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| 妻の絶頂 |
圭子を女にしたのは僕だ。まだ、高校時代の話だ。僕も童貞だったし、なかなか一回では出来ずに、四回目にやっと成功した。圭子のやつ、「もうこんなこと二度としたくない!」って言ってたっけ。
でも、何ていうかな、圭子はまだ本当の女の悦びを知らないっていうかな。僕の要求には順々と従ってはくれるのだが、本当に達したのを僕は見たことがない。
そりゃあ、僕もあちこちで予行練習をして来たさ。だから本当に達した時の女性がどんなかっていうのは何となくわかっている。
圭子の声が激しくなってきた時、僕は母を下がらせた。母はしきりに「ゴメンなさい…… 」って謝っていた。
父と兄は、廊下に座り込んでボンヤリしている。二人にも圭子の声はハッキリと聞こえているだろう。
父が言った。
「まあ、辛抱してくれ。あの歳じゃもう長いことないから…… 。母さんだって…… 」
「あなた…… 」
「いや、いいさ、別に…… 。どうせ、下は役立たずなんだから実害があるわけじゃない」
母が?まさか、母も?そして父はそれを知っていたのだろうか?
「それに、圭子さんが本当に嫌なら、声を上げるさ。イヤ、こういう声じゃなくてな…… 。その時はガラスをぶち破ればいい」
「絶対に嫌がってないさ」兄が言う。
「最初から判ってたのか?」僕は兄に聞いた。
「多分そうなるかな、とは思ってたさ。だって最近、じいちゃんの圭子さんを見る目、違ってたものな。圭子さんに入れて欲しいって聞いた時ピンと来たよ」
「…… 」
「そうじゃないんだよ。じいちゃんはな、ああしてやることが風呂に入れてくれた御礼だと思ってるんだ。別に圭子さんのこといじめようと思ってやってるんじゃないんだ」
「義姉さんもやってたのか?」それが離婚の原因か、と僕は思った。
「あの人はやろうともしなかったわ。臭い臭いって」母が思い出したように言う。
「だから、私、圭子さんがいじらしくって、いじらしくって…… 」両手で顔を覆った。
圭子の声がさらに激しくなった。
僕は、圭子が泣いているのかなって思った。でも、そうではなくて歌を唄っているように聞こえる時もあった。
僕は、今まで、こんな圭子の声を聞いたことがなかった。
一際、圭子の叫ぶような大きな声がして、…… そして静かになった。
「おい!」と圭子に呼びかける祖父の声がした。
それからゆっくりとドアが開いた。ノック式の鍵だから、内側からはノブをちょっと回すだけで開く。
僕は浴室のすぐ脇に立っていた。だから、ドアが開くのがすぐ判って、鍵が外れると同時に、パッと大きくドアを開いた。そして何よりもまずストッパーをしっかりはめた。
祖父が僕を見て言った。
「ベッピンさんが気をやってしまった」僕はその意味が判らなかった。
「え?」
でも、その意味は圭子の様子を見てすぐ判った。気をやる、とは気絶することだったのか……
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