1 少年が翔んだ日 その3
ひどい一日の最後は、妻の隠れた欲望を分かち合い、信じられないほど乱れたエッチで消えていったわけなのです。
そして、数日して「オマケ」がありました。
実は、これまで何度も「ツルマンにしてよ」と頼んではいたのですが、あたりまえですが、断られ続けていたです。
そりゃ、普通の主婦が、ヘアを剃り落とせと言われても、さすがに、なかなか答えてはくれるわけがありません。
しかし、妻には今回の件で負い目があったのでしょう。そりゃ、光樹君を煽ったから今回の騒動になったのだと言えば、結局、お人好しの妻は、反省を形で見せるしかなったようなのです。
それは、騒動の三日後のこと。
仕事を終えて帰宅してみると、妻は、何とも複雑で、恥ずかしそうな、それでいて、何かを決意したような、深刻な表情をしていました。
私は「どうしたの」と心配します。
「後で。ベッドの中で話します」
目も合わせずにそういった妻を、本気で心配した私は大急ぎでベッドに入りました。
電気を点けたままベッドに潜り込んできた妻は「エステに行ってきました」と告げたのです。
「エステ? そんなの、いつ行ってもいいけど?」
しかし、妻の表情には、不安そうな光が浮かんでいます。
「ね、前に、あなた、言ってらしたわよね?」
「何が? あ、前に言っていた全身美容のヤツかな?」
一体、そんなのをわざわざ、改めて言う必要が…… あ?
「まさか」
コクリと頷く妻。
「ツルツルにした?」
「うん」
「おお。見せて見せて!」
「あん、キャッ、ダメ、見ないでぇ……」
パッと捲りあげるネグリジェ。
白いパンティの下に陰りは見えません。
「見ちゃいやぁああ」
しかし、私の手の動きに合わせて腰をあげてしまいます。
「すげえええ!」
見事なまでに、少女のような佇まいを見せる、ツルマンがそこにありました、
フワッとした大陰唇は、まるで少女のようです。しかし、大人である証拠に、小陰唇がいかにも、イヤラシく広がり、クリトリスは早くもプックリと膨らんでいます。
「いったい、なんで、また、急に?」
「昨日ね……」
「あ、パート先の人との親睦会だったっけ?」
珍しく遅くに帰った妻です。
「うん。カラオケも行ったんだよ? でね、いろいろと言われて…… 他の人も、ヤッてるって。珍しくないらしいし、あなたが喜んでくれるなら、それに、私なりに、決意しちゃったの」
「決意?」
「うん。ごめんなさい。これで、あなたが許してくれるならって思ったの」
「えええ! すごい! 濡れてきてるぞ?」
なんだかよく分かりませんが、目の前の光景は圧倒的です。外陰唇が思っていた以上に白くて、フワッとしているのは、本当に、エッチな光景でした。
「いやん、見ないでぇ」
声を無視してクパァと両手で広げると、透明なつゆがこぼれます。
「エステで見られちゃったのって、すっごく恥ずかしかったんだからぁ。ね、これで許してくれる?」
「ツルツルにしたのは偉いね。されてる時、濡れなかった?」
見ているそばから濡れ始めている妻です。
「だって、こんな所、同じ女性に見られたって恥ずかしいもん…… だからぁ」
「濡れちゃったんだ?」
「いやん、言わないでぇ、思い出すだけでも恥ずかしいんだからぁ」
身もだえしていますが、見つめる目の前で、さらにトロッと秘液をこぼしてしまうのが、隠れた性癖なのです。
「お願いよ。これで許して。もう絶対に、あんなコトしないから。ずっとあなたのそばに置いて」
そんなに罪の意識を感じてくれていたとは驚きです。とはいえ、光樹君の命が助かったのですし、私は犯人にされなかったのですから、もうヨシとしましょう。
だから、返事の代わりに、したい質問に切り替えます。
「美奈は見られるとエッチになるから、本当はエステでも濡れちゃって、イカせて欲しくなったんじゃないの?」
「ああん、言わないでぇ」
顔を押さえてかぶりを振りながらも、またもや新たな蜜をこぼしてしまうのです。
「ほらほら、美奈は、ツルツルのマンコを見られちゃったら、濡れちゃうんだろ? もう誰のチンポでもいいんじゃないのか?」
「あああん、違うぅ! 違うモン! あああん、あなただけがイイのぉ! いやあ! 見ないでぇ」
悲鳴を上げながらも、クパァと広げる私の手を邪魔しないように脚を広げきってしまう妻でした。
「あああ、私、エッチで、ゴメンナサイ。私が、悪いの、ゴメンナサイ、ね、ずっと、あなたのそばに置いて、なんでもするからぁ」
こんなことで、妻と別れるわけもないのですが、どうにも、妻は罪の意識モードから離れられないようです。まあ、お人好しの妻からしたら、お隣の少年の重症という結果は、それだけの衝撃をもたらしても当然かも知れません。
しかし、こうなったら、一種の逆療法で、またもや「ミッキー」に登場していただくしかありません。
「じゃあ、光樹君が退院してきたら、美奈が、ヤラせてやれよ? 憧れのオッパイも、たっぷりと触らせてやれ」
ズブリと挿入しながら「お姉さんのナカ、気持ち良いよぉ」と、もはや定番の光樹君口調です。
「あああ、そんなぁ、私が、ミッキーと? ああ、そんな、ああうう!」
ビクン、ビクンと全身をケイレンさせる妻。
ツルマンにするとビンカンになるとはよく聞きますが。この日の美奈は、本当に感じやすく、あっという間に達してしまいます。
「お姉さん。ボクのチンポで、何回もイッちゃうんだね」
「あああ、ダメ、言わないでぇ〜 あっ、あっ、あぁん、またぁあ、ああ、い、いくうう!」
何度も何度も「光樹君」にイカされると、最後には全身をケイレンさせる、とんでもなく大きなオーガズムを味わいながら「ミッキー お姉さんのオマンコに出して!」と叫んでしまう美奈だったのです。
それにしても、あんなに嫌がっていたのに、ちゃんと脱毛してきただなんて、一体どういう風の吹き回しなのかは分かりません。
しかし、恥ずかしがっていたエステにちゃんと行けたのも、罪の意識から来る、何らかの心の変化なのかもしれないというのは、夫としての直感でした。
『ま、光樹君、様々だったかもな』
光樹君になりすましたセックスを続けているウチに、妻の何かが変わったかもしれませんが、それを聞くのは可哀想というものです。
ともあれ、妻は、さらにエッチになったのです。
それからは「ツルツルを確かめるため」と称して、脚を広げさせるのが定番になりましたが、ものすごく恥ずかしがるくせに、決して拒否しないのです。しかも、恥ずかしいと言いながら、言われるがままに自分の指でクパァと広げた時には、ビショビショになっているのですから、やっぱり、妻には被視願望があったのかと納得できたのです。
もちろん、私だって、広げたオマンコから蜜が、トロッと流れ出す光景を見たら、たまりません。
かくして、毎日のエッチは、さらに激しいものになっていきましたし、当然、毎回、ミッキーにも、ご登場いただいたのは言うまでもありません。
妻は、毎晩、数え切れないほどミッキーにイカされ、最後は「お姉さんのツルツルマンコに出して!」と叫びながら、射精を受け入れるのです。
そして、そんなセックスをする度に、妻の快感が大きく、深いものになっていくのを、私は実感していたのです。
妻が、どんなプレイも嫌がらずに受け入れるようになったのは、この事件の大きな「余波」だったのかもしれません。
毎日、新婚さんのような、いえ、新婚さん以上にラブラブな日々が続きました。いつのまにかパートまで休むようにしたらしくて、妻はひたすら私の帰りを待つようになっています。
まあ、今のところそれほど支出も多くないため、パートは妻の気晴らしのような面があったのですから、行かなくなるのは、別にたいした問題でもありません。むしろ、全てを私に捧げるように暮らす妻のおかげで、格段に、私は幸せになったのです。
そして、恋人時代よりも甘い生活が続いて、事件から十日が過ぎようとした土曜日のことでした。
帰宅した私を待っていたのは、妻の困惑顔。
「ねぇ、ねぇ、今日さ、ミッキーがママに連れられて謝りに来てくれたよ。やっと、金曜日に退院したんだって」
「へぇ〜」
「腕の方はどうだった?」
「まだ両手にギプスしてた。手が使えるまで、一ヶ月かかるんだって。手首を折ってるから、今は全然動かせないらしいよ」
「ありゃりゃ。両手だからなあ、いろいろと大変だろうね」
「うん。自分だと何にもできないみたい。ぜ〜んぶ、お母さんがやってあげないとなんだって。あ…… で、ね、お詫びにって、さ」
見てと言われたテーブルの上には、老舗デパートの包み紙をまとった菓子折りと、お詫びと丁寧な文字で表書きされた封筒が置かれています。
「これ、受け取れませんって言ったんだけど、どうしてもっていうの。どうしたらいい?」
「わっ、すごい。十万も入ってるじゃん。三千円のブラが十万に化けた〜 それに、ホラ、このお菓子、銀座のスゴイ老舗のヤツでしょ、なかなか手に入らないらしいよ」
「あ、これ、う、うん、そうよね、うん」
知っています。育ちの良い妻が子どもの頃から食べている大好きなお菓子です。
「コレも返した方がいい?」とさりげなくテーブルのこちら側に引き寄せると、妻の小さな「あっ」という声が確かに聞こえました。
「それは、食べ物だから、お返ししたら逆に失礼じゃないかしら」
さりげなく手元に引き寄せてから「お茶を入れますね?」と立ち上がって、食器棚の横に置いてしまいます。
「あ〜 まあ、藁しべ長者だと思って、さ。うん」
ケラケラと笑ってみせると、妻はさすがに唇をツンと突き出しての、可愛らしい不満顔。
「もう〜 笑い事じゃないでしょ。あなたの奥さんの下着をなんだと思ってるのよ。それに、結局、ミッキーが大怪我をしちゃったんだもの。こういうのは、いただけないわ」
ソファの横に座り直す妻の位置は、心持ち、いつもより向こう側。
すねたのでしょうか?
あれ? そういえば、お茶を入れてくれるんじゃなかったっけ、というツッコミを入れようとして、妻の表情が、それどころではないと気が付きます。
やはり、お人好しの妻は、こうなってしまうと、下着を盗られたことよりも、光樹君の怪我がショックなのでしょう。
「いやはや、すごいね。 ……ってことは、これ、あれだね、口止め料が込みってことだね」
お隣のお父さんはホニャララ銀行の出世コースらしく、海外単身赴任中。
さすがにエリートだけあって、金で済むならってことで「ソツのない対応」っていうのをしてきたのでしょう。
「ねぇ、やっぱり、こちらはいただけないわ」
しっかりとお菓子は、あちらに置いたまま、封筒を私に押しつけてきます。
「いやあ、あちらは、エリートらしいし、このくらい、びくともしないんじゃないのぉ」
こういう時の相場など知るはずもありませんが、エリートコースのお給料からなら、こちらの心は余り痛みません。
「もう盗られないなら、私はそれでいいのに。いくら、そう言っても、受け取ってもらわないと困るの一点張りで、じゃあ、主人と相談しますって、いったん受け取ったんだけど」
私たちは盗難の被害届を出さなかったため、一応、表向きは「事故」という扱いになりました。私たちの意向もあって、警察も「百のお説教よりも痛い目に遭っただろう」ということで、どうやら下着泥棒の件は、不問に付すということのようです。
激烈な受験を勝ち抜いて、名門私立に通っているだけに、もしも下着泥棒がバレたら退学でしょうから、そのあたり、私たちの「配慮」は、ありがたかったようでした。
「いいじゃん。受け取れば。それでアッチは気が済むんでしょ」
押しつけられた封筒をいったんテーブルの上に置きます。
妻は、それが禍々しいモノであるかのように見つめました。
「そうかも知れないけどさ、何だかミッキーが可哀想になっちゃったんだもん。顔がウンと腫れてたから、家に帰ってから、相当、叩かれたんだと思う。両手が使えないって言うのに、さ」
落ち方の問題だったのでしょう。肘から先の部分が、両手ともに折れてしまったのを「命があって良かった」と言うべきか「三階からなのに両手骨折なんてウンがない」と言うべきなのか。
ともかく、両手が不自由ではトイレにも行かれませんから家にいるしかないのです。
「あのね、ミッキー、今月、学校に行ってなかったんだって」
「あぁ、不登校とか言うヤツ?」
「そうみたい。あんまり詳しく事情は聞かなかったけど、なんか、腕が治ったら、毎日、学校に行くって約束したって」
どうにも、光樹君を「犯人」として憎む気持ちになれない私としては、これが良いキッカケになって欲しいというのは、本当の気持ちです。
お人好しで、気立ての優しい妻のことですから、大怪我を負ってしまった光樹君に対して怒りは既にありません。むしろ、逆に罪の意識を感じているらしく、もはや「可哀想な少年」としか見えてないようです。
「そっか。ずっと家にいたから、つい何回も盗んじゃったんだね」
「うん。最初は、偶然、干してあるのがベランダから見えちゃったらしくって、それで我慢できなかったみたい」
「あ〜 ときどき、そのまんま、下着を干してたよね〜」
「だって、目隠しがあるから、通りからは見えないと思ってたんだもん」
うつむいて、モジモジし始めます。
「そ、それにさ、えっと、あのぉ…… そうよ! 盗まれるようになってからは、タオルで囲んだんだよ?」
半ば無理して、明るい表情で、そんなことを言い出しますが、私の無言の返事で、身体を半分に縮めてしまう妻です。
ベランダは、バルコニーの立ち上がりが高いので、確かに、角度的に洗濯物は見えません。
だから、それをいいことに、脳天気な干し方をしていた天然さを、少しは反省してももらわねばなりません。
なにしろ、今回のキッカケは、脳天気な干し方をしたブラが、お隣から見えてしまったせいかもしれないのです。
『何だか、これじゃ、ますます、挑発したようなもんじゃん』
私の考えたことを、素早く察知したのでしょう。クルクルッと黒目を動かして、クスッと笑ってから「でもさ」と、一転して気の毒そうな表情へと変わります。
「身の回りのこと、全部ママにやってもらわなきゃなのに、あれ、かなり、可哀想かも」
なにしろ、光樹君ママの怒りは相当なモノだったらしく、あれでは針のむしろに座るようなものです。
しかも、お隣は専業主婦で、これからは一日中ふたりきり。
「あ〜 そうだよな。クソしても、拭いてもらわなきゃダモンなぁ」
「赤ちゃんに戻っちゃったみたいだものね」
「赤ちゃんにはない部分もあるからなぁ」
男の子だけに、オナニーはどうするんだろうと、ふと考えてしまうのは、私が男だからでしょうか。
妻は、そんなことには思い至らず「あ、身体が大きいモノね」と素直に納得して相づち。
「ね、あなたぁ、少しでも、ミッキーママの怒りを、解いて上げられないかしら? ね? お願いよ」
「う〜ん」
「それに、できれば、封筒も返してあげて欲しいし」
少年に対する罪の意識まで出ている妻にとって、今さら「お詫びのお金」をもらうことに抵抗があるのでしょう。
少しでも取りなしてあげようというのと、封筒の件で、結局、お隣に行くことになりました。
年上の、真面目そうで、ミセスモデルにでもしたいくらい綺麗なお母さんは、ドアを開けるなり恐縮の体で、身を縮めて玄関先の土下座です。
「ミツキ! あなたがご迷惑をおかけしたのは、お隣のオジさんにもですよ!」
傍らに神妙にかしこまった光樹君の頭をパシッと本気で叩いて、一緒に土下座させる勢いです。
両手にギプスを点けた光樹君は、なるほど、頬が見事に腫れ上がっています。相当にひっぱたかれたようです。
細身で、顔立ちの整ったお母さんと、光樹君を見比べ「なるほど、お母さん似か」と思いつつ、美しい顔に似合わないほど手ひどく、子どもを叩いた心境を、考えてしまう私です。
ともかく、少しでも取りなして上げてと、妻に言われています。
「あ、いや、頭を上げてください。そんなつもりできたわけじゃないんで」
そう言いながら『でも、まだ二十六だから、オジさんってのはちょっとなぁ』と内心で苦笑している私です。
「まあ、まあ、これくらいの時期って、いろいろありますから」
取りなす私に「いえ、私の子育てがいたらず、申し訳ありませんでした」とお母さんは、さらに頭を下げるのです。
私としても、突っ立ったままで、頭を下げている人の前にいるわけにもいきません。玄関先でしゃがみ込んで「頭を上げてくださいよ」と肩に手を添えねばなりません。
そこから「私の育て方が」「至らない母親で」と繰り返すのを、その度に、なだめ、少年の日にはありがちだからと取りなす繰り返し。
「もう頭を上げてくださいよ」
成り行き上、触れてしまった光樹ママの身体ですが、細身なのに意外な柔らかさを持った肩と背中の感触は、熟れ始めた女体を感じさせてきます。
いくら、土下座を止めさせるためとは言いながらも、このまま手を添えていて良いのかと迷いが生じ始めたのは事実です。
『ふう。この感触は良いけど、何回、この繰り返しを。そろそろ、本当に頭を上げてもらわないと…… あれ? ちょ、ちょっ〜 胸が丸見えじゃん』
頭を上げさせるために、横から回り込むようにして目線を下げたのがイケなかったのでしょうか。
ワンピースのゆったりした胸元がパックリと垂れ下がって「中身」をモロに覗き込む形になってしまったのです。
フワッとした、人妻の柔らかな匂いを載せた空気に、包み込まれる距離でした。
『わっ、ヤバい、こんなの、覗いちゃマズイ、でも、ここで頭を急に上げるわけにもいかないし。いやいや、見ちゃいけないのに…… ああ、でも、なんて柔らかそうなオッパイ』
目の前のオッパイは、途方もない柔らかさを見せつけていて、それが三十センチと離れてない距離で、シンプルなブラに包まれているのです。
妻と比べて「チッパイ」のせいで、ブラジャーが浮いてしまっているのです。パッドの入ったカップは、その先端を辛うじて隠しているだけ。穏やかな膨らみのほとんどが丸見えになっています。
チッパイにはチッパイの魅力があります。人妻の柔らかな膨らみは、なんとも男の食指が動く※光景で、これで目を離せというのは無理な注文でした。
「あ、あの、もう、頭をお上げください、これだとお話もできませんし」
自分が目を離せないなら、後は、ご本人に身体を起こしてもらうしかありません。ついつい、必死になった私は、上から抱きかかえるように起こしにかかります。
「いえ、光樹をこんな風に育ててしまった私が……」
頑なに頭を下げたまま首を振る光樹ママです。すぐ目の前で、ブラに包まれた胸が揺れ、甘やかなオッパイの匂いが、鼻腔を捕らえます。
わっ、見えた。やや色の付いた、人妻としては小さめの乳首。
何とも敏感そうに見えてしまうのは、服の内側から薫る、甘やかな女のニオイが、そうさせるのです。
「そんなことはないですから」
心臓がドキドキと、耳に聞こえそうなほどに動き始めているのを隠して、ひたすら誠実な隣人を演じます。
「育て方ってことじゃなくて、若い時は、男の子なんて、いろいろありますよ。私も男だから分かってますので」
「いえ、でも光樹は、とんでもないことをしでかしてしまったのですから。それに、あの、あ、いえ、ともかく大変な子なので」
一瞬、何かを言いよどみましたが、おそらくは言いにくいことなのでしょう。どんな家庭にだって秘密はあるものです。
だから、私は敢えて気付かぬふりをします。
「お母さんが悪いわけでもないですから。若いときにはいろいろと迷うんですよ」
と、またしても、ここから、同じやりとりが三十分以上も続き、隣家の人妻のオッパイと甘い香りを堪能した頃に、ようやく頭を上げてくれたのです。
そして、その整った顔を苦しげに歪めながら「もしもお許しいただけるならば」と言ったのです。
「どうにも許していただけることではないのですが、もしもお許しいただけるのでしたら、お言葉に甘えて、お願いしたいことが…… 本当に勝手なお願いなのですが」
「なんでしょ?」
「あの、このことを主人には。今、海外に単身赴任で、こんなことを知ったら、どうなることか。それで、あの、主人に、なんて言われるか。お恥ずかしい話ですが、来月、帰って参る予定なのです」
「は?」
唖然としたのですが、そこから話を聞いてみると、どうやら子育てを全て任されているお母さんは、何かことがあるとご主人に暴力を振るわれているようなのです。
そんなバカな。
部屋にいる時も、こうしてキチンと化粧もし、落ち着いた花柄のワンピースを着た光樹君のママは、まるでカタログ雑誌のミセスモデルとでもいった風情。
私よりも一回り上の年齢を感じさせない、整った顔立ちに、スラッとしたシルエット。
隣家の奥さんは、もしも「美しき家庭の人」を作り上げるとしたら、まさに、その体現した姿になりそうな人です。でも、その人が実は、ご主人のDVに怯えていたというのは、一種の衝撃でした。
「もしも、こんな破廉恥罪がバレたら、離婚されてしまいます」
哀しげに訴える表情には「離婚」ということよりも、肉体の暴力に怯える感情がありありと分かります。
「え? だって、そんなの……」
言葉に詰まりました。
子どもが何かやらかしたら、母親だけのせいかよ、と唖然とする私に、泣きそうな怯えを含んだ表情で、さらに続けます。
「本来なら、お詫びの方も、些少で、逆に心苦しいのですが、家計簿を主人が見ているので、私の自由になるお金が、あれしかないんです。実家にあった昔の貯金をはたいたので、これでご勘弁を」
「えぇ! それは、あの、そのぉ、妻も言ったと思うんですが、さっきから言っているとおり、受け取れませんよ、こちらは」
もう、お金のことなんてどうでも良くなって、いえ、光樹君の下着泥、そのものが吹っ飛んでしまうほどのビックリでした。
『確か、カネを全部、夫が握ってしまうっていうのも、モラハラってことになるんだったよな』
そういえば、以前、奥様同士の挨拶にだったか、妻が聞いてきた奥さんの情報を思い出しました。
奥さんは、名門のお嬢様短大を出てスグに、親に半ば命令されるようにして、今のご主人と結婚をしたんだそうです。
光樹君はハネムーンベビーだそうですから、光樹君ママは、まだ、三十半ばのハズ。
それなのに、この瞬間の表情は、怯えが影を落としているせいで、ひどく疲れて見えました。
美しい容姿、家の中だというのに気を抜かない、どこから見ても満点のファッション、綺麗に片付いている家の中。
そんな中に潜んでいる、隣家の「影」を目の当たりにして、私は言葉を失います。
とんだDVエリートです。もちろん、こっちは初めから忘れるつもりなので、そんなことに巻き込まれるのはゴメンです。
「えっと、あの、わかりました。光樹君も、これで反省してくれれば良いだけですから。とにかく、コレは受け取れません。じゃ、私はここで。もちろん、誰にも何も言いませんからね」
そう言って、奥さんの両手を覆う様にして封筒を受け取らせます。
「あ! あの! でも、これじゃ、ああ、あ、あの、本当に、主人には?」
端麗な美人顔が、泣くような表情に崩れています。すがりつく目で見上げて私の腕を掴むのが、その深刻さを語っていました。
「もちろん。今回のことは、今日で全て忘れますから」
ヒンヤリと柔らかい手に腕を掴まれて、振り払うわけにもいきません。
「ありがとうございます、ありがとうございます、本当に、ありがとうござぃ、ああぁあ、うぅう」
よほど、ご主人のことが怖かったのでしょう。
私の言葉に安心したのか、カクンと床にへたり込み、泣き崩れたのです。
おそらく、この時の奥さんは「子どもの盗みが許された安心」と言うよりも、暴力の恐怖から免れた安心の方が、大きいのだと感じました。
「ちょ、ちょっと泣かないで、ほら、光樹君も見てますから」
またもや、薄い肩をそっと支え、スタイル抜群の背中を撫でたのは、エッチな意味など、一カケラもはありません。
ただ、心底、安心した涙顔で「ありがとうございました」と見上げる目の美しさに、ドキンとさせられたのには、ビックリします。
よく、不幸な女に魅せられる男っていうのがありますが、なるほど、こういう瞬間に陥るのかと、妙に納得してしまいました。
この瞬間、もしも奥さんと二人っきりだったら、抱きしめて、押し倒してしまったかも知れません。
とても魅力があったのは確かです。
しかし、隣の奥さんの魅力にドキッとしながらも、同時に、私は横にいる光樹君が、何とも言えない表情で、ショボンと目を落としているのがひどく印象的だったのです。
その時です。
その場には不似合いなほど大きな音で着信音が響きました。
奥さんが血相を変えて携帯にダッシュをかけるのと、さっきまで「夜店で売られるひよこ」以上の可憐さで頭を下げ続けていた光樹君の唇から「クソオヤジかよ」と、掃き捨てられるように漏れた言葉が、私の動きを縛ります。
「はい。私です! ごめんなさい。出るのが遅くなりました」
え? ツーコールもなかったでしょ。
唖然とする私の前で、奥さんの雰囲気が、いきなり変わります。
「はい? え、あ、はい、ええ、本間の家内ですが、えええ? 主人が?」
立ち去るタイミングを逸した私は、その電話のただならぬ様子に光樹君と目を見合わせます。
さすがに不安の表情です。
そして、それから、幾度も言葉を繰り返し、恐らく同じ内容を説明されて頭に入らないやりとりがあったせいで、私にも事態が飲み込めていました。
海外で発生した列車の大事故。
そこから発見された鞄にご主人のパスポートが入っていたと言うこと。ただ、事故の直後だけに、生死どころか、本人がどこにいるのかも不明の状態だとか。
さすがに「クソオヤジ」呼ばわりした光樹君も、顔が真っ青になっています。
しかし、大手だけあって、バックアップ体制は万全らしく、迎えの車が既に手配され、飛び乗れる直行便での現地渡航が指示されたのです。
私は、たまたまそこにいた者として、できる限りのお手伝いを申し出てしまうのは、つくづく、お人好しと言われてしまうかもしれません。
しかし、真っ青な顔をした親子を目の前にして「じゃ、これで」と帰るには、あまりにも忍びなかったのです。
――――――――
そして、その二十分後に、私はあきれかえる妻に頭を下げていました。
「こういう事情だからさ」
親に取りなしに行き、お詫びにと渡された封筒を返した代わりに、私は取りなすべき本人を「お土産」として持って帰ってきたのです。
頭をポンポンと叩かれた光樹君は、妻に「よろしくお願いします」と頭を下げたのですが、妻はさすがに唖然としています。
いくらなんでも自分の下着を盗んだ少年を連れ帰ってくるとは、思わなかったはず。
でも、事情を話せば、なんだかんだと妻は世話焼きさんではありまして、私以上に無類のお人好しで優しい性格です。
かくして、何度も涙を流して頭を下げながら車中の人となったお母さんを三人で見送ってから、光樹君の頭をヨシヨシと撫でた妻は、いつも以上に優しい表情。
「じゃ、今日から、私の弟ってことで、いいわよね?」
妻としては、もはや「自分のブラを盗んだ憎い相手」から「お隣に住む、手が不自由になった可愛い少年」ってことだけで行くと決めたのでしょう。
時には自己犠牲を厭わずに他人に尽くしてしまうほど優しい妻だけに、こういう時は、本当に頼りになります。
「あれ? ね、光樹君。ひょっとしてお風呂、入ってないんじゃない?」
あたまを撫でる手を止めてクンクンと光樹君の頭を嗅ぐ仕草。そんなシーンを見て、成長途中の光樹君は、妻とほとんど同じ身長なんだと、改めて気付きます。
「す、すみません。病院で三日前に入ったんですけど」
「ううん、いいんだけど、お家に帰ってからお風呂には? あ、やっぱり、お母さんに入れてもらうの恥ずかしいもんね」
「あ、いえ、それもあるんですけど、そんなこと頼めるどころじゃなくて」
たどたどしい返事を聞いて、目をクルンと動かした妻は、瞬時に察したのでしょう。キュッと、同じ身長の少年の頭をギュッと胸に抱き寄せます。
「あ〜 可哀想に、ホッペ、こんなに腫れちゃって。も〜 なにも、こんなに叩かなくても良いのにね〜」
「あ…… ううぅ、うっ、ず、んぐぅ、うぅえ、ひぃぃ、ひっく、ひっく」
妻の大きな胸に抱き寄せられて、優しい言葉をかけられると、急に涙ぐんでしまった少年。
「あぁあ、良いのよ、心配しないで。いいの、いいの。もう、大丈夫だからね」
胸の膨らみに顔をギュッと押しつけるように抱きしめて、どうやら、母性本能が刺激されてしまったみたいです。
「分かった。じゃ、お風呂、入りましょうね? お姉さんが入れて上げるから」
「え? い、いいです、そんな」
「ホラホラ、ちゃんと甘えてくれないとダメよ。今日からお姉さんに任せなさいって、いったでしょ? 遠慮なんて、何にも必要ないわ」
妻がそんなことを言い出すなんて、驚きですが、既に、妻の目に映る少年は「下着泥棒」ではなく「可哀想な少年」になってしまっているようです。
「オレも手伝おうか?」
チラッと私の目を見てから、少年と私を素早く視線を往復させた妻は「光樹君が恥ずかしがるから、あなたは、何もしなくて良いわ」と宣言します。
そして、オドオドする光樹君の肩を抱えるようにして「さ、行くわよ」とバスルームに向かったのです。
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