポのデカさはさておき、これほどの体力と、そして何よりも、この持久力は、驚嘆すべきコトです。
 なにしろ、夫の私しか知らない、あの美肉は、強烈な締め付けと、ミッチリと包み込むヒダヒダで、慣れた私でも、蕩けてしまいそうなほどです。
 しかも、結婚三年目ともなると、良い意味で、ペニスの味を覚えてしまっています。
 トロトロになって包み込む美肉は、密着度も、締め付ける力も、ハンパじゃない上、カリに引っかかる所には、リング状の締め付けがあり、亀頭は一ミリの隙間もなく包まれるのです。
 こんな、最高のオマンコに締め付けられて、これだけの時間、激しく動き続け、なおも耐えられるのは、スゴイの一言でした。
「はうぅ、あふぅうう、うゎあぁあ、あうぅ、ううう! わううう!」
 淫靡な快楽を叫び続けたせいで、声がかすれ始めます。
「はううう、あぅっ、つうう、あはあぁあぁあぁあ、奥ぅう、あああ」
 何度も大きくイッています。
 胎内は、我が物顔の怒張に好き放題に蹂躙されるまま、いくらイッても、一向に変わらないペースで奥まで突き上げられているのです。
「あああん、うぅううう」
 甘やかなうなり声と言うべきかも知れません。呼吸もままならないような、連続した声は、天谷差を超えて、いっそ苦しみにも聞こえます。
 おそらく、今まで、経験したことのない、高い絶頂から降りられなくなっているのでしょう。
 ただひたすら、単純なうなり声のトーンが、上がり、下がりを繰り返しています。
『一体いつまで続くんだ』
 聞いているこっちの方が息苦しくなるような、かすれかけた嗚咽を上げ続けたまま、さらに五分ほど。
 ようやく、空気が変わります。
「よし、ソロソロだぞ。サッちゃん」
「あああああん! はひぃ、あああん、あうう!」
 恐らく動きが変わったのでしょう。
 やっと「ハッ」という大きな息を吸い込む音がして「スゴイィイ」と、甘やかな声が響きました。
「おお、いいぞ、いいぞ! サッちゃん、出すから、出すから、また、このオマンコを使わせておくれ! また、ここで出させてくれ!」
「あああ! いいいぃ! いい、ああん、いい、ですっ、あっ、ああん!」
「お! いいんだね、ありがとう、ありがとう」
「ち、ちがっ、あああん、あう、い、いいい!」
「締まってるよ、今度も、その次も、この締まってるオマンコに、たくさん入れるよ!」
「ああん、あっ、いい! もう、ああああん、す、すごい、あん、あん、あっ、ああああ」
「おお、サッちゃん、出すぞぉ、ああ、こんなに良いオマンコだったなんて。いいよ! う〜 オレも、そろそろ出るよ、出るからね?」
「うん、出してぇ、オジさんもぉ、出して、あああん、サナも、あぁ、またぁ、イク、イクッ、いくぅう! あああん、すごい、あうぅう、イクうう!」
「よし、出すぞ。じゃ、わ! サッちゃん、脚、脚! これじゃ、ぬけな、うぅう」
 鈴木さんの慌てた声が何を意味しているのか、すぐに、ひらめきます。
 射精を告げられた瞬間、サナの中にある本能が、全てを飲み込もうとしたのです。それは、私にしている時の、あの姿。
 長い脚を腰に巻き付けて、目一杯抱きついて、全てを深く飲み込もうとする姿です。
『大しゅきホールドをしちゃってるのか? そんなことをしたら、中に!』
「ああああ、いい! いく、いく、いくうう! すごいぃい! あああ! 出してぇ!」
 手足でがっちりと鈴木さんを抱きしめて、奥の奥で射精を望んでしまっています。確かに「出して」と叫んでいたのが頭の中で響き続けます。
『紗奈が、ナカ出しを、自分からねだっているなんて……』
 心の一番大切な部分を奪われた気がしました。
「うっ、出っ」
「あああ、いくうううう! あああ、出てるぅ、熱いぃ! 熱ひぃいい!」
 夫以外のしわぶきを子宮に浴びながら、妻は、大きなオーガズムに上り詰めていったのです。
しばしの、無言の時間。
 この「続き」を、恐れているくせに、早く、それを聞きたくてしかたない私がいます。
『あんなにすごい時間、激しく頑張って出したんだろ? あの年だ。これでお終いだよな』
 訪れた無言の時間。そればかりを考えていたと言っても過言ではありません。
 その時、二人の動く音が聞こえます。
『見たい。紗奈を。今、どんな顔をしてるんだよ』
 考えられないほどの強いオーガズムから降りてきた妻が、どんな顔をしているのでしょう。
 頭の中の紗奈は、いつもの人なつこい笑顔の上に羞恥を浮かべています。それだけでも耐えがたいのに、その瞳が、私を見ているときのように温かい光を浮かべているのです。
 自分の顔が、涙でグチャグチャなのを気にする余裕もなく、その声が入ってきました。
「ふぅ」
 鈴木さんの満足げな、ため息ともつかない声。
 それは、初めて夫以外の男に差し出された人妻を意のままに支配して、あまつさえ、その子宮に「種付け」したという、心と体の満足を物語っていました。
「はぁああ」
 一方で、妻のそれは、全てを吐き出すような、そんなため息です。
「あぁ…… こんなぁ」
 さんざんに叫んだ淫声のせいで、少しガサついた声が、かすかに、しかしハッキリと後悔の色を帯びています。
 その声は、重い荷物を下ろした時というか……
 大切な何かを喪ってしまったときに、自然に出てしまう、ため息交じりの声です。
 その時、人の動く気配がしたのは、鈴木さんが、そのデカブツを、ズルズルと膣奥から抜き出したのでしょう。
「はぁ」
「うぅん」
 満足と後悔のため息が、交錯します。
 そして、すぐに妻の声が再び響きます。
「あぁあ、どうしよ。もう、彼の顔、見られないですよぉ」
 困惑と羞恥、そして、後悔がないまぜになった声です。しかし、その甘やかなトーンが持つ意味は、ただ後悔だけを訴えているわけではないのです。
 人妻として、知ってはならない世界を知ってしまった。
 それを言外に訴えていました。
 こんなセリフを人妻が吐けば、それは「夢中になってしまうほどキモチ良かったです」という快楽の告白に他ならないことを、妻は気付いているのか、いないのか。ただ、もしも気付いていないにしても、ついさっきまで、深くまでつながっていた男への、自然な媚びであるのは確かです。
『あんだけ感じさせられちゃったら、逆に、紗奈の中に鈴木さんへの愛情が浮かんじゃうなんてコト、まさかないよな?』
 今までの人生で想像もしてなかったほどの快感を与えてくれた相手。
 妻にとっては愛情がセックスの大元である以上、快感と愛情は、一本の糸でつながっていると言うことになります。
 だとしたら、考えられないほどの快感を与えてくれた相手となら、心の深い所でつながってしまうかもしれない、というのは、あり得ることでした。
 その思いつきは、心の底からの恐怖を呼び覚まします。
『こんなハズじゃなかった』
 なんだか、妻の大事な部分を奪われた気がして、心がキリキリと痛みます。
「とってもよかったよ。紗奈ちゃんは、どうだった?」
「……オジさんが、出してくれて嬉しいです」
「おいおい、それだけかい?」
 言外に、さっきの乱れぶりを、自分の口で言えと匂わせる鈴木さん。
「それだけです」
 おそらく、短い言葉は「拒絶」を表現しようとしたのでしょう。しかし、見事に失敗しています。そこには、恥じらいを浮かべながら恋人に甘える声にしか聞こえません。
 真っ赤になりながらも、はにかむ紗奈の素敵な表情が見えるようでした。
「でもさ、サッちゃんだって? ね? どう?」
「あんっ、もう、ダメですよぉ、オイタはぁ。えっと、あの、でも、オジさんがキモチ良くなってくれて、嬉しいのはホントですよ?」
 微妙な言い回しは、言外に、鈴木さんとのセックスで、見事に感じてしまったコトを告白していました。そのあたりは、元から会った鈴木さんとの信頼関係のおかげなのか、それとも、想像できなかったほどの快感を与えてくれた「オス」に対して、牝の本能が生じさせた、一種の愛着のせいなのかもしれません。
「でも、ほら、サッちゃんだって」
「あん! もう〜 ホントですからぁ、んっ、んっ、ああん、もう〜 たくさんしたんだから、もう、オイタはダメですってばぁ」
「いやいや、この時間が楽しいんだからさ、許してよ」
「もう〜 オジさん、なんだか、どんどんエッチになってる気がしますよぉ」
「ははは。男だからね。こんなすばらしい身体を前にして、ジッとなんてできないさ」
「お世辞言われても、もう、お終いですからねっ」
「ああ、それは残念だけど。でも、すまなかったね、ナカに出してしまって」
「いえ。あれは、私が悪いんですから」
 ナカ出しを謝られても、子宮の中に、たっぷりと出されながらイッてしまったのですから、いまさら鈴木さんを責められないのでしょう。
「そうだよなあ。出した瞬間、確かに、サッちゃん、すっごく感じてたもんなぁ」
「もう! そこ、少しはフォローしてくれませんか? イジワルですよぉ」
「ははは、ゴメンゴメン、ついつい可愛くてさ」
「あぁ〜 もう〜 本当に。私ったら、どうしちゃったんだろ」
 なんであれ、妻が他人を責めることなんてありそうもありませんが、しかし、声色に、怒りは少しも無くて、後悔ばかりがあったのは確かです。
「ま、チンポが抜けないようにガッチリとホールドされてたのは確かだけどさ。いっつも、本条君は、ああして出してるんだね」
「もう〜 それは秘密です」
 私とのことは止めようとしてくれるのは、妻としての優しさでしょう。
 しかし、それは、ひょっとして「夫との比較をしないようにしよう」とする、妻としての防衛本能なのかも知れません。その証拠に、妻の声は、すぐに、甘やかな、それでいて後悔をにじませた声になっていきます。
「ああ、でも、もう、お願いですから、あぁあ、もう〜 さっきのこと言わないでくださいよぉ〜 つい、しちゃったんですから〜 ああぁ、私ってば…… なんてことを…… ホント……」 
 その瞬間、妻の声が一瞬でくぐもったのです。
「んっ、んぐっ、ぬちゅ、むぅう、んぐっ、んぐっ」
 微かな気配は、二人がキスしていることを思わせます。
 そこから、気配が動きました。
「あぁ、良かったよ、サッちゃん、それにしても、すごい身体だ。感じやすいし、男を喜ばす身体だ。彼が本気でうらやましい」
「いやん、そんな、見ないでください。あ! ね、お願い、ちょっとで良いから、あっちを向いてて」
 一体何事と思った瞬間、鈴木さんの「はい、ティッシュ」という声、
「すみません。あん、もう、あっち向いててください、お願いです」
 どうやら、身体を起こした瞬間に、奥から流れ出てきた、精子を拭いているようです。
「ああ、オジさんのが! わっ、スゴイ、多すぎますよ〜 こんなにぃ。わっ、まだ出てる。すごぉい、いっつもの倍以上は出てきますよ」
 そこまで、何をどう聞かれても、慎重に夫婦の間のことを言わなかったくせに、素直な驚きが、それを言わせたのです。
 いつも夫が出す倍以上の精子を、流し込まれてしまったのだと。
 ガサガサと拭う音は、溢れ出てくるモノを吹いても拭いても止まらない大量の精子に驚いている姿、そのものでした。
「もう、すごいです。たくさん。あぁあ、ホントに、すごいですよ、これ」
 その声に、さっきまでの後悔や悲しみはありません。むしろ、嬉しそうな響きがあるのに気付きます。
 そこからの、息が詰まるような無音。
 実際、息をするのを忘れていた私が、息苦しさにハアハアと荒い呼吸に戻るまで、たっぷりと一分はあったハズです。その間、二人が何をしていたのか。気配が動いてない以上、さっきと違ってキスをしていたわけでもないだろうし、鈴木さんの手が身体を這い回っていたとも思えません。
 ただ、そこにある無音は、妻のナカで、何かが思考されていた時間のはずでした。
「あのぉ、私の…… あの…… 良かったですか?」
 控えめではあっても、それは自分の行ったサクリファイスを確かめる言葉です。狂乱の治まった妻にとって、オジさんとのセックスは、ボランティアでなければならないのです。
 そのためには「自分の身体がオジさんにとって良かったか?」という問いは、重要でした。
「いやあ、最高だったよ。サッちゃんは、ホント、思っていたとおり、いやあ、すばらしいと思っていたけど、想像の数倍、良かった。もう、最高だよ」
「良かったぁ。んっ、あぁん、また出てきました。わぁ〜 ほんとうに、すごく出してくれましたね」
 中出しされた精子の量を素直に喜ぶ声。むしろ、こうして素直に喜んでみせることで、ついさっきの狂乱が「聖なるサクリファイスなのだ」と自分に言い聞かせているに違いありません。 しかし、それは、愛する夫以外の他人の精子によって、子宮までを大量に穢されてしまったことを悦んでいるという事実に他ならない現実でもありました。
 ドロリとこぼれ落ちてくる精子の「感覚」から、一種、倒錯した悦びを感じている妻がいて、その声を聞きながら、激しく勃起している自分自身に、頭がクラクラしています。
「おお、まだまだ出てきそうだね。うん。それなら、ホラ、こうして脚を広げて、和式のトイレに座るみたいにして、お腹に力を入れてごらん」
「あん、いゃん。見ないでくださいよぉ。こ、こうですか? でも、オジさんが、キモチ良くなってくれて良かったです。あん、だめぇ、見ないでってばぁ」
 和式トイレのカッコウにしゃがんだ妻が、秘部を拭う姿を鈴木さんの目にさらしている。
 いくら「見ないで」と口では言っても、見られることを受け入れていると言うことで、それは、驚き以外の何ものでもありません。
「いやあ、違うよ。この姿が美しいんだよ。うん、もっと見せてくれないと」
「趣味悪いですよ〜っだ。もう〜 ああ! だめぇ! そんなとこ、見ちゃイヤ! ああん、そこまで顔を寄せたら、もう! 本当に、ダメですよぉ」
 ダメと言いながらも、そこには、身体をつないだ者同士の、独特な甘える雰囲気がこもっていて、私の心はグサグサと切り裂かれる気がします。
 どうしようもないほど、心が痛いのに、私の怒張は、鉄のように硬くそそり立っていました。
「じゃ、サッちゃん、次も約束ね」
「え〜っと、あの、なんのことですかぁ〜」
「あれ? さっき出す前に、約束したじゃん。次ぎもって。こんなに気持ちの良いエッチなのに、一回きりだなんて、ひどいよ」
「あああん、あれ、私オカシクなってたし、良いなんて…… あっ、いってましたけど、それ違う意味のイイでぇ、あああん、もう、何を言わせるですか! 
「でも、良いって言ってくれたよね? もっとしてって言ったじゃん」
「ああん、言わないで、恥ずかしすぎます。だって、良いって言わないと、オジさんもっとイジワルするからですよぉ」
「だけど、キモチ良かったよね? もう、こんなのご免かい? もう、オレとしたくない?」
「正直に言いますね。すごかったです。オジさんとするのはイヤじゃありません。でも、こんなにすごいと……」
 束の間、言葉を切ったのは、自分が何を言ってしまうのか分かっていたからなのでしょう。
「わたし、次、また、しちゃったら、きっとオカシクなっちゃうと思うんです。身体が、きっと…… だから、もう……」
「でも、イヤじゃないんだね?」
 そこから二人の声が急速に小さくなって、マイクに拾えない睦言が続いていました。
『それにしても、次かぁ。こんな調子で、もう一回したら、紗奈のヤツ、オレので満足してくれなくなるかも…… そうなったら、どうする?』
 男として、それは途方もない恐怖であるのに、そのくせ、途方もない甘美な誘惑であるのを、思わずにいられません。
 急に声が大きくなる前に、チュッという粘液質の音が響いたのは、舌とベロを絡み合わせるキスをしていたに違いありません。
「じゃあ試しに、今すぐ、もう一回してみようか? それが良かったら、まだ今度もOKしてくれるだろ?」
「え? じゃんけんでもします?」
「あっ! とぼけるつもりだな、こいつう!」
「あん、きゃっ、あうう! だって、すぐになんて無理ですよね? あぁん、だめぇ、オジさん、そんなとこ触っちゃいやぁん!」
「どうだ、どうだ、ほらほら、もう、グチャグチャじゃないか」 
「違いますぅ。これ、オジさんの、だもん」
 狼狽えているのは、大量の精子が滴ってきたからでしょうが、鈴木さんの言葉を聞く限り、また新たに濡れてしまったのも確かなようです。
「えええ? すごい! なんでですか? もう、こんなになってますよ!」
「サッちゃんが魅力的だからに決まってるだろ。だから、ほら、このまま」
「だめぇえ、もう、さっきしちゃったんですからぁ、ああん、だ、だ、め、ああううう!」
 その声は明確な淫声でした。
 女が貫かれたときの、あの切ない声です。
 え? まさか、また入れたのか? 出したばかりで、本当に回復してるのかよ?  
「ああんん、あうっ、すっ、すごい、もう、こんなに、あああん、だめぇ、あう、あう、あうううう!」
 布団の上で蠢く音。
 出したばかりだというのに、すぐに可能になる鈴木さん。
 化け物じみています。
「あんっ、あんっ、あんっ、あぅう、あうっ、す、すごい、オジさん、ああん、すごい、深いです、ああん、こんなああ、あうう! こんなにっ、奥までなんてぇ、あぁ、いいい!」
 信じられなくても、紗奈の叫びが全てです。
 私では届かないほどの奥まで挿入されて、初めての快楽を味わっているのが現実なのです。
 溜まりに溜まった男の根源が、爆発しているのでしょうか。
 それであるとしたら、復活したこと自体に驚かなくても、さっきの驚異的な持続力は、本気で化け物の世界です。
「あん! あん! あん! す、すごい、あああん、すごい、深いぃいい! 奥に、奥がああ、ああ!」
「どうだい? こんなところ。ほら、女の子は、ここまで感じるからね?」
「あぁあん、初めてですこんなのっ、あぁん! 大きい! すごい、こんなに奥が、あああん、オジさん、紗奈、またオカシクなってしまいます、お願い、もっと優しく、してっ!」
「痛くないはずだけど?」
「痛くないですッ、ああん、だ、だけど、これだとぉ、あああ、サナ、オカシクなっちゃうから。また、おかしく、ああああん! だめぇ! お願い、もっと優しっ、ああ! イク! いくうう!」
「いいんだよ、いっくらでもオカシクなっちゃえ。ホラ、こんな奥も、この上の部分をこうして」
「あはぁあああ」
 それは、一種、生臭い響きを持った声。
 こんなにも露骨なイヤらしさを持った声を出せるだなんて、思ってもみないほど、淫靡で、それでいて、女の快楽をむき出しにした声でした。
「あああぁ、だ、めぇ、い、イッちゃうからぁ、だめぇ」
『一体、どんな風にヤッてるんだよ』
「んっ、くぅぅうう、あっ、イクッ」
 小さく押し殺した声で、オーガズムを告げる紗奈。もちろん、それで許されるわけはありません。むしろ、妻の反応に調子に乗ったのか、激しくなってしまいます。
「よぉおし、イケ! どんどんイケ!」
「あん、あん、あん、あんっ、ダ、ダメ、オカシク、ああああん、またぁ、イッちゃいますよぉ。ああん、だめぇえ! あああ、い、また、また、あああ、だめぇ」
 ついさっき出したばかりなのに、こんな体力がどこから出てくるのか。
 激しく攻め立てる気配に妻の声は、甘く蕩けきって、さっきよりも遙かに大きなオーガズムが、迫っていることをうかがわせていました。 
『また、イカされるのかよ。このまんまじゃ、紗奈のヤツ、骨まで蕩けさせられちゃうんじゃないか?』
「あうう、す、すご、う、あうう、あっ、だ、め、いっ、イッちゃう、イッ…… え?」
「ははは、サッちゃん、そんなガッカリしなくて良いよ。もっと欲しいだろ?」
「ち、違いますっ。急に止めたからビックリしただけですよぉ」
 強がってみせる言葉の下には「もうちょっとでイケたのに」という甘やかな怨みが混ざっているのを隠せません。
「慌てないで。今、ね。でも、せっかくだから、今度は違う体位でしようかと思ってね」
「違うタイイ?」
「そうだよ。ご主人とは正常位ばっかりかな?」
「あっ、形のことですか! んっ、あっ、そ、それはぁ、エッとぉ、秘密というか…… ああぁ」
 さっき、驚きの喜びのあまり、うっかり、精子の量については漏らしてしまった妻ですが、さすがに、普段の体位まで喋るのは抵抗があるのでしょう。
 それにしても、妻の語彙に体位などというものはないのは、私も意外でした。
『そう言えば、体位なんて言葉使わないもんなあ』
 かろうじて、正常位と言う言葉で気がついたのですから、もちろん、妻の友達にも「セックスの時の体位」だのと言話題を出す子はいなかったと言うことでしょう。
 さすがお嬢さま育ちというべきかもしれません。
「ま、いいさ。バックぐらいはしたことあるだろ? ほら、今度は、向きを変えて、そう。お尻を持ち上げるんだよ」
「あぁん、こんなカッコ、恥ずかしいです。見ないで、見ちゃいやぁ」
「よし、そうだよ、もっとお尻を突き出して」
「ああん、恥ずかしいですよぉ、こんなカッコウするって。ああん、もう〜 あんまり見ないでください」
「お、そうだ、そうやって、うん、良いね、そうやって、もっとお尻を上げて、うん、そうだ」
 考えてみれば、ただでさえ恥ずかしがる妻と、明るいところでのバックスタイルなんてしたことがありません。
『でも、その割に、自分で四つん這いになって、尻を突き出してるんだろ? やっぱり、あんなに感じさせられると、恥ずかしさよりも、快感なのかよ』
 恥ずかしそうな声のワリに、素直に従っているのを聞いてしまえば、ついさっきのセックスのすごさが、そうさせているのかと、焦りのようなモノを感じてしまうのです。
「ああぁ、こんなの、はずかし過ぎです  ……ぅうう! ああん!」
 一瞬で甲高い声が出たのは、挿入されたからでしょう。
「おう、どうだ、こっちの方が深くなるだろ?」
「ああう、あん! あん! あん! うん、は、はいっ、はいってます、奥にぃい! ああ! いぃい! さっきと、あん、なんか、違う所、あん、あん、なんなんですかか、これぇ」
「これだと、サッちゃんの子宮を押し上げるから、これだと、もっと深くイケるハズだよ」
「なんか、身体の奥に、ズンズンくる感じです。あんっ、あっ、こ、これ、ああん、なんか、オジさんに、溶かされちゃってるみたいでっ、ああん、こ、こんなぁ!」
「うん、いいぞぉ、こうやって、子宮ごと突き上げると、面白いことになるからね」
「あぅっ、いったい、なにが、あん、す、すごいです、こんなところ、感じるなんて、オジさん、これ、なんか、奥から、きちゃう…… あれ? うそっ、うそ、うそ? あああああ!」
「お、来たなぁ。うん。いいぞ、サッちゃんの尻を全部見ながら、最高だね、尻の穴まで」
「あん、あっ、ダメ、見ないでえぇ、そ、そんなところぉ、あん、あう、あぅうう、なに? なに? これ! なにぃい! ああああ!」
「よし、一気に行くぞ!」
 バックスタイルで激しく突いている時に特有の、尻肉に身体の当たるパチンパチンという音が響きます。
 そこから、またもや淫靡な叫び声。
「あああ、あう、あぅうう、ああ、はううぅ、あう、あぁあぁ〜 あぁ〜あ」
 高く、低く、声が響き続けます。
「あああ、いくうううう」
 パンパンパンパン
 尻肉にあたる音が一気に加速。
「あん、ダメ、今、イッちゃったのに、あああん、あっ、あっ、あっ、らめ、らめえぇ。ひゃめてぇ、オカシクなる、オカシクなるからぁああ! ああ、イクッ! いくう!」
 尻肉にあたる音が急に響かなくなったかと思うと「どうだ、こういうのは? ホラ、この一番奥で行くのが、ボルチオ・オーガズムってヤツだ。ほら、イケ! サッちゃん!」
 それは完全にオンナを支配下に置いた、勝利の宣言かも知れません。
「ああああ、しゅごいぃ、こんな、んぉくにぃいい、しゅごい、しゃな、こんなの、しらない、こんなにぃ、きもちひぃいらんてぇ、しりゃないぃい、あああう、しゅごいぃいい」
「よし、もっとだ。奥の奥まで教えてやるからな」
「あぁあ、らめえ、いく、まらぁ、ひくううう! あん、サナ、壊れちゃう、ああああ、深すぎるぅ、しゅごいいいい! ああん、ひってるのにぃ、まらぁ、いくうう!」
 オーガズムに達しているのに、さらなるオーガズム。
 言葉では聞いたこともありますが、これが「ポルチオ・オーガズム」というやつなのでしょうか?
 私では届かないほど奥深くまで、大きなストロークで突かれた結果、紗奈が味わっているのは、さっきのセックスですら届いてない、もっとすごい快感世界なのでしょうか。
 明らかに、紗奈の反応が、私の知っている「妻」のものとは違っていました。
「あふぅ、あああう、あっ、あぁあん、あああ、あああ!」
 四つん這いのまま、両手で布団を掴み、我を忘れて、快楽だけにのめり込んでいるはずです。
 パン、パン、パン、パン、パン
 急に尻肉にあたる音が大きく響き、テンポが上がります。
「はうううう! あああ! まらぁあ、いくううう! あああ、もう、もう、らめえぇえ」
 ろれつが回らないほどの快感に落とし込みながら、鈴木さんの動きはちっとも止まりません。 深いストロークで、奥の快楽を教え込み、イキッ放しにしてから、激しい動きで、爆発させて、またもや深いストロークで、爆発させた快感から降ろさない。
 未知の快楽に身体を差し出しながら、妻の淫声は、時に悲鳴となり、時に、快楽の笛となって高く低く響き渡っています。
 バージンの時から私が教え込んできたセックスでは、狂ったように感じまくるなんて、あり得ないのだと思い知らされます。
 そして、二十分以上も、快楽に狂わされたバックからのセックスもついに終わりの時を迎えます。
「出すぞ、出すぞ、サッちゃんの奥に」
 もはや、ナカに出すことを、ためらう理由はないのでしょう。
 堂々とナカ出し宣言しています。
「あああ! いくぅ! いく! いくう! だ、だしてぇえ! サナの中に、オジさんを! あああ! いい! いい! い、いくうう!」
 快楽に狂わされた女体は、知らず知らずに、全力で求めてしまうのでしょう。自ら、ハッキリとナカに出してと言ってしまう紗奈。
 かすれた声がか細く伸びながら、最高のオーガズムに仰け反っている姿。
 ガクンと崩れ落ちる姿が目に見えるようです。
 はあ、はあ、はあ
「サッちゃん? サッちゃん? ああ、こりゃ、気をやってしまったか。こりゃ、暫くは使い物になんないかな? ま、二度も出させてもらったんだ」
 妻を「オナホ」のように、使いものにならないとつぶやいた鈴木さん。
 その言葉は、紗奈の意識がないから出てきた言葉かも知れません。しかし、ひょっとして、起きていたとしても、紗奈は怒らないかも知れないとも思えるのです。
 チリチリとした苛立ちが、後頭部を焦げ臭くしている、その瞬間、その声は、しみじみとした温かみを持って聞こえてきたのです。
「ありがとう」
 おそらくは意識を飛ばしている妻に向かって、本気で、お礼を言う鈴木さんに、なんだか救われた気がしたのは、なぜなのか、自分でも分かりませんでした。





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