第2話
恥ずかしながら、実は、初めてエッチしたのは大学1年の時でさ。もちろん、相手は亜希だった。
高校時代に付き合いだしたっていうのに、イマドキ珍しい「純情派」だろ? 自分でも笑っちゃう。いや、純情っていうか臆病だったんだろうね。
だってさ、今だって、真面目そうな雰囲気は消えてないけど、あの頃は、それに「超」がつきそうな真面目派だからね。
ほら、普通の子だって、ちょっと色気づくと、スカートを折ったりとか、こっそりアイプチしたりとかあったじゃん?
亜希は、そんなのとは別格。アイツが、スカートを短くしたりとか、化粧するすなんて、誰も考えつかないような、いかにも真面目なタイプ。
たぶん校則がどうとかじゃなくて、しなかっただろうね。
セミロングのストレートの黒髪と、パッチリした二重のマツゲは、何もしなくても、フルフルと震えて長く揺れる感じ。
まあ、およそ、男と遊んでる雰囲気なんて皆無なタイプだよ。
だから、部活の帰りに暗い道とか、公園を取ったりもしたんだよ? だけど、手もつないだことなかったな。
だいたいさ、幼なじみ過ぎるとかえって照れくさくなるもんでね、いまさら「付き合ってるんだからキスさせろ」だなんて、言えるもんじゃない。
二人は「清〜い関係」のまま、卒業式の日に、ようやくファーストキスで、その春休みに、初めてラブホに行ったんだ。
うん、思い切って渋谷まで行ってさ。
最初は渋ってたんだけど、絶対に嫌ってワケでも無さそうで、ただ「きっとガッカリされちゃうから」って、何度も言われたよ。
童貞君に、その意味なんて分かるわけないじゃん。ただ、ボクとエッチをすることは嫌じゃないんだってことだけが分かったから、後は押しまくったんだ。
最後は、根負けしたみたいに「じゃあ、絶対に、後で何も聞かないでね」という謎の言葉を引き出したのは、もう、ホテルの前。
もう、そこまで来たら、男なら、どんな約束だって受け入れちゃうさ。ボクは「絶対に何も聞かないから」って約束したのはあたりまえ。
いったい何で、こんなことを言うんだろうってことに、頭が回るハズなんてないよ。
今思い出しても、初体験の時はテンパってたなぁ。
何しろ、吹奏楽部に青春を捧げた、バリバリの童貞君だ。初めてのラブホで目一杯意地張って、キョドらないようにするのが精一杯。
亜希は、部屋に入ると、ベッドに腰掛けたまま、床しか見てない。
何を言っても、返事がなくなっていってね。なんか、気まず〜い雰囲気。
「やっぱりイヤだった? 」
って、何を今さら聞いちゃうのか、自分でもわかんないけど、やっぱりさ、超真面目な亜希だから、まだ、早かったかなぁってね、ホント後悔しちゃう雰囲気でさ。
その割に、ピンク色のセーターが薄くて、いまさら、亜希のオッパイばっかり見えちゃうし。
『あ、こんなに大きいんだ。オレ、これから、子のおっぱいを触れるんだ』
な〜んてことばっかり考えてるんだけどさ。
返事がないから、もう、一世一代の思いっきり、って感じで、ベッドに並んで腰掛けたんだ。
ボヨンってなクッションのせいで、身体が思いっきり密着しちゃってね。
勝手に焦ってたんだけど、二の腕にくっついた身体が、すっごく柔らかくて、もう、それだけで暴発しちゃいそうになったのを覚えてるよ。
思わず「亜希っ! 」ってギュッと抱きしめちゃったら、イヤイヤって頭を振るんだよ。
ここまで来てためらうのもヘンだけど、
腕の中で、微かに震えてるのが分かって。うん、もちろん、亜希がバージンかどうかなんて考えもしなかった。
腕の中で震えてるのは、ロストバージンが、怖いんだろうなってことしか頭に浮かばなかった。ただ、童貞君の怯えだったんだろうね「オレじゃ嫌? 」って聞いてたんだ。
「ううん。嫌じゃないけど」
「じゃ、いいよね? 」
笑うなよ。童貞君なりに必死だったんだからさ。
もう、答えがどうでも、押し倒しちゃえってコトを考えてたんだけど、一方でさ「あなたとなら」ってな答えを勝手に期待したんだよ。
そしたら、小さな声で、亜希は答えたんだ。
「あのさ、約束だよ。ガッカリしないで。何も聞かないで。そしたら…… 」
「いいのか? 」
コクって頷いてくれた瞬間、もう、頭のてっぺんから、ピーってな煙が立ちそうなほどテンパちゃって。
「亜希! 」
って押し倒して、キスしてね。
あ〜 テクニックも何もないキスさ。でも、知らないうちに、舌と舌を絡める大人のキスをしてて。
『女の子の舌って、甘いんだ。あぁ、なんて、気持ち良いんだ、もう、死んでもイイ。あ、いや、ダメだ、このオッパイを見るまでは! 』
なんて馬鹿げた言葉が、ニュース速報の文字みたいに、頭の中をざーって横切ってて、ボクの手が秋の服を脱がそうとしていたんだ。
そうしたら「今、脱ぐね、ちょっと待って」って、囁かれたら、なんか、魔法みたいな命令に聞こえて、自動的に、ボクはパッと亜希から離れてた。
そっと立ち上がって、むこうを向いたまま、ほら、例の女の子脱ぎで、袖から抜いてく、あの脱ぎ方。
馬鹿みたいに、ボーッと見てたら、スカートのホックをプチンと外しながら「あんまり見ちゃダメなんだからぁ」って、優しい声で、さ。
もう、こうなったら「ゴメン! 」って、慌てて、後ろを向いてね。
ドキドキしながら、そのまま待っているっていう。たはは、もう、頭が動いてないよね。
だから、亜希がベッドに入った後、ボクも慌てて全部脱いでから、パッと布団を捲って入る瞬間、チラッと見えたブラもパンティーも普通の白いヤツで、ね。
今思えば色気なんて何にもない「お子様」仕様の下着。
当時の亜希は、色っぽい下着は、親に許されてなかったんだ。
でも、さ、下着なんかどうでも良い。スラッとした体型なのに、お子様下着からはち切れんばかりに盛り上がってるオッパイが凄いのなんの。
「亜希! 好きだ! 」
「私もだよ。そうちゃん」
あ、その頃、みんなの前では「原田君」って呼んでたけど、二人きりの時は、颯太の「そう」を使って呼んでたんだよ。
なんか、そう呼ばれるのがムズムズした感じで好きだった。
ギュッと、抱きしめながら「愛してる」って叫んでたな。馬鹿みたいに大きな声で。そうしたら、クスッと笑って「愛してる」って。
ただ、その後で、腕にギュッと力が入ってさ「颯ちゃんだけだよ。ホントに、愛してるの。颯ちゃんだけだからね。絶対に信じて」って、なんか声が必死だった。
あぁ、女の子の初めての時って、こんな風になるんだぁって、もう、デレデレだったね。
そりゃあ、男としたら、そんな言葉よりも、早く「したい」じゃん?
儀式みたいに「ボクもだよ。亜希のこと信じてる」って言いながら、もう、頭の中は、ブラの中身だけ
でも、さ、哀しい童貞君だ。手探りでホックを外すなんてミッションインポッシブル。
手間取ってたら、自分で外してくれてさ、ホッとしたけど、何だか、亜希の表情は、ボクが外せないのがすごく意外って感じだったんで「不器用だからさ」とか言い訳したのを覚えてる。
落ち込んでる余裕なんてなかったよ。だって、初めて触るオッパイがEカップのロケットバストなんだぜ?
手に吸い付くような感じの柔らか外指をはじき返す弾力。
天国みたいな感触を握っただけでも、出ちゃいそうになって、おまけに、ピンク色の乳首に触れたら、それだけでも可愛い声を出してくれたんだ。
なんとか我慢したけど、後はもう無我夢中。
今でも覚えてるのは、下を脱がしたらパイパンだったこと。
あまりのことに唖然としちゃったけど、亜希の方は「ゴメン、親に言われて仕方ないの。ショック? 」って言われて、さ。
ほら、離婚してからは、ちょくちょく亜希の家に行って、オバさんとも話してたからね。へぇ〜 あのオバさんが、そんなことを娘にさせるんだって、思った。
うん。その通り。
亜希はウソを言ってなかったんだ。
確かに「親」に言われてやってたんだよ。
亜希は一言も「お母さんに」なんて言ってない。オバさんの顔を勝手に浮かべてたのはボクの方だ。今でも、思うよ、あの時「お母さんにさせられたの? 」って聞いたら、なんて答えてたか。
なんとなくだけど、亜希だったら「父に言われたから」って正直に言ってた気がするよ。
まあ、でも、そう言われたとして、へんなしゅみのおとうさんだな、っておもうだけで、まさか、そんな関係なんて想像できなかったと思うけど。
だって、ただでさえ、童貞君が、亜希の、いや、相手が亜希じゃなくても裸の女の子と一緒のベッドにいるんだよ。これで冷静になれって、そりゃ無理だ。
余計なことを考えるよりも、もう、そこにあるべき場所に、あるべきモノを、とにかく入れなきゃってことしか頭に浮かぶわけがない。
思ったよりも長い脚をグッと広げると、もう、外まで溢れてた。
嬉しかったなぁ。
『あ、亜希もオレと同じで、やりたがってるんだ』
ちょっとおっぱいを触っただけでビショビショなんだから、そりゃ、そう思うじゃん?
え?
あ、そういえば、そうだね。灯りは消してなかった。消してって言われなかったから、そのまま。だから、初めて見る亜希の裸で、もう、頭から湯気が出ちゃってて、そのまま入れちゃえって上になったら「コンドームは? 」って冷静なんだよ。
さすがにしっかり者だなって感激しちゃうのが、惚れた弱みだね。
「あ、ちょっと財布、取ってくるから」
ははは。
当時は、デートの時は財布に一つ入れておくものだったんだよ。だけど、それを口走っちゃったんだから、もう、馬鹿だよねぇ、頭に血が上ってる。
そしたら、亜希がクルンと振り向いて、枕元から「普通のサイズの、これで大丈夫じゃない? 」って渡してくれたんだ。
その時は『あ、オレのは普通なんだ』って思って、なんだかホッとしたんだけど、後で考えたら、なんで枕元にコンドームがあるのを知ってるのか、って気にするべきだったのかもな。
そして「普通の」って言葉の意味。
あ、うん。亜希は、ちゃんと「普通のサイズじゃない」コンドームの存在を知っていたわけだ。実際、隠してた箱の中から、何年も前のXLサイズのコンドームも見つけたよ。ずっと使われてなかったみたいだけどさ。
あ、ゴメンゴメン、もうちょっと、この話に付き合ってよ。
実際、着ける練習なんてしたこともあるけど、いざとなったら、緊張しちゃうし、パッパと慣れてる感じで着けて、かっこつけたくなるじゃん?
出も、実際には、ゴムが巻き込まれて、どうしようもなくなっちゃってたらさ。
「してあげる」
いきなり、静かにそういったときの亜希は、すごく冷静に見えたな。
身体を起こして、クルクルクルって、ほんと、手つきが鮮やかで。
すごい器用だねって言ったら「ううん」って、口数が少なくなってさ。その時は器用なのもそうだけど『亜希も緊張してるんだな』って、ね。
うん、その時点でも、もちろん亜希が、経験あるのかも、なんて疑う余裕は一ミリもなかったなぁ。
「痛くしないからね」って、コンドームを着けてもらっておきながら、偉そうに囁いたら「大丈夫だから」って横を向いたまま答えた亜希。
ね?
童貞君と処女の、愛し合っている恋人同士の会話っぽいじゃん。
だけど、亜希が横を向きながら言った「大丈夫」のわけが、すぐに分かったよ。
ものすごく、キツイんだけど、いきなりヌルって奥まで入っちゃって。多分、あの時、亜希も腰を突き上げてきたからじゃないかな?
「あああぁ」
可愛い声を上げるんだ。
いきなり奥まで入れちゃったから「ごめん! 」って思ったけど、もう、包まれてる感触が、キモチ良すぎたんだよ。
ゴメンって思いながらも腰だけ勝手に動いちゃってた。
あれが、もしもバージン相手だったら、きっとひどいことになってたかも。
「んぅ、あぁ」
何回か動いただけで、あれ? って気が付いたんだ。これ、痛いわけじゃないって、ね。
亜希が感じてる!
って思った瞬間、出ちゃってた。
笑うなよ、童貞君なんてそんなモンだよ。
そっと抜いた時の亜希の反応は、不思議そうにしてた。まるで、何が起きたのか分からないって顔だったから「ゴメン、でちゃった」って。
一瞬キョトンとするから、やっぱり亜希は、男の射精なんて分からないんだなって思ったんだけど、実は、まさかこんなに早く出るものなのかって驚いていたのかもしれないね。
いまだに聞けないけどさ。
たださ、賢者の時間ってあるよね? 射精直後に、冷静になれるヤツ。
さすがのオレも、亜希の反応が、余りにおかしすぎるんじゃないかって思えてきた。なにしろ、痛がるそぶりが全くなかったから。
だけど、まさか亜希が男と付き合ったことがあるなんて思ってないから、何かの間違いだろうって。
それに、初めてのセックスって最高だった。
ま、童貞君にとっては、なんでも最高かも知れないけどさ。でも、いまだに、亜希のアソコは最高だと思ってるよ。子どもを産んだことがないから、締め付ける力は強いし、みっちりとした肉が軟らかく、そして隙間無く包み込んでくるうえに、あっちこっちヒダヒダが絡みついてくるからね。
おっといけね。最初の時の話ね。
ま、その時は、相手は大好きな亜希で、しかも、あの身体だろ?
瞬間的に回復して、すぐに二度目。
それでも、三分と保たなかったんじゃないかな。
だって、オレがちょっと動くとすぐに可愛らしい声を上げてくれるから、ああ、なんて可愛いんだって思ったら、我慢なんてできないよ。
まともに、動けたのって、三回目だったかな? いや、ひょっとして四回目かも。
うん。ラブホに置いてあるコンドームって、なぜか3個で、いや、財布に入れておいた甲斐があったってものさ。
さすがに、その後は、もう自分でしっかりと着けられて、そこから、勢いに任せて、ガンガン責めまくった。
うん、最後は、確かに亜希もイッたと思うよ。
でも、どこかしら余裕を感じちゃったのは、ついさっきまでの童貞クンの引け目なのか。
しかも、どう考えても、ガンガン動いているのに、激しくすればするほど高まる反応だ。さすがに、最後の方は「これはバージンじゃないんじゃないか? 」って、ね。
え? 処女じゃないのを怒らなかったのかって?
この時に「ガッカリしないで」って言葉の意味が分かった気がしたんだ。
う〜ん、バージンじゃないって思っても、怒りとか悲しむってことよりも、ひたすら不思議だったなあ。信じられなかったんだ。
だって、さっきも言ったけど、中学、高校と、吹奏楽部の部長をしていたくらい真面目なタイプだよ?
オトコのウワサも、まったくなかったし、それは、ずっと一緒だったオレが一番よく知ってる自信はあったからね。
だから、いったいいつ、どこに相手がいて、どうしてたんだろうって。さっぱり見当もつかなかったんだ。
なにしろ、受験勉強が始まるまでは、とにかく、お互い部活、部活、部活で、引退した後は、猛烈な受験勉強。
それも、たいていは一緒にしてたから、ほぼずっと一緒だろ? それなのに、いったいいつヤッてたのかってのは不思議以外の何ものでもなかったなあ。
だいたいさ、少なくとも亜希の愛は本物だって信じてた。
それなのに、こんな真面目な亜希が、ボク以外に二股かけられるなんて、信じられないし。でも、もし二股じゃないなら、中学時代に経験してたってことになる。
だけど、幼なじみだけにボクが一番知ってる。中学でも「亜希はカタイ」というのが男子の間の鉄板のウワサだった。
いや、シャレじゃなくてさ。
家が厳しくて、みんなで出かけても門限までにはきちんと帰るし、そもそも、あまり友達と遊びに行ったりしてないって。
もちろん、カレ氏らしきウワサも皆無だった。
しかし、現実に処女じゃないんなら、いったい、いつ、誰とってのが、ボクとしては絶対誰にも言えない、疑問になってしまったんだ。
え?
そりゃ、本人には聞けないよ。分かってくれよ。「何も聞かないで」って約束だったし、第一、童貞を捧げた同い年の恋人が経験者だったら、その「経験」を聞くなんて怖すぎるだろ?
その後も、きっと、アレは何かの勘違いで、実は、童貞君の単なる誤解じゃないか、って何度も何度も反芻してしまったけど、どう考えても、亜希が処女とは思えないってのが、結論。
不思議の一言だったよなあ。
けど、こっちは惚れてたからね。
あ、妻の外見は、父親がそれ以外許さないから、とかいうワケのわかんない理由で、ずっと肩までのストレートの黒髪。
それに、細い身体に、余計に目立つEカップに育った胸。母親譲りの二重になってる目。
特別な美人じゃないよ。
でも、笑顔が素敵で、にこっと笑うと、澄みきった青空の下、森に響くフルートって感じかな。
わかりにくくってスマソ。
ともかくも、どのクラスにも一人くらいはいる「特別美人じゃないけど、可愛らしい雰囲気と清潔感のある女の子」ってわけ。
素直で真面目な性格だから、女子にも男子にも人気があるけど、自分から積極的には動かない、物静かで、控えめなタイプ。
そのくせ、頼られれば人一倍に聡明な判断と、誰にでも優しいその性格。
このあたりが、元吹奏楽部長の人望ってやつだろうね。
そうそう、忘れちゃいけない、北海道育ちってことなのか、肌がもっちりした白さ。
そして、オレと、まだ見ぬ誰かさんだけが知ってる、エッチになったら、なんでもしてくれる亜希の素晴らしさ。
感じてる時のエッチな声も男心をくすぐるし、あっという間に、とっても感じちゃって、確か最後は、亜希もイッたはず。
感じやすい身体で、イキやすい身体だったんだね。
まあ、子どもの頃から開発されてたせいだ、なんて思いもしなかったけどさ。でも、ついさっきまで童貞だった男にとって、セックスで相手がイクって、嬉しいじゃん?
何だか、自分がすごいことをしたみたいでさ。
腕の中で、亜希が仰け反って「いくぅう!」って声を絞り出してくれた瞬間『ああ、これで亜希はオレのもんだ』って思っちゃうのが男の単純さだからね。
終わった後に、ゆっくりと抱き合いながら、いちゃつく時間もイイ。うん。亜希もボクのことを「愛してる」ってハッキリと言ってくれたよ。
これは、ウソじゃないと思う。
ということで、オトコの支配欲ってのを満足させてくれて、またまた惚れちゃったわけです。はい。
それに、さ、今時、処女じゃないと結婚しないなんて思えるわけもないでしょ。
亜希とは間違いなく愛し合ってる確信があったから、どんな経験をしていたっていいんだって思えたのは、ウソ偽りのない真実なんだ。
それに、大学に入っても、ぴったり寄り添うようにつきあっていたから、不審なことなんて何にもなかったんだ。
マジメで、なんでも一生懸命で、別れた義理のお父さんさえも、恋人のオレと同じように、いや、それ以上に大切にしている親孝行な子。
それが、当時の印象の全て。
後から考えると、それも当然だったんだよ。
結果から見て、オレの印象は当たってたってよりも「過小評価」も良いところだったわけ。
義理の父との濃厚なセックスが、彼女をどんなエッチでも受け入れる、マジメなのに淫靡なオンナに変えたんだろうな。
いや、ひょっとしたら、初めから「才能」みたいなやつがあったのかもだけどさ。
おっと、そうそう、義理の父親とのことだね。
さっきの話から、ちょっと時間をさかのぼるよ。
父親との関係が母バレしたのは高校一年の夏。
即離婚。
え?
もちろん、親が離婚したことは知ってたよ。何日か学校にこなくて、さ。まだ付き合い出す前のことなんで、家にも行ったことがなくてね。
え? いくら幼なじみで、仲が良くても、付き合ってもない女の子の家になんて行くわけないじゃん。
うん。
そうだ、彼女が、実は、ボクに対してずっと正直だったってこと。
その証明になるメール。こないだ探し当てたよ。
当時は、亜希が困ったことになったんだって思って、何かの助けになればと思ったんだ。
だから、その辺りのメールを全部テキストに落としてたんだよね〜
いや、そんな目で見るなよ。
ホントに、その時だけのことだから。
あ、あった、あった、これ、見て。
《親との浮気がバレて今修羅場です。しばらく学校には行かれません。パートの方をよろしくお願いします》
あ、パートってのは、ボクと亜希がクラリネットパートだったから、そのことだね。ま、それは良いとして…… ホラ、正直だろ? ちゃんと「親との」って書いてある。
え? 高校生が、そんなこと考えるわけないじゃん。
だって、メールだよ?
一文字くらい、誤字もあって当然だし、高校生が「親」と「浮気」って文字を見たら、もう、細かいコトなんて見えるわけがない。
でも、亜希は、ちゃんと正直に書いてたんだね〜
で、その後、これね。
《私のことで父と母は大げんかとなりましたが、父が出て行くことで落ち着きました。心配かけてゴメン。明日から学校に行きます》
今となって読むと、ちゃんと、正直だよね〜
それに、学校に来たからって「浮気の話大丈夫?」なんて聞けないだろ?
普通にしてたつもりだったけど、しばらくしてから、付き合いだしたんだ。
うん、そう。
その頃、北海道に行っちゃう前にって気持ちが、お互いの気持ちをハッキリさせてくれたのかもね。いや、少なくとも、ボクはそう思ってたよ。
でも、言っておくけど、告白してくれたのは亜希の方からだからね。そして、付き合い出して、しばらくして、からだったなぁ。
うん。もう、秋になってからだったかな?
ある日、ポツンと、話してくれた。
「父から話せって言われたから、あなたには、聞いて欲しいの」
って、突然言われてさ。
「あの時、お母さんが浮気してバレたから、家の中がメチャメチャになったの。暫くは気まずかったけど、お母さんと、ちゃんと話し合って、何とか家の中を立て直しているところよ」
「そうなんだ。たいへんだけど…… 亜希は、お母さんを許せるの? 」
「う〜ん、私が許すとか許さないとか言える立場じゃないの。お母さんとの信頼関係が無くなっちゃったから。家族バラバラって感じ」
「オバさん、そんなことをするように見えないけどなぁ」
「あ、そうだ。こんなことがあったせいなのか分からないけど、私がちゃんとしたお付き合いができるのか、母が心配してるの。一度、家に遊びに来てくれない? 」
ね?
あの時のセリフを、ぜ〜んぶ思い返してみても、確かに「お母さんが浮気した」って、お父さんに言わされてるって、言ってるんだよ。
そして、後は、ぜ〜んぶ、本当さ。
あの時の亜希に「このホントつきめ! 」って言ってやりたいよなぁ。
ま、当時のボクは、そんなことに頭が回る前に、いきなり、家に招待された方が、一大事。
ガールフレンドの家に行くのもそうだけど、親に紹介されるってのも、すっごい、プレッシャーになるだろ?
もう「大緊張」して家に行ってみたら、なんだか大歓迎されてね。
こっちとしたら「浮気したダメ母」って気持ちもあるのに、オバさんが無邪気に、褒めてくれて「亜希をよろしくね」って、何度も言われてさ。
もう「すぐに、結婚でもなんでもしろ」って言いかねないんだよ。
あ、そうだよ。よくわかった。
まあ、義父はわかんないけど、オバさんには、悪意はなかったと思うよ。
そりゃ、娘が子どもの頃から、夫の愛人でいて、ようやく別れさせたハズなのに、二人は、また会っているかも知れない、って疑ってたんだろ。
だから「誰でも良いから普通の彼氏ができて」って思って当然、さ。
こういうのを「当て馬」っていうのかな? え? 意味が悪すぎる?
そうかもね。
たださ、亜希自身、本当にオレのコトが好きだったのは確からしいよ。
告白してきたのは、それまでチャンスがなかったから。
さすがに直後は、義父との連絡が付いてないころだからね。
で、秋になって、亜希がオレと付き合っているのを知った義父が、ヤキモチを焼いて、オレとのメールを全部読んだらしい。
恐らく仰天したんじゃない?
なにしろ、性格的に、亜希はウソをつけないってのは、義父が一番よく知ってる。
もしもボクが「親との浮気って言うのは、父親と君がヤッてたってこと? 」って聞いたら、どんなに辛くても、正直に答えかねないから。
今にして思えば「お母さんの浮気」っていうのは亜希が喋った唯一のウソだったんだよ。
ボクの口を封じるために、義父に言えって命じられたって、素直に自白付きだし、さ。
あ、その頃の母親は、警察に相談するか、慰謝料を取るか、どっちにするか悩んだ結果として、そのまま働かせて養育費を取り立てた方がマシ、って考えたらしい。
お金もあったのかも知れないけど、それ以上に、もしも公になれば、話が漏れて亜希の将来に影響するのが怖かったんだろうね。
うん。たぶん、そっちの方が母親にはデカかったんだと思う。
示談書の方にも、そういうことをほのめかした条文があったから、わかる。ま、母親からしたら苦渋の選択だったんだろうけど、結果的には、それは失敗だった ……と思う
うん。
そりゃ「浮気したお母さん」って先入観があったからさ。別居した、一人暮らしの義父を気遣って、週に1回、こっそりと身の回りのお世話をしに行くのは、大変だなとは感じても、ヘンだとは思えなかった。
「お母さんには内緒にしなきゃいけないの。お願い。手伝って」
こんな風に頼まれたら、断れるわけないだろ? 最愛の彼女に、親孝行のための、しかも「浮気した母親」を騙す協力くらい当たり前じゃん?
アリバイ工作に協力っていうよりも、むしろ積極的に、ウソをついてたね。
いやあ「若さゆえの過ちか」、ってやつ? ははは。
ま、お父さんが義理の父親だってことはその時知ったんだけど、なんて言っても「父親」だろ? だから、義理だとか実の、だとかは、考えてなかったな。
むしろ「浮気した実の母親」のせいで離婚したから、彼女は、母親の分の責任を感じているって思ったわけで、どうしたって、母親を責める気持ちが起きちゃう。
ただ、ボクの気持ちとは裏腹に、離婚した後の母親にはずいぶん信頼されてたんだ。
あれ以来、何度もお邪魔して、その度に、申し訳ないほど気に入ってもらって「将来は娘と結婚して」と、何度もほのめかされたほどだよ。
あ、いや、母親が「義父との関係」を黙っていて、ボクと早く結婚させたがったってことには、今も腹を立ててないよ。
そりゃ、娘を心配しただろうし、それも自分の結婚が、娘の「不幸せ」を呼んでしまったことに、責任を感じてたんだろうからね。
当て馬って言葉が悪ければ「隠れ蓑」かな。
義父にとっても、そして、母親にとってもね。
まあ、お父さんの家から帰りが遅くなったとしても、ボクとデートしてたって言えば、母親もが何も言わなかったらしい。
だから「アリバイづくり」に協力するボクに感謝してくれたのは、本当のことだよ。
こっちだって、真面目な彼女が、母親の不良行為に責任を感じて、寂しがってる義理の父親の所に行ってるんだなって、すっかり思い込んでたんだ。
そんな健気な彼女を守るためなら「その日はデートで遅くなりました、ごめんなさい」ってなウソをつくのに、何のためらいがある?
むしろ、そんなことをやらせるハメになる原因を作った「浮気した母親」に、いい気味だと思ってた。
なにしろ、ボクとデートしていたと言えば、母親は、本当に安心した貌になったから。それがどんな意味だったのか、当時のボクは知らなかったけどさ。
ともかく、その時のボクは、彼女と「秘密」を共有できたのが嬉しかった。そして、それ以外、部活も一緒、行き帰りも一緒。
ごく希にある部活が休みの日も一緒だった・
だけど、彼女に「オトコ」がいる気配は皆無だった。いや、真面目な彼女が、ボク以外の男と遊びに行くなんて、心配したことなんてなかった。
それだけに、初めてのエッチを思い出す度、彼女の言動の端々にクエスチョンマークが浮かんでしまったんだ。
マジメでオトコとつきあった気配もないのに、エッチを知ってた彼女は、謎だった。
その後も、エッチをする度に、彼女は、すっごくエッチが上手って言うのかな、ともかく、彼女自身がとってもエッチだってことを知っていったんだ。
なにしろセックスすると、すっごく感じやすくてね。こっちの「腕」が上がるに従って、何回でもイッちゃうくらいでさ。
おまけに、あくまでも受身だけど、頼めばなんでもしてくれるんだ。
フェラも上手で、喉まで入れるのだって、ちっとも嫌がらない。最後は、ゴックンだって、普通にしてくれる。
普段は、セックスなんて知りません、ってな純情そうな雰囲気なのに、いざ、セックスする時は、どんなプレイでもしてくれる、ギャップがすごい。
エッチな亜希に夢中になるのは、当然だよね。
大学を卒業してから、ためらう彼女を説き伏せてやっと結婚にこぎ着けたってわけ。
もちろん、結婚してからも、エッチの相性はバッチリだったし、浮気をする心配なんて、思いつきもしないほど、真面目だし。
言うことない新婚生活をスタートしたんだけど、彼女の母親が病気で亡くなったのは、その二年目。
母親の、つまりは、亜希が昔、住んでいたマンションを整理したんだ。
ボクは見つけてしまったんだ。
一通の、封筒をね。
うん、その時の話をしなくちゃだね。
あれは、亜希のお母さんが亡くなった後のこと。あ、交通事故だよ。だから、あまりにも徒然でね。
さすがにショックでしばらく何も手が着けられない。
落ち着いた頃に、マンションの片付けに行ったんだ。まあ、マンション自体は分譲で、母親の一人暮らしだっただろ? だから、まだ、結婚した後も、亜希の使っていた部屋は、そのままだったほど。
家賃云々は関係ないんで「後は買い手を探さなきゃかな」って、その辺りは鷹揚に構えてた。
それに、さ、そのころ、亜希もちょうど忙しい頃だったから、そこにお葬式のドタバタが重なって、おそらく、お母さんが亡くなってから、初めて入ったんじゃないかな。
亜希は「一人でする」って言い張ったんだけど、お母さんが亡くなって間もないのに、思い出の場所に一人になんてさせられないじゃん?
ボクが強硬に主張したら「ありがとう」って言ってくれたから、あの日、亜希も、お葬式以来、初めて、実家に入ったんだ。
ま、そうじゃなきゃ、あんなの、とっくに処分していただろうね。
それが良かったのか、悪かったのか。
うん。ま、ボクは良かったと思いたいよ、マジで、さ。
さもなきゃ、きっと、まだ ……だったろうからね。
あの時は、どこから手を着けようかって話になって、ボクがキッチンで、彼女はとりあえず、元の自分の部屋をってことになった。
自然な話だよね。
「ごめんなさい。あなたに見せられないモノが出るかも知れないから。母の書類関係は、今度、私だけでやりたいの」
その言葉には、真実みというか、深刻なモノがチラッと影を見せるから、ボクもピンときた。
ああ、あの浮気関係のことかって、ね。
いくら仲良し夫婦だって、見られたくないモノもあるよね。
昔、亜希のお母さんは、浮気が元で離婚してる。
よく似た親子と言うべきか、お母さんも、いまだに、結構なスタイルを維持しているし、何よりお、二人とも、二重のパッチリした瞳をしている。
それに、もしも母子が、エッチの体質まで似るとしたら、相当に感じやすいはず。
なくなるまで、現役そのものの色香を残したお母さんなら、愛人っていうか、恋人の一人や二人いても不思議はなかったんだ。
『ひょっとして、愛人の写真やらビデオでも出てくるかも知れないもんなあ』
あれこれと母親の「オンナ」を示すものが出てきたら、そりゃ娘としては、そんなのをボクに見せたくないに決まってる。
「うん、そうだよね。ボクに見せたくないモノもあるかもだもん。それは、今度ゆっくりと片付けたら良いさ」
「ごめんなさい。あなたが手伝うって言ってくださってるのに」
「ううん。いいんだ。でも、まぁ、何か見つかっても、気にしないでね。適当に処分して奥から」
「ありがとう。じゃ、キッチンの方、お願いします。多分、私の部屋の方が早く片付くと思うけど、もしも、終わったら、玄関の週の、ホラ、あそこ高くて手が届かないから」
「OK、任せといて」
「ごめんなさい。お願いします」
深々と頭を下げた亜希は、何だか、ちょっとそそくさとした雰囲気でかつての自分の部屋に行ったんだ。
結婚した後も、亜希の部屋はそのままだったから、それなりに思い出の品が気になったのかもって、その時は思ったんだ。
笑顔で見送って、ボクはビニール袋を片手に、腕まくりしたんだ。
たはは……
亜希はボクに、ウソをつかなかった。
ボクに見せられない写真も、ビデオも、確かにたっぷりと出てきたんだよ。ただし、その主役はお母さんじゃなかったってだけでね……
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