その6
我が家の玄関に立ちつくしながら、猿芝居を演じています。
ショートメールを使って《これから帰るよ》と送信。
これなら、タイムスタンプは表示されません。
右手で送ったメールが、左手に持った妻のスマホに小さな振動で到着を告げるのを確かめてから、すぐに次。
《あれ? 紗奈、読んでくれないね。どうしたの? 鈴木さんはもうとっくに帰ったんでしょ?》
再びの小さな振動を手の中で吸収してしまえば、寝室で意識を飛ばしている紗奈が起きる心配はありません。
左手に届いた次の瞬間には、もう次のメールを打っていました。
《愛しい紗奈? シャワーかな? いったい、どうしたの? 鈴木さんからは、とっくにお礼のメールが来ているよ》
送信して、また、すぐに次。
《あれ? 読んでくれないね? 鈴木さんのセックスがそんなに良くって、伸びてしまったのかな? 悪いけど、鈴木さんに様子を聞くからね。少しだけ待つから、ダメなら返事をしてよ》
最後にダメ押しの一通。
《今、全部、聞いちゃったからね。君の返事がなくて心配だと無理やり頼んだら、ちゃんと全部、教えてくれたよ。信じられないほどエッチだったんだって。今から、急いで帰るよ!》
長い文章でも、我ながら信じられないほどのスピードで指が動きました。
『さて、と、これで、猿芝居終了っと』
妻が起きてからスマホを手に取れば「何度もメールをしたのに返事がないから、心配で、鈴木さんに様子を聞き出して、急いで帰ってきた」と思ってくれるはず。
考えてみれば、妻を相手に、なんでそんなことをしなくちゃならないのかと思うような、バカバカしい作業を、私は、これ以上無いほど真剣に行ったのです。
『全てを聞いたって知ったら、君はどうするかな?』
その時の妻の反応は読めませんが、後のことよりも、とにかく、今は、妻を抱きしめたいという気持ちを、これ以上我慢することなどできません。
それでも、できる限りの自制心を発揮して、テーブルのいつもの位置に妻のスマホをそっと置くまではしたのです。
あとは、一気に全てを脱ぎ捨てます。
勃起したモノは、早く愛しい妻のそこに包まれたくて、鉄の固さで、いきり立っていました。
注意深く寝室のドアを開けます。
ムワッとする淫猥な空気が漂っている寝室。
その真ん中で、力尽きて横たわる妻。
裸身に、うす水色のケットが掛けてあったのは、鈴木さんの優しさで、それをそっと剥ぐのは、夫のワガママです。
「紗奈……」
ゴクリとつばを飲み込んだのは、妻の裸身があまりにも美しかったから。
目に見えぬ鎖で縛り付けられているかのように、身体に沿って軽く広げた形の腕。わずかに広げた脚。
ケットを剥いだ瞬間から、ツンと刺激のある精子の匂いがしたのは、後始末をする気力も尽きていたからです。
鈴木さんがワザと残した置き土産は、妻の秘部から流れ出て、渇き始めた白濁の液体。
その生々しい痕跡は、ついさっきまで目に焼き付けた光景が、紛れもなく現実であったと告げていました。思わず「紗奈」と小さく名前を呼びながら、長い脚をそっと抱えます。
激しいセックスのせいでしょう。ピンク色の肉ヒダは赤く充血して、脚を持っただけで、締まりきらない秘口を露出してしまいます。
『いつもなら、閉じてるよな? 指一本入らない感じに。それが、こんなに、広げられてしまったなんて』
妻に刻まれてしまった「他のオトコのペニス」の巨大さを思い知らされて、ゴクリと息を飲み込んだのは、悔しさと嫉妬と、そして興奮の味です。
膝に手を入れて、脚を広げながら怒張を近づけた瞬間、ヒクンと震えて、トロリと新たな精子がこぼれてきます。
それを見た瞬間、まるで心の自爆スイッチが入ったかのように、我を忘れてしまったのです。
ドロッとした何かに満たされた美肉に、一気に突き入れます。
「うっ」
呻いたのは私だったのか、それとも妻だったのか。
深々と突き入れた怒張を包み込む力は、信じられないほど弱くて、いつもなら当たるはずの「奥」も感じません。
かといってヌルヌルの肉ヒダは、弱々しくもしっかりと包んでくるのです。
まるで沼地に突き刺したかのような、儚い感触です。おまけに「沼」は、秘液とは全く違う、ベットリとした液体を溜めています。
これこそが、ついさっきまで巨根を受け入れた痕跡なのでしょうか。
悔しさと情けなさと、そして、ようやく腕の中に取り戻した愛しさで、沼の中でもがき続ける我が怒張。
「んっ、あぁああ、もう、無理ですぅ、あぁ、オジさん、もう、無理ぃ……」
鈴木さんとは比べものにならないとはイッても、美肉を突かれれば、それなりに感じるはず。
快感に目覚めさせられた妻は、目を閉じたまま、ゆっくりと首を振りながらも、自然な動きで腰を突き上げてきます。
まるで「物足りないから、もっと奥にください」と言っているようです。
「あぁあ、もう、あぁ、ダメぇ」
自然な媚びの混じった淫声を放った妻がゆっくりと目を開ける時、私は身体の力を抜いて、べったりと身体全体でのし掛かったのです。
自然に抱きしめてくる妻の優しい腕。
「ただいまぁ」
「え? あ、あなた? う、ウソッ!」
目を丸くして、という表現がありますが、まさに、その通りの表情です。驚愕に見開かれた瞳は、今自分の置かれた状態を
「紗奈ぁあ!」
「あ、ダメぇ、あなた、ダメぇ、お願い、ちょっとだけ、待って、あんっ、ダメ、ね? お願い、あなた、ダメぇえ! ん、んぐぅうう」
その拒否は、本気の抵抗でした。
細い腕は、全力で私を押し戻そうとしていましたが、その手を押さえつけて、頭の上に押さえつけると、なんだか、本気でレイプでもしている感じです。
しかし、そのまま腰を使い続けると、突如、肉ヒダが私を捉えたのです。
「ダメぇ、あなたっ、ダメってば、シャワーしたら、ね? お願い、シャワーしたら、なんでもしますからぁあああん!」
完全に意識を取り戻したとたん、緩かった美肉が私を握りしめるように締まってきます。
驚くほど強い締め付けでした。
さっきまでのゆるゆるのアソコと同じ場所だとは信じられぬほど。
アッチコチにうっすら残されたキスマークを辿って、私が上から吸い上げます。その度ごとに「ああぁあん」と通る声で上げる澄んだ淫声。
全身が性感帯になっています。
「あなたあああ、ご、ごめん、な、ぁっうう、さいぃ、いい、あぁあ!」
ゴメンナサイと頻りに言いますが、それすら満足に言えないほど乱れます。
「はうぅ、あうう! あああ! あああ! あなた、ダメ、シャワーを、お願い、シャワーを」おああうう、おね、が、あう、ああん、ああ、い、いいぃ、いいっ、いく、いくっ、イクっ!」
抵抗が弱まるにつれて、小さなオーガズムが妻の身体に溢れ始めました。
「あな、た、ああう、あ、だめ、なのにぃ、あなた、あっ、い、いい!」
尖った乳首は、さんざんに弄ばれて、いつもよりも二回りもボテッと腫れ上がって、人差し指と親指で摘まむように転がせば、悲鳴のように上げる淫声。
そして、私の肩を押し返そうとしていた手は、いつの間にか、私の背中をかきむしるように蠢いていました、
まさに、文字通り「かき抱く」というやつです。
「あああん、あなたぁあ!」
「紗奈、紗奈ぁ」
キスをしようと顔を上げた瞬間、妻と目が合いました。それは思ってもみないほど真剣な光を湛えています。
ネットリと絡まる舌と舌。唇が離れた瞬間、妻の唇から出たのは、淫声ではなく、悲痛なほどに切ない言葉でした。
「あああん、あっ、ね、あなた、ああぁあ、お願いよ、あなた、嫌いにならないで、お願い!」
「そんなことあるものか。愛してるよ」
真剣な表情とは裏腹に、どうしようもないどの淫らに蠢いている腰。
妻の奥に届けと、私も高速で突き続けます。
「だって、わたし、んっ、あん、だめぇ、そんなっ、あっ、そんな、ね、動かないでぇ、ああん! あああ! いくっ!」
ギュッと抱きしめながら、身体を仰け反らせるオーガズム。
「紗奈っ」
比べてはいけないのかもしれません。
かといって、比べないのも不可能なこと。
あっけないほどすぐに訪れたオーガズムではあっても、それは私の知っているいつもの妻。さっき見たばかりのイキ方とは違って、比べるべくもないほど、淡泊な反応でした。激しいのは、ついさっきまでの余韻と、他人に抱かれた身体をそのままむさぼられる羞恥の反応だけだったのです。
「あああ、いくうううう」
切ない声で上り詰めるサナを抱きしめながら感じる満足感ではあります。
『イッたけど、イッたけど…… オレだと、さっきみたいなイキ方をさせられないのか?』
そこに敗北感のような感情が多分に含まれていたのを自覚しながら、ヒクヒクと震える身体を抱きしめながら、妻に残された他人の精子のニオイを感じていたのです。
はふぅ
繰り返されたオーガズムのダメージは、妻の限界を超えたのでしょう。大きく息を吐き出してから、妻は私を受け入れたまま、落ちるように眠りについたのです。
翌朝、いつの間にか妻の姿はベッドになく、驚くべき事にシーツもケットも、全てが替えられていました。
珈琲の香りに誘われてダイニングに行くと「おはよ」と、いつもの笑顔。
お気に入りのエプロンの下には、多く衿の開いた白のニット。
焦げ茶のミディスカートをフワリと浮かせながら軽やかに動く姿は、一点の曇りもない人妻の動きです。
しなやかな細い首筋の白さを見ていると、昨日の狂乱のオーガズムが信じられません。
全てを他の男に差し出して、強烈な快感の中で他人の精子を子宮で受け止めてしまった、清楚そのものの人妻の動きです。妻の横顔には、私への愛情がたっぷりと含まれているようにしか見えません。
何とも爽やかな朝の愛妻の姿と、昨日、激しく啼かされた声とを結びつけようとすると、私の身体の中に、何とも言えないような熱くて、痛みを伴う快感が、生じてしまいます。
『昨日のこと、君は、覚えてるんだよね? その唇で何を叫んだのか、君の子宮の中にまず、鈴木さんの精子がたっぷりと……』
「珈琲入れたけど、このまま? カフェオレにするなら、ミルクも温めるけど」
「いや、そのままでもらうよ」
そこには、鈴木さんに啼かされ、ナカ出しまでもねだってしまう妻はいません。いつもの妻でした。いえ、いつもよりも、愛情たっぷりに見える、軽やかな動きで、珈琲を注いでいるようにしか見えませんでした。
何とも矛盾する人格が、妻の中に、いえ、女の中にはあるというのでしょうか。
「ね、あなた」
カップを私の前に置きながら、口元に浮かぶ微笑。
「なんだい?」
「もし、お時間があったら、今日は、ベランダに植えるお花を見に行きたいんのですけど」
エプロン姿のいつもの笑顔が、昨日、快楽に狂わされ、淫悦に歪んだはずなのに、二つを重ねることが、どうしてもできません。
「あ、いいね。確か、予定はないと思ったんだけど」
「ありがと。もしも、なにもなかったら、お願いしますね。でも、まずは、ゆっくり朝ご飯にしましょ? 後で予定、確かめてください」
心なしか、いつもの妻との違和感。なぜ、予定を確かめさせたがる? 大事な予定を忘れているのか?
フワリとシャンプーの香りを残してシンクに向かった妻から、私は視線を移動しました。
「ああ、いいね。えっと、車の点検は来週だったし……」
来月の「一点」で目が止まって、呼吸が止まりそうなショックに痺れます。
『さな? さな? これって、いったい、なんで、いや、いつ?』
鼓動が一気に早くなっていました。
目が釘付けされているのは、ちょうど、来月の同じ頃。
カレンダーに着いている小さなマル印。
一体いつの間につけたのか見当も付きません。昨日、鈴木さんと話したときも「来月」の話は全く出ていませんでした。私は、一切、何も関わってないのに、付いていた小さなマル。
『紗奈が、自分で書いたんだよな?』
小さく何かをハミングしながら、手早くスクランブルエッグを夜気始めた後ろ姿を、私はただ息を詰めて見守ることしかできません。
『これって、また、鈴木さんと約束したってコトだろ? また、抱かれることを? オレが良いと言ってないのに?』
そのマルが、同じ土曜日になっているのは、私との約束を覚えていたからでしょうか?
『紗奈……』
しかし、細身の背中は、上機嫌で、私のためのスクランブルエッグを焼いているだけ。昨日までの妻と何も変わっていませんでした。
二人向き合っての朝食は、なんだか新婚時代を思い出したように、サナが新鮮に見えたのは確かです。そのくせ、新婚時代よりも遙かに上手に焼けたスクランブルエッグの味を、私は、全く感じなかったのです。
そして、二人の休日は、いつもよりも身体をくっつけて、いつもよりもおしゃべりをして、いつもよりも、ずっと妻を愛おしく感じて過ごしたのですが、昨日の話題だけは、まるで、一切何もなかったかのように、口にしなかったのです。
もちろん、カレンダーの小さなマルについても、まるで、それが目の錯覚であるかのように、一度も触れられることはなかったのです。
――――――
相変わらず、毎日、何度もメールのやりとりしているようです。私は敢えて中身は聞きません。ただ、いつのまにか、メール着信の音がしない設定になっていたことと、私の前では、メールを開かないようになったことが変化でしょうか。
私は知らんふりをしていますが、明らかにメールを読んだと思えるタイミングで、顔を赤くしている時があったのを、私は知っています。
かといって、紗奈の私に対する愛情が薄れたとは感じませんでした。むしろ、その逆で、新婚時代よりもベッタリとくっついている感じなのです。それは、ベッドでも同じで、新婚時代にもないほど、毎晩、お互いを求め、むさぼり合うような激しいセックスをせずにはいられませんでした。
今までと変わらず、ピッチリと包み込んでくる美肉。可愛らしい響きで漏らす淫声。快楽に震える身体。ただ、時々、怒張を深く打ち込まれながら「もっと奥へ」と物言わぬ腰の動きをしてしまう妻がいます。
本人も、恐らく気付いていないはずの、ほんの些細な違いですが、そこに、今までと何も変わらない妻と、それでいて、何かが変わってしまった妻なのだ、という思いが、いつも頭から離れませんでした。
そして、期待と不安、そして強烈な切なさを持った言葉は、月曜日の朝のことでした。
「今週の土曜日、行ってきます」
妻が私の目を見ずに、そう告げた時、私は「うん」という返事だけしかできませんでした。
この瞬間、妻が、またしても他人に抱かれることを、それも、私とではあり得ないほどに淫らにされるセックスを、夫である私が承認したということになります。
妻の目を見られずに、下を向いたままの私の前で、じっと立ち止まっていたのは、何かを言って欲しかったのかも知れないと、その後で気付きました。
しかし、顔を上げられない私に、サナも、それ以上、何も言わなかったのです。
夫婦の儀式が終わりました。
たったこれだけのやりとりでしたが、その日から、お互いになんとなくセックスを避けたのは、どうしてなのでしょうか。あるいは、紗奈は、そう言われているのか? でも、それを私が従う必要はないのに。愛しい妻を抱きたくて抱きたくて仕方ないのに。
しかし、ベッドを共にし、妻をヒシと抱きしめながら、セックスどころか、胸も、尻も、触れずにいたのです。それだけではありません。毎日、あれほど密着して、必ず一緒に入っていた風呂も、私が帰ってきた時には既に、済ませてしまうようになったのは、あるいは、鈴木さんに何かを言われたのでしょうか?
一週間、密着しながらも、まるで中学生の恋人同士のように、一切の、性的な接触を避けてきた妻は、私が朝食を食べている間にシャワーに向かいます。
心が潰れそうなほどの切迫感と苛立ち、そのくせ、腹の底から、何かが沸き立ってくる高揚感。それが、私の全てでした。
何時間も経ってしまったと錯覚するほど待った後、突然リビングに、いかにもミセスらしい、落ち着いたグレーの膝丈ワンピース姿で、立っていました。
冬物にしては、襟元が開いていて、Eカップに続く、なだらかなすそ野が見えています。「この後」を意識してしまうせいでしょうか、妻の胸が、やけに生々しい色気を醸し出しています。
『へぇ〜 こんな服も持ってたのか、ん? いや、一昨日、なんか通販の箱が届いてたな。ひょっとして、今日のために買った?』
胸元が大きく広がったワンピースは、膨らみにつながる柔らかな肉を見せつけていました。これなら、胸元から簡単に手を入れられるな、と思ってしまうのは、考えすぎではない気がするのです。そして、この上に、限りなく黒に近い紫のダウンコートを羽織るらしいのですが、ストッキングは穿いていません。
「オジさんの頼みなの。穿かないでって言うから」
私の視線を意識したのか、手に持ったコートでさりげなく身体を隠しながら、恥ずかしそうな顔で言い訳をする妻の可愛さは、いつも以上です。
その、恥ずかしそうな雰囲気の原因は、単にストッキングを穿く穿かないというだけではない気もするのですが、私は敢えて聞きません。
「十時に、お迎えに来てくれるって。そろそろ、かな?」
壁の時計をチラッと見て、さらにスマホで確かめた妻は、そう言って玄関に向かいます。
まだ、九時五十分にもなっていません。さっきからソワソワしている妻にとっては、その十分を待てないのでしょう。
私は、努めて平静を装って、ダイニングテーブルでコーヒーカップを持ちあげながら「気をつけてね〜」と声をかけます。
「あのっ」
「ん?」
玄関まで行った妻が、わざわざ戻ってきました。コートは玄関に置いてきたようです。
ダイニングの入り口で、真っ赤な顔をした妻は「帰ってきたら」とモジモジします。
「帰ってきたら?」
コクンと頷いてから、パッと後ろから抱きついてくる妻。
ふわっとスズランの香りの空気が私を包みます。そのまま唇が触れるようにして「後で、いっぱい可愛がってね」と小さな声を囁いてきたのです。
思わず抱き返そうと、振り返った瞬間、スルリと身をかわした妻は、膝丈のスカートをフワリと浮かせながら、クルンと回る姿は、少女のような清楚な空気をまとっていました。
そして、ペコンと頭を下げて、お辞儀してみせたのです。
「じゃ、行ってきま〜す」
爽やかに手を振った妻は、爽やかにドアを出たのは九時四十五分。
スズランの香りの空気だけを残して出かけた妻の後を追いかけて「行くな」と抱き留めたいという衝動と、この後に訪れるどす黒い興奮の予感が、私を立ちすくませます。
ドアに触れれば、間違いなく妻を追いかけてしまう自分がいて、そんな自分を「何を今さら」と嘲笑う、別の自分がいます。
そして、どうしようもないほどの自己嫌悪を感じているのに、そのくせ、カチカチに勃起してしまっている私は、無意識のうちに窓によって外を確かめていたのです。
「あ、もう来てるんだ」
十時の約束のはずが、鈴木さんは、早々と迎えに来ているのです。
清楚なコート姿の人妻は、車を見つけて小走りに近寄ると、丁寧にお辞儀をして、助手席に乗り込む姿は、いつも通りの清楚な人妻の姿そのもの。
この姿を見かけた人は、こんなに清楚で、美貌の人妻が、風采の上がらないオジさんドライバーと、これからセックスしにいくために助手席に座ったのだとは、想像もできないはず。
これから行われる濃密で激しいセックスを一切感じさせない、爽やかな朝と、それにふさわしい、爽やで楚々とした姿と振る舞いだけがありました。
動き始めた車の助手席に座るコート姿、淫靡な香りなど少しも感じさせません。しかし、私だけが知っているのです。この楚々とした人妻は、これから夫以外のデカチンポを受け入れて、またもや、イキ狂わされるのです。
出かける時に、申し訳なさそうな表情をしていた妻です。それでいて、すぐ後に待っている世界への光を眼の奥に浮かべているような気がしたのです。
おそらくは、私に許可されたとは言え、夫に対する淫靡な秘密を抱えている人妻だけがもつ、白いベールに包まれたピンク色の輝きをまとっていた妻です。
『ごめんよ。紗奈』
恐らく、紗奈は、何も知りません。これから起きることが、いえ、何も知らない人妻が、少しずつ染められてきた黒い光の全てが、夫である私に仕組まれたことなのだと。
夫に秘密にしている官能のやりとりも、そしてこの後に降りかかる、その細身を弾けさせる性の悦びも、全ては、原作が夫で、演出が鈴木さんなのです。
妻が知れば、目眩を起こすはずの現実でした。
「おっと。やべっ、かかってくる前に、近くに行っておかなきゃ」
実は今回も、というよりも、さらに大きな協力を、紗奈には内緒でお願いしていました。
年配者の落ち着きというのでしょうか。私の頼みを、じっと考え込んだ後「ちょっと、それはキケンだけど」といいつつ、了承してくれた最終作戦がいよいよスタートです。
私も、こっそりと出かけます。
耳にはマイク部分を壊したスマホ用のヘッドセットを着けたまま。これなら、こちらの音声は向こうに聞こえません。
慎重に運転します。ここで事故でも起こしたら、お話になりませんから。
「まだ、か」
約束では、家に着いたら、隙を見て電話をくれることになっています。私が出たのと十分ほどのタイムラグがありますから、あちらは、もう、着いてもいいころでした。
しかし、実際にかかってきたのは、さらに十分してから。私の車を、鈴木さんのアパートにほど近いパーキングに、ちょうど止め終わった時でした。
慌てて電話を受けると、イヤホンにはバタンと車のドアが閉まる音が響きます。
『あれ? 今、着いたんだ? ずいぶん時間がかかったんだな』
今、妻と鈴木さんは、私から十メートル先の角を曲がった所にいるはず。
危うくニアミスするところでした。
ピッ
リモコンで車がロックされた音でしょう。会話は、まだ聞こえてきません。
ひょっとして、上手くいってないのかと焦った時「今日は、ちょうど両隣が留守なんだよ」という声。
「あ、そうなんですか」
なんだか懐かしく感じる妻の優しい声。思っていたよりもハッキリと聞こえます。
「だから、思いっきり声を出して良いからね」
その瞬間「やっぱり止めろ」と叫びたくなる私の耳に「あ〜 そんな、今日は、もう、さっきのでお終いですよぉ。もう、ヘンなことナシですからね」という軽やかで、恥ずかしそうな声が響いてきます。
「ははは。もちろんだよ。さっきよりも、もっとヘンなことしかしないから、安心してよ」
「もう〜 そんなことばっかりぃ〜 あれで、お終いですからね? あんっ、もう〜 ダメです、道では」
「大丈夫、大丈夫、この辺りは人が通らないからね」
「そういう問題じゃなつ、キャッ、む〜 オジさんてば〜 何ですか、ヘンなことしかしないなんて〜 この間だって、どんどん、オジさんてばヘンなことを、もう〜」
「え? この間は、すっごくキモチ良かったってこと? あっ痛っ、ごめん、ごめん」
「もう〜 それ、言わないでって、お願いしてるのにい。本当に、ヘンなことなしですよ?」
「ごめん、ごめん。でも、サッちゃんが可愛くてねぇ。だから、あれが証拠さ」
「あれ、ホントは、ダメですよ? ハンソクです。お外であんなコトさせるなんて。ヘンなことしないって言ってたから来たのにぃ」
「だけど、ちゃんとノーブラできてくれたね」
「も〜 初めてですよぉ、お外であんなコトするなんてぇ。ホント恥ずかしかったのにぃ」
「オッパイだけで、だいぶ感じてたね? 外でポロンとオッパイを出しちゃって、サッちゃんとっても感じてたじゃないか。それに、お口も、なかなか上手だったよ。顎が外れなくて良かった」
「恥ずかしいだけですよ〜 だ。それに、お口だって、外では初めてなんですからね? サナ、頑張ったんだから、ホントは、あれで出してくれたら良かったのに」
「いやあ、サッちゃんのお口は気持ち良いけど、あれで出しちゃうのは男が廃るというものさ」
「なんだか、分かりませんけどぉ。でも、今日は、あんまりヘンにしちゃいヤですからね〜 だ」
「大丈夫だよ。ちゃんと、サッちゃんを狂わせてあげるから」
「だ、か、らぁ〜 もう〜 オジさんてばぁ」
それは、恋人同士の睦言に似た会話。しかも、どうやら、遅くなったのは、どこかに寄って、野外で、オッパイ露出とフェラをさせていたからのようです。
『顎が外れるかもってのは、いかに、鈴木さんのがデカイか、だよな。紗奈のやつ、オッパイ露出させられて、外でフェラさせられてるのに、少しも怒ってないよな? っていうか、むしろ恋人っぽい感じだよ、この会話の感じって』
何度も「ヘンなこと」の話題を繰り返すのは、本気で「してほしくない」と思っているのではなく、これから「ヘンなことをする」のを強く意識しているからに違いありません。
妻はこれから、夫以外の男に抱かれるのだと思いながら、仲良く部屋に向かっているのです。まさに、恋人との逢瀬に向かう女、そのものの雰囲気を醸し出していることに、胸が押しつぶされそうな圧迫感を感じてしまいます。
私の胸を塞ぐ重圧感をからかいでもするように、イヤフォンには「カンカンカンカン」と、軽快に外階段を上る足音が響きます。二人の足音は重なるように、軽やかに響いていました。
妻の中に、これから部屋の中で行われる行為を軽快する気持ちも、まして、拒否する気持ちなど、カケラもないのは明白でした
いえ、その足音だけを聞けば、ウキウキとした嬉しそうな姿しか思い浮かびません。
ガチャとドアの開く音。
「はい、どうぞ」
「こんにちは〜」
温かみがあって、そのくせ伸びやかで、素直さが現れている、まるで少女のような声が響きます。
鈴を鳴らしたような声という良くある表現は、紗奈のためにある言葉かも知れません。
夫の私が言うと嫁バカのように聞こえるかも知れませんが、実際、紗奈は、可愛い外見だけでなく、この声も、すばらしいんです。
素直で、伸びやかな響きを持つ、少女のような声。
こんな声を持つ女性が、これから、ここに住む風采の上がらないオジさんと狂ったようなセックスをするだなんて誰が想像できるでしょうか。
「おお、入って、入って」
「お邪魔しま〜す」
ガチャリとカギをかける音に続いて聞こえたのは「サッちゃん」という声と、んっ、とひっつめた息のような音。
ガサ、ガサ、ガサ
衣擦れの音と、息を詰めるような微かな声。
ドキン
体内から聞こえる心臓の音だけうるさいほど。
急に無音になったイヤホンに、ボリュームをさらに上げようとして最大なのに気が付きます。
ガサガサガサガサ
「んっ、だめっ」
小さく聞こえた後、またもやガサッと音がして「すごいじゃん」という鈴木さんの嬉しそうな声。
「あん、いやん、厚着しすぎたからぁ、汗ですぅ。あっ、もう〜 ヘンなことしないっていったのにぃ、ああん、あん、あっ、あっ、だめぇぇ、こんなキスだって、もう〜 オジさんたらぁ」
鼻にかかったような甘く、潤んだ声。
わかりました。
恐らく玄関に上がる暇もなく、キスをされて、そのままアソコに指が伸びたのです。
そして、「すごい」と言われるほど、濡れていた紗奈。
「すごいね〜 お願いしたとおりにしてきてくれたね」
「ああん、もう〜 ダメですよぉ、こんなところで、んっ、それに、違いますぅ、あっ、ダメぇ、ホックを外さないと。んっ、自分で、あぁん」
チィーとファスナーを降ろす音。
『ワンピースを脱がされているんだ』
「わぁあ、可愛いじゃん」
「こんなところで、ダメ、ダメです、ああん、もう〜」
「おおお! うん。白いオッパイ。いいね〜 もう、乳首が、こうなってる。いや、さっきからずっとこうかな?」
「ああん、いやぁ、見ちゃ」
「それに、さ、ちゃんと約束通りにしてきてくれたんだね」
「昨日、エステに行きましたから、その時、たまたまです」
「おおお! わざわざエステに行ってくれたんだね」
「違います。たまたまエステの予約を取ってて。んっ、ああん」
湿った声は、早くも甘やかな香りを濃厚に孕んでいました。
「んっ、せっかくだし。あんつ、あっ、それに、夏に水着を着られるようにって相談したら、いっそ全部って言われただけです。あぁん、んっ、ね、聞いてます?」
「いやあ、すごいね。腿まで垂れてるよ。グショグショじゃないか」
「やん! そんなに? ああん、見ないで、ください!」
「いや、せっかくツルツルにしてくれたんなら、拝まなきゃ罰が当たるよ」
「あ、ちょっと、ダメです、はずかしぃから、ああん、だめぇええ!」
「おお、すごいよ、サッちゃん、見事だね」
「ああん、もう〜 玄関ですよぉ、ここぉ、あんっ、うっ、あああぅ、うっ」
そういえば、昨日から、妻の裸を見てないのを思い出します。出がけの、ワンピース姿のあの下で、鈴木さんのために秘毛を全て処理していただなんて……
なんだか吐き気にも似た気持ちがこみ上げてきているのに、股間は苦しいほどに張りつめていました。
そんな私を知るはずもなく、二人は愛おしげにキスを重ね、合間に、鈴木さんは無毛の秘部を広げて覗き込んでは、怒られたりしています。
「それにしても、下だけじゃバランスが悪い、おっぱいも、こうして吸ってあげる」
「もう〜 ああん、だめっ! ああん」
「おぉ、相変わらず、敏感なオッパイだ。デカイし、感じやすいし、言うことナシだ」
「あんっ、んっ、んっ、だめぇ、ああぁ」
しっかりとも見ながら、乳首を吸ったのでしょう。甘い声が漏れています。
「おっといけない、いけない。サッちゃんが綺麗すぎて、思わず自分を見失ってしまったよ、さ、入って、入って」
「お邪魔しま〜す って、こんなカッコウで言うのって、すっごくヘンですね」
その声にはテレこそあっても、怒りは感じません。恥ずかしがり屋のはずの紗奈が、よそのお宅の玄関先で、全てを脱がされてしまうなんて、現実に起きていることだと頭が認識しません。
「さ、こっち」
「あ、ホントに、敷いてるんですね」
玄関からは裸のまま中に入っていったはず。それなのに、聞こえてくる雰囲気はいたって普通です。他人の家で裸のまま動き回る妻、という非現実的な世界が、そこにはありました。
「もう〜 入っていきなりなんてぇ」
「たはは、面目ない、さ、もう、布団が敷いてあるから」
「オジさん、期待し過ぎですってばぁ〜 今日はヘンなことしないって言ったのにぃ」
「もちろん、ヘンなことはしないさ。気持ちの良いことだけね」
その返事は聞こえません。そのかわり「それで大丈夫、約束通りの世界を教えてあげるからね」という言葉に、小さな声で「はい」と返事をしているのが聞こえました。
ガサガサと衣擦れの音が大きくなります。
「あれ? 携帯、なんか光ってませんか?」
「ああ、それか。メールが入ってるんだろ。ひょっとして、本条クンからかな? 見てみるかい?」
ドキン。
「いえ、今は、イイです」
ガラケーの仕組みに疎い妻は、その言い訳を信じたのでしょう。あるいは、私の名前が出たことで、早く、その話題から離れたかったのかも知れません。
もちろん、それは鈴木さんの狙いでしょう。「オトコの家で裸になったまま、夫からのメールを見る」というインモラルな行為への抵抗感を巧みに突いたやり方には感心させられてしまいます。
「ホラ、そんなのより、こっち、こっち。ほら、これも頼むよ」
「あ、はい」
どうやら服を脱がせているようです。裸になった妻が、細い指先で私以外の男の服を脱がしている光景は、もう、それだけでも頭の中で強烈な熱を発生して、脳を沸々と沸騰させていく気がします。
「どうだい? 思い出したか? 」
一瞬の間。私は、その瞬間、妻の熱く潤んだ眼が、鈴木さんの巨大なものを見つめている光景が浮かんでいたのです。
「さ、これだよ。うん、いい目で見つめてるね。欲しかったんだろ?」
「知りません。もうっ。今日はヘンなことしないって言ったのにぃ」
「さあ、今日もたっぷり、しようね」
「ああん、もう〜 少しだけですからねぇ、それにあんまり、ヘンなことしちゃ、イヤなの」
完全に、恋人に甘えるトーンそのもの。そこには言葉とは裏腹に「ヘンなこと」への期待が含まれています。
「ヘンなことはしないよ? 言ったろ? サッちゃんが気持ち良くなることをするだけだから」
「そんなの、ズルいですよぉ」
「え〜 この間は、キモチ良くなかったかい? ショックだなあ」
「あ、いえ、あの、すごかったですけど。で、でもぉ」
「でも、なんだい?」
「だって、あの、なんだか、彼に悪い気がしちゃって」
「そんなことはないって、さんざん言っただろ? 事実、この間だって、オレに抱かれたままのサッちゃんに、挑んできたって、言ってたじゃん? その時、彼の機嫌、悪かった?」
「そんなことはないですけどぉ、でもぉ」
「サッちゃんとしては、本条君にはできないくらい感じちゃったことが、恥ずかしいんだよね?」
「彼は、ちゃんと、良くしてくれてます」
「でも、オレほどじゃないんだろ? この間、気が狂いそうになるほど感じて、忘れられなくなったって、教えてくれたよね?」
「それは、そうですけどぉ」
「いいんだよ。サッちゃんがたっぷり感じれば、その後の本条君とのセックスも、もっともっと充実するから」
「でも、やっぱり、こんなの、だって、私、奥さんなのに」
「奥さんなのに、オレのチンポで、夫では感じられないくらい感じてしまった。それが恥ずかしいんだよね? 今だって、この間のセックスを思い出して、早く欲しくなってる? 子宮が疼くんだよね」
「あぁん、そんなにハッキリ、言わないでくださいよぉ」
「いつから、子宮が疼いてる? 今朝から? 昨日から? ちゃんと教えて」
「あぁあ、それ、いうんですか? ああん、もう、イジワルですよぉ ……もう」
本当に小さな声で、その先は聞こえません。
「え? ちゃんと、ハッキリ言葉にして。大事なことだから」
「ああん、もう! イジワル! ずっとです! 今週に入ってから、おじさんからメールが来る度に、オカシクなりそうなんです! 今朝から、何度もシャワーしたのに、何度でもたれて来ちゃいました! ああ! もう! イジワル! これでいいですか!」
恥ずかしさを振り切るように、半ば叫ぶように告白した妻の言葉に、私は、立ちすくむばかり。
「よし、よし、たっぷり、期待に応えてあげるからね」
「あああ、オジさん、私、オカシクなっちゃったんです。こんなの、イケナイのに、彼に、悪いのに……」
「何も悪くないって、教えてきただろ? むしろ、彼は悦ぶ。サッちゃんが、エッチになって、ますます悦ぶよ」
「でもぉ」
「さてと。ちょっと、ここに横になってくれるかい?」
「はい」
軽やかな気配だけしかわかりませんが、ためらうことなく布団に寝そべったようです。
「うん、これでいい。さ、サッちゃん、オレのために、ツルツルにした所をじっくり見せてもらうよ」
「きゃっ! だめぇ! 見ちゃダメです! あんっ、いやん」
バタバタとした抵抗の気配ですが、それが本気でない証拠に、すぐに声が甘えるような響きを帯びてきます。
「ああん、開いちゃダメぇ。イヤぁん、恥ずかしいです、ああ、いやん、見ないでください」
「おお! すごいよ。本当にツルツルだ。うんうん、サネも、しっかりと出てきたし。それに、もう、こ〜んなにビショビショ。垂れてきたじゃないか」
「ああん、もう〜 いやあ、言わないで。もう、ね? お終いです、お終いにして、ああん、見ちゃイヤぁあ〜」
「うん、なんて美味そうなオマンコなんだ。もう我慢できん」
ジュルジュルジュル
粘膜を舐め尽くし、秘液をすすり上げる音が高まると、紗奈の淫声は一気に切羽詰まります。
「いやああ! ああああ、あん、ダメぇ、汚いですよぉ、そんなところぉ、ああん、あん、あん、あん、ダメぇ、そんなに、いやん、吸っちゃダメぇ、あん、舐めても、ダメぇえ!」
大きく脚を広げ、私にも見せたことのない無毛となった秘所を、思うがままに支配され、舐め尽くされている光景が浮かびます。
考えられません。
昼の明るい光の中。
初めてお邪魔した他人の家で、あっさりと裸になったこともそうですが、秘毛一筋残ってないその場所を、あっさりと明るいリビングで見せてしまうなんて、あり得ないことでした。
しかし、本気で抵抗をする気配など、一カケラも聞こえてこないのが現実でした。
「ああ、いやぁ、そんな、だめぇえ、ああ! あん、あん、あん、あぁ、もう、ああん! い、イッちゃうから、い、イッちゃうから、ダメッ! あああぁ、あう! いっ、イクぅう!」
甲高い声が響いた後の静寂は、鈴木さんの口戯で、あっという間に達してしまった証しでした。まだ、家に入って十分も経っていないというのに、全てを脱ぎ捨て、無毛の秘部をたっぷりとしゃぶられ、あり得ないほどのオーガズムを味わってしまった妻。
目の前にはアパートの背景に青空が広がっていました。なんだか、聞こえてくる世界が遠い世界のように感じます。しかし、見上げるアパートのすぐ向こう、この位置から十メートルもない場所で、妻は、全てを男にさらけ出しているのです。
何の変哲も無いアパートが、何とも禍々しい空気をまとっているように見えている私は、傍目に見ても分かるほど、勃起していました。
口技だけで達して、それで終わりのワケがありません。オーガズムの後で浸る、つかの間の余韻をゆっくりと味わう余裕など、与えられませんでした。
「さて、さっちゃんも頼むよ。ほら、このまま上になって」
「あっ、ダメッ、恥ずかしいからっ、ん、んっ、もう〜 こんなのぉ。ね? ダメですよぉ。ね? わたし、重くないですかぁ」
「軽過ぎて、乗ってる感じもないよ。お〜 良い感じに、中がうねってるよ」
「あん、ダメぇ、広げちゃ、いやん、ん、ん〜」
反対向きになって鈴木さんの上に載せられたようです。シックスナインのカタチ。私とは絶対に明るい所でやってくれないことです。
『なんで、そんな簡単に? やっぱり、女って言うのは、たっぷりと感じさせる男には逆らえないものなのか? それとも、本気で鈴木さんを?』
好きになったのか、と言う自問を、意識の寸前でカットするのがやっとです。どうにも、こうにも、心の底から震えるほどの、悔しさと、辛さと、怒りと、どす黒い興奮とが、渦巻いていました。
前回のような「妻が他の男とセックスしている」という次元とは、全く違う嫉妬の感情が、沸々と腹の底で湧き上がっていました。自分だけの妻のはずなのに、自分には許されない所まで入りこんでいる気がしたのです。
「おっ、上手いぞ。さっきも上手だったけど、サッちゃんはヤルたんびに上手くなってくるね〜 よし、こっちも」
「ん! んん〜 んっ、んううう〜」
おそらくは、シックスナインを始めたのです。
パックリと広げたアソコを愛撫されて悶えているに違いありません。けれども、口いっぱいに入れたままの怒張を、決して吐き出そうとしませんでした。
ピチャ、ピチャ、ピチャ
微かに聞こえる湿った音は、どちらの立てている音なのか分かりません。
しかし、その合間に時々聞こえる、くぐもった「んんっ!」という甘い声は、次第に、その間隔を狭め始めました。
「よし、いいぞ、ほら、もっと喉まで入れるんだ。そうしないと出ないからね。お口で出してくれるなら、本番が一回減るよ。サッちゃんは、旦那さんのためにも、一回でも少ない方が良いんだったよね」
一瞬の間。
「ほら、喉まで入れて…… おお! うん、うん。健気だね〜 そこまで入れられるなんて偉いぞ。本気で、彼のために、一回でも少なくしたいのかな?」
ジュブ、ジュブという音が微かに聞こえる気がします。
「喉まで入れてるなあ。うん、うん。彼のためだよね〜 子宮の中に入れちゃう精子を一回分だけでも少なくしたいって、ことなのかなぁ? でも、それって、本当かなぁ」
優しげな声には、何かを含む気配がありました。
一瞬の間を開けて「本当に、そうなのかな?」と、まるで責めるかのように、粘っこい声。
「サッちゃん、それってウソだよね」
ん〜
くぐもった抗議の声。
「これは、サッちゃんがしたいからだ。彼のためって言いながら、本当は、オレのを喉の奥まで入れたかったんだろ? サッちゃんが、やりたいから。うん、サッちゃんが、本当は、喉の奥まで欲しいからしてるんだよね?」
「ん〜 んん、ん〜 ん!」
「ダメダメ。ウソをついても。だって、こうしている間も、サッちゃん、オレのを飲んだままだろ? 喉の奥に当たるまで深く、深く、ほら、もっと深く入れて! ほら!」
「んっ、んぐっん」
その一瞬の小さな気配は、妻が即座に命令に従ってしまったのだと悟らせてくれました。
「よおし。そうだ。オレのチンポは美味いだろ? サッちゃんが好きなだけ飲み込んで良いんだぞ。これからはいつだってな。ほれ、オレもしてやるぞ」
ジュブ、ジュルジュル!
湿った場所を吸い上げる音が響きました。
「んっはっ! ダメぇ! ああぁん、ち、違います! あん、ち、ちがう、あああん!」
「違わない。だから、ほら、さっきからオマンコ汁が垂れてきてる」
「あああん! あっ、あっ、だめえ、違う、違うんだからぁ、あああん、あっ、あっ、オジさん、ダメぇ、また、オカシクなっちゃうから、ダメぇ!」
「どうだ、ほら、これでも違うって言うのか? グショグショだろ? 糸を引いてるぞ」
「だめぇ! ああん、いやあ!」
「どうだね? 涎を垂らしてまで、奥深くにチンポをくわえ込んで、えずいても、やめない。マンコを、こんなにグショグショにしながらな、それがサナの本性だ、ほれ、どうだ!」
その時、気配で、鈴木さんが、怒張を引き抜いたのが、なぜか分かったのです。
「ああん、んっ、いやあん、イジワルしないでえ、あああ! あうう! ああぁ、んじゅぶ」
「イジワルなんてしてないだろ。ほら、ほら、ほら、イキそうだろ? オレのを喉まで入れて、イキそうになったな? マゾだからだぞ」
「んぐぅ〜 あああ! いやん!」
またもや引き抜かれたのでしょう、甲高い妻の声が、引き抜かれた怒張を追いすがるのがわかります。
「違う、あぁあん、そんなことぉお、な、あああん、あっ、だ、だめぇ、お願い、やめっ! ああああ! だめ、そんな、ああぁ、ダメッ、イッちゃうから!」
「ほら、イケ! マゾッ子のサナ、イクんだ! オレの指でイケ!」
「ああああ、だ、だめぇえ! あぁあ! いやあ! あっ、あっ、あっ、ああああ! いくぅうぅう!」
それは、一種壮絶な淫声でした。
マゾだと決めつけられながら、こらえようもなく、イッてしまったのです。
自分の妻が、マゾだと言われ、しかも、苦しいまでのフェラをしてグッショリと濡らしてしまう女だと、突きつけられてしまった。
この現実には、興奮するよりも先に、腹の下の方の臓物がギュッと鷲掴みにされたような痛みに似た苦しさを感じてしまいます。
「わかっただろ? サッちゃんの心。実はマゾなんだよ、君は、ね。だから、旦那さんとの優しいセックスでは見つけれないものが、オレとのセックスには、あるってこと、わかっただろ」
荒い呼吸音しか聞こえませんが、私の目にはサナがゆっくりとかぶりを振っている姿が見えている気がします。
「そんなこと…… ありませっ、んっあうぅうう!」
「ね? 今も、こんな風にマンコを広げられて、感じるのがサナだ。オレに裸の写真を送れと命令されて、濡れたのがサナだ」
「ち、ちがぃ」
「違わない!」
ビクンとしてしまうほどの強い声。消して怒鳴ったわけではありません。むしろ、小さく、静かな声ですが、断固として曲げない声であったのです。
「いいかい? オレはサナにいろいろと命令してきたよな? とってもイヤらしい命令だ。オナニーもさせたし、裸の写真も撮らせた。サナの恥ずかしい秘密を全部喋らせた」
一瞬の間。
サナは、どんな顔をしているのでしょうか。
「なあ? オレにいろいろ命令されて、イヤだったか? 正直に答えてみろ」
こと瞬間、サナがどんな表情をしたのか、何を引き換えにしても見たい気持ちが爆発しそうです。
しかし見るまでもなく、どんな顔をしているのか、分かっているのも、私なのです。
「ちゃんと、言葉にしなさい」
低い声の、静かな命令に、妻の声がハッキリと「イヤじゃありませんでした」と、ためらいを、これっぽっちも見せずに認めてしまいます。
「そうだよな。喜んで、とは言えないが、嫌だったとも言えないよな? それがサナだよ」
「あぁあ、だって、それは」
「オレに命令されたからだ。サナは恥ずかしいコトを命令されて、嫌じゃなかった。写真を送ったときも、濡れてた。そうだよな? 淫らな気持ちになって、濡れた」
その時、妻が再び、鈴木さんのモノを飲み込んでいった姿が、なぜか見えた気がします。
「今だって、命じるまでもなく、喉の奥までオレのを飲み込んだんだ。これは、本当に、ただ、彼のためかい? 違うよな?」
一転してなだめるようなトーンになった、その声には、私までもが、身動きできなくなるような錯覚をさせる力がありました。
「サナ、もう一度だけ聞くよ? ちゃんと答えなさい。イヤらしい命令をされて、イヤだったか? ホントは子宮が疼いたんじゃないかね?」
ホンの少しの空白は、その瞬間、サナの喉がコクリと何かを飲み込んだ気配を感じさせます。それが男の先走りを飲み込んだのか、それとも、貞淑で平凡な人妻というプライドを飲み込んだのかは、紗奈だけが知っていること。
「はい」
その声は、小さいけれども、確かに紗奈の意志が込められていたのです。
「イヤじゃありませんでし…… あああ、お腹の下の方が、熱くなりました。オカシクなっちゃいました。あぁあ、ごめんなさい……」
その「ごめんなさい」が、いったい、誰に向けられたのか、いえ、何を謝っていたのか、私には分かる気がします。
しかし、その言葉には一切の「ごまかし」がなく、真摯な瞳が目の前に見えるようにハッキリとしている答えです。
「で、でも、それは」
「サナ、命令だ。このまま立ち上がりなさい。オレに跨がって自分で入れるんだよ」
「!」
紗奈の身体がビクンと反応したのが見えた気がします。しかし、それは恐怖でも、嫌悪でもなく、来るべき瞬間がやってきたという覚悟のようなものなのです。
「命令だ。ほら、そのまま立ち上がって。そうだ。ゆっくりでいいぞ」
「こんな、こんなこと、ダメなんです。自分からなんて、ホントに、ダメなんです」
「そう言いながら、ちゃんとチンポの上に立ってるじゃないか。少しも止まらないんだな」
「あぁああ」
「よし、そのまま腰を下ろせ。ゆっくりとだ。今から、オレのチンポを自分で入れるんだ。ちゃんと、自分で言葉にしてから入れろ」
「あぁああ、ダメなのにぃ」
「言うんだ。紗奈が自分の意志で入れるんだってな。入れたいと言え!」
「オジさんのを、今から」
「違う、ちゃんとチンポと言え。何をしようとしてるのか、自分で説明するんだ」
「ああぁ、イジワルですよぉ、そんなの…… あああ、お、オジさんの…… チ、チンポを自分で入れます。欲しいんです。オカシクなっちゃったから! ああああ! あぁあ!」
一瞬、何が起きたのか、分かりませんでした。入れたのかと思ったら、最後の声は、明らかにオーガズムの声だったから。
『あっさり入れたのか? 入れただけでイッた?』
「なんだ。入れる前からイッちゃったら、マゾって証明しちゃったようなもんだなあ」
え? まだ入れてない?
「あぁ、お願い、で、す、いじめ、ないでぇ、あああ」
「単にサナが、スケベなマゾだってだけだ。まだ、チンポを入れもしてないんだぞ? これから旦那以外のチンポを入れますって宣言したら、それだけでイクんだからな」
「ああぁ、だ、だめ、あっ、んっ、ね、入れて、いいですか?」
「ゆっくりとだぞ。自分でオレのに手を添えて、ちゃんと当てて、入れろよ」
「こ、こう? ああああん、ああぁ、入れちゃう、オジさんのを、入れちゃいます、あぁ、当たってるぅ、ああぁ、入っちゃう、これ、オジさんのチンポが、入っちゃ……」
「グチョグチョだろ? これだけヌルヌルなら、簡単だ。おっと、ストップ!」
「あぁん、な、何を?」
「ちゃんと、夫に謝らないとダメだ。これからあなた以外のチンポを自分で入れますってな。淫乱なマンコに、オレのを自分から入れてゴメンなさいって言え
「そんなこと、言えるわけ、ああああん!」
「素直に言うことを聞くんだ。なんのてらいもいらない、心も裸になれ。そうしないと、本当の自分が見えてこないぞ」
「あああ、ど、どうして、そんなイジワルを、ああぁ」
「すぐに分かる。さ、夫に謝ってから入れるんだ。サナの意志でな」
「あああ、そんな、ダメなのに…… んっ、あっ、ダメぇ、オジさん、動いたら、ズルいです」「さ、早く。ちゃんと、言ってもらうぞ。約束だろ? オレの言うことに従うってな? ほら、素直になれ、淫乱な紗奈になるんだ」
「あああ、約束、しちゃったから…… サナは、オジさんと約束しちゃったから、素直にならなきゃ、ダメなんですよね」
そこにあったのは、妻の最後の葛藤だったのかも知れません。しかし、それも数秒しかなかったことも事実なのです。
「あぁあ、あなた、ごめんなさい。サナは本当はとってもエッチなの。オジさんのを入れて欲しくって、い…… 淫乱なオマンコになっちゃってます。オジさんのを、グチョグチョのオマンコに、自分で入れちゃいます! ゴメンなさい! ああああ! あなた! ゴメンなさい!ああああ! あうぅうう! あっ、イッちゃいます、あああ!」
「そうだ。そのまま。奥まで入れろ」
「はうう! あああん!」
「そのまま、全部だ。脚の力を抜け」
静かな命令でした。しかし、声を荒らげる必要も、強く言う必要もなかったのです。
「あああん! む、無理ぃ、あぁ、キツイですぅ、あぁあ、すごいいいい! ああ、良いのぉ」
「そんなことあるものか。ほら、もっと入るぞ!」
「無理、ですぅ、ああん、あああぁ、む、ああ、無理ぃいい! ああ! 入ってる、奥にぃい! あ、あっ、あああん、あぁうう! はうっう!」
こんなにも生グサイ声が出せるのかと思うほど、なんともイヤらしい声が響き渡っています。
「ほ〜ら、入ったじゃないか。二回目でオレのを自分から、こんなに奥まで入れられるなんて、すごいぞ」
「あぁあ、当たってるぅう、ああ! すごい! あんっ、またぁ、あああ! 」
どうやら、入れただけで、何度もオーガズムを味わっているようでした。いえ、もう、オーガズムとか何だとか言う前に、狂うほどの快感に狂い始めているのが伝わってきます。
「そう。それだ、子宮口に当たってるだろ? そう。動き方も、わかってるじゃないか。自分から、イヤラシく腰を使ってる」
「あああ、そ、そんな、はうぅ、あっ、恥ずかしぃから、言わないでっ、ああ! あ! イイ!」
「どうだね? 自分から腰を使ってる、イヤらしいサナ」
「いやああ、あぁ、あっ、あっ、あああ、オジさん、オジさん、もう、わたし、あああ、またっ、イッちゃいそうに、あっ、ああああ。いやあぁああ、いく、いく、いくううう!」
その淫声は、甘やかさを通り越して、ある迫力を持っていました。聞く者を総毛立たせる、人が何かを奪われていく壮絶さです。
入れながら達し、奥まで入れてイキ、今また、腰を使って、あっという間にオーガズムを叫ぶ妻。それは私の知らない「妻」でした。
音と気配だけしか分からなくても、その光景が私には見えています。
白い身体をたおやかにしならせながら、動いていた腰を押しつけるようにして、オーガズムを迎える妻は、全身をヒクつかせながら、全てを差し出していました。命じられたとおりに、自ら鈴木さんの怒張を受け入れて、私とはしたこともない女性上位の形で、イッてしまった妻。
『紗奈は、もう、命じられたら、何も拒めなくなってしまったのか?』
そんな疑問がふと頭に浮かんでしまった瞬間のこと。キスを命じられた妻は、素直に、自分から被さって、長い長いキスをしているのが分かります。
命じられたから、と言うよりも、その雰囲気は、妻の胎内から溢れる欲求が、夫以外の唇を、舌を、唾液を、求めさせている気がしました。
「はあん! あっ、ダメぇ、胸、あああん、感じちゃうからぁ、あああ、乳首だけ、そんな、風に捻ったら、あああ、オカシクなっちゃいますよぉ ああん! え? なんですか?」
急に聞こえなくなる声。
『どうしたんだ?』
「そんな…… ダメですよぉ。あ…… そんなぁ だってぇ」
何かを命令されて抵抗している? そんな雰囲気が十秒ほども続いたでしょうか。
「さ、ほら、身体を起こして。そうだ。奥の方を自分でかき回すつもりで動きながらだ」
「あああ、オジさん、意地悪ですよぉ、あっ、んっ、こ、こうですか? んっ、あぁ、あっ」
甘えた声を上げながら、素直に腰を使っている気配が伝わってきます。
「さあ、言ってごらん。サナのホントの気持ちを」
「あぁ、だって、あんっ、んっ、そんなっ、ことぉ」
「じゃ、抜いちゃうか? それとも……」
「あっ! あっ! あっ! ダメぇ、動いちゃダメッ、あっ、あっ、イクッ、ああぁ〜 え? あぁん、もう〜」
『あれ? なんかヘンなイキ方じゃないか?』
イッた直後に、ため息のような声をもらすなんて、どういうことなのでしょうか。
「ふふふ。下から突き上げたら、すぐイッちゃったね」
「あぁん、もう〜 ズルいですよぉ」
「サナが、腰を持ち上げかけてるから、ね。こうやって、先端だけを残して抜いちゃうと、深いイキ方はしないだろ? これ、もう一度、してみようか? それともホントに抜いちゃうかい?」
「ああん、もう〜 オジさん、今日は、ホントに意地悪ですよぉ、もう〜 言うんですかぁ、恥ずかしいですよぉ ああん、もう、分かりました、言いますから、オジさん、身体を下ろしてイイですか? え? もう! 意地悪! ああああん、もう〜」
そこに数秒の空白があったのは、羞恥ためなのか、それとも最後に残った理性のブレーキだったのでしょうか。
「お、オジさんの…… チン、ポを、サナの、エッチな…… オマンコに奥まで入れて良いですか? あぁん! あぁあ!」
「なんだい。腰を落としたら、すぐにイッちゃったんだね。こんなに乳首を立たせて、おやおや、物欲しそうに腰がうねってるぞ。中もヒクヒクしてる」
「言っちゃ、いやあ」
鈴木さんは私が聞いていることを意識してくれているのでしょう。サナの様子を言葉にしてくれますが、それはそのまま、サナへの羞恥責めとなっていました。
「さ、言ってごらん、サナの本当のこと」
「あああ、もう〜 ホントに、意地悪ですよぉ。あああ…… あなた……」
最後の最後でのためらいは、私への貞節だったのでしょうか、それとも、さっきから頻りに言葉にされている「本当の姿」を明かしてしまう怯えだったのでしょうか。
しかし、それは永遠に分からぬこと。
「あああ! あなた、ゴメンなさい。サナ、ホントはエッチなんです! オジさんの大きなチンポが欲しくて、セックスしに来ました! ああああ、お、オナニーの写真も、エッチな経験も、全部、教えちゃいました。あなただと届かない奥まで、あああ、このチンポにかき回して欲しくて、何でもしちゃいますっ! あああ、ツルツルにしちゃったオマンコ、許して! ああああ! いくううう!」
「おやおや、動いてないのに、勝手にイッちゃったね」
「はふぅ〜 あぁ、いや、今、イッちゃったのに。あっ、ダメ、動いちゃ、ダメぇ、あああん! ダメぇ、イッちゃうから、また、あああ! イクッうう!」
「サナは、本当にマゾだね〜 恥ずかしいことをさせられると感じてしまう。エッチな自分を出すと、もっともっと気持ちよくなるんだね?」
「あああ、だめぇ、そ、そうです、サナは、エッチなことをすると感じちゃいますからぁ。オジさんに、ヤらしいことされて、あああん、こんなにイヤらしいオマンコになってしまいましたぁ、ああああ イクッ! またぁ、あああ! いくうう!」
ハアハアハア
「すごいイキ方だね〜 そんなに気持ち良いのかい?」
鈴木さんの飄々たる言葉に返事はありません。代わりに、荒い息づかいが聞こえてくる気がします。
「こんなにイヤらしいオマンコ、どうしようか? ほら、サナ、どうして欲しいんだね?」
「ぁああ…… お願い」
「ん? どうしたんだ? 何をお願いかな?」
「あぁ、お願い ……下に、下にしてください」
「それなら、後ろからと、前から、どっちがイイ?」
「お好きな方、から」
「何だ、どっちもするつもりなんだね。さ、どっちからスル? ちゃんと、サナの気持ちで、言うんだ」
「あああん、意地悪っ。お願い、後ろからしてください」
今度は、一瞬のためらいもありませんでした。
「ほう、後ろが好きかね?」
「だって、これ以上したら、私、きっと動けなくなるから、そうしたら、身体を起こせなくなっちゃうから、今なら、まだ……」
「ハハハ、腰が抜けるまでして欲しいんだね。ヤらしいサナときたものだ」
「ああん、言わないでぇ、こ、こうですか? これで? あああ、恥ずかしいです、後ろからだと、全部見えちゃってる。ああぁ、見ないでぇ」
「なんだい、そう言いながら、垂れてきたよ、ほら、糸を引いてる」
「あああん、エッチぃ、いやあ、見ないで」
「さ、彼だと届かない、サナの子宮の中まで突くよ。ほら、おねだりしなさい」
「ああああ、オジさんの大きいチンポを…… ああ、奥まで、い、入れて! あああああ! サナの子宮を…… 突いて! 思いっきり! お願い! あああ!」
「ほう、絡みつくね、どうだ、これが欲しかったんだろ? ほら、ほら、ほら」
「ああん、あん、あん、あん、ほ、ほし、あっ、かった、あん、ですぅ、ああああ、あん、あん、あっ、すごい、すごい、あぁん! あうぅ、すごいぃい! ああ、また、あう、イッちゃう、イッちゃう、あっ、イッちゃうからぁあ、ああ、イクぅう!」
妻の心のどこかで、留め金が外れてしまったのかもしれません。貞淑で、恥ずかしがり屋の妻の奥に、潜んでいた闇を掘り当ててしまった、そんな気がしました。
もはや何のストッパーもなくなってしまったのでしょう。四つん這いになって、ただひたすら、後ろから与えられる快楽に嬌声を上げ続けていました。
女としての全てを差し出して、男に支配されてながら、至上の快楽を得ている声です。
何だか、妻を根こそぎ奪われてしまった気がして、心にポッカリと喪失感という穴が空いてしまった私。そのくせ、かつて無いほど硬くなっていました。もしも、ここが道ばたでなければ、今すぐ、自分の手で扱きたい衝動が激しく渦巻いています。
ただ、私が、そこで突っ走らなかったのは、誰かに見られてしまうかも知れないという、社会人としての常識ではありませんでした。いえ、その瞬間の「射精衝動」は、今までの生活の全てを捨てても惜しくもないほど激しいものだったのです。
「ああああ、いく、いくっ、いぐぅううう!」
もはや、数え切れないほどの、何度目かも分からないオーガズムの叫びを聞きながら、辛うじて射精をこらえたのは、約束の「この後」のためでした。
しかし、それであっても、こみ上げてくる衝動が、もうジッとなどさせてくれません。足音を消しながらも、必死の一段抜かしで鉄の外階段を駆け上がっていました。
『このドアの、ホンの数メートル向こうにいるんだよな』
何の変哲も無いアパートのドアが二人を隔てていました。
扉一枚向こうでは、愛する妻が、裸になって自ら、鈴木さんのモノを飲み込んでいるのです。
ドアノブを掴まなかったのは「くれぐれも、合図するまでは、絶対にダメだよ」と、さんざん言われていたから。くどいほど念を押され、約束したことでした。
扉の向こうから、またもや切なくも激しい声。
「あああああ!」
聞き慣れた妻の声は、聞いたこともない、激しいオーガズムを感じさせます。
扉の外まで聞こえてきた良く響く声に、もはや、私の我慢も限界が近づいていました。
『早く見たい、紗奈を! 早く、見たい!』
今すぐドアをこじ開けたくなる衝動と戦いながら、イヤフォンに耳を澄ませます。
私たち夫婦を隔てる、何の変哲も無いドアが、何とも禍々しさといかがわしさを孕んでいる気がしてしまいます。
「そうだ。サッちゃん、今日は、ちょっとしたイタズラをしてみようよ」
「んっ、ぁああ、なんですかぁ、どうせ、んっ、また、エッチなこと、んっ、あ、ダメッ、動いちゃあぁ、ああ、な、なんでしょ?」
「お〜 当たりだよ」
「んっ、いやあん、そんな、深すぎるぅ、あぅううぅ」
「それはサッちゃんが、ギュッと押しつけてるからだろ」
「そんなこと、し、してませんっ、あぁあ、当たりだ、じゃないですよ、もう〜 ああん、いやん、また、そんな、話すなら、ジッと、あっ、んっ、んっ、ダメぇ、あああ、また、オカシクなっちゃいますからぁ」
「すごいね、さっちゃん。エッチな腰遣いだ。もっともっとイキたくなっちゃった?」
「んっ、もう! 知りませんッ、ああん、ああ、また、いやあ、オジさん、そんなぁ、そんな風に奥まで突かれたらぁ、ああああ、喉まで届いちゃいそう! あああ!」
聞き慣れた、それでいて初めて聞いた、愛妻の出す、あま〜く、切ない声。
「ああ、ダメぇ、オジさん、あぁん、あぁう、あうっ、イ、イッ、イッちゃう、からぁあ! イッちゃいます、からぁああ、あぁあ、だめぇえ! イッ、イクぅうぅう!」
またもや突き抜けた激しいオーガズム。
イヤフォンからのクリアな声と、生々しい扉越しの響きが、何とも絶妙なハーモニーとなって、私の魂を揺らしていたのです。
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