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その5

  


 恋い焦がれるように待ち続けた、この日。
 しかし、いざ、この朝が来てしまえば「やっぱり止めよう」というセリフばかりが頭に浮かんでしまうのは、あたりまえのこと。
 これが二度目のこととは言え、妻が他の男に抱かれるという事実は、私に重くのし掛かりました。
 前回は、あくまでも「抱かれてしまうかもしれない」という危ないアバンチュールの延長線でしたが、今度は、確実に抱かれてしまうのです。
 もちろん、妻自身も、それを意識しています。
 私の心を知ってか知らずか、いつになく、美しい妻がいます。
 ボアのミニスカートに、薄手のフワフワしたセーター。どちらも白いとは言え、スカートはミルク色で、セーターは、鮮やかな白。
 普通なら、セーターのふわふわ感のおかげで目立たないはずのEカップは、鮮やかな白である分だけ、逆に強調されてしまいます。
 おまけに、シャワーは朝から三度目。私の目を気にしながらも、シャワーをしてしまう妻は、頬を赤く染めながら私と目を合わせません。
『やっぱり、これから抱かれるからだよな?』
 鈴木さんに抱かれることを、既に受け入れているんだと、心が苦しくなります。
 そして、今朝から三度目となるシャワーから出てきた妻が、上気したピンク色の頬でバスルームから出てくると、ホワッと広がる柔らかなボディソープの香り。
 爽やかなはずのボディソープの匂いが鼻腔に届いた瞬間、反射的に私の手は、妻を抱きしめてしまいます。
「あんっ。あなた。愛してる」
 柔らかな身体を預けながら、妻が優しく囁くのも何度目でしょうか。
「愛してるよ。サナ」
 新婚時代にすらないような濃密な抱擁を繰り返しながら、二人とも「この後」を意識しているのですから、馬鹿げていると言えば馬鹿げているのです。
 しかし、硬い抱擁も、思い詰めたような愛の囁きも「この後」があるからこそなのだと、知っていました。
 腕の中の愛妻は、この世の何よりも大切に思えるこの時間。
『サナはオレだけのものなんだぞ!』
 そう思いながら、白い首筋に顔を埋めて、妻の匂いを吸い込む私。 
『もう、これ以上は限界を超える』
 我慢の限界を悟った瞬間、私は、ふくよかな香りを漂わせる身体をすり抜けて、部屋を飛び出そうとしていました。
「あなた!」
 玄関を出る瞬間、そんな声を聞いた気がします。
「鈴木さん、もう来る頃だろ? オレ迎えに行ってくるから。ついでに、そのまま出かけるからね」
 振り返りもしないまま、そう言い残して、後ろ手にドアを閉めます。
「あなたっ」
 妻が最後に呼び止めたのは、果たしてどんなつもりだったのか。
 ひょっとして、最後の最後で止めて欲しかったのかと思いながら、廊下を走り出していました。
 逃げることを私は選んだのです。
 立ち止まることも怖くて、夢中になって階段を駆け下りた私に車から声をかけてきた人がいます。
「おはようございます」
 来客用の共用駐車スペースに止まっていた車は鈴木さんでした。
「あっ、おはようございます」
「まだ、だいぶ早いですけど、待ちきれませんでした。いやあ、年甲斐もなく、お恥ずかしいです」
「い、いえ。あの…… どうぞ。紗奈は、とっくに準備してましたから」
「おぉ、そうですか、そうですか」
「きっと、今も待ちかねてると思いますよ」
「ええ。そうみたいですね。ほら、あそこから見てますよ」
「え?」
振り返って見上げると、窓に見えるのは紗奈。表情までは見えなくても、一目で心細そうな様子が見て取れます。
 しかし、その姿も一瞬で、すぐ、恥ずかしそうに引っ込んでしまいました。
「じゃ、交代ですね。あ、約束は守りますけど、くれぐれも、今日は、見るだけですよ? もしも、守っていただけないと、サッちゃん、壊れちゃいますからね」
「はい。よろしくお願いします」
「いえいえ。こちらこそ、よろしくですよ。今日も、う〜んと可愛がりますからね」
 車から降りながら、人なつこい笑顔を浮かべる鈴木さん。
 しかし、降り立ったコート姿は、なんとなく奇妙な雰囲気です。
「ああ、これかい? 実はね」
 ニヤリと笑った鈴木さんは、私に顔を近づけて「下は何も着てないんだ」と言ったのです。
「えええ?」
 確かに、ロングコートから除く痩せた脚からは、肌色が覗いています。
 思わず目をパチパチと瞬いて、鈴木さんの顔を見てしまいます。
 そんな露出狂のようなことをしたら紗奈が引いてしまうのではないかと心配したのが分かったのでしょう。ニヤリと笑って頷きました。
「大丈夫だ。これが一番良いんだよ。今回は、多少、力業で行かないと。って言っても、別に、無理やりってワケじゃないんだよ? ただ、サッちゃんが、自分に言い訳できないとダメだからね」
「自分に言い訳?」
「そうだよ。あの時は、仕方なかったんだってね。そうやって、オレに馴染んでもらわないと、真面目な性格だけに、悩んじゃうだろ?」
「そ、それは、あの、でも」
「言ってたよね? サッちゃんには『この間みたいにしてもらえ』って言ったって。ってことは、サッちゃんからすると、抱かれるって事を承知したんだよ?」
「ええ。だから、もう、することは、OKしてるんですよね?」
「いや、OKしてるからこそ、後で、自分への言い訳ができないとダメなんだよ」
「でも……」
「本条君?」
「はい」
「君は、これが最後で、満足かい?」
「え?」
「本当は、もっと、もっと淫らになっていく奥さんを見たいんじゃないか?」
「もっと、淫らになっていく紗奈……」
 見たくないと理性は思っているのです。
 それも強烈な光を帯びて「ダメだ」と叫んでいます。
 しかし、同時に、腹の下の方に、強烈にドロドロとした何かが、私の首をタテに動かしていました。
「うん。そうだよね。こういう世界を一度知ってしまうと、なかなか、止まらない」
 ウンと、頷いた鈴木さんは、あのね、と付け足します。
「今回、うやむやのウチに、セックスしちゃえば、次からは、会いさえすれば、いつでもOKの関係ってことになる。きっとね。いわば、これは、その下地だよ」
「いつでもOK…… ですか」
「そうだよ。今日、上手く持っていけば、次は身体が覚えてしまってね」
「身体が、覚える」
「そうだ。オンナはね、何かの理由を自分に言い聞かせて、イカせられまくれば、その後も、抱かれる理由を自分に言い聞かせてしまう。そして、ね、三度目からは」
 鈴木さんの目には、深い光が浮かんでいて、私は、吸い込まれそうになりながら「次は三度目になる」という言葉が、頭に浮かんでいます。
「もう、その後は、今さら無理に断れないと自分に言い聞かせちゃうんだよ。身体が、快感を覚えてしまうんだろうね。理性ではなく、子宮が、それを求めちゃうんだろうね」
「でも、そんな風に上手く……」
「ははは! 上手くか? いや、自分の奥さんが、いつでもオレに抱かれちゃうようになるってのを、上手くいくっていうのもすごいね」
 あっと私は慌てて口を塞ぎました。
「ゴメンゴメン。いいんだよ。それで。夫婦にはいろいろな愛情の形もあるし、趣味もある」
 私の二の腕をポンポンと叩く姿は、後輩をいたわる先輩の姿です。
「あのさ、こういうのって、無限ってわけじゃないけど、ある程度までは、どんどん、次の刺激が欲しくなってしまうんだよなぁ」
 ニヤッと笑うのかと思うと、真面目な貌になって、私の両肩をグッと捕まえました。
「こういうのは君が下手に暴走しちゃうと、サッちゃんが可哀想だからね。しばらく、私に任せなさい。ちゃんと、二人が幸せになれるようにするからさ」
 肩を掴む手にグッと力が入ります。
 しわが刻まれたその手には、なぜか頼もしさを感じさせました。
「それに、サッちゃんも、オレに抱かせるように仕向ける君のやり方が、本気で嫌なわけじゃないらしい」
「そうなんですか?」
「うん。むしろ、今まで秘めていたマゾッ気が出せて、段々と、自分が解放されてきた感じじゃないかな? もっともっと、美しくなるし、君への愛情も、もっと深まるはずだ」
 静かな声でした。
 その声に魅入られたように、私は返事ができません。
 頭の中では、前回、紗奈がイカされ続けた時に啼いた、信じられないほど切ない甘さを持った淫声が響いていました。
「まあ、それは今日、聞いていれば分かるだろう」
 トンと肩を叩いた手に、私はこの世に引き戻されます。
 振り返れば「じゃ、行ってくるよ」と颯爽とした風と共に去って行く姿。
 不自然な服装の、どこにでもいるオジさんの飄々とした歩く姿を茫然と見送りながら、第六感が、視線を察知しています。
『紗奈のヤツ、今、こっちを見てるな……』
 眼だけをカーテンから出して、私とのやりとりを見ていたはず。もちろん、会話の内容までは分からないとしても、このままでいるわけにはいきませんでした。
 私は、知らんぷりをして、自分の車に乗ると、静かに発進させたのです。
 アクセルに脚を乗せて、そろりと発進してから片耳にイヤホンを入れた瞬間でした。

 ピンポーン

 イヤホンから聞こえてきたのは、我が家のチャイム。
「は〜い」 
 小さく聞こえた声は、嬉しそうにとも思えるトーンです。軽やかな動きの気配が玄関に向かいます。
「これで、こっちを見てない…… と」
 遠い声で聞こえていたのは、さっきの返事とは打って変わった、ややぎこちない「いらっしゃいませ」の声。
 車に乗り込むと、ゆっくりとマンションのすぐ脇にあるパーキングに止めてしまいます。
 この場所は我が家からの死角になっているのはチェック済み。逸る心を抑えて、改めて聞き耳を立てると、今度はガチャリとドアが閉じる音が明瞭に響きました。
 今回、マイクは寝室に仕掛けてあります。二人は挨拶もそこそこに、いきなり夫婦の寝室へとやってきたのです。
「さて、サッちゃん、今日は、たっぷりとさせてもらうよ」
「もう〜 オジさん、あのやっぱりお話だけだと…… あっ、それは、あの、でも、やっぱりここでは、んっん、んぐっ、んぐっ」
 いきなりのキスでしょうか?
 くぐもった声。
 しかし、身体を振って抵抗しているような気配は、まったくありません。
「さっそく、しようね」
「あんっ、ダメェ、キスは、ダメですっ、んっ、んっ、んっ」
 ダメと言う言葉を塞ぐように、何度も、何度もキスをされているのでしょう。
「ダメダメ。ほら、こんなになってる。乳首は、とっくに硬くなってるじゃないか」
「オジさんてばぁ。こんなのダメェ。やっぱり、ダメです、ああぁ…… だめぇ」
「そんなに、恥ずかしがらないで良いんだ。ほら見てごらんよ」
 次の瞬間「キャッ!」と抑えた悲鳴。
「オジさんったらぁ! もう! あん、なんで、裸なんですか]
「ほら、こうなってる」
「こ、こんなに。もう」
「そうだよ。楽しみにしていたし。今のキスは、実にエッチに舌を合わせてくれたからね」
「これ、大きくなってるんですよね」
「まだ、完全じゃないけどね。知ってるだろ? もっと、もっと大きくなる」
「あ、で、でも、あの、こんなに、だなんて」
 困惑の声の中に、微かな媚態の匂いを感じてしまいました。
「まあ、サッちゃんからのお誘いかと思うと、朝から、けっこう元気だったしなあ」
「わ、私、誘ってなんていません!」
「え? 違ったのかね? サッちゃんが、私を招待してくれたと聞いたのだが。ひょっとして、オレの勘違いだったか…… すまん。そうだよな、サッちゃんみたいに綺麗な人がオレなんて……」
「あ! ち、違います、えっと、あの、確かに、ご招待しましたけどぉ」
「この間みたいにさせてくれるって言うのも、オレの勘違いかい? もしも、勘違いなら、もう、オレ、こんな喜んで、張り切って来ちゃって、バカみたいじゃん、ああ、なんてことだ」
「違います! 勘違いじゃなくて! あっ、で、でも、だからって、こんなカッコウで来るなんて」
「オレは、さ、今日、招待してもらって、どれだけ嬉しかったから、感謝の気持ちを見せるなら、これしかないって思ってきたんだけど」
「だけど! それって、ちょっと、ですよぉ」
「ほら、サッちゃん、オレの勘違いじゃないって言うなら、もう一度、だ」
「あっ、んっ」
 再びのくぐもった声にならない声を、私の耳はハッキリと二人の気配を捉えていました。
 カタチばかりの微妙な抗いすら消えてしまっています。
 脳裏には、まるで恋人同士のように、しっとりと抱き合う二人が浮かんでいました。
『キスしてる…… 抱き合っているんだ……』
 今この瞬間も、鈴木さんと舌を絡め合い、唾液を飲まされている妻が脳裏に浮かんで、途方もない後悔の痛みが心を襲います。
 わずかにピチャリと音を時折させて、沈黙の時間が五分ほども続いたでしょうか。
「ふうっ 少しだけ安心したよ」
「も〜う! でも、こんなにいきなりだなんて、びっくりですよぉ」
 そこにあるのは、非難ではなく、心を寄せた恋人に甘えるオンナの声そのものでした。
「いや、これだけじゃ安心できないなあ」
 一瞬の沈黙。
「サッちゃん、じゃあ、ほ、ら、ちゃんと確かめてみようね」
「え〜 あんっ、いやっ、キャ、ダメぇ! ちょ、ちょっと、いやん、あああん」
 いきなりの甲高い、嬌声です。
「おぉお! 濡れてるね、グショグショだ」
「いやん、あぁ、言っちゃ、イヤん、あん、えっちぃ」
 オマンコを弄られているはずの妻の声には、ハッキリとした淫靡な甘えがありました。
 子宮の奥まで差し出してしまった相手に見せる、甘やかな声。そこに、言い知れぬ媚態が自然に混ざっているのは、女という生き物の本能なのかも知れません。
「嬉しいよ。こんなに濡れてるなんてね。さ、脱いでしまおうか」
「あのぉ、やっぱり、手じゃ……」
「もちろん、ダメだよ。サッちゃんの美味しいオマンコを、たっぷりと使わせてくれる約束だろ? しかも、こんなに濡らしてるんだ。こんなに濡れるんなら、いつだって、ヤッて上げる」
「そんな。お願い、だめよ、これが、最後だって…… あぁあああ」
 ネットリとした声は「これが最後」という言葉を自分でかき消している響きです。
「安心して。サッちゃんがイヤなら、もう、しないから。でも、こんなに濡れてるんだから、サッちゃんだって、気持ちよくなりたいはずだよ。ほら、こうなってる」
「ああああん、だめぇええ、あうぅうう」
「こんなに濡らしてるんだ。これからもいつだってして上げるからね」
「そんなぁ、ダメです。これが最後って言ったの、ああん、あん、ダメッ、あぁあ!」
「ほら、今日も、ちゃんと腰が抜けるくらい気持ちよくするからね」
「そんなぁ、ダメです。そんなのぉ」
「この間よりも、もっともっと気持ちいいよ。サッちゃんは、もっともっと、感じるようになるし、エッチになるからね」
「そんなの、イイです」
「大丈夫、これから、もっと大人になるんだよ。大人の女性にね。もっと、もっと、だ。いっぱいして上げる、いつだって、こんな風にね」
「あぁぁ」
 その時、微かに聞こえたのは、ため息だったのでしょうか。あるいは、羞恥を誤魔化そうとしてでしょうか。
 しかし「もう、しない」と言う意味の言葉は、そこから一切、聞こえてこなかったのを、私は、意識していました。
 うやむやのウチに「これから」を意識させられて、紗奈は、それを否定できなかったのです。
 圧倒的な快感の記憶がそうさせたのでしょうか?それとも、もはや拒絶できないほど、鈴木さんの存在が大きくなってしまったからなのでしょうか。
 ともかくも、妻が、その肉体を、これからも明け渡すことを、否定しなかった…… いえ、否定できなかったという現実に、改めて打ちのめされてしまいます。
 そのくせ、股間だけが異様に熱くなって、カチカチのモノをズボンの中でズラさねばなりません。鈍い快感が、私を襲い、危うく暴発しそうになるのを歯を食いしばってこらえました。
「えっ、あん、そんなぁ、ちょっと、あの、あんっ、あ、自分で脱ぎますから」
「いいんだよ。脱がすのも、男の楽しみだからね。おぉ、可愛いブラジャーだね」
「あっ、あんまり見ないでくださいよぉ」
「はい、隠さないで。おおぉ、乳首がこんなに尖ってるね。オッパイ、良い形だよ」
 チュッと吸い付く音と、微かな「あん」という声。どんどん、鈴木さんのペースになっていきます。
「さ、可愛いパンティーも。おお! すごい! 糸を引いてる」
「あん! だめ! 見ちゃ!」
「いやいや、うん。これは、記念にもらっておこう」
「そんな、ダメッです」
「ほらほら、ダメダメ。こんなに濡れてるんだし」
「あんっ、あああんっ、だ、めぇええ」
「よしよし。じゃ、こんなになってるし、早く、入れて欲しいだろ?」
「そんなことないですけどぉ、お、オジさんが、早くしたいなら……」
 消え入りそうな声のサナですが、ベッドの軋む気配は、仰向けになったようです。
「さぁて、と、じゃあ、これだけ濡れてるんだし。まずはくっつけさせてもらおうかな」
 言葉は丁寧ですが、有無を言わせぬ響きがありました。それこそは、目の前の女体の心を征服したのだという自信の表れなのかも知れません。
「はい。ど、どうぞ、んっ、あぁあん」
 いきなりの淫靡な嗚咽。
「ああぁあ、オジさん、もう、は、はいちゃってますよぉ、ああんん、これぇ、入っちゃってますぅう、こんな、いきなりなんてぇ、あああん」
「なあに、半分も入れてないんだ、くっつけるのと同じだろ? ほら、確かめてみればいい。な?」
「あぁん、だけど、こ、これ、もう、深くてぇ、あ、ぁう、入っちゃってます、ああっあ!」
「だけど、ほら確かめてごらん。半分も入ってないんだから、このくらいは、くっつけているようなものだろ? くっつけただけなのに、ずいぶんとイヤらしい声をあげるんだな」
 からかうような声に「いやぁん」という声は、媚態そのもの。
「あぁ、いやぁ、あぁん、だ、だってぇ、これっ、あん、あんっ、あっ、だ、だめ、これ、ああん、これじゃ、入っちゃってますぅ、ダメなのにぃ」
「え? ホントにダメなの? オレはそのつもりで来てるのに。まさか、ここまで来て、入れちゃダメなんて、殺生なことを言うのかい?」
「あっ、だ、だっ、てぇ、あああ、ダメじゃないけどぉ、だめぇえ、こんなぁ、いきなり、ああん、だ、だめぇ」
「え? ダメ?」
「ダメじゃないけどぉ、ああん、あっ、ダメ! 動いちゃ、だめぇえ!」
 矛盾した声を上げながらも、もはや、それは「ダメ」ではないダメを繰り返してしまう妻。
「ね? いいよね? ホンのちょっとだから、いいだろ? ね? どう? ほら、サッちゃん、オレのために、ボランティアしてくれるんじゃなかったの?」
「あっ、あっ、あっ、あっ! ああん! ああう、はううう!」
「どうだい? ほら、どうだ? このくらいなら。どうだ、おお、子宮口だ、よし、ここを押し上げるくらい良いだろ?」
「あううう! あっ、うっ、す、うぐぅうう、す、すごいぃい」
「ほら、ほら、どうだ? イイだろ? こういうのを入れるって言うんだ」
「あああん、だめぇ、あうぅうう! おか、し、く、ああん、あっ、あ、そ、そんな、あん、あん、あん、あん、あっ、あああ!」
 私とのセックスを考えれば、あまりにも早過ぎますが、その声は、まさに、オーガズムが迫っている声でした。
「ほら、どうだ? サッちゃんは、これからも、いつだってボランティアしてくれるんだろ」
「あっ、だめぇ、あん、ああああ、いく…… え? あぁ…… そんなぁ」
 すぐそこまで来たオーガズムが、まさにパチンと全身を弾けさせようとした瞬間、妻の声が、ぷしゅ〜っと、気が抜けた、無念の声。
 目一杯膨らませた風船の栓を抜いてしまったかのような、その落胆は、まさに女体にフタした特大の「栓」を抜かれてしまった姿なのだと、ハッキリと「見え」ました。
「どうだい? 入れても良いよね? これから、いつだって」
「も〜 今だって、入れてたじゃないですかぁ」
 その声はネットリとした媚びを孕んでいます。妻の長い脚は、再び挿入して欲しくて、大きく広がっているはずでした。
「だって、ちゃんと、サッちゃんが、『イイです』って言ってくれないと、まるで、私が誤魔化したみたいになっちゃうだろ?」
「あああん、だってぇ」
「これからは、い〜っぱい、ボランティアしてもらわなきゃならないのに。ほら、イイだろ? 言ってごらん」
「だってぇ、そんなのぉ…… ああ、ダメェ、胸、そんな急に! あぁああうぅ」
「ほら、言ってごらん?」
「んっ、あん、あっ、あう、ぁあああ!」
 甲高い淫声は、錐の先のような鋭さを持っています。
「ほら、乳首だったこんなに硬くなってるだし、さ。ね? いいだろ? ちゃんと、サッちゃんが良いって言ってくれないと、安心して続けられないから」
 妻の胸を弄っているのだと、なんとなく分かりました。錐の先端のように鋭い反応は乳首を転がされているからかも知れません。
「ほら、これからも、ちゃんとボランティアしてくれるんだろ? イイですって言ってごらん。ほら、入れても良いだろ?」
「ああん、もう〜 イジワルですよぉ、そ、そんなこと、私、あん! も、ああん、ちょ、ちょっと、オジさんんてばぁ、あああぁん、もう!」
「さあ、サッちゃんの口から、ちゃんと言葉で許してくれないと、入れられないよ? サッちゃんのオマンコに、いつでも、入れて良いんだよね? ほら、イイって言ってごらん」
「あああん、そんなぁ」
「ほら、これから、いつだって入れて上げるよ。ほら、言ってごらん」
「ああぁ、ダ、ダメェ、あっ、そ、そんな、ああああん! あっ、また……」
「ほら、言ってごらん、イイって言って。入れてイイって。いつでも入れてイイって、言わないと」
「ああん! あっ、そんなぁ」
 危険な言葉遊びでした。
 何度も、オアズケされるオーガズム。
 焦らされた子宮が、弾けるためには、再び、目一杯、入れてほしいのです。
 オスのペニスが必要でした。
 しかし、さりげなく混ぜられている「これからも」と言う言葉が、妻の理性に、チクチクと刺さっているのでしょう。
 もしも「イイ」と言ってしまえば、認めたことになるのだという「理性」は、全身が求めてしまうオーガズムへの焦燥と戦っているはずでした。のです。
「ほら、どうだ? また、くっつけるよ」
「あああん!」
「どうだ? 入れてもイイかい? 奥までたっぷりと」
「あああ。もう〜 ずるいぃ、ズルいです、こんなのぉ、もう、入っちゃってるのにぃ」
大きく広げられた脚の間で、特大の怒張を触れんばかりにして――いや、実際に触れているかも知れませんが―― 目の前の「イイ」を言ってしまうのか…… 
「あううう!」
 切羽詰まった声は、またもや半ばまで、埋め込まれたからでしょう。しかし、すぐに、またもや「あぁあ」と切ないため息。
 欲しくて欲しくて仕方ない絶頂は、目の前にあるのに届かせてくれません。
「ほら、これからもたっぷりして上げるよ。イイかい? ほら、奥まで良いのか?」
「あああ、そんな、もう、あああ、こんなの、あぁあ」
 甘やかなオーガズムを目の前に「お預け」を食らってしまうと、もはや限界だったのです。
「あああ! ど、どうぞ……」
 少しくぐもったその声は、華奢な両手で、顔を目一杯押さえているに違いありません。
 羞恥に堪えない、あるいは良心の呵責に耐えられないはずの、その言葉。人妻として、言ってはならない屈服の言葉を、そうやって、口にしているはずでした。
「ほら、ちゃんと言わないと。おもいっきり、イキたいね?」
「あああ!」
 一瞬、灼熱の怒張に満たされる快感を期待してしまったのでしょう。屈服を、一度言葉にしてしまった唇は、鈴木さんのダメ押しに、もはや、耐えることなどできなかったのです。
「ああ! オジさんの、入れて良いです。今日は、好きなようにしてください」
 悲鳴に近い、その言葉には、妻として「今だけ、今日だけ」を込めようとしている、せめてもの抵抗。妻が愛おしくなってしまいます。
「違うだろ? ちゃんと言うんだよ。イイですって、一言だけいうんだ! ほら、これからもいつだって、入れて良いね? これからは、いつだって、入れて良いんだろ?」
「あぁ、だってぇ! そんなの!」
 か細く残った理性で、危険な言葉遊びを回避しようとした懸命の抵抗も、ダメを押されてしまいます。
「ほら、サッちゃんだって、オマンコに入れて欲しいんだろ? ん? ダメダメ、ちゃんと、一言、イイって言わないと動いて上げないよ」
「あああん、ズルい、ズルいです。イジワルっ! でも、もう!」
 束の間の沈黙。
 しかし、その沈黙は三秒と経たないうちに破られます。
「あぁ、もうダメぇ」
 哀しげな声が、そう噴きこぼれた次の瞬間でした。
「イイですっ! 入れてイイですからぁ…… お願いっ」
 切ない声がハッキリと叫んでいたのです。
「おおお、とうとう言っちゃった。入れて良いって言っちゃったからね。さ、これからもたっぷりとオマンコして上げるからね」
「あああ! もう! イジワルなんだからぁ! ああん、もうダメッ、オジさんのを、ください、あああ、お願い、奥まで!」
「違う、違う。こう言うんだよ」
 ホンの一瞬の間は、紗奈の耳に、セリフを仕込んでいたからでしょう。
 妻の理性は、囁かれたセリフを口にするのを、ためらうほどには残されていなかったのです。
「つ、使って! いつでも、使ってください!」
 叫ぶように…… いえ、この瞬間、妻は理性を捨ててしまったはずでした。鈴木さんに囁かれるままの「約束」を口にするしかなかったのです。
「サナのオマンコを使って! いつでも良いからぁ、あああ、お願いよ! 動いて! 奥まで! あああ! すごい! 深いぃい!あああ! あああ! いくうぅう!」
 あっという間に、噴き上げられたオーガズムに、甘やかな悲鳴を上げながら、強烈に、背中を仰け反らしていたはずでした。
 その瞬間、マイクの前で繰り広げられる「光景」が、見えた気がしました。
 私だけのものである妻のオマンコに、鈴木さんの特大怒張がズブリ、ズブリと抜き差しされている光景が、鮮やかすぎるほどハッキリと、脳裏に浮かびます。
「はうううう! いくうううう!」
甘く切ない鳴き声は、寝室いっぱいに響き渡ります。
「ああん、はあう、あううううぅうう! あぁん、いいい、あ、すごいぃいい!」
 ようやく満たされたオーガズムに、紗奈の脳は快楽の白い炎に焼き尽くされていました。
 そして、私の心は、嫉妬の黒い業火によって焼き尽くされていたのです。
「はううう、あう、あ、あっ、も、もう、はふぅうう、あっ、あっ、あっ、あああ、もう、あああん! あううう! またぁあ! いくうぅう!」
 いつまで続くのかと思う声はいつの間にか、甘やかなオーガズムを告げています。
「はう、ああぁ、もう、ああぁ、ダメェえ! ああううう!」
 押し上げられた絶頂から降りる暇も与えられぬ紗奈は、快楽の絶頂の稜線を無理やり辿らされていたのです。
「あああ、あああ、あうぁあああああ」
 耳を塞ぎたくなるような、妻の切ない絶叫。
 私は、その声をかき消すように、叫んでいた気がします。
 ハア、ハア、ハア
 いつまつづくのかと思った、甘やかな悲鳴がいつの間にか、静かになっていました。
 ハア、ハア、ハア、ハア
 微かに聞こえるのは、妻の荒い呼吸音と己の息づかい。
「んっ」
 ぬちゅ、ちゅっ、ぐちゅ、んふっ、んんっ、んっ
 小さな呻きの後に聞こえてきたのは湿った音。
 それは、唇と唇が、舌と舌とが絡み合い、唇をむさぼりあう、男女の音でした。
 そう…… むさぼり合う姿。
 浮かんでくるのは、不思議と「むさぼられる」姿ではありません。妻も積極的に、舌を絡め、鈴木さんの唾液を飲み込んでいる姿なのです。
 快感に満ち足りた女体は、与えてくれた男に、全てを捧げたくなってしまうのが本能なのでしょうか?
 あの、瑞々しい唇も、艶めかしく蠢く舌も、全てを鈴木さんに差し出し、妻自身も、むさぼっているに違いないのです。
 一分、二分…… 五分? 
 無限にも続くかと思う、キスの音の果てに「ああん!」という、甲高い声が、キスの終わりを、いえ「二度目」の始まりを告げたのです。
「あん、あっ、あっ、あぁあ、あああっ、す、すごいぃ、あっ、あっ、あっ」
 絶え絶えに上げる声は、追い詰められた息継ぎにも似た、切ない喘ぎです。
「そうだ。教えてもらう約束だね」
 妻の中で動き続けているはずなのに、驚くほど、鈴木さんの声は普通です。
「んっ、なんですか? んっんぅ、ダメぇ、あん、強いぃ、あああん、あっ! あぅう!」
「昨日のオナニーは、オレのチンポを見ながらしたね?」
「ああん、だめっ、あっ、あっ、はげしっ、あんん、あうぅ」
「ほら、ちゃんと教えるんだよ。送ったチンポの写真を見ながら、オナニーしたんだろ?」
「ああう、あう、だめぇ、はげ、し、すぎ、る、うううう、あぁ、あっ! い、いっちゃう、あ! いやあん!」
 イキそうな瞬間、またもや抜かれてしまったのでしょう。悲鳴にも似た声が上がります。
 もはや全身で「イク」ことを期待している身体は、こうして「オアズケ」されてしまうと、それは拷問そのものです。
「ほら、イキたいだろ? どう? チンポ見ながらオナニーしたね? ちゃんと、言わないと」
 またもやオアズケされたオーガズム。こうなってしまえば、一度味わっているだけに、妻の気力も、羞恥も、極限まで小さく剥ぎ取られているのと同じでした。
「あああん、もう〜 いじわるぅ、ご、ご想像にぃ、おまかせ、あぅう、あっ! しますぅううう! あうう! そんなあ、あん、いやん、うそ、だめです、こんなの、うっ、だめ、ああん、あぁあ、ダメェ、イクッ」
『イッた? いや、それにしては、ヘンだ?』
 確かに「イク」と言ったはずですが、何とも切ない未練に満ちた声です。
「あああ、ウソっ、そんなぁ……」
「ね? イク瞬間に抜いちゃうと、イッちゃっても、もっと欲しくなるでしょ?」
「ああん、いじわるですよぉ、こんなの」
 なんと非情なやり方をするのかと、あの「柔和な鈴木さん」がしていることとは思えません。
 イク瞬間に抜いてしまえば、そのオーガズムは、満足よりも、もっと大きな不満をみなぎらせてしまうに決まっています。
「あん、もう〜」
 声が震えていました。今、イッたばかりなのに、ずっとオアズケされている、いえ、もっとひどい焦らしをされた怨みが、込められていました。
「ほら、どう? まだ、我慢してみる? なんなら、一回ずつ抜いちゃおうか? そうしたら、イケそうだけどイケなくって、しかも、それでイッちゃっても、もっと欲しくなっちゃって、どんどんヤらしくなるよね?」
「ああん、イジワルですっ、オジさんっ、ああん! あっ、もう〜」
 そこにあるのは「媚び」でした。
 心まで蕩けさせて、快感の果てを求めてしまう「女」がいるのです。その声を聞いてしまうと、嫉妬とも、怒りとも、羨望とも言い切れない何かが、腹の底の方でグラグラと煮えたってしまいます。
 それは、今すぐ、とって返して、二人を殴り倒してたくなる嫉妬でした。しかし、逆に、この目で、甘やかな快感に焦らされている妻を見てみたいという欲望でもあります。
 二つの気持ちがドロドロに絡み合って動けない私は、ただ、立ち尽くすしかありませんでした。
『紗奈…… もう、君は鈴木さんのモノを欲しがってるんだね』
 私の肉体は、他のあらゆる感覚を閉ざしてしまい、意識できるのは、股間が鉄のように硬直していることだけです。
 そのくせ、耳は、普段以上にビンカンになっています。隠されたマイクの前で展開されている、男の意のままになろうとしている妻の息づかいまで、ハッキリと聞き取っているのです。
「あぁあ、オジさん、ね? も、もう…… あぁあ、お願い、ねぇ」
 ついに耐えかねたのか、ネットリした声で、オーガズムの爆発をねだってしまう紗奈。
 くっきりした灼熱のオーガズムを待ちきれず、妻の身体は快感を求めてしまうのです。
 ウネウネといやらしく腰を振り、さらなる快感を求めた美肉は、奥の方まで、イソギンチャクのように蠢いている姿が目に見えるようでした。
「イカせて欲しいだな? ここを、ほら、これ」
「ああん! あん、あ、も、もう〜」
 おそらく、敏感な乳首でも摘ままれたのでしょう。鋭い声が一つ上がりましたが、しょせん、それはイカせる気のない、戯れに過ぎません。
 オーガズムに昇華できない不満が、甘やかな声にハッキリと浮かんでいます。
「ほら、ちゃんとイカせて欲しいだろ?」
「ああん、だってぇ、こんなの、あぁん、オジさんがぁ…… あぁあ、こ、こんなのっ、ズルいですぅ〜 あぁん」
「苦しいんだろ? でも、だ〜めだよ。ほら、エッチなことでも、なんでも、正直に答える約束だったろ? ほら、ちゃんとイカせて欲しいだろ?」
 一瞬の沈黙。
「おお! サッちゃん、なんだ。頷いちゃうんだぁ」
 私には分かります。その声は、ハッキリと私に向けられたモノ。お前の妻が、私にイカせて欲しいと頷いたんだよ、と。
「あああん、言わないでぇ、んっ」
 甘えた声の後で、声が詰まったのは、ひょっとして妻〜キスを求めたのかも知れません。
「うん、うん。サッちゃんからキスをおねだりされると嬉しいねぇ」
「あん、そんな、言っちゃダメですッ、あぁん、私、どうしちゃったんだろ、んっ、あぁん! 先端、あん、ダメぇえ!」
 乳首を弄られているのでしょう。先鋭化した快感が、妻の声を、恋人同士のセックスで甘える女にしていました。
「さあ、ちゃんと答えてくれたら、思いっきりイカせて上げるよ」
「ああん、もう〜 ひどいです、これぇ、ああん、あん、あっ、もう〜」
  ほら、イカせて欲しいんだね? なんでも喋るって約束だよ?」
 イカせて欲しいのだろうと言われても、もはや、それを否定する見栄も張れないだけ追い詰められているのです。しかも、こうしている間も、サラサラとイヤらしく撫でつける手は、ジリジリと快感を送り込んでいるに違いないのです。
「ああん、あっ、あんっ、ああ、もう〜 ね、オジさん、もう、辛いです、お願い、もう、ね? あああ、お願い、し、ま、す、あぁあ、お願い」
 しかし、鈴木さんの答えは一つも聞こえず、ただひたすら、入れられた瞬間の歓喜の声と、抜かれる瞬間の失望のため息。
 二つが交互に繰り返しながら、緊迫した空気が盛り上がっていきます。
 時折「イクッ」と小さく聞こえるのですが、そこにはちっとも満足がありません。むしろ、オーガズムを重ねれば重ねるほど、大いなるオーガズムを欲しがるような、そんなイキ方です。
「ああ、オジさん、もう、ね、お願い、あああん、あうう! もう〜 ひ、ひどいですぅ、あああん、また、イクッ ……あぁああ あん、おう、なんでも言いますから、お願い、く、ください、ちゃんとぉ、オジさん!」
 イッてもイッても、灼熱の快感を与えられない空しいオーガズム。この切ないイキ方で、六度目を迎えたとき、妻はついにネを上げてしまったのです。
「ああ、お願い! もう、我慢できませんから! なんでも言うから、お願い! ちゃんとイカせて!」
 ひときわ大きな声。
 それは、最後に残った理性と羞恥とが、はじけ飛んでしまった声なのかもしれません。
「じゃあ、約束だよ?」
「ああ、でもお、オジさんっ、あぁあ、ダメ、我慢が、お願い、早く、ねぇ!」
「良い子に喋ったら、思いっきりイカせて上げるからね、さ、さっきの質問だ、ほら、全部、答えるまでは、いくらでもこのままだからね。オレのチンポを見てオナニーしたんだろ?」
「あああ、もう〜」
「言っとくけど、もしもウソをついたら、サッちゃんのオマンコの締まり具合で分かるからね」
「ああん、もう〜 ああんん、あん、だめぇえ、そんな、エッチですよぉ。そんなのぉ」
 微かに聞こえてくる湿った音は、鈴木さんに舌を入れられて、吸い付いているシーンを想像させてきます。
 その姿は文字通り、身も心も鈴木さんを受け入れてしまっているのだと告げられている気がしました。
「あああんん! もう〜 こんなこと、誰にも言えないのにぃ」
「サッちゃん、ほら、あ〜んだろ」
 ん? あ〜ん?
「ほら、どうだ? おお、素直だね。美味しいかい?」
「……あああ、お、おいしいです」
「うん、うん。ホントに美味しそうに飲み込むね。おやおや、震えてる。こんなオジさんの、つばを飲み込んで、イッちゃったんだね」 
「あぁ、いやあ、言わないでぇ」
「サッちゃんは、こんなオジさんに、つばを飲まされてイッちゃう、エッチな子なんだ。ほら、もっと欲しいだろ? さ、喋ってん。オレのチンポを見て、オナニーしたってね」
「あああ、そんなぁ、ああ、ひどいです…… わかりました…… し、しました。オジさんのち……」
「チンポだよ」
「あああ、チンポの写真を見てたら、あぁああ、あの時を思い出して、しちゃいました。あぁあ、だからぁあ、あっ、イクッ」
「おお、なんてエッチな子だ。オナニーの告白をしてイッちゃうなんて」
「あぁあ、すっごく恥ずかしいのにぃ、オジさん、ひどいです」
「ほら、ご褒美だ、そらっ!」
「ああああ! あああ、あううう、いくううう! あうう、いくうう!」
 何とも恥ずかしい告白をさせられた後だと言うのに、女の満足に満ちているのがハッキリと分かる淫声でした。
しかし、妻に安息は与えられません。
 聞くだけでも恥ずかしくなるような快楽の嗚咽の余韻が、耳に残っているというのに「次」が始まったのです。
「ああん、あっ、あっ、ね、もう、もう、イッちゃったの、あっ、あっ、あぁ、また、あああん、あう、うそ、こんなの、あ、あう、また、イッ……  そ、そんなあ」
「おやおや、なんてことだ、またイキたくなったのか。よし、次の質問だよ。昨日、約束通りにしたか? 胸元の開いた服で、店長の机を拭いたんだろ? ほら、ちゃんと喋る約束だろ」
「あっ、そ、そんなのぉ、あっ、だめっ、いやぁん」
 一体何をしたのでしょうか。
 妻のためらいは、一瞬で、突破されてしまいます。
「んっ、拭きました。ジッと、視線が…… ああぁ、見てました。見られちゃって……」
「感じたな? 乳首を立たせてたんだろ?」
「あぁあ、だってぇ、店長の視線、エッチだったからぁ、ああん!」
「オナニーしながら、思い出したんだな? 店長のエッチな視線を」
「んっ、んっ、す、少しだけです、ホントに、少しだけ……」
「今度はノーブラでやってやれ。この乳首まで見せるんだよ。硬くなった、ヤらしい乳首を見せてやれ」
「ああん! ダメッ、乳首、そんなに触ったら、オカシクなっちゃぅからぁ、ぁあん、できません、そんなはしたないことぉお! あああん、い、いい!」
「おおっと、サッちゃん。店長の視線を思い出して、オナニーしたのに、オッパイを見せるのはイヤなのか?」
「ああん、だってぇ、そんなこと、できないっぃ、あああん」
「スケベになったな、いや、これがサッちゃんの本当の姿だったんだよ。どうだ? 感じただろ? 尻を触られ、オッパイを見られて感じるてる…… な? エッチなサッちゃん」
「あぁあ、だって、だってぇ、ああぁ、また、ああぁ、あ、あうぅ、いくっ! あああん!」
「ほら、言うんだ」
 またもや、モゾモゾとした間。
「あああ、そんなあぁ、ああ、さ、サナは、店長にお尻を触られて感じちゃっています! あああ、ひどい、ちゃんと言ったのにぃ」
 声が震えているのは、こみ上げてくる快感のせいなのでしょうか? それとも、自分が吐くセリフの淫靡な世界に酔い始めているのでしょうか?
「ちゃんと、言われたとおりに言うんだ!」
 それは、強くはなくても、叱りつける口調です。
「ああん! さ、サナは、見られて、セックスしたくなっちゃう、エッチな女です! あああん! あうう! い、いいい!」
「よし、よし。そうだろ? サッちゃんは、すっごくスケベだからね」
「ああぁ、エッチなの、サナは、エッチだから、オジさんにも、て、店長にも」
 紗奈が「何」を言わされようとしているのか、その瞬間、私にも分かりました。
「ほら、言ってみろ」
 ホンの一呼吸だけ、空いた間は、妻のためらいだったと思いたい私です。しかし「それっ」と小さな声と共に、またもや、深い一撃をされたのでしょう。あっという間にためらいは崩壊してしまいます。
「ああ…… いつでも、いいのぉ、誰でも、良いからぁ、エッチなサナのオマンコを…… 使ってぇ! あああ! セックス、して、くださいぃい、いっぱいしてぇえ!」
 身体を怒張に刺し貫かれながら、身体全体が弓なりに反り返る姿が目に浮かんでいました。
「ほら、ご褒美だ!」
 パチンパチンと尻肉に腰が打ち合う音。
 大きななストロークの、力強い動きがそこに見えています。
「ああああ! イイ! イクぅう」
 その嬌声は、いつもよりも、半トーン下がっています。
「あああ! すごい、深い、あん、あん、あん、あうう、すごいぃいい! あああ! また、また、イク、イッちゃう、イッちゃう、イク、イク、イクッ! ああああ! いくうう!」
 イヤホンが壊れるかと思うほどの声を上げて、他人にイカされていました。
 そして束の間の静寂。
 あまりにも激しいオーガズムは、妻を忘我の世界に連れて行ってしまったようです。
『わっ、オレ、出してたのか?』
 私も、我を忘れていたのです。
 いつの間に射精してしまったのか。気が付けば、パンツの中はドロドロでした。
 しかし、そんなことを気にする余裕はありませんでした。私は、車を降りて、フラフラと自宅に向かって歩き出します。
 エレベーターのボタンを押したとき、モゾモゾとしたやりとりが微かに聞こえた後、ハッキリとした声が、聞こえてきたのです。
「じゃあ、本当の姿になれるようにしてやろう。ほら、脚を広げなさい」
「ああん、な、なに? あん、こんなカッコウ、だめですよぉ、あぁ、恥ずかしい、こんなぁ」
「ほら、大人しくして。うん、大人しく協力するんだな。けっこう、感じてるんじゃないの? 縛られるの、好きなのかい?」
「ああん、恥ずかしいです。こんなの。ああん、見えちゃってますよぉ、ああ、恥ずかしい」
「でも、感じるんだろ?」
 一瞬の間。
「ははは。返事ができないね。感じちゃってるからだもんね?」
「ああ、言わないで、こんなカッコ、惨めです…… あぁあああ」
「でも、また奥から、ヌルって出てきたよ」
「言わないでぇ。だって、恥ずかしくて……」
「感じちゃうんだろ? うん。そうだね。正直だ。さ、これで、動けない」
「あぁ、オジさん、こんなの、やっぱり恥ずかしすぎます」
「それで、ね、こうやって、目隠しして上げる、ほら、動けないだろ?」
「ああぁ、なんか、怖いです」
「店長に犯されると思っていなさい。ほら、入れられちゃうぞ」
「あっ、ダメェ、入れちゃ」
「でも、逃げられない。縛られてるから、店長に入れられちゃう」
「そんなこと、言っちゃ、イヤ。あああ、だめっ、あっ、あああん、い、いいい!」
「ほら、店長に犯されるぞ」
「いやあぁ、違うの、違うのぉ、あぁあ!ダメッ! 入れちゃダメなのぉ、ああん!」
「縛られてるから、抵抗できないだろ? 仕方ないんだよ。動けないからな」
「ああぁ、動けないから…… ああ、私ったらぁ…… あああ、入っちゃってるぅ……」
「そうだ。仕方ないんだ。動けないから犯される。店長にな」
「ち、違いますぅっ、あん!」
「ふん、じゃあ、ほら、目隠しもしてあげるからな、店長の顔を浮かべなさい」
「ああん、ダメですぅ、そんなことぉ」
「ほら、紗奈さんのオマンコ、気持ち良いですね。思いっきり犯しますよ」
「ああぁ、ダメ、ダメです、そんなの、あああん、違う、違うもん!」
 半ば悲鳴のような声を上げながらも「店長に犯されているイメージ」を否定しているように聞こえますが、そのくせ、その悲鳴は、完全にイメージしているのだと分かります。
『サナは店長に犯されている自分を、思い浮かべてるんだ……』
「そして、ほら、ヘッドフォンだ。こうしてつけるからね。こうして。どうだ? よし。うん、ほら、できた」
 これが合図でした。
 私は、我が家のドアを開けて忍び込みます
 空気の淫猥さに、驚きました。
「「なんか怖いです。ああん、いやん、違います、オジさん、です。店長じゃないですっ、ああああ!」」
 イヤフォン越しの声と、生の声が微妙な反響を持ちながら重なります。思った以上によく響いていて、思わず、身体が固まる私。
 そのくせ、夢遊病者の足取りで、寝室へとフラフラと歩いています。
「ほら、イケ、イケ、いまだ、今なら、大丈夫だ。さあ、いけぇええ!」
 もはや、イヤホンは必要ありません。扉越しに、ハッキリと聞こえています。
『この扉の向こうで……』
「あああん!」
 ゴクッとつばを飲み込む耳に、突き刺さる妻の淫声。
「あっ、だ、ダメぇ、こんな、あう! 激しくっ、うう! あう、い、いっちゃうからぁ」
「そら、そら、そら、いけぇ、今なら、大丈夫だ、開けろおぉお!」
 それは合図ではありましたが、私の限界でもありました。
 もう、居ても立ってもいられず、一気に「我が家の寝室」に、飛び込んでいました。
 そして、飛び込んだ次の瞬間、私は立ちすくんでしまったのです。
「紗奈っ」
 それは妻を呼んだわけではなく、魂が出させた声です。
 もしもヘッドフォンをされいなければ、間違いなく妻も気付いたはず。いえ、これを予想していたからこそ、鈴木さんはヘッドフォンを準備したに違いありません。
 視界と音を奪い、空気すらも感じられないタイミングで出された合図の瞬間とは、すなわち、妻が夫以外のオトコを深々と受け入れて、快感に喘ぐ、瞬間でもありました。
 長い脚は大きく広げられ、カエルをひっくり返したような姿です。その間にのし掛かるのは、もちろん鈴木さんの、枯れた身体。
 さらに衝撃的なのは、妻の縛られている形です。
 白い両手は、脚を広げるようになっています。手首が、それぞれの足首のところで縛られていたのです。
『こんなカッコをしていたのか。でも、確か、縛られてるときに、全然、抵抗してなかったよな? むしろ、協力してた感じだったのに……』
 弛んで痩せた身体に組み敷かれた白い裸身に、フラフラと近寄ってしまいます。
 チラッとこっちを見た鈴木さんの視線が、私の足を止めます。
「さ、な……」
 こんな風に、何もかもあからさまな姿に縛られていたなんて思いもしませんでした。しかし、妻の心を推し量っている余裕は、与えられませんでした。
 シワの入った尻が大きく動いたかと思うと、寝室に響き渡る声が、空気を切り裂いたのです。
「あっ、いいい!」
 グ、グ、グ
 子宮まで貫いてやるとばかりに大きく動く腰。
「あああん、あうう!」
 淫猥な空気が私まで包み込んでいる空間で、大きく身体を反り返らせて、突きを受け入れる裸身は、ハッキリとした喜びの声を上げています。
「ううっ、あううう!」
 グッと突き入れた後、腰を左右に微妙に動かすと、ソプラノの声にビブラートがかかった呻き声に変化します。
「はぅうううう! あぅ、い、いいぃ」
 子宮まで支配されている白い裸身は、足を開ききったまま、硬直し、マスクの顔を仰け反らせながら、縛められた脚でオトコを抱え込む形で閉じようとしていました。
 一つ、妻に頷いて見せてから、こちらにチラッと送ってきた視線は「いよいよだよ」と告げていました。
「はふうぅうう! あん、あん、あっ、あっ、はうう、いぃぎぃいいい!」
 大きな腰の動きが加速すると、まるで、それがスイッチであるかのように、切ない淫声が応じて、背中がブリッジを作ります。
「あああ! あっ、ま、また、イクッ! いくううう!」
 それは、初めてこの目で見た、妻が他の男にイカされる瞬間です。
 可愛らしい唇は、もはや淫声すら噴きこぼれる余裕を喪い、半開きのまま、固まっています。
「紗奈ぁ」
 呻くように、妻の名を呼んでいました。
 鈴木さんの身体の下で、猛烈な快感に震えている妻の裸身を見ながら、私の胸に浮かぶのは、悲しみと、切ないほどの嫉妬、そして興奮……
 頬を伝う涙を意識しないまま、声を押し殺して泣いていたんだと思います。
 私の目の前にあるのは、静寂。
 オーガズムに満たされて、しばし意識を手放している姿でした。
 しかし、忘我の極致にいるはずなのに、唇が、ホンのわずかに動いたのを発見します。
『……メ、ン、ナ、サ、イ? 紗奈、それって、ゴメンナサイって言ってる? 鈴木さんに気持ちよくされたのを、謝ってるのか?』
 全身に力の入らぬ体は、深々と刺し貫かれたまま。
 わずかに身じろぎしたのか、小さく「あぁ」と淫靡な呻き声を上げたのは、まだ射精してない巨大なチンポが奥で蠢いたからでしょうか。
『紗奈、そのゴメンナサイって、いったい?』
 ひょっとしたら、頭に浮かんだ夫に向かって謝ってくれたのかも知れないと、思いかけた目の前で、妻の腰が、迎え入れるように上下にうねります。
『ち、ちがう! これって、違う!』
 直感しました。
 私だけを愛している妻の「ごめんなさい」は、夫以外のオトコを刻み込まれてしまった自分自身へ詫びていたのです。
 それはすなわち、もう、妻が「引き返せない所」に来てしまったのを悟ったと言うこと。
「どうだった?」
 ヘッドフォンを外して、優しい声で尋ねる鈴木さん。
 大きく息を一つ吸ってから、ゆっくりと首を横に振ってから、その唇を差し出す妻。
「んっ、ああん、んっ、ぐっ、んぐっ」
 のし掛かって、唇を重ねると、下からむさぼるように吸い付く赤い唇から、舌が差し出され、絡み合い、そして、口中の蹂躙をねだってしまいます。
 口の中までも、犯して欲しいと訴えるような、長いキス。
 そこには、もう、ハッキリと「あなたのオンナになります」と訴えている気がします。
 長く、激しいキスの後、しばし訪れた静寂の中、鈴木さんの腰は、妻に密着したまま。
 ハア、ハア、ハア
 絶え入りそうなまでに、グッタリと伸びた身体。そのくせ荒い呼吸だけは、今の激しい快楽の名残を反芻するかのようです。
 乳首を硬く尖らせた胸は、激しく上下していました。
全てを捧げてしまった妻を、ただ茫然と見つめている私。
「あの…… オジさん?」
「なんだい?」
「あの、オジさん、まだですよね?」
「なんだ、おねだりか? もっとして欲しいんだね?」
 私は無意識のうちに「違います」という声を予想していたのに、目隠しをしたままの卵形の顔は、コクッと、頷いて答えたのです。
「ハッキリ、言葉にして」
 視覚を奪われたままの目は、鈴木さんをピタリと見つめています。
「もっと、ください、オジさんのを」
「これ以上したら、出ちゃうよ。ナカに出してもいいね?」
「ハイ。出してください。紗奈の中に、あああぁあ!」
 ヒクヒクと快感に打ち震える妻の表情は、目隠しの下で、蕩けきっているのがハッキリと分かります。
 妻は、途方もない快楽を与えてくれた相手に、全てを捧げたように、縛められた手脚から力が抜けていました。
 唖然として見つめる私を十分に意識していたのでしょう。あるいは、ひょっとして、私の「寝取られ」を満たすつもりもあったのかも知れません。
「じゃあ、せっかく、サッちゃんがおねだりしてくれたんだ。本格的にヤルよ」
 それは私に対して向けられた言葉です。
「あああ、好きなように、して、オジさんの、好きなように。サナを……」
 一瞬、言葉を途切れさせた唇から「犯して」という声が吐き出されたのです。
「よぉし。じゃあ、本番だよ」
 しなやかな細い両脚をグッと抱え込むと、大きく腰を引いてから、再び、ゆっくり、深々と突き入れたのです。
「はふぅ!」
 声にもならない、淫猥な吐息を上げながら目の前で、他のオトコを受け入れている妻です。
 猛烈なマグマが、ドロドロと腹の底から溢れかえってきて、頭の中は、痺れたように働きません。
「あっ、い、いい! イイッ、あぁあ! あん、いい! イイですぅ、あん、あん、あん」
 怒張をリズミカルに打ち込まれて、その度に、身体ごと蕩けさせてしまうような快感を、ソプラノの淫声で答えてしまう妻。
 その一回、一回が、鈴木さんのオンナに染め上げられている気がします。
 どうしようもないほど、心が締め付けられているくせに、私の怒張はあり得ないほど猛って、破裂しそうでした。
『なんだ、この気持ちよさは』
ただ、私は、無意識のうちに握りしめた怒張から、精子をこぼれさせていました。
「ああん、い、いくうう! まだぁ、い、いくうう!」
 全身でイキ続ける妻を見つめながら、ドロドロと射精が止まりません。
 味わったことのないほど無制限に続く、放出感。
『なんなんだ、これ、身体が溶けてく、わああああ』
 気が付くと、ソプラノの淫声は、枯れ始めています。どれだけの時間が経ったのか、時間の感覚を失っています。
 ホンの一瞬だった気がしたのに、実は何十分も経っていたのでしょうか? 
 呼吸すらままならぬ妻は、それでも、ビクンビクンと何度も全身を硬直させては弛緩し、それでも許されずに怒張を刻み込まれて、またもや、オーガズムに仰け反っています。
『サナ、そんなに、感じて? 鈴木さんのモノに、なってしまう…… わぁあ、なんで止まらないんだ、オレも!』 
 全身がペニスになってしまったかのように、私は全身で、快感に包まれています。
 しかし、快楽の宴は、フィナーレをとうとう迎えます。
「サッちゃん、イクよ! 、出すからね!」
「あああん、い、いく、いぐぅ、いぐぅう!」
 カクカクと頷いたのは、胎内への射精を受け入れた証拠です。
 私のことをチラッと見た鈴木さんが、素早い動きで、三度出し入れした後、深々と貫きます。
「奥で。出してぇ!」
 オトコの精子を求める、本気の声。
 その声に応じるように、小さく「出る」と声を上げて、鈴木さんの尻がビクンと動きます。
「はぐうぅう!」
 生臭い声を噴きこぼした妻にのし掛かったまま、子宮口をこじ開けるように、奥へ奥へと小刻みに震わせているオトコの身体。
 この瞬間、子宮にドクドクと注ぎ込まれる音が、頭に響いている私。
「あああん、あぐぅうううう!」 
 深々と貫かれた子宮に精子を受け止めて、妻は生臭い淫声を放ちながら、全身を仰け反らして、激しく絶頂していました。 
 たまらず、私も、どす黒い炎に包まれて射精してしまいます。
 いつまでもいつまでも、私の妻の中で射精し続けている鈴木さん。
 三人がシンクロするように絶頂しているこの部屋は、この世に生まれた極楽…… あるいは地獄だったのでしょうか。





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