~となりの美代ちゃん~


 

その一  となりの美代ちゃん

 家に帰り着くと、何はなくともグラスとウイスキーを取って、ダイニングに座り込む。
「それにしても、倫太郎のやつ、いくらなんでも、ヒドイだろ」
 会社を再建すると大見得切って、親会社から乗り込んできた、新人事部長、斎藤倫太郎。
 その正体は、やることなすこと、自分の地位を守ることだけしか考えない典型的なヒラメ上司だったのだ。
「あんなやつ、せいぜい、係長止まり、いや、役員の運転手でもやってれば良いんだよ。社内で見るだけでも、ムカつくんだから…… 」
 顔が浮かんだ瞬間に、またもや胃がキリキリと痛んだ。
 倫太郎の立てた今回のリストラ計画には、どう考えても無理があったのだ。
『会社に貢献してきた中堅どころだよ? 仕事も、取引先も、彼らがいなかったら、ぜ~んぶ、先がなくなるのに』
 軒並み首にしろっていうんでは、去るも地獄、残るも地獄が目に見えている。
 かといって、人事部付きの万年課長の身では、逆らえば、自分の首が、真っ先に狙われるに決まっていた。
 心がヤスリをかけられたようにささくれている。せめて、一休みしないと、動く気にもなれない。
 シングルだとかダブルだなんてケチな話、知るもんか。
 トクトクトクトクと、小気味のいい音を立てて、酒屋で貰ったグラスをなみなみと満たすと、一口、流し込む。
 喉が熱い。
 生きている気がした。
 ふと気が付くと、テーブルに、紫色のビンが置いてある。
 紫と言うよりも、緑だろうか?
「ん? 」
 首を伸ばした瞬間、光の角度が変わった性だろう。今度は赤紫に見える。
「なんだ、これ?」
 またもやウイスキーを一口のみながら、不思議なビンを手にすると、深いブルーに光を変えた。
 ゴクッ。
 胃に、熱い液体が落ちていく。
 チューリップ型のテーブルランプの光を反射したのか、顔の前で光を透かすと、光沢を帯びたピンクに変わっていく。
『何だ、このビンの色は? 』
 目はビンに奪われてはいたが、アルコールの熱さが、心をすり減らした自分への消毒薬になる気がして、さらに一口。
 コトンと、テーブルに置いた瞬間、今度は真っ黒へと変わる。
 まるで漆黒の闇の色。
 見つめている間もなく、飲み下した褐色の液体が胃の中で燃え上がり、心地よいアルコールの熱さがこみ上げてくる。
 もう一口。
 ゴクリ。
「ふぅ~ 」
 喉から胃までが、熱さに満たされている。
 命の熱さだった。
 ん? メモか。
「未世のお土産です。あなたは怪しげなモノはお嫌いでしょうけれど、パパにとせっかく買ってきてくれたので一口くらいは味を見て上げてください」
 多恵らしい、几帳面な文字のメモ。
 メモにしては、くどくどと長口上になるのも、いつもの通りだ。
 うん? 土産?
 娘がどこかに行っていたというのを、初めて知った。
 ゴクリ。
 身体を中から焼き尽くす、アルコールの炎。神経が、蘇っていく気がする。
『えっと、確か、今、大学二年になるんだっけ?』
 長いこと娘と会話をしていなかった。
 頭に浮かぶのは、せいぜい高校に合格した頃の髪を二つに結んだ顔だ。
 確か、この間、鼻にピアスを開けたのなんだのと母親と言い争っていたはずだ。
 それも海外でやってきたのだろうか?
 考えても分かるはずがない。
「ふぅ」
 ため息をついて、一気に、グラスに残った液体を飲み干してしまう。
 そこそこの有名私大を出て、三十年勤めたあげく、仕事と言えば、今では、人の首を切るネタばかりを探し続ける毎日だ。
「そりゃ、さ、ウチみたいな二流の商社なんて、イマドキ、人員削減をしなけりゃ、やっていけないのは確かなんだけどさ」
 自分への言い訳だってわかってる。
 会社のためにやっていることだと言い聞かさなければ、とてもじゃないがやってらんない。
 それが、仕事というもんだって、言っても、それを一番信じてないのが自分自身なんだから、やってられない。
 だが、オレなにを信じようと、信じまいと、毎日こんなことばかりやっていれば、会社中の怨みが集中するに決まっている。
 怨念を一身に受けているせいなのか、この頃は布団の中でも脂汗が自然に湧き出して、夜中に何度も起きることになってしまう。
 熟睡、というものが、家族との会話と同じくらい無縁になってしまって、ずいぶんになっていた。
 一度座り込むと立つ気力さえ湧いてこない。
 何となく、不思議な色のビンをテーブルの上の明かりに透かしてみる。
 なみなみと注いだウイスキーも、あっという間に飲み干した。
 コポコポコポ。
 二杯目も、なみなみと注いだ。
「なんか、不思議な色だな」
 そんなことないよ、と言いたげに、ビンの色が澄んだブルーになってしまうんだから、余計に怪しげだ。
 角度を変えると、ビンの色がゆっくりと赤く変わる。
「なんだ、これ? 」 
 テーブルに置いた瞬間、急速に赤を薄めて、深い緑へと変わったんだ。
「いったい、どうなってるんだ? お前は何色なんだ? 」
 ゆっくりと目の前に持ち上げてみると、まるで「答えの変わりだ」と言わんばかりに、コーラルピンクに光って見せたんだ。
 驚きをウイスキーに乗せて、熱い液体をゴクリと流し込む。
 口の中に、芳香とアルコールが充満していた。
 回してみると、ビンには、手書きで書いたとしか思えない粗末なラベルが付いていた。
 ローマ字に似てなくもないが、一つも読み取れない文字の羅列。
 紫色のビンかと思ったのだが、明かりにかざすと黄色みを帯びている。
 何となく、薬のビンを連想させる。
「1pint(パイント)?」
 辛うじて読み取れたのは、ビン自体に刻印された、この文字だけ。
 動かぬ頭を、無理やり動かして、ウイスキーをクワッと煽ってから、ビンの横の小さなグラスに少しだけ注いでみた。
 そういえば、このグラスも多恵が用意したのだろう。
 こういう細やかなところまで気配りができる女なのだ。半ば損得勘定での結婚とは言え、上司の娘である多恵にはこういう所がある。
『って言っても、その上司が先に失脚しちゃったら、どうしようもないんだけどな』
 おかげで、こんな役どころを押しつけられたんだ、って言葉だけは、絶対に多恵には言えないセリフだ。
『なんだかんだで、女らしい、落ち着いた女だってコトで、オレだって好きで結婚したんだ。な? そうだろ? 後悔なんて無いさ』
 ゴクッ。
 強いアルコールが、身体に回り始めていた。
「そうだよ。オレは多恵が好きになって結婚したんだ。打算なんかじゃないんだ」
 だが、多恵の女らしさを好ましく思ったのも新婚当初だけで、今では、その気の回しようが煩いと感じてしっている自分がいる。
『ふん、我ながら、勝手なもんだな。だが、こうやって神経をボロボロにした先にあるのは、オレも冷や飯組って現実だ』
 三杯目を注いでから、多恵の用意したショットグラスを取り上げた。
「本来は、お前がウイスキーグラスなんだけどな」  
 ニヤリと笑って、ショットグラスを軽く振った。
 多恵は、高級なベネチアングラスを見分けられる女だが、ウイスキーをどんなグラスで飲むのか、なんてコトは、トンと考えないのだ。
 おかげで、好き放題に寝酒を飲むようになっていた。
「ふう~ 」
 急速に回ってくるアルコールが、身体を熱くし始めていた。
 そんなヘンな「土産」など、普段だったら、絶対に飲まなかっただろう。
 だが、急速に回ってきた酔いに任せて、今度は輝くように黄金色をしたビンから、液体を注いでいた。
『何だ、この色? 』
 しかし、勢いが付いていた。
 ショットグラスごと口の中に放り込むようにして、一気に飲んでしまった。
「げぇ~つ!」
 クソ不味い。
 ハーブ…… いや、ドクダミ茶にチェリー味のコーラをまぜて、そいつを腐らせたら、こんな味かも知れない。
 一瞬、吐き出そうと思ったのだが、逆流してきて、もう一度喉を通ることの方が耐えられない。
「クソ、消毒しときゃ、大丈夫か」
 慌てて、空いたグラスにゴボゴボと音を立てて注いだウイスキーをグッとあおる。
 身体がひどく熱い。
 ん? 何で、こんなに熱い?
 異様なまでに熱かった。
 全身が燃え上がりそうなのだ。
 そのくせ、急速に、下半身がモヤモヤしてくる。
 何だ、この感覚は?
 もう遙か彼方に置き忘れてきたような射精の感覚。
 信じられないことだが、ズボンの前を、ギュッとツッパラかせて、苦しい。
 いや、痛みにも似た快感が急速にこみ上げてくる。
「わ、なんだ? ヤバい? これ、わっ! わっ!」
 何でそうなるのかちっとも分からなくても、この後に「どうなる」のかくらいは、自分の身体だ、わかりきっていた。 
 ムズムズする電流が、腰から一気に脳に上がってくる。
 せめてトイレへ、と思って立ち上がろうとしたのが悪かったのかもしれない。
 ズボンの中でこすれた感触が、ダメ押しだった。
 ドクン!
 ズボンを開けるヒマさえなかった。
 オレは、下着の中で、射精をしていたのだ。
 もうとっくに忘れていたはずの、身体の奥底から全てを放出する、あの青春期の放出感だ。
「ううぅ」
 一気に、放出してしまった驚愕と後悔と、そして喪失感が頭をかすめた次の瞬間、心がふわっと軽くなって、白い空気に包まれるのを感じたんだ。


「あれ? 」
 身体がひどく軽かった。
「なぁんだ夢の中か」
 見回すと、そこは昔のオレの部屋だったのだ。
 懐かしい部屋。
 懐かしい机。
 匂いまで、懐かしい。
 まさしく、中学受験に追いまくられた自分の部屋に、オレは座り込んでいる。
 これは夢だと思えるような夢を見たことはあるが、こんなにリアルな夢は初めてだった。
「そういえば、ポスター一枚、張らせてもらえなかったんだよな」
 今思い出した。
 こんな殺風景な部屋だったんだ。
 厳しかったお袋に受験一色にされていた昔のオレ。唯一、参考書以外に許されていたのは、小学館の学年誌。
 彩りのある表紙が、部屋の隅に寂しげにツンである。
 思わず手に取ると、そこには懐かしいアイドルが微笑んでいる。
『誰だっけ、この子』
 名前も思い出せないが、少なくとも未世よりも年下のはずだよな。
 この時代はアイドル全盛期だった。
 付録に付いてるはずのポスターは、部屋に張られることもなく、お袋の手で即座にゴミ箱行きだった。
 代わりに張られているのは、巨大な日本地図に、あちこち書き込みがしてあるやつ。
 マンガも、テレビも厳しく制限されて、中学受験用の問題集やら、参考書がぎっちりと本棚を埋め尽くしているのが、オレの全てだったのだ。
「か~ 夢の中まで味気ないってのは、どうかと思うけどね、実際」
 一人、部屋でつぶやいてみると、それは声変わりする前のオレの声。
『オレはこんな声をしたいたのか~ 』
 それにしても、この夢は、なんてリアルなんだ。
 なんだか、本当に、この時代に戻ってきたみたいだ。
「あ、いけね、そういえば」
 オレは慌てて股間を探った。
「良かった、出てない…… って、オレはバカか、夢の中で探っても意味がないじゃねぇか」
 さっき、射精してしまったのは、おそらく現実だ。夢から覚めたら、この年で、ドロドロの下着を始末しなければならないのかと思えば憂鬱にもなる。
 おまけに多恵は細かい。
 なんで、わざわざ下着を自分で洗うのかと、いぶかるに決まっていた。
「正面から聞いてくれれば、まだ言い訳もできるんだけどな」
 どうせ、気ばかり遣って、いろいろと悪い想像をするに決まっていた。
「わっ、やめやめ。夢でまで悩んでも仕方ないんだからさ」
 身体が軽かった。
 子ども時代というのは、身体がこんなに軽いのだろうか?
 このところ常に痛む胃も、腰も、偏頭痛も、今は全く感じない。
 さすが夢だ。
「ん? まてよ? 」
 もう一度、手を入れると、チ○ポを撫で回した。
「けっ、そうだよ。毛が生えたのは、オレが一番遅くって、確か、中学の移動教室のころだったよな。ふむ。ここがツルツルってのも、なんだか妙な感じだな」
 家では、いつもジャージ姿だったから、グッと広げると白いブリーフの中に、ちょこんとチビたチンチンがあるのが妙におかしかった。
 そのくせ、さっきの強烈な射精感を、なぜか思い出している。
 この時代のオレは、まだ射精など知らない。オナニーを覚えたのは、毛も生えてきた二年後なのだ。
 ふん。まあ、そんなのはどうでもいい。
「さあて、せっかく夢で、子どもに戻ったんだから、せめて少しはやり放題にしないとな」
 その時、隣の家でカギを開ける音。
「そうだ! 隣には、美代ちゃんか!」
 当時、隣には同じ鍵っ子で、二歳年上の美代ちゃんが住んでいたのを突然思い出したのだ。
 もっと小さい頃は、ちょくちょく遊びに行ってて、平気で風呂まで入れて貰ってた。
 一人っ子の美代ちゃんは、オレのことをすごく可愛がってくれいたんだ。
 今の今まで「隣の美代ちゃん」のことをすっかり記憶から消していたのを、突然思い出したんだ。
「もったいないことしたよなあ」
 なぜだか、心の中とチンチンがムズムズしていた。
 美代ちゃんの顔が浮かんだ瞬間から「会わなければ」という思いが頭を占領していたんだ。
 気が付けば、オレはお隣のベルを鳴らしていた。
 ブー
 そう。
 ピンポン、ではない。昔の団地のベルは、ブーという無骨なブザーだったのを改めて思い出していた。
「はーい、どちら様ですか~」
 軽やかな声がして、ガチャリとドアが開いた。
 お下げ髪という、現代では絶滅寸前の髪型をした、ほのぼのとした少女がセーラー服で現れた。
『そっか。まだ、来客を確かめてドアを開けるなんて、してなかったよな』
 ひどくのんびりした時代だったわけだ。
 オレよりもたった二つ年上なだけで、ひどく大人びて見えた美代ちゃんは、四十を過ぎたオレの目から見ると、ひどく子ども子どもしていた。 そのくせ、しっかりと、女の匂いをさせている。
 つまりは、思春期の、花開く直前の少女ってことだった。
『だけど、今からみても、瞳の綺麗さも、顔立ちも、ちょっとしたもんだよな』
「あ、たっちゃん! どうしたの?」
 驚いた顔。 
 まあ、そりゃ驚くだろう。確か、この頃は一年ほども口をきいてなかったはずだから。あれ?何で、口をきかなくなったんだっけ?
「あ、うん。ちょっとヒマだったからさ」
 我ながら、何という言いぐさだと思ったが、どうせ夢だと思えば、うまくいくはずだ。
「わ~ 久しぶりだね」
 素早く、団地の廊下を見回した美代ちゃんは、入ってと、なぜか声を潜めてオレを入れてくれたんだ。
 入り口で、美代ちゃんの横をすり抜けると、何だか懐かしいほのかなミルクっぽい匂いがした。
 紛れもなく少女の匂いだった。
 と言っても、オレ自身も、子どもの匂いがしているはずなんだが自分では分からないものだ。
 オレを招き入れながら、ちょっと、心配そうな表情。
「どうしたの? 久しぶりぃ。ねぇ、遊びに来てくれたの? 」
「う、うん」
「良かったぁ。さ、上がって。私も今帰ってきたところだよ」
 団地の玄関は狭い。
 よそに上がるときは、脱いだ履き物を自ら靴箱に入れるってことは、当時、誰でも躾されていたこと。
 懐かしいしきたりだった。
 ごく自然に、ビニールの安っぽいサンダルを靴箱に入れてたんだ。
『へえ、けっこう、身体が覚えてるもんだなあ』
 美代ちゃんは、オレの後ろ側でガチャリとカギをかけている。くっつきそうな距離での交錯で、フワリとスズランの香りがフワリと強く漂ったのは、帰ってくる早々、制汗剤でもスプレーしたのかもしれない。
 しかし、安っぽい花の香りの陰に、何とも言えない甘さを持った、ミルクのような香りがしたのは、美代ちゃん自身の匂いのはずだった。
 そっと、深く匂いを吸い込んでしまった。
「たっちゃんたら、どうしたの、急に? 久しぶりだから、驚いちゃったよ、たっちゃん、あれ以来、会っても知らん顔なんだもん」
 何かあったのだろうか? 
 思い出せなかった。
「さ、来て。私の部屋、散らかってるけど、さ」 
 ちょっとだけ考えてから、美代ちゃんはオレを自分の部屋に入れてくれたんだ。
 お母さんが帰ってくるのは夜になってからだったな。
『あ、そうだ、思い出したぞ』
 美代ちゃんのお父さんは、しばらく前に、なんかの騒ぎがあって出て行ったんだ。
 警察まで来るほどだったらしい。で、それ以来、お袋はオレに美代ちゃんちへの出入りを禁じたんだっけ。
 おぼろげながらも、やっと思い出していた。
『ってことは、夜まで誰も来ないってことだよな』
 美少女と夜まで二人っきりになれる権利を確保した「おっさん少年」としては、こうなったら一気にエロモードに持っていってしまうに限る。
 頭を回転させている間、ぱっと見、ボーっと立ち尽くしているように見えていたはず。
 そんなオレをチラッと見て、美代ちゃんは、小さな電気ストーブを最強にしている。
 他の部屋に人がいれば、ブレーカーが落ちかねないのだが、団地では機密性があるので電気ストーブしか使えないことになってる家は、けっこうあったのだ。
 灼熱した放熱板から、にわかに刺すような熱さと、鉄の焼ける独特の臭気が漂いだしている。
 しかし、今日は、冬にしては、温かい感じだ。確か、オレが受験をしたこの冬は、記録的な暖冬だったはずだった。
「今、着替えちゃうからね、ちょっと、待ってて」
 案の定、警戒心など全くない。
 真面目で優しい少女が「幼なじみの弟みたいな子」に警戒心など持つはずないのだ。
 セーラー服から白いリボンを抜き取りながら、マンガ見てて良いよ、と言って、ハンガーを取り出している。
 どうやら目の前で着替えてくれるらしい。
 あの当時、小学生なんて「子ども」だったのだ。まして、オンナの子から見れば、ガキなんてオトコのうちに入らなかったってことだろう。
 だが、生憎と、外は小学生でも、中身はエロ親父なんでね。名探偵じゃないってのは、しょうが無いけどさ。
 紺の上着をフワリと脱げば、シュミーズ姿の少女のできあがりってわけ。
『白か。そうだよな、白以外の下着なんてあり得ない時代だし。それにしても、これも脱がすには、どうしたら…… 』
 しっかりと、セーラー服を脱ぐシーンを堪能しつつ「もっと」と考えてしまうわけだ。
「ねぇ? どうしたの、今日は? 暇だった? ってことはないわよね。たっちゃん、いっつもすっごく勉強してるって聞いてるわよ」
「うん、そ、それなんだけどさ、あの…… 」
 あら? と言う表情で小首をかしげるのは、ポーズではなく、純粋な好奇心、いや、優しさというやつだったのだろう。
 なんて言っても、美代ちゃんはオレを弟のように可愛がる「優しいお姉さん」だった。
 久しぶりに現れて、様子のおかしい「弟」には、それなりに理由があると考えてくれたに違いなかった。
 まあ、いくら二つ年上でも、中身のオレからしたら少女に過ぎない。おまけにオレの夢の中だ。何を頼んでも、うまくいくに決まっていた。
『こんなに可愛かったのに、オレは、何で忘れてたんだ』
 化粧なんてしなくてもパッチリと黒目がちの瞳は、美少女の象徴のような者。そこに、ご丁寧に光まで入って、オレを見つめているんだ。
 全体に優しい感じの顔立ちは、今のオレから見ても整った顔立ちだと感じられる。
『俺ってロリコンだったのか? この首、いや、この身体を、触ってみたくて仕方なくなってる…… 』
 泡雪のように儚げな、成長途中の皮膚は、透明感のある白さを持っていて、男の欲望をかきたててくるのだ。
 この首筋に顔を埋めて、匂いを嗅ぎたくてたまらなくなっていた。
『きっと、可愛い声で、喘ぐんだろうな。それに、きっと、こういうのって、初めてだろ? 』
 大人と子どもの間に立つ、何とも言えないアンバランス感が、男の欲望をこうもかき立てるのだと、初めて感じたんだ。
 考えてみれば、ほとんどの男がそうであるように、この年頃の女の子と、この距離で見つめ合うなんて、あり得ないんだ。
 しかも、騙しているんではなくて、少女は「お姉ちゃんの優しさ」を顔に出して、弟クンの悩みを真剣に聞こうとしてるんだ。
 こんな美少女と二人きりなら、さすがに、ドキドキするのも仕方ないよな。
 意を決して、動き出す。
「えっと、あの…… 」
 部屋の中をそっと見回しながら、言いづらそうな雰囲気を演技してる。
 ポンとオレの横に座って、何か言いたそうな顔だ。
 まだ幼さの残る顔は「お姉ちゃん」の表情を作ってる。
『それにしても、こんなに美少女だったんだ。いったい、オレは何で、こんなに可愛い少女が隣にいたのを忘れていたんだ? 』
 学校帰りのままで、すぐ横に座っているから、ふわっとした少女のミルクっぽくて甘い匂いがオレを包んでいる。
 考え込んでいるオレを、覗き込むように見つめる、優しそうな目。
 まさか、自分の匂いを楽しまれているとも知らずに、心配してくれているんだろう。
『ちょっと間を持たせると、勝手に心配してくれるはずだもんな』
 少女の優しさは「悩みをなかなか言い出せないようなシャイな弟」に最大限発揮されるはず。オレは優しい視線を避けるようなフリをして、あちこち見回してみせる。
 もちろん、興味もあった。
 夢なのに、なんでここまでなのか分からないが、あまりにもリアルなのだ。
 団地だから、子ども部屋なんて、あてがわれる場所はいずこも一緒。ということは、壁を挟んで左右が違うだけの作りなのだが、殺風景なオレの部屋と、まるっきり感じが違う。
『おお! あれって! 懐かしいなあ』
 この時代は「落ちこぼれ」って言葉が、出回ってた。だから、それを打ち破るヒーローを求めてたんだよな。
 だから中学校の教師が主人公のドラマが大ヒットした。たしか、最後は中学生の妊娠まで扱ってた、
 そのドラマで人気が出たアイドルのポスターが貼ってあった。
『美代ちゃんは、この三人のウチの誰のファンだったんだろう? 』
 机の上には、まだステレオになってないラジカセが、アンテナを目一杯伸ばしたまま置いてある。深夜放送を聞いているのだろう。
 鉄筋コンクリートでできた郊外の団地では、窓に向かってアンテナを目一杯伸ばすのは定番のやり方だったっけ。
 そして、お決まりのように、塩ビでできた、可愛らしい柄のファンシーケース。端にちょこんと置いてあるこの箱の下段には、まだ、子ども子どもした下着が収まっているはずだった。
 オレは改めてリアルな夢に感謝した。
『良い匂いだ』
 充満している空気も、はっきりと女の子の部屋らしい香りになっていた。
 オレは夢に感謝しつつも、違和感は感じていた。
 よく考えれば、いくらキレイにしてても、築十数年の悲しさで、シミが浮き出てしまった壁まで思い出すものだろうか?
「うん。ゆっくりしててね。着換えちゃうから」
 言いにくそうなオレに気を遣ったんだろう。 
 ベッドから立ち上がって、着替えを再開する美代ちゃんを、そっと、盗み見する。
 枕元には、パタパタと表示板が変わる式の目覚ましがある。その表示がぱたりと一枚変わった瞬間、オレは意を決したように顔を上げたんだ。
 もう、その時には、白いシュミーズの下に、小さめのブラとパンティーが透けた姿。手に持ったハンガーには、しっかりとセーラー服が吊されてる。
 そして、白いスカーフをひょいとセーラーにかけてから、壁に直付けされたフックに引っかけたんだ。
 さすが、女の子の部屋。
 オレの部屋では乱雑に打ち込んだ釘が、こういうフックの代わりだったりするわけなんだが、美代ちゃんの部屋はちゃんとしたフックになっているのが、妙に感動してしまう。
 そこに、後ろを向いた美代ちゃんの優しい声が壁に跳ね返ってくる。
「ね、言いにくいみたいだけど。いいのよ、言ってみて。絶対に誰にも言わないから」
「あ…… う、うん、実はさ…… 」
 後ろ向きのまま、スカートをハンガーに吊してる。
 シュミーズの下に見える細い身体は、まだ、女の大家になりきってない。白いパンティーに包まれているのは、まだ、小さめの丸いお尻だった。
 シンプルな白いパンティーに、小さなフリルがついているのがせいぜいのお洒落ってお年頃。
『あぁ、オレ、本当はロリコンだったのか…… 』 
 目の前の純朴な白の下着姿は、どんな色っぽい下着にも出せない色気があったんだ。
 下着だけの姿でも「オンナ」の匂いは感じない。少女特有の淡い匂いが
『本当に、エッチなことは何にも知らないって感じだもんなあ』
 なんといっても、白いパンティーは、少女の象徴のようにすっぽりとお腹まで覆っているのだ。
 まだ、射精を知らないはずの下半身がモヤモヤする。
『よぉし、この中身を絶対に見てやる。いや、それだけじゃすませないぞ…… 』
 こうやって、少し陰りのあるふりをすれば、優しい少女は必ず、悩みに全力で答えようとしてくれるってのが、オッサンの知恵ってもんさ。
「どうしたの? 言ってみて? 私でよければ、力になるよ? 」
 トレーナーを取ろうと動いたこのタイミング。少女は、大人になる直前の身体をしまい込むのを後回しにしてくれる。
「うん、あのさ、 実はさ、あの…… お姉ちゃんじゃないと聞けないっていうか、あの、さ、お願いが……」
 案の定、身を乗り出して来た。
 シュミーズ姿の少女は、「隣の弟くん」の目から身体を隠すことよりも、せっかく話そうとしてくれた「お願い」を聞こうとしているのだ。
 さっき点けた電気ストーブのおかで、早くも部屋が暖かくなっていた。
 いかにも、しょぼんとした感じでベッドに腰掛けたオレの横に、心配顔で座ってくる。それをあえて無視して、黙り込んで見せると、優しい手が、そっと背中をさすってくれる。
『あぁ、本当に、優しい子なんだな』
 チラリと見えるシュミーズの下には、思っていたよりも、こんもりと盛り上がった膨らみが、シンプルな白いブラの中に収まっていた。
 ぱっと見、Bくらいか?
 細い身体だからデカく見えるが、まだ、ホンの膨らみかけ、というところだろう。
 シュミーズの薄い生地の下には、スラッとしたお腹の周りが透き通って見える。既にウエストがくびれ、女のラインを見せ始めていた。
 大人のプロポーションになりかけているんだ。
 美人な上に、性格も、スタイルも良い。
『こんな良い子が隣にいたのをなんで忘れてたんだっけ? 』
 ちょっと不思議だったが、大事なのは忘れたってことじゃなくて、今、楽しむこと。
 目が覚める前に、もうちょっとだけ、進ませたい。
『夢よ覚めるな』
 どうせ最後は、据え膳で目が覚めるんだろうが、できる限りこのままでいてくれ。美代ちゃんのいるうちに…… 
『あれ? 今、大事なことを思い出しかけてなかったか? 』
その瞬間、何か、大事なことを思い出したはずなのに、無理やりフタされてしまったような、重苦しい感じを飲み込んでいたんだ。
「あの、えっと」
「いいよ。ゆっくり話して」
「あの…… 」
「もう、どうしちゃったの? たっちゃんらしくないゾ ふふっ」
 美少女というのは吐息まで甘いものらしい。おまけに、学校から帰って、シャワーを浴びてない身体からあふれ出てくる甘い香りは、まだ、こんな年なのに男を蕩けさせるのだ。
 すぐ目の前で心配して覗き込む美少女には、とっても申し訳なかったけれども、オレは目一杯勃起していたんだ。
「でもなあ、絶対ダメって言われちゃうし」
「なあによぉ。どうしたの? ほら、男らしく言ってごらんなさいよ」
「あのね…… 」
「なあに? 」
「笑わない? 」
「笑わないわよ。 絶対」
「ダメって言わない? 」
「え~ それはわからないわよ。私にできることなら良いけど」
「ホント? お姉ちゃんができることなら、ダメって言わない? 」
 目を輝かせたオレに、少女はクスッと笑って見せた。
「仕方ないな。いいよ。たっちゃんのコトの頼みだもの。私にできることだったら、ダメって言わない」
 イタズラな目をして、こっちを覗き込んできた。
「で、どう、それなら言えるでしょ 」
「う、うん…… 」
「もう~」
 唇を尖らせた美代ちゃんが不意に小指を突き出してきたんだ。
「ほら、約束」
「え? 」
「ほら。指切りだよ」
 軽く曲がった指先には、桜色の爪。
 瞬間的に、指切りなんて言葉を思い出すのに手間取って、おまけに、そんな懐かしい習慣にためらって、躊躇したんだ。
「もう! ほら。こうよ」
 優しい手が、グッとオレの手を持ち上げると、小指がクッと絡まってくる。
 ひんやりした手が、優しい柔らかさを持っていた。
「指切りげんまん、ウソついたら針千本のーます ゆ、び、きっ、た! ! 」
 柔らかい手を本当はずっと触っていたい。
「指切りしたんだから。ほら、笑わないって約束したよ。それに、ダメって言わない。だから、言ってみて」
「あのね…… あの…… わ、笑うなよ」
「笑わないってば」
「あの…… お、オッパイを見せてください! 」
「え? 」
「お願い! 吸わせて! お姉ちゃんのオッパイ」
「え~ たっちゃん、赤ちゃんじゃないんだから」
 驚いた顔はしているものの、そこにある微笑みは拒否ではない。ビックリと優しさが同居している微笑みだ。
「ね、お願いだよ、ね? だって、お姉ちゃんが言えって言ったんじゃん」
「そうだけど、でもぉ、えっと、あの、さ」
「お姉ちゃんが言えって言ったのに~ 」
「あ、あのね、えっと、私、オッパイないし」
「え? ちゃんとあるでしょ? 」
「そういう意味じゃなくて、えっと、まだ、小さいから」
「小っちゃいなんて関係ないよ。ボク、お姉ちゃんのオッパイが見たいんだ」
「え~ 私の? ……ね、でも、急に、どうしたの? 」
「あのさ、なんか最近、おかしいんだよ」
「おかしいって? 」
「うん、勉強しても、ベッドでも、急に、お姉ちゃんのこと考えちゃったりして。頭に浮かぶとこの辺が苦しくなっちゃって」
「え? 胸が苦しくなるの? 私のことを考えたら? 」
「うん、どうしちゃったんだろ…… ボク、病気かもしれない」
 ことさらに殊勝な顔を作ってみせると、少女の目は、ことさらに優しくなったんだ。
 いや、そこにあるのは、初めての愛を告白された少女の「悦び」の光すら混ざっている。
 拒否の気配はまったくなかった。
「お姉ちゃんに甘えたくなっちゃって…… で、さ」
「うん」
「恥ずかしいんだけど、気が付くと、お姉ちゃんのおっぱいを吸うことばっかり考えちゃうだよ。そうしたら、ここんとこが苦しくて。夜中も、考えちゃうんだ。お姉ちゃんに会いたくて」
「え~ そうなんだ。私のことを考えて? 夜中にまで?」
 少女の顔が輝いていた。
 それこそは、少年の初恋を告白されたんだと受け止めていたはずだ。
 少女の取っては初めての体験に違いなかった。
「うん…… すっごく恥ずかしいけど、お姉ちゃんのことばっかり考えちゃう…… 」
「え~ 私なんかのことを考えちゃうんだ」
 ちょっと、困った顔のそのすぐ裏側で、嬉しそうに頬がほころぶ顔が見えていたから、オレは「勝った」ことを確信する。
 案の定、仕方ないな、という微笑みでオレの頭を一つ撫でて立ち上がったんだ。
「も~ じゃ、今日だけ、特別だゾ。甘えんぼのたっちゃんなんだからぁ」
 パッと目を輝かせたのは、決して演技じゃない。
 興奮は既にマックス。
 まだチビ・チンチンのはずなのに、ズボンの中で苦しさを感じてるんだ。
 美代ちゃんだって、初めて「肌」をさらけ出すことに、それなりに興奮しているんだろう。
 頬が、いつの間にか、ピンクに染まっている。
「え! ホント! いいの? ありがと! お姉ちゃん! 」
 無邪気なフリして、腰にしがみつく。あらあら、と背中を撫でてくれる手は優しかった。
 掌にふわっとした柔らかな身体の感触。
 たとえようもないほどの優しい感触を味わいながら、シュミーズとパンティ越しの少女の匂いをかいでいた。
 微妙な甘ったるさとミルクの匂い、そして、こんな少女であっても、しっかりと女の匂いを持っていた。
 ちょっと待ってね、と優しく起こす手に素直に従ったんだ。
「えっと、あの、私がいいって言うまでじっとしててね」
「うん」
 少女の目の中には羞恥はあっても、何の警戒感もない。
 座ったまま、シュミーズの肩紐を一つずつ降ろすと、そのまま腰を浮かせて脱ぎ降ろした。
「わ~ けっこう恥ずかしいかも」
 オレは無言で哀願の視線を向けると、ちょっと照れたように、クスッと笑ったんだ。
「はいはい。 もう~ そういう目をされちゃうと、弱いのよね~ でも、絶対、ナイショなんだからね。約束だよ? 」
 頬がうっすらとピンク色の染まるのは、自分の大胆さに興奮しているんだろう。たとえ相手が弟のような存在でも、膨らみかけの乳房を見せるのは勇気がいるはずだった。
「うん。だって指切りげんまんしたじゃん。絶対に誰にもいわないよ」
「そうだけどさ」
 一瞬の間を開けたのは、最後の最後で決意を固めたからに違いない。
 スポーツブラのような小さなブラの背中に回る紐は細い。
 クルンと、細い手が柔らかく背中に回されたと思った次の瞬間、ふわっとブラが浮いたんだ。
 肩をすくめるようにして肩紐を下ろすと、小さく丸めて、横のシュミーズの下に入れる動きは、脱いだ下着を見られるのは、恥ずかしいのだろう。
「さ、いいわよ」
 隠すでもなく、それでいて、視線を避けるように腕を動かしながら、オレと反対側の床を見てる。
 膨らみかけの白いオッパイがすぐ目の前にあったんだ。
 まだ硬そうで、膨らみかけのBカップという所。胸元の白い肌は、淡雪よりも白く感じてしまう。
「わ~ すごーぉい」
「あんまり見ないでね。あ~ん、見られてるだけなのに、すっごくドキドキしちゃうよ」
 いかにも明るい言葉を出しているが、膨らみかけのオッパイを見せているんだから、緊張は相当なはず。
「お姉ちゃん、手が邪魔だから、こうして」
 胸を隠したげに膝に置いた手をとって、そっと後ろに持っていく。
「手を後ろで組んでよ」 
「うん…… こう?」
 実に素直に手を後ろに回してくれた。
背中で手を組み合わせさせるときに、オレの顔は、柔らかな胸の谷間に触れてしまう。
 もっとも「谷間」と言っても、膨らみ始めた乳房は、せいぜいBと言ったところ。すそ野もまだまだ盛り上がってないから、谷間と言うよりも、丘と丘の間って感じなんだけどさ。
 でも、ちゃんと柔らかい肉がほんのり付いていて、感触はすこぶるイイ。
 美代ちゃんと言えば、頬がくっついた瞬間、ヒクリと震えたけれども、単に手を届かせたときに偶然触れただけだと、気にしている様子はない。
 その無防備さに甘えて、甘く香しい匂いをスッと吸い込んでから、改めて、そばでじっと見つめたんだ。
 それは、本当に初々しい膨らみとしか言えなかった。
『あ、まだ、へこんでるんだ』
まだ薄いピンク色の乳首は、縦のスリットになって中央がへこんでる。陥没乳首っていうやつだろう。成長期の膨らみには、ありがちなのだ。
 さすがに恥ずかしいのか、視線を感じて、見事にハアハアと息が荒くなってくる。
「お姉ちゃん。じゃあ、触るね」
 コクッと動いた顎が、ひどく小さいことに今気が付く。
 そういえば、美代ちゃんは、可愛らしいという印象だけを思い出していたけれど、こうやって見つめてみれば、小顔にクックリとした目鼻立ちで、いわゆる美人顔なんだ。
 唇がややボッテリしているのが、少しも品を落としてない。むしろ、幼い顔つきなのにセクシーさが格段に高くなってる。
 フェラして欲しくなる唇だった。
 こんなにも綺麗な美代ちゃんが、白いパンティー一枚で、目の前にいるってことが、既に信じられない幸運って感じ。
「夢よ、もうちょっとだけ覚めないでくれ」
「ん? なんか言った? 」
「ううん! なんにも。 ……あの、お姉ちゃんがあんまりキレイだなって」
「もう~ お世辞言っても何にも出ないゾ」
「え~ お世辞だなんて、哀しいなあ。ホントにそう思っているのに。お姉ちゃんキレイだよ。すっごく。胸もキレイだし。美人だし。お姉ちゃんがアイドルにならないのが不思議だよ」
 中身は、中年親父なのだ。この年頃の少女が喜びそうな言葉なんて、いくらでも出てくる。
「そんな。褒めすぎよぉ。もう、どうしちゃったの」
 真っ赤になって恥ずかしがっているけれど、ひたすら褒めまくられれば、免疫のない少女は、嬉しさも隠せない。
「だって、あんまりキレイなんだもん」
「そんなこと、ないわ」
「ううん。お姉ちゃん、優しい上に、こんなに綺麗なんだもん。ああ、それに、こんなに柔らかそうだし」
「そんなこと…… あぅっ」
 とうとう触れたオレの手の感触に、一瞬息を止める美代ちゃんだけれど、オレの方は、呪文のように、キレイだ、優しいって、褒め言葉を連発。
 何しろ、本当にそう思っているんだから、話は簡単。
 小学生のガキだったら、照れて言えなくても、中身がオヤジの分だけ、そこは図々しくなれるわけだ。
 天使のような少女の、発展途上の膨らみをオレは堪能していた。
 先端が、まだピンクの小さな蕾。
 白い乳房は、生硬な弾力と、危ういほどの柔らかさを持っていて、一度触れてしまえば、手離すことなどできそうにない。
 辛うじて「膨らみかけは強く触るといたがる。そっとだぞ」と自分に言い聞かせるのがやっとだ。
 年甲斐もなく、夢中になってしまった。
 あ、いや、夢の世界では「少年」なんだけどさ。まあ、それは夢ってコトだから、良いとしよう。
『いや、なでもいい。ともかく、このオッパイを味わうんだ。夢世もう少しだけ覚めるな! 』
 どんな理屈を考えるよりも、今は、こんなに魅力のあるオッパイを味わうことだけにのめり込みたかった。
「あん、んっ、あふっ、なんか、く、すぐったいよ、たっちゃん」
 微かに震える声。
 少女が初めて上げた淫靡な声。
 切ない声を聞いただけで、こっちまで夢中になってしまうのは仕方のないことだよな?
 ペロ、ペロ、ペロ
 薄い桜色の乳輪を、目一杯した先を尖らせて、優しく舐める。
「あぁん、ぁふう、はうl あん、あっ、なんか、ヘンだよ、くすったいみたい。はうっ」 
 埋もれていた乳首が段々と硬く起き上がってきた。
 チラッと見上げると、横を向いた顔は、真っ赤だ。
 良く見れば、パッチリしてた瞳は、いつの間にか潤んでる。
『感じてるんだ…… 』
 そっと片手で左の胸をなぞるように撫で上げていって、乳首までスッと、さすり上げる。
「あぁああ、なんか、ヘンだよ、あん、なんか、たっちゃんの吸い方、なんかハレンチっぽいんだもん」
 オレが子どもの頃は「エッチ」と言う言葉は滅多に使わない。それよりも、マンガに出てきたハレンチって言葉が流行っていたんだ。
「お姉ちゃんのオッパイがすっごく綺麗だからだよ。ああ、お姉ちゃん、ありがと。ボクこうしたかったんだ。優しいお姉ちゃんに甘えたかったんだ」
答えになってないが、少女は自分を褒め称えられながら、求められることに慣れてない。その甘い誘惑に浸ると、少々の恥ずかしさも我慢してしまうのだ。 
「ごめんね、お姉ちゃん。ね、もうちょっと良い? なんか分かってきた気がする」
「もう~ たっちゃんたら、何か調べてるみたい」
「だって、女体の神秘だよ。美しい女性の神秘だもん。お姉ちゃんのオッパイ綺麗だし。美しい秘密を、いっぱい調べさせてよ」
「たっちゃん、んっ、昔から、一度熱中すると、んっ、だもんね」
「すご~い。綺麗なお姉ちゃんのオッパイって、こうなってるんだね、あぁあ、なんて綺麗なんだろ。ああ、もっと調べさせて、お姉ちゃん」
 ハアハアと息が荒くなっているのを懸命に隠そうとしているのが、少女の羞恥心だろう。
 けれども、年下の切ない頼みを断れない。
 それに、幼いなりの快感を味わってしまった以上、きっと、もう少し欲しくなったのもあるんだと思う。
 一瞬、コクリと息をのんでから「良いよ。気の済むまで」と言ってくれたんだ。
 こうなってしまえば、もう止めようがない。
「んっ。んっ、あふっ、はぅっ」
 やわやわと、まだ生硬な少女の膨らみを揉みながら、尖り始めた先端を舌全体でなめ回すと、息を引き攣れさせたような微かな声が、耐えず漏れ始めてくる。
「んっ、んっ、んっ」
 堪えるように、両目をギュッとつぶっているのを見上げながら、キュッと乳房が絞り出すようにした小さな乳首を吸い上げてると、コリッとした感触で、完全にせり出してしまう。
 そこで、反対側の乳首に吸い付きながら、吸い出した乳首は掌でクルクルと撫で回すW攻撃。
「はうぅぅっ、あうっ、あっ」
 もはや、ため息と言うよりは、幼い淫声とも言うべき微かな声を漏らしながら、ヒクン、ヒクンと身体が震えるのが止まらなくなってる。
 ハア、ハア、ハア
 息が荒くなって止まらない。
 パチッとした瞳は閉じられて、長いマツゲがふるふると震えている。幼い快感を、どうにもできない表情だ。
 乳首は既に、埋もれた場所から顔を出して、小さいながらもコリっとした全貌を見せ、それを頂く膨らみは、柔らかさの内側に肉の詰まった生硬な乳房なんだ。
 こんもりとした根元。
 なだらかな傾斜の大人の胸に比べると、まるでお椀を伏せたように急角度に盛り上がっている小さな膨らみ。
 膨らみを載せた細い身体も、しなやかに長い手足も、全てが、幼い。
「あふっ、ぁうう、んっ、んっ、あぅうっ」
 けれども、感度は大人に負けてない。いや、おそらく生まれて初めて受ける刺激のせいで、その反応はすこぶる敏感なのだ。
 全身に不自然な力が入って、太ももの内側が、ヒクリ、ヒクリと引きつり始めたんだ。
『よし、一気に責めてみたら…… 』
 オレがさらに、乳首をコリコリと唇で挟みながら、舌の先端で、尖ったコリコリを徹底的になめ回したんだ。
「あ、も、もう、たっちゃん、力が、はい、ら、な、ああぁあ、あん、あ、はうっ! 」
 ヒクンと震えた。
 ハアハアハア
 カクンと手脚から力が抜けたのが分かる。
 いきなりだった。
『イッたのか? 胸だけで? 』
 そうとしか思えなかった。
 ハアハアと喘ぐ身体から力が完全に抜けている。
 カクンとなった背中を慌てて支えたんだ。
『いくらしつこく責めたっていっても、処女のくせに、胸だけでイケるとは…… なんて、敏感なんだ』
 幼いながらも、感じてしまったオーガズム。
 まだ、淡いモノかもしれないが、細い身体を貫いた初めての衝撃に、少女の全身は力が入らない。
『ここは、もっと感じさせてみたら、ひょっとして、イケるところまでイケるかも…… 』
 どうせ夢の中だ。きっと都合良くイクに決まってる。
 止める、なんて言葉は一瞬も思い浮かばない。
 ゆっくりと、そのまま仰向けに寝かせると、もちろん、添い寝をするようにそのままオッパイをゆっくりとすそ野から舐め上げたんだ。
「はぁあ」
 甘い息。
 腋の下から頂点に向かって、レロレロと舐め上げる。
 少女の、微かな汗の味。
 舐め上げていけば、幼い身体に緊張が高まる。
「んんっ」
 その緊張感は、舌の行き先が乳首になるのを予感しているから。
 でも、イッたばかりの身体に強すぎる刺激はかえって、よくない。乳首に触れないように、1センチ手前で、また、初めから。
「あぁ、あああぁ」
 ホッとしたような、それでいて、どこかしら残念そうな、そんな深い息を、スーッと漏らした直後に、また、んっ、と息を詰めるのは、舌が上り始めたから。
 そして、またため息。
 オレは、乳首のすぐ下までの、ゆっくりした愛撫を繰り返したんだ。
 七度繰り返した後、八度目の「初めから」を待つ瞬間に、オレの右手は無造作に、左の乳首を摘まんだんだ。
「あん! 」
 それはクリアに響いた、短い淫声。
 指先で小さな乳首を転がすように一気に責める。
「あっ、んっ、んっ、あん、あっ、だめ、ああぁ、オカシクなっちゃう、ヘンだよ、ヘンになっちゃうからぁ,あううぅ、はうっ! 」
 突然あふれ出す、強い快感に、未熟な身体では、どうして良いのか分からないのだろう。かといって、立て続けに送り込まれる快感は、逃げ出すことも許さない。
 両手が、シーツをギュッと握りしめて、顔を頻りに振るのは、まるで苦しみに耐えているかのようだ。
 初めての快感に全身を震わせている少女は、送り込まれる快感に夢中。
 その表情を見極めたオレは、舌全体で小さな乳首をなめ回しながら、気付かれないように片手でズボンもパンツも脱ぎ捨てる。
『まだ、白のブリーフだよな。オレは高校生の頃までお袋が買ってたのを素直に穿いてたからなあ』 
 そんなことをチラッと思い浮かべているオレのものは、まだチビで細身だが、既に先端が包皮から顔を覗かせるほどいきり立っている。
『この細さなら、イケるか? 』
 オレの本能は、このまま少女の狭い肉ヒダに突き入れてしまえと訴えている。
『どうせ夢の中だろう? 』
 入れる直前に目が覚めるに決まっているが、こんな美少女が、快感で夢中なのに、このままにしておくなんて、もったいなさ過ぎる。
 かといって、いきなりブスッと犯しにいく勇気も湧かないのがオレの小市民というか度胸の無さなんだが。
 とっさに、思いついたのが少女の手に握りしめてもらうことだった。
 迷いながらも、とっさに、身体を上にズラして、今度は、逆に少女に添い寝をする形。
 右の乳首をいじりながら、左手をサッと首の下からくぐらせて、左の乳首をコリコリコリ。
「あああぁん! あんっ、ああぁあ、いやあ」
 またもやの、W攻撃に、思わず口を出た、甘い声。
 少女自身がビックリした顔になっている。
「お姉ちゃん、キモチいいの? 」
 無邪気な声を出しながらも、オレの指先は中年男のテクで、未熟な乳首を集中攻撃している。
「ん、ち、違うの、違っ、あんん、あっ、あん」
「気持ち良いんだね? わ~い、良かった。お姉ちゃんが気持ちよくなって」
「あん、そんな、ね? も、もうダメぇ、あん、あぁあ、だめぇえ、あふう! ああぁ! 」
「だって、ゆっくり触って良いって、お姉ちゃんが言ったんだよ? 」
「あん、だって、だって、あぁ、オカシクなっちゃうんだもの」
「大丈夫だよ。このままだよ」
 少年の残酷さを口元に浮かべていたかも知れない。
「ねぇ、でもさ」
 突然、トーンを変えて耳元で囁いたから、少女の潤んだ目は一瞬こっちを向いたんだ。
「え? 」
「ボクもこれ、苦しいんだよ、ね、どうしよ。お姉ちゃん助けて」
「え? 苦しい? 」
 パッと見開いた潤んだ瞳の中に、心配という文字が見えている。優しい子だ。
「うん。苦しいんだ。お姉ちゃん、助けてよ。これ、握って」
「握る?」
「うん、チンチンが硬くなって苦しいんだ、張り裂けちゃいそう」
「え? え? 」
「助けて。握って。破裂しちゃうから」
 サッと右手を持って、硬くなったモノを掌に押し当てて、上からギュッと握らせる。
「え? これ、あ、熱いよ? 」
 おっかなビックリ、握ってくれる。
 本当に優しい少女だ。苦しい表情のオレを見て、何よりも優先して、助けてくれようとしてるんだろう。
「あぁあ、もうちょっと強く」
「え? 大丈夫なの? 」 
 いきなりのことに、目をまん丸にするほど驚いているのに、切ない表情のオレを見て、手を離すに離せない。
 優しい子だった。
「もっと、強く。破裂しちゃう。お姉ちゃん、お願い」
 その瞬間、初めて少女の意志が、オレのモノをキュッと締め付ける。
「ああぁ、いい! 」
「たっちゃん? 」
「もっと強く握ってよ、お姉ちゃん」
「だけど…… 何か、コリコリしてるよ。熱いし」
「うん、お姉ちゃんのこと考えると、なんでだか、毎晩、こうなっちゃうんだよ」
「え? 私のこと、毎晩? たっちゃん、考えてくれるの? 」
「うん。お姉ちゃんのこと考えて…… うん、こうなっちゃう。ああ、嬉しい、お姉ちゃんの手、すっごく気持ちいい」
「そうなの? なんか痛そうだけど」
「ううん、すごく気持ちいいんだよ。あ、そうだ。こないだ本で読んだんだ。お姉ちゃんもしてあげるね」
「え?」
 次の瞬間オレの手は、スッとシンプルなパンティーというよりも、まだ「パンツ」とでも呼ぶしかない白い下着の中に、腹の方からサッと潜り込ませていたんだ。
 指先が捉える、白い丘。ふわっと柔らかい。
「わぁ、濡れてる」
 秘液というにはサラサラとし過ぎるほどの液体が、指先を滑らせる。
「だめっ! たっちゃん、ダメっ、あん! 」
 抵抗しようとするには、遅すぎた。
 何しろ、たっぷりと胸を触られている。
 結果的に焦らされてしまった身体は、おそらく生まれて初めてクリトリスを直撃されれば、その快感は身体を縛ってしまうのだ。
「あぁ、だ、だめぇ、あん、だ、だめ、あぁ、お、あ、あう、ああぁあ」
 指先は、まだ小さすぎる敏感なボタンを、きっちりと抑えている。いくらサラサラの秘液でもこれだけ濡れていると、滑りはすこぶるいい。
 そのまま、右の胸に吸い付くと、やわやわと唇で乳首を挟みながら、強烈に吸い込む。
 ジュルジュルジュル。
 湿った音は、少女の快楽の起爆剤。
「あああん、あう、はう、あ、あぁ、だ、だ、あ、ああ、ら、らめぇえ ああああ! 」
 ビクン、ビクン、ビクン、と跳ねるようにケイレンする全身。
 細身の身体が、つかの間硬直した。
 さっきよりも激しく全身を仰け反らしている。
 それは、今度のオーガズムが、それだけ凄かったってこと。
「はぁあああ~ 」
 さっきよりも格段に激しかったオーガズムの残滓を吐き出すかのように、長く、深い息を吐き出して、少女の身体はベッドに沈み込んだんだ。
「ああぁ、いったい、これって…… 私ったら はぁああ」
 茫然とした少女の意識が、まだ快楽に漂っているうちに、オレのモノを掴んだままの少女の手に右手を添えて、ゆっくりと扱く動き。
 柔らかい手。
 おっかなびっくりの握り方だったのが、次第、次第に、力が込めて、包皮を剥き降ろしては、戻す動き。
 それはまだ、未熟な包茎の「オトコ」を扱く、もっとも簡単なやり方だ。
 次第に、自らの力でリズミカルな動くようになった手から、オレはそっと離す。
「あぁあ、お姉ちゃん、気持ち良い、もっと、もっとして、気持ち良いよ、ああ、おねえちゃん、ああ、気持ちいぃい」
 不自然な腕の位置で動かすのだから、少女の筋肉も悲鳴を上げたはず。しかし、優しい少女は、快感を訴える少年のために、無理をしてくれたんだ。
 あっという間に、駆け上ってくる「初めて」の快楽の電流。
「あぁああ! お姉ちゃん! 続けて! 動かして! 」
 ドクン
 熱い塊が、背中を駆け抜ける。
 弾丸のような固まりは、ツルンと剥けた赤い亀頭の先端から一気に飛び出す。
「うぅうう」
 それこそが、何百回の射精をしてきたオレが、もう一回味わう、初めての射精だった。
「わ、わ、わ、わ、たっちゃん、これ、何? ね? たっちゃん? 」
「お姉ちゃん! いい! 気持ち良いよ! 」
 少女の甘えて抱きつくオレを、柔らかなもう一つの手が、被せるように抱きしめる。
 腹の上に飛び散った精液に、目を見開きながらも、少女の手は、たゆたうように動き続けてくれている。
 その快楽に甘えながら、少年のオレは、全てを出し尽くした満足の中で、ぐったりと力が抜けていったんだ。




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