美由紀の「み」本文へジャンプ  

その7 

 あり得ない光景でした。
 ごくありふれた診察室で、妻は全裸で座っているのです。
 その目の前にいるのは、白衣を着た朝桐先輩。
 とは言え、医師としてありえないことに、勃起した股間を見せつけています。
 そう。
 ケーシー型の精悍な白衣の下は、一目見て分かる通り、何も着ていないのです。
 オペ室の外科医なら「緑の術衣の下は下着だけ」となることもありますが、一般の診察ではあり得ない姿です。
 いえ、医師とか、白衣とか言う前に、太股の半ばからヌッと伸びた男の素足は、もはや単なる変態のオッサンそのもの。
 しかし、「怖いナース」が後ろに回り込んでいました。
 まるで監視するような怖い顔のナースに、頭の後ろに持ち上げた両手をしっかりと押さえていて、診察室の明るいライトの下で、キュッと胸が突き出されています。
『こうやって見ると、まるで胸を自慢しているようなカッコウだよな』
 なぜか乳首は尖っています。
 誇らしげにみえるほど、キュッと突き出した胸は白く輝いて、頂点のピンク色を際立たせながら、身動きもままならぬ姿。
 まるで神の前に差し出される人身御供の姿だったのかもしれません。
「じゃ、まずは乳がんをチェックしますけど」
 先輩の繊細な指先は、ツッと肩口から乳房の膨らみを辿り上げていきます。
 反射的に下ろしかけた手をグッと押さえられて、観念した表情の妻。
 そこでニヤリと笑った先輩は、どんな顔をして良いか分からない私をチラッと見上げてきます。その瞳は、いやらしさと言うよりも、少年の光を宿していました。
 そう。
 それは、イヤらしい大人の表情ではなく、たまらなく楽しいイタズラに「子分」を誘っているガキ大将の顔なのです。
 その笑顔を見た瞬間から、私は腹をくくります。いえ、その少年のような表情が、私に全てを決意させたに違いありません。
 瞬間的に、それは先輩にも伝わったのでしょう。 
「ほら、良い機会だ。どうだ? お前もやってみろ」
「え、ええ。はい。じゃ、遠慮なく」
「そりゃ遠慮いらないよな、自分の嫁だし」
「そうですよ。先輩こそ遠慮しないでくださいね」
「お〜 旦那さんから許可を頂いたよ。今日は思いっきり、診察しようね」
 妻の美しい唇はキュッと引き締められ、無言のまま、わずかに頷きます。
 心の中で「これは診察だ」と懸命に言い聞かせることで、辛うじて羞恥を堪えているのに違いありません。
「よし、じゃあ、お前は、こっち座って、左の方な」
「はい」
「こんな研修なかなかできないからな。やっぱ、自分の嫁じゃないと、だろ? 」
 もはやためらうこともありません。
 辿り慣れた妻の膨らみを指先に微妙な圧力をかけて撫で上げます。
「んっ」
 手つきは、愛撫そのもの。
 夫が本気で愛撫しているのに、感じないわけがありません。
 一瞬、驚愕に見開かれた妻の瞳は、一瞬、私を見たと思ったら、またギュッと閉じられて、快感に耐える表情になっています。
 よろしい、と言いたげに軽く顎で頷いた先輩の指先は、実は、まだ診察の動きです。
「うん。視診はOK。綺麗なモノだ。こんなに形の良いオッパイも珍しいよね」
「そうですか? 先輩は、公私でいろいろと見てますものね」
 サラサラと乳房を撫で上げる手を、ニヤリと見てから、先輩は、大げさにため息をついて見せます。
「ははは。うん、美由紀ちゃんのオッパイはいいね。こりゃ佳奈以上だな。後で佳奈のオッパイと比べてみようぜ」
 羞恥にひたすら身を固くしている妻の後ろで「怖いナース」は、一瞬だけ仮面を落として、唇を尖らせてみせました。
 悪ガキのいたずらに手を焼いている、優しい姉の表情、とでも言うのでしょうか。
 本来の佳奈さんは、子どもっぽさの残る先輩を実によく理解している、優しい人なのです。
「それにしても、うん、なかなか手つきが良いな。どうやら、簡単にコツがつかめたみたいだな」
「ええ。まあ、なんとか。でも、なんって言っても、こんなのポリクリ以来ですよ。うん、なんか初心に返ったみたいで、良いですね、こう言うの」
 私の指先は、触れるか触れないかの微かな接触。
 それは妻が最も敏感に感じる動きでした。
 夫の愛撫が生み出す快感に、に辛うじて耐えている妻は、一切の反応を見せまいと懸命に身体を硬くしています。
「そう、いいね。指先に集中して。乳腺一本一本を辿るつもりでな。ほら、あ、気をつけろよ、若い患者だと、こうしちゃうと。あ、美由紀ちゃんちょっとゴメンね、試すよ」
「んっ! 」
 ビクンと妻が背中を仰け反らせて反応したのに、逆にビックリします。
「な? こういう風に指を使っちゃうと、感じちゃうから、若い患者だと訴えられちゃうからね」
「なるほど〜 こうやるんですね」
「あんっ! んぅんっ、んっ」
一瞬開いた、パッチリとした瞳は、泣きそうな光を湛えながらも、抗議の目つきですが、それは無視してしまいます。
「さすがだね。外科の連中は、自分の目で身体の中を見慣れてるから、その分だけ、慣れるのも早いんだな」
「ははは。いや、それほどでも、あ、こうやっちゃイケないんですよね? 」
 乳首を一ひねり。
「あうっ 」
 慌てて顔を左右に振りますが、私に負けじと、先輩が乳首を一ひねりすると、たまらずに「あぁん」と短い淫声を響かせてしまいます。
 なんと言っても、亭主公認でイタズラしているのです。
 いえ、公認どころか、一緒になってイタズラしているわけですから、感じやすい美由紀はたまりません。
 先輩の乳首攻撃に、私の時には我慢できた淫声を、甲高く漏らしてしまったのが悔しくて、今度は、根本からサラサラサラッと撫で上げた後、グニュリと握りしめます。
「あっ、ダメぇ」
 クナクナと顔を振ると、悲痛な声。
 妻のスラッとした両脚は、グッと閉じられたまま、モジモジと蠢いてしまいます。
「あ、良いなぁ、オレもオレも」
 競うように、グッと突き出したオッパイを根本からニュルンと絞り出すようにして、乳首を攻め始めました。
「んっ、あっ、だ、だめです、そ、そんな」
 診察イスの上に全裸で座った妻は、長い脚を重ねるようにして、モジモジと身をくねらせ始めました。
「何だよ。もう感じてるの? いつもよりも早いんじゃないの? 」
「ち、違います。恥ずかしいんです、あなた、ね、もう、あの…… 」
「違うんの? なぁんだ、感じてるのかと思ってたよ。じゃ、これも大丈夫だよね? 」「あんっ! 」
 透明な淫声を放ってしまったのは、先輩が乳首をコリッと指先で転がしたから。
 ハア、ハア、ハア
「あなたっ、んっ、あぅっ…… 」
 恨みがましい色を出そうとしていますが、そこにあるのは、強烈な快感を受け止めた女性の声そのもの。
 頭の後ろで押さえられた手をそのままに、妻の美しい背中は、キュッと伸び上がっています。
 先輩が出させる声に負けじと、グニュリと乳房ごと絞り上げて、その先端を指先でコロコロと転がすと「あふぅ、あぁああ」と嗚咽のような声が漏れてきます。
「おっ、いいないいな。な、オレもやっていい? 」
「だめですぅぁう! んっ、っあう! 」
 ダメと言いかけたときには、既に先輩の手は乳首を転がしています。
「あんっ、あっ、あっ、だめぇ、あああん、だ、だめぇ、あん! 」
 溢れる快感に耐えられないのか、それとも淫声を堪えられない口を塞ぎたいのか、クナクナと上半身を捻りますが、それこそが、快感にまみれている証拠のようなモノ。
 結婚以来初めて、他の男から受ける愛撫に、普段以上に感じてしまっています。
「あん、あっ、あっ、あっ、あうう」
 二人がかりの愛撫は、想像以上に妻の快感を生み出してしまったようです。
 しかも、チラ、チラッと時折後ろを気にする度に、ドンドン、崩れるように快感が強まる姿には驚かされてしまいます。
『あ、ひょっとして佳奈さんが怖いナースだから? 』
 怖いナースは、医療の現場そのもの。
 それに、何と言っても、ここはれっきとした診察室なのです。
『真面目に診察されなきゃイケナイのに、感じちゃってるってことで、余計に感じてるのかもな』
 もちろん、三人に囲まれながら、一人だけ一糸まとわぬ状態も異常なら、男二人がかりで「診察」という名で弄ばれているのも異常なはず。
 つまり、妻の羞恥心を目一杯刺激するシチュエーションであるハズなのです。
「あんっ、あぁ、あああ、あああ! 」
 何度も身体がヒクヒクとけいれんしたのは、小さなオーガズムが駆け抜けたとしか思えませんでした。
「お〜 ここは大丈夫。うん、一番、原発が多いのはこの角度。ま、美由紀ちゃんは非喫煙者だし、年齢的にも低リスクグループだけどね。用心に越したことはないわけで」
 時折、医師の声で説明すると、逆に、それが羞恥を呼び戻すのでしょう。
「あっ、だ、あああああんっ! あううう! 」
 あまりの恥ずかしさで、泣きそうな表情になった瞬間、またもや乳首をイヤらしい手つきで転がされて淫声をあげてしまうのです。
 そのオンオフを自在に操っている姿は、見事としか言い様がありません。
 しかも、そのくせ、先輩は、愛撫の合間に、ちゃっかりと本来の診察もしているのです。
「んっ、あん、だめぇ、あぁ、ダメェ、あふっ、あん」
 しっかりと閉じ合わさって、こすり合わせている膝は、ともすると広がってしまうのは、やはり性の味を知っている人妻の身体。
 ここから見てもトロトロになっている無毛の秘部は、愛撫を求めていました。
しかし、羞恥の余りに言い出せぬままの美由紀に、非常な宣告が下ります。
「よおし。じゃあ、乳がんOK。じゃ、今度は、こっちに乗って貰いましょうか」
 二人がかりの乳首責めから、ようやく解放された妻に待っていたのは、いよいよ、羞恥の本番でした。
 手回し良く、佳奈さんは、向こうのカーテンを開けて見せます。
 シャッと勢いよく開け放ったのは、恐らくワザと。
 そこにあるのは、女性が産婦人科を訪れるときの「羞恥の象徴」です。
 クリーム色の人工皮革に覆われた内診台を見てしまった妻は、小さく「ヒッ」と息を詰めたような声を上げたのです。
「さ、あっちに移りますよ」
「だめぇ」
 呻くような声を上げる妻は、イヤイヤと顔を振りますが、力の抜けてしまった身体を男二人で支えてしまえば、逆らうことなどできません。
 と言うよりも、もはや逆らう選択肢など思いつかなかったのかもしれません。
 左右から支えて、内診台に乗る姿は、従順そのものでした。
 本来、この台に全裸で上がる患者などいませんが、もはや半ば以上「お医者さんごっこ」なのですから、妻の羞恥心を刺激するためです。
 もちろん、医師の顔が見えないようにするカーテンなど、与えられはしません。
 乗るときの介助だって、必要ならナースがやるべき仕事ですが、あうんの呼吸で、佳奈さんは機械出しに専念する振りをして知らん顔。
 機械出しと行っても、本来は検査キットを用意してしまえば終わりのはずですが、カチャカチャと音だけは派手に立てて、必要もないモノを出しては、よそに仕舞い、仕舞ってはまた出すという繰り返し。
 ただ、その動きと音は、妻にとっては「病院にいる」と意識させる効果が出てしまうのも事実なのです。
 自分一人が裸で、しかも、病院にいながら、身体にこみ上げてくるのは、考えたこともないような快感の波濤。
 濡れそぼつ秘部は、夫以外の男によってこれから、隠しようがないほど子細に「診察」されてしまうのです。
 妻の羞恥は、これ以上ないほどに高まっていました。




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