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| 姉への想い |
最近、姉と母が二人連れ立ってよく買い物に出かけるようになった。
今日もそうだ。高校三年で受験勉強に悪戦苦闘している慶吾をほっぽり出して、二人はイソイソと出かけて行った。
慶吾は机の前に座りながら、勉強はそっちのけでぼんやりと考えている。もう、そろそろなのだろうか。何時かは来ると判っていても、姉が嫁ぐ日のことを考えると何ともいえず胸が苦しくなった。
姉の美奈子は慶吾と六歳違い。二人姉弟である。父を早く亡くし、母が昼間働いていることもあって、小さい頃から慶吾の面倒は美奈子がよく見てくれていた。
今日もそうだ。留守の間の昼食は美奈子がサンドイッチを用意してくれている。
「サラダもちゃんと食べるのよ。おおちゃくしちゃダメ。それからスープはちゃんと温めて…… 」
「判ってるよ。早く行けよ」慶吾はわざとぶっきらぼうに言った。
でも、美奈子は心配そうに、「一人で大丈夫? 」と聞いた。
「大丈夫だよ、うるさいなぁ。勉強の邪魔だよ」
「うん。じゃあ行くわね。すぐ帰ってくるわ。お母さんとちょっと買い物に行くだけだもの…… 」聞きもしないのに弁解がましく言った。慶吾は無視するようにノートに鉛筆を走らせる。
でも慶吾には判っていた。結婚式の準備で家具でも見に行くのだろうか。それとも式場に打ち合わせに行くのだろうか。ひょっとしたら、行った先であの男と待ち合わせをしているのかもしれない。
「こずかいある? 」
そう言いながら、姉は慶吾の机の脇に千円札を置いた。慶吾はむっつりと指を二本立てた。
「受験生なんだから、ゲームセンターなんか行っちゃダメよ」目で笑いながら、それでも美奈子は千円札をもう一枚出した。
それから、慶吾の机の上のノートを覗き込んだ。慶吾の頬に美奈子の顔が近づいている。
「うん。一応しっかりやってるわね。結構、真面目なんだ」
「ふん」
美奈子の髪の毛が慶吾の頬に触れて、うっすらとシャンプーの匂いがした。
その時の姉の残り香が、今でも部屋の中に残っているようだ。千円札が二枚、机の隅にそのまま置かれている。
昼前だというのに、慶吾はもうサンドイッチをぱくつきながら、あの男が家に来た日のことを思い出していた。やけににやけた、慶吾よりも背の小さい真面目そうな男だった。出来合いの紺色の背広を着て、白いワイシャツに地味なネクタイをしていた。
その男は姉のことを“みなこ”と呼び捨てにした。それから、慶吾のことを“けいごくん”と馴れ馴れしく呼んだ。
そう、すでにお膳立ては出来ていたのだ。慶吾の知らないところで、すべて話はまとまっていたのだ。
弟として、姉の結婚を祝福しなければならないことは判っていた。いつかはそうなることなのだ。でも、相手が白馬にまたがった麗しき王子様であれば、慶吾はあれほど嫌悪の感情を覚えなかったと思う。
あの男はどこにでもいるごく平凡なつまらない男に見えた。もし、あの男が慶吾のクラスメートだったら、やぼったくて友達にしたいとも思わなかっただろう。
何故、あんな男に姉を取られなければならないのだろう。慶吾は明らかに不快感を感じていた。姉の結婚に自分がないがしろにされていることも不快だった。
そして、それは慶吾の表情や態度にはっきり現われていたに違いない。美奈子はそれに気が付いた。最初はこまめにあの男の相手をしていた美奈子が、いつの頃からか慶吾の脇に座って他人行儀な応対に変わっていた。
そう、あの男の相手はほとんど母がしていた。あの男にビールの酌をしたのは母だったし、慶吾のコップにコーラを入れてくれたのは美奈子だった。
あの男が帰る時もそうだった。母が美奈子に、「駅まで送って行ってあげなさい」と言った時、あの男は遠慮して「ここで結構ですから」と言った。美奈子は迷うことなくその通りにした。玄関の外まで送って行ったのは母だった。
美奈子は、慶吾の脇に静かに立っていた。
サンドイッチを食べ終わって、まだ空腹を覚えた慶吾は、台所を家捜ししてカップラーメンを見つけ出した。
美奈子の用意したサラダとスープがテーブルに置かれたままになっている。あれだけ慶吾に説明したのに、小さなメモが貼り付けられている。姉らしかった。慶吾は野菜が嫌いだ。だから最初から食べるつもりはない。第一腹の足しにならない。スープは飲んでもいいが、でも暖めるのが面倒だ。カップラーメンにお湯を注ぎながら、後で姉が帰って来てサラダとスープがそっくり残っていたら怒るだろうな、と思った。
カップラーメンを啜りながら、慶吾は思い出していた。
父が死んだのは、慶吾がまだ三歳の時のことだ。その頃の慶吾はとても繊細で神経質な子だったらしい。
時々母が言う。
「お父さんが亡くなった時、お前は毎日泣いてばかりいてね、お母さんも働きに出なけりゃならないし…… 美奈子はお前の世話で悲しむどころじゃなかったんじゃない? 」
そうだったかな、と慶吾は思う。
「お父さんが死んだ時からだわね。慶吾がお姉ちゃん子になったのは」
あの頃、美奈子は小学校三〜四年だったと思う。
「いつもお姉ちゃんにくっついてばかりいて…… 食事だって、寝る時だって、お姉ちゃんの側を離れなかったじゃないの」
美奈子は何を言うでもなくうっすらと笑みを浮かべている。
「そうかなぁ。全然、覚えてないよ」
慶吾はそういう時、決まって言う。でも、慶吾は忘れていない。いや、鮮明に覚えている。
その頃から母が勤め始めて、帰宅が夜遅くなることもたびたびあった。
風呂に入るのも一緒だった。慶吾は、姉の少年のような凹凸のない平板な胸を今でも思い出すことが出来る。何ら隠すことのない白い秘部を今でも鮮明に思い出すことが出来る。
母の帰りが遅い時、慶吾は姉と同じ布団に、しっかりと抱っこされながら寝た。姉は優しかった。慶吾が赤ん坊のように姉の平板な乳首を吸ったことがあるというのは、後で姉から聞いたことである。
ある日、夕食にお赤飯が出て、「何故お赤飯を炊いたの? 」という慶吾の問いに、母が笑みを浮かべ美奈子が顔を赤らめていた。そして、その時以来、一緒に風呂に入ることはなくなった。
でも、慶吾が風呂に入っている時、美奈子は慶吾の頭を洗ったり身体を洗ったりするためによく風呂に来て世話をした。その時の美奈子の服装は、部活帰りの中学生の体操着だったり、それから高校の制服だったりした。
慶吾が自分のものに毛が生えてきたのを発見した時、風呂に入りながら、それを自慢気に美奈子に見せたことがある。美奈子は部活帰りで高校の制服をまくり上げていた。シゲシゲと慶吾のものを見つめ、それから、
「これ大きくなるの? 」と聞いた。
「うん。ときどき」
「やって見せて」
「なる時とならない時があるんだ。急には出来ないよ」
その時、姉は「な〜んだ」と言った。慶吾は姉の期待を裏切ったようで淋しかった。
その夜、何かの拍子に硬くなっているのに気付いて、急いで姉の部屋に行って、「お姉ちゃん、ほら! 」と自慢気に披露した。姉の期待に添えたようで嬉しかった。姉は、それをジッと見つめた後、
「わかったわ。そんなもの早くしまって置きなさい」と言った。
姉の言い方が白々しくて、慶吾は淋しかった。
そうそう、こんなこともあった。逆に姉が風呂に入っている時、何かの用で慶吾が浴室のドアを開けたことがあった。姉は「キャッ! 」と言って、それからドアをバタンと閉めた。慶吾は不思議でならなかった。だって、ついこの間まで一緒に風呂に入っていたじゃないか。
「ちゃんと声をかけてから開けるものよ。慶吾は私の部屋へもノックなしに平気で入って来るでしょう? これでもレディなんですからね」
後できつく言われたっけ。
でも、風呂はともかく、美奈子の部屋にノックをせず入るのは止めなかった。美奈子もそれ以来、苦情は言わなかった。
美奈子を、慶吾がだんだんまぶしい存在として意識するようになったのはいつの頃からだろうか。服の上からも胸の膨らみがはっきりと判るようになって、腰のラインがスカートの上から甘美な曲線を描くようになると、慶吾は何故かそんな美奈子をわざと遠ざけるようにしていたと思う。
慶吾は、姉が黙って慶吾の部屋に入ってくることを怒るようにして拒んだ。姉が馴れ馴れしい態度を取ってくると、押しやるように避けようとした。
そのくせ、姉のことが頭から離れず、雨の日など洗濯物が室内に干してあったりすると、どうしても姉の下着に視線が行った。そんなことがたびたび続いて、母が注意したのか姉が自分からそうしたのかはわからない、いつの日かから、慶吾の視線に姉の下着が目に止まることはなくなった。
あれはちょうど三年前、慶吾は中学三年生で今と同じように高校受験で悪戦苦闘している時だった。
その夜、姉の帰りが遅く、心配で慶吾は参考書をリビングルームに持ち込んでテーブルの上で勉強していた。でも、ちっともはかどらない。姉がこんなに遅くなることは今までなかった。
どうしたんだろうか。交通事故にでもあったんだろうか。ひょっとしたら、夜道で痴漢に襲われたんじゃないだろうか。家の前の歩道を誰かが通る足音がするたび、慶吾は玄関まで足を運んで、姉が帰って来たんじゃないかと外の様子を窺った。
帰って来た美奈子は、薄っすらと目に涙を浮かべていたように見えた。「ただいま」と静かにひとこと言ったまま黙って部屋に閉じこもった姉に、慶吾は風呂を勧めた。そんなことはどうでもよかったが、何故か姉が気になって声をかけずにはいられなかった。
「食事は? 」
「……いらないわ」
「でも、お腹すいてるんだろう? 」
「いいの…… 」
「食べなきゃぁダメだよ。僕、作ってやるよ」
「ほっといて頂戴! 」
姉の強い口調に、慶吾が思わずタジタジとなった時、
「ゴメン」
ドアが開いて、姉が顔を出した。無理に作り笑いをしている。
「ちょっと疲れてるの…… 心配してくれてありがとう」
「……でも、風呂に入ったら? 」
「沸いてるの? 」
「大丈夫。いつでも入れるようになってる」
「じゃあ、入ろうかな」
慶吾は嬉しかった。姉のために何かをしてやりたかったのだ。
「うん。湯加減、もう一回見てくる」
慶吾に言われるまま、だるそうに風呂に入った姉は、でもそのままなかなか出て来ない。 慶吾は心配になって、浴室の外から声をかけた。浴室の中からすすり泣く声が漏れていたような気がした。
「大丈夫? 」
「……、ええ、大丈夫よ。心配しないで」
慶吾は後ろ髪を引かれるようにリビングルームに戻った。だが、無性に姉が気になった。何故泣いているんだろう。
しばらくしても姉は出てこなかった。
もう一度、様子を見に行こうとした時だった。ドスンと物が倒れる音がした。驚いて、慶吾があわてて浴室を覗くと、姉が脱衣所に横座りに倒れ込んでいた。ちょうど身体を拭いていたのだろうか。バスタオルを胸に当てたまま、放心したように座り込んでいた。
「どうしたんだ? 」
「大丈夫よ。ちょっとのぼせちゃったみたい…… 」
「馬鹿だな」慶吾は姉に近寄った。
「大丈夫だから…… 向こうへ行ってて…… 」
でも姉の顔は青白かった。慶吾は美奈子の静止を聞かず、バスタオルで身体を拭いてやった。
美奈子は黙ってされるままになっていた。胸までしっかり押さえているバスタオルを取り上げて、顔を拭いてやり、それから背中の汗を拭いてやった。姉の白い肌がまぶしかった。
「恥かしいじゃないの…… 」
美奈子はわざと明るく言った。
「何言ってんだ。姉弟じゃないか」
それから、まだ完全に拭ききっていない美奈子の全裸の身体を抱き上げて、慶吾は美奈子の部屋に運んだ。その頃、中学生の慶吾の身体は美奈子よりもずっと大きかった。
美奈子は恥かしそうに、でもされるままになった。階段を上がる時、二人の身体が揺れて、美奈子の両腕は慶吾の首に巻きついていた。顔を慶吾の胸に押し当てるようにして、そのままジッとしていた。水滴がポタポタと床に落ちた。
慶吾の心の中に、女の身体に対する興味がなかったと言えば嘘になるかもしれない。姉の全裸の身体をジックリ見てみたいという気持ちは確かにあったと思う。
でも、それにも増して、美奈子のことを心配する気持ちの方が大きかった。それは今でもはっきり断言できる。
初めて、姉の弱さを感じた。理由は判らないが、男の僕が姉を救ってあげなければいけないと思った。
「このままで、いい? 」
全裸のままベッドの上に美奈子を寝かせると、慶吾は美奈子の顔を覗き込みながら言った。
「ええ、いいわ。後で着るから…… 」
ボンヤリと天井を見ながら美奈子は言った。
慶吾はあえて美奈子の顔だけを見ていた。全裸の身体は見てないよ、とでも言うように……
でも、掛け布団は被せなかった。
姉の身体が火照っているのはわかっていた。それに姉の脚の方に畳まれている掛け布団を被せるとすれば、いやがおうにも美奈子の全裸の身体に視線を走らせることになる。そうしたいとは思いながら、でも姉が可哀想で出来なかった。
いや、そうじゃないかもしれない。姉の美しい全裸の身体を布団で隠したくなかった。部屋の照明の中で美奈子の全裸の身体は美しく輝いていた。慶吾の視線の隅に、美奈子の全裸の身体がいやがおうにも飛び込んで来る。ピンク色の乳首や、さらに下のほうに秘部のヘアーが妖しく黒く色をなしている。
あらためて、姉がこんなにも美しい女になっていることに驚いていた。姉や母に隠れて見ているヌード雑誌の女性より何倍も何十倍も姉の方が美しいと思った。
「何かあったの? 」
「心配しないで…… 何でもないわ」
「だって、泣いてるじゃないか」
「そう? ……いいの。慶吾には関係ないことよ」
「誰かに虐められたんだったら、僕、やっつけてやるよ」
慶吾の言葉に、美奈子は慶吾を見つめたままうっすらと笑った。
「ありがとう」
でも、慶吾の心配そうな顔に、美奈子の目はまた涙を溢れさせた。慶吾はバスタオルの端で美奈子の涙を拭ってやった。
「……慶吾。今日は勉強、終わったの? 」
「えっ? 」
「まだやってるんだったらいいんだけど…… できれば、もう少しこの部屋にいて。……、私を一人にしないで…… 」
そう言って、慶吾を真正面から見た。赤く充血している目が優しかった。
姉は僕を必要としている。慶吾はそう感じた。嬉しかった。
「よし。まかしとき」
慶吾は、「ちょっと戸締りしてくる」と言って姉の部屋を出ると、急いでリビングルームの電気を消して、戸締りを確認した。チェックすることはわかっている。小さい頃は、姉の後ろを歩きながら一緒にやったのだ。
慶吾は急いでいた。急がないと美奈子はパジャマを着てしまうかもしれないと思った。何故だか判らない。でも、慶吾は美奈子に全裸のままでいて欲しかった。火の元を確認して、それから風呂の電気を消して、さっき姉の身体から落ちた床の水滴を拭って……
駆けるように姉の部屋に戻ると、美奈子はさっきと変わらずに全裸で寝ていた。
「電気を消して…… 昔みたいに一緒に寝よう」美奈子は甘ったるい声で言った。
「うん」
部屋の電気を消すと、外灯の明かりがカーテン越しに薄く差し込んでくる。白い美奈子の身体が妖しく光った。
慶吾は自分の部屋にパジャマを取りに行こうかとも思ったが、姉が全裸である以上、自分がパジャマを着る理由はない。シャツとトランクスの姿になって、それからちょっと考えて、それもすべて脱いだ。
そして、姉が身体を少しずらせてつくってくれたスペースに、自分の身体を滑り込ませた。美奈子の肌が慶吾の裸の肌に直かに触れた。
「全部脱いじゃったの? 」美奈子が目を閉じたまま言った。
「うん。お姉ちゃんと同じだ」
「ふふふ…… 」
「昔と同んなじだな」
「そうね。でも、慶吾の身体はこんなに大きくなって…… 昔とは逆だわ」美奈子の手が慶吾の胸を優しく撫でる。
「そりゃそうさ。今日は僕がお姉ちゃんを寝かしつけてやるよ」
「ありがとう…… 」
そのまま、二人は黙って寝ていた。何も話すことはなかった。慶吾の呼吸と美奈子の呼吸が同じようにリズムを刻んでいた。
美奈子が時々思い出したように声をしゃくりあげた。慶吾はそんな姉の髪の毛を優しく撫でた。慶吾が身体をちょっと横向きにすると、その慶吾の胸に顔を埋めて、今までとは違って、今度は声を上げて泣き始めた。
姉がそんなに泣くのを見たのは慶吾にとって初めてのことだ。もともと涙もろい美奈子だったが、いつも、慶吾のちょっとしたいたずらや、姉弟喧嘩の時に見せる泣き声とは明らかに違っていた。
その泣き声は本当に悲しくて、本当に姉が可哀想で、理由は判らなかったが、覚えず慶吾も一緒に泣き出していた。慶吾が泣いていることに気付くと、美奈子はさらに激しく泣いた。
「もっと強く抱いて」泣きながら美奈子は言った。慶吾は言われる通りにした。
「もっと、もっとよ」慶吾はさらに強く抱きしめた。こんなに強く抱きしめて、姉の身体は折れたりしないだろうかと思った。
そう、慶吾は美奈子の言う通りにしただけだ。美奈子が言わなかったことは何もしなかった。ただ、黙って肌と肌を直かに触れ合って、抱きしめていた。
でも、美奈子の女の匂いが妖しく慶吾を刺戟した。美奈子の二つの豊満な乳房が、はっきりと形をつくって慶吾の胸に押し付けられていた。
慶吾のものが勃起していた。でも、それが恥かしかった。姉にそのことを知られたくなかった。慶吾は勃起を悟られないように腰をちょっと引くようにして、それから強く強く姉を抱きしめていた。
美奈子の手は慶吾の背中に触れていた。もう片方の手は慶吾の首に巻き付いていた。
慶吾は片手で姉の髪の毛を撫でながら、もう片方の手で美奈子の背中を強く抱きしめていた。
ずいぶんとそのままでいたように思う。それしかやることがなかった。いや、二人にはそれだけで充分だったのだ。
眠ったのは美奈子の方が先だった。美奈子の手が力を失って、ちょっと身体が離れるような感じがして、それからスヤスヤと静かな吐息をたてていた。
慶吾は静かに姉の手をほどいてから、ベットを下りると、掛け布団を優しく美奈子の上にかけてあげた。もう一度、姉がちゃんと寝ているのを確認して、自分の脱いだ服を持ったまま自分の部屋に移動した。
それから、姉の残り香を味わうようにしながら思いっきりマスターベーションをした。まだ童貞の慶吾は、妄想の中で美奈子と奔放にセックスしていた。プレイボーイのように巧みに姉を絶頂に導いた。姉は狂ったように慶吾の身体の下で喘いでいた。
それは一回では納まらなかった。続けて二回射精をした後、何故か姉に申し訳ないような、自分が姉を冒涜したような気がして、罪悪感に苦しんだ。
カップラーメンを食べ終わって、取りあえずサラダだけでも食べておこうと思った。スープは温めず、キッチンにそのまま流して捨てた。
これで証拠隠滅だ。
少なくとも、姉を悲しませずには済むと慶吾は思った。
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